底辺探偵は事件をとりあえず解決できる   作:ryanzi

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第一話 後編

まずは犯行現場の調査だ。さっきは色々と慌ただしくて調べられなかった。

 

「村田、ちょいっと調べるぞ」

 

「わかりました。・・・あれ、他の人たちは?」

 

「あっちにいる。死体を見れない角度とはいえ、こちらからは見張れるんだ」

 

「色々と都合がいい角度だな!おい!」

 

まず、ローランは死体に苦痛の表情がないことに気がついた。

つまり、本人にも何が何だかわからないうちに死んだということだ。

そして、首と胴体の切断面はあまりにも綺麗だった。

まるで、刀ですぱっと切られたかのようだ。

 

「ふむふむ・・・なるほど」

 

(ローランさん、今回も変な推理で解決しそうだな・・・)

 

「よし、いったん証言取るか。村田、答えてくれ」

 

「・・・まあ、そりゃ俺も第一発見者か。

確か・・・あの、ももことかいう子に声をかけられたんだ。

なんか、怪しい男がいるって。その男っていうのはアンタのことだったけどな。

・・・待てよ、なんか向かってる途中でももこさんがいなくなってたような」

 

「いなくなった?」

 

「一瞬、気のせいだと思ってたけどな・・・。

でも、後から急に駆けつけてきたし・・・」

 

「そうか・・・ありがとう。謎は全て解けた」

 

(死体見たのと、俺から証言取っただけだよね!?)

 

そこに不死川刑事が走ってきた。

 

「ま、間に合った・・・!犯人分かったのか!?」

 

「ああ、わかったんだ。いや、わかってしまった。

死体にブルーシート掛けといてくれ。今から、ここに皆を呼ぶ」

 

「ああ、あそこの角にいるのか」

 

こうして、死体にブルーシートが掛けられ、関係者が集められた。

 

「・・・集まってくれたか。まず、今回の事件。犯人は二人いる」

 

「俺は犯人じゃない」

 

「いいや、義勇。お前が犯人の片割れだ」

 

レナは唖然とした。

 

「ちょ、ちょっと!ローラン!義勇さんは刑事よ!

それなのに、犯人だなんて、馬鹿な事言わないでよ!」

 

「レナ、残念だが、かりんをあんな感じに殺せるのは義勇しかいないんだ」

 

ローランは、義勇が探偵時代から持っている刀を指差した。

 

「死体を見てみたが、あんな切断面は刀でしか再現できない。

それに、停電している間の数秒間で殺せるのも義勇くらいだ。

同じ帯刀者とはいえ、村田にはそんな芸当はできないからな」

 

「さらっと俺のことディスりやがってる・・・」

 

「でも、ワイヤートリックとかいうやり方だってあるじゃない!」

 

「ナノ・マテリアルは研究機関以外は製造・所有は禁止されている。

たとえ、色付き探偵だろうが、刑事だろうが、ワイヤートリックは不可能だ。

そうなると、一流の刀の使い手だけが今回の事件を引き起こせる。

そうだろう、義勇?死体を見ようとしてないかったのも、動揺を隠すためだった」

 

「そ、そんなわけないじゃない!ねえ、義勇さん?」

 

「だから、お前が嫌いなんだ・・・ローラン」

 

「ねえ???もうちょっと抵抗してよ???

なんでそんなにあっさり認めちゃうのよ????」

 

だが、レナのツッコミは無視され、話は続いた。

 

「すまない、レナ・・・。だが、ローラン。

確かにかりんを殺したのは俺だ。だが、あくまで今回の事件は俺の単独だ」

 

「いいや、お前の単独犯だと色々と不十分だ。

そこで、もう一人、この事件を計画した犯人がいる。

それは・・・十咎ももこさん、あなただ」

 

「そ、そ、そんな証拠がどこにあるんだ!」

 

「待って、ももこ。冷や汗流さないで。焦ったような口調にならないで」

 

「まず、君はこっそりと義勇と連絡を取り、彼に君たち二人の後を尾行させた。

そして、レ何とかと一緒に歩いている途中で、適当な人間を見つけて、

その人間が怪しいと言って、警察を呼びに行く。

だが、君は警官を呼んだあと、はぐれたふりをして、かりんに密会した。

おそらく、手ごろな展示品があると言ったんだろう。

君はかりんに協力者のふりをしていたんだ。

そして、手はず通り、君は何らかの方法で館内を停電させ、

かりんはそれを合図に展示品を盗もうとする。

だが、それは罠だったんだ。そこには一流の刀の使い手がいたんだから。

まんまとかりんは首ちょんぱされてしまったというわけだ」

 

「ま、参った・・・九級とはいえ、さすがは探偵か・・・!」

 

「ねえ、待って??証拠は???

全部、コイツの妄想だったような気がするけど???

