鈍感な彼氏と直接言えない彼女の物語 完結   作:月島柊

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新年一発目ですが、2週間に一回投稿なので今日が最初です。実は製作自体は1/4に終わってるので本当に書き始めたのも2021年ってことですね。


第3話 できない

 俺は普段より少し早い、片倉6:38発各駅停車八王子行きに乗った。春風がどこに住んでるかは分からないが、多分国分寺寄り。

八王子には6:41。6:43発快速東京行きに乗り、立川からは7:02発武蔵五日市行き。7:05に西立川に到着した。俺は学校まで歩き、教室に入った。中には米坂だけがいた。

 

「おはよう、米坂」

「おはよう。あ、今日のお昼一緒に食べない?」

「あぁ、いいけど。急にどうした」

「ううん。あ、連絡先も」

 

俺は米坂と連絡先を交換した。LINEだけど。それにしても、なんでこんなに急に来たんだ。

 

「おはよう…」

「おはよう」

 

春風が入ってきた。屋上に呼び出されるんだっけ。朝呼ぶ気配はないから、昼休みか?

 

「春風」

「なに?」

「来て」

 

俺は春風を呼び出した。廊下の隅の方だ。

 

「昼に呼ぶんだったら今言ってくれ」

「どうして」

「米坂と昼飯食うから」

 

申し訳なかった。というか、好きな人なのに。

 

「え…じゃあ、いい。いつか言う」

 

え、いつか言うでいいのかよ。俺がそう言おうとするのを、俺の喉は頑なに拒んだ。なぜだ、喉が言うことを許さない。

 

「じゃあ…今日は話さないで。1人でいたい」

 

春風は俺の喉が働かないまま行ってしまった。喉が動いたのは春風が去ったあと。どうして今なんだよ。俺は自分が悔しかった。

 

 俺は下校間際に、春風の友達である米坂に肩を叩かれた。

 

「なんだ」

「あの…その…付き合ってください!」

「いいよ?」

 

俺はすんなりオーケーした。今度デートする場所も遊園地で決まり、その日を待った。裏があるようには見えなかったし、きっといい人だろう。

 

 そして当日、もう卒業間際だったが、俺は遊園地で米坂と一緒にジェットコースターやメリーゴーランドなどに乗って楽しんでいた。俺はどうしても聞きたくなって、メリーゴーランドから降りたあと聞いてしまった。

 

「米坂」

「ん?なに?」

「どうして俺を選んだ」

「好きだったから」

 

米坂は即答だった。普通だったらこんな即答できないはずだ。それに、顔は何かを嘲笑っているかのよう。

 

「そうか。ならいいや」

 

俺は何もなかったかのようにいたが、明らかに裏がある。俺は米坂が1人でどこか行ったあと、俺は米坂をつけた。

 

「連絡か?」

 

俺は独り言を漏らした。米坂は何か白い画面に打ち続けている。何か書いてるんだ。

 

「おっと、終わりだな」

 

俺は急いで集合場所に戻った。

 

「遅くなっちゃったね」

「ああ、大丈夫。気にするな」

 

俺は次の観覧車に向かった。観覧車でもう打ち明けよう。全くと言ってもいいほどにタイプと真逆。裏があるし、1人でいるときは何かメモってるし。

観覧車の上がりの途中、俺は米坂に言った。

 

「米坂、付き合って早々悪いんだけど」

「うん?」

「別れよう」

「え?」

 

米坂は笑顔を消した。さらに、急に声を怖くして言った。

 

「なんで」

「それだよ。裏がある人、好きじゃないんだ」

「……へぇ……いいよ、別れよう」

 

米坂は俺の顔に手を向けた。何をする気なんだ。

 

「ちょっとくらい残してもいいよね」

 

米坂は俺の目の下辺りを長くなった中指と人差し指の爪で引っ掻いた。

 

「いっ…」

「痛いんだ。もうすぐ終わっちゃうからね」

 

米坂はもう片方も引っ掻いた。俺の目の下がジンジンと痛む。

観覧車が下に着いてすぐ、米坂は走って遊園地を出ていった。俺は取り残された感じになって、あとから遊園地を出た。俺、春風と付き合えないかな…

 

 そして迎えた卒業式当日。卒業式が終わるとみんな正門前で男女や女子、男子同士で話していた。それは渋谷のようで、騒がしさもあった。俺は黙って春風を探していた。

途中で誰かとぶつかり、俺はすぐにぶつかった人に謝った。

 

「すみません」

「こちらこそすみません…」

 

その人は、俺の探していた人、春風だった。

 

「春風…!」

「影山くん?」

 

告白しようかと俺が悩んでいると、春風が俺を校外に連れていった。え、何が起こるの。

結局着いたところは桜並木がずらっと並んだ道だった。

 

「影山くん!」

「あ、はい」

 

俺は返事をした。何をされるのかまず分からないし。

 

「ずっと好きでした!付き合ってください!」

 

ああ、告白か……って、告白!?なんか普通の告白で捻りもなかった。けど、春風からの好意は伝わってきた。まるで覆われるように。

 

「俺なんかで良ければ」

「…うん!」

 

春風が俺に抱きつくと、桜の花びらが祝福してくれるように舞い始めた。春の風が、俺と春風を温かく包んでくれた。

 

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