『マスター、南方向より魔力反応がします。』
ティルと自分の感覚から同時にそんな報告が飛んできた。
「とうとう、始まったか!」
少し感慨深いものを感じたが、同時に本当にどう関わっていくか頭を悩ませた。
しばらく、考えたが時間をおくとどんどん切り出しにくくなってしまうと思って明日の学校で話を持ち出そうと思った。
「おはよう。なのはちゃん。」
「おはよう、将暉くん。」
バスに乗り込んで挨拶を交わしたが、やはり魔法少女のことを切り出すのは難しいと思った。
「なのはちゃ…「なのは、ちょっといいかしら。」」
「あ、ちょうどよかっ…「なのはちゃん、昨