なんで、その妄想が当たるわけ??」

 

だが、またしてもレナのツッコミは届かなかった。

 

「さて、どうしてこんなことをしたのか聞かせてもらおうか」

 

「俺は嫌われていない」

 

「義勇、今はそんなことは聞いていないんだ。・・・ももこさん」

 

「・・・あの女は、私の友達の夢を奪ったんだ。

三か月前、友達の秋野かえでが義勇さんに弟子入りして、探偵になったんだ」

 

「えっ、そんな話聞いたことないんだけど???」

 

「そりゃ、レナには内緒にしていたからな。

かえではお前を驚かせたくて、一流の探偵を目指していたんだ。

それなのに・・・この女は、かえでの探偵バッジを盗んだんだ!」

 

ももこは目に涙を浮かべながら、ブルーシートを指差した。

 

「なあ、ローランさん。底辺とはいえ、同じ探偵なんだからわかるだろ?

探偵バッジの再発行の審査はあまりにも厳しすぎる。

たとえ、怪盗に盗まれたとしても、再発行される確率はあまりにも低い。

探偵バッジは、探偵の命だって、アンタにもわかるだろ!」

 

「・・・ああ、痛いほどな」

 

「それでかえでは自殺してしまったんだ・・・。

私たちの目の前で、崖から飛び降りたんだ」

 

「ねえ、家庭菜園の修行のために旅に出るっていってなかった?

あれって嘘だったの??聞いてないんだけど???」

 

「それはお前を傷つけたくなかったからなんだ、レナ。

・・・それで、義勇さんと一緒に、この女を殺すことにしたんだ」

 

「そんな・・・ももこ、嘘でしょ。嘘だと言ってよ」

 

「すまない、レナ。でも、もういいんだ。

不死川さん、私たちを逮捕してくれ」

 

「・・・わかった。十咎ももこ、冨岡義勇。

お前たちを殺人罪で逮捕する」

 

「俺は捕まりたくない」

 

義勇はそう言うと、短刀を取り出して、自らの腹に突き刺そうとした。

だが、短刀は彼の腹に刺さることはなかった。

ローランがとっさに手を刃先と義勇の身体の間に挟んだからだ。

もちろん、ローランの手は大惨事になっている。

 

「ローラン・・・!なぜ、邪魔をした・・・!」

 

「それはそれ、これはこれだ。生きて罪を償うんだ。

・・・どうして、はこんなに縁起が悪いんだろうな?」

 

「冨岡・・・このクソ探偵の言う通り、生きて罪を償え」

 

「不死川・・・刑務所でも鮭大根は食べれるのか?」

 

「義勇さん???もう、どっからツッコめばいいの??」

 

こうして、二人は連行され、事件は解決した。

レナは色々と疲れた。

 

「ふう、タダ働き完了っと。・・・レナ、どうしたんだ?」

 

「どうしたもこうしたもないわよ!レナの親友は自殺してたし、

もう一人の親友と恩人は逮捕されちゃったし・・・!

レナには、もう友達がいなくなっちゃったんだけど!?」

 

「だったら、俺が友人になってやろうか?」

 

「友達と恩人を豚箱にぶち込んだ要因が何言ってるの??」

 

「飯が美味いwww」

 

「「「黙れ、この野郎」」」

 

言峰はローランとレナと村田にリンチされた。

後日、秋野かえでの死体の捜索が行われた。

 

「えっと、その・・・なんというか・・・ごめんなさい」

 

「別に気にしなくていいわよ。確か、善逸くんだったかしら?」

 

「ええ、そうです」

 

(ずいぶんと若いわね・・・)

 

「・・・その、ローランさんのこと、悪く思わないでください」

 

「わかってるわよ・・・というより、レナがツッコミたいのは、この子なんだけど?

どうして人間なのに、警察犬みたいに匂いをかぐことができるの???」

 

「・・・炭治郎はもともと嗅覚が鋭くて、よく警察犬の代わりになってたけど、

上司の冨岡さんが捕まったショックで、本当に犬になってしまったんだ。

俺にも何を言っているのかわからないけどな???

どうしてショックで犬になるんだよ???」

 

「レナにそんなこと聞かないでよ???」

 

「「・・・」」

 

「LINE交換しよう」

 

「ええ、そうしましょう」

 

ようやくレナは村田以外にまともな人間を見つけることができた。

村田もまともだが、同年齢の方が嬉しいのだ。

 

「わんわん」

 

「おっ、炭治郎。見つけてくれたのか」

 

「本当に墓標あったわね。思った以上に、朽ちてないわね」

 

「・・・待ってくれ、何か匂いがおかしい」

 

「「喋れるなら最初からそうしろや」」

 

だが、炭治郎に二人のツッコミは届かなかった。

 

「これは・・・ヒトモドキマンドラゴラの匂いだ!」

 

ヒトモドキマンドラゴラ、それはこの世界において、マネキンの材料になる植物だ。

人の血を垂らすことにより、そのマンドラゴラは本人そっくりになるのだ。

うん、実に『ちみつなせってい』だ。

そのマンドラゴラの匂いがするということは、そこに埋まっているのは偽物だということだ。

本物の、秋野かえではどこに行ったのか?


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