鈍感な彼氏と直接言えない彼女の物語 完結   作:月島柊

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今回の登場人物
影山蒼
立花桜
以上2名


第9話 立花桜

 俺はちょっと瑞浪と話してからすぐに帰った。立花さんも帰ってる途中だろうから。

 

「母さん、女来てたか」

「えぇ。部屋にいると思うわ」

 

俺は自分の部屋に向かった。部屋の中に立花さんはいて、俺は冗談で名前で呼んだ。

 

「桜」

「うん?あ、蒼くん…」

 

あれ、両方名前呼びになってる。このままいけるかな。

 

「あのさ──」

「ぎゅぅっ」

 

立花さんは目を瞑って俺に抱きつく。えっと、多分寒いんだろうな。3月でも寒い人いるし。

 

「待ってて。毛布あるから」

 

俺は毛布を出して立花さんにかけてあげた。俺は毛布をかけた立花さんの横に座った。しかし、なんか不満そうな顔をしている。

 

「な、なんだよ…」

「ぶーぶー」

 

なんでそんな不満なんだよ…意味が分からないし…

 

「いいだろ、それでも」

「ぶーっ…」

 

俺は部屋から出た。もう意味が分からない。女なんて。

 

「まって!蒼くん!」

「なんだ」

「どこで寝る?」

 

ああ、俺と同じ部屋で、俺が床だけど。

 

「床で俺は寝るけど」

「同じ部屋で?」

「……じゃあリビング」

 

俺は自分の毛布だけをもってリビングの隅に敷いた。

 

「……苦手なんだよな、実は」

「私が?」

「違う。同じ部屋にいるのが」

 

俺は毛布を敷きながら言った。

 

「お前だって子どもじゃないんだから。1人で寝ろ」

「うん……」

 

俺は立花さんに付いていった。そして、部屋に戻り、スマホの充電器を持って再び戻った。

 

「立花さん、桜って呼んでいいかな」

「さっき呼んでたじゃん。もう」

「そうだっけ。お前もさっき『蒼くん』って呼んでたろ」

 

俺は毛布を被った。明日は休みだから瑞浪とデートできる。

 

「まだ19:30だよ?」

「寝てもいいだろ。もう眠いんだ。桜は俺のベット貸すから」

 

俺は目を瞑った。

 

【立花桜視点】

 

 私は蒼くんの部屋を借りて寝ることになった。同じ部屋にいるのが嫌って、絶対私の事じゃん。

 

「ごめんって…」

 

私は泣き出しそうになった。過去の事などを思い出しそうだったから。

 

 

 中学二年くらいのころ、私と仲が良かった女の子の友達がいた。名前ははっきり覚えている。日野春(ひのはる)(もえ)

この子は、勉強も普通、運動も普通で、一般的な生徒だった。しかし、普通ということは、クラスの1/2は萌ちゃんより上ってことになる(萌ちゃんが1/2で、上下共に1/2となる)。そして、上の生徒からの煽りが絶えなかった。

進級してから半年経った10月、萌ちゃんは中間テストの結果が返され、いつも通り上だった非とからあまりにも酷い扱いをされ、煽られたりもした。その時はたまたま私の方が上だったけど、私はテストや立場関係の話を一切しなかった。

萌ちゃんはやがて、私といるときも嫌な顔をし始めて、ついには一緒に帰らなくなった。だけど、私からの友情は消えなかった。

しかし、萌ちゃんは耐えきれなくなり、11月の上旬、11/5に、3階のクラスのベタンダから飛び降り、自殺を図った。しかし、奇跡的に命に別状はなく、中学三年になってから登校を再開した。

一方の私は、萌ちゃんが自殺を図ってからすぐ、いじめを受けた。机に「お前が手助けした」「殺人鬼が」「近寄るな」「このクラスにお前はいらない」などと、その他数ヵ所に油性ペンで書かれていた。酷いものは、彫刻刀で彫られていた。

私はそれから学校に行かなくなった。1ヶ月すると、お母さんから「学校行きなさい」と言われたけど、私は断った。

三年生になると、みんなに会わない時間帯である、7:00に学校に着くようにした。会うと怖いから。

だから高校は離れた場所にした。電車で1時間近くかかる場所で、みんなに会わなかった。

 

 

 萌ちゃんは今どうしてるんだろう。けど、きっと、会ったら、私、また壊れちゃう。結局会わない方がいい。

そう考えたら、生徒会長、蒼くんも似たようなものかもしれない。私にとって、必要なかったのかもしれない。

私は怖くなった。最初から全て考え直した。どうして私を一人にしたのか。そんなの、考えたらまた心臓が締め付けられるようだった。

 

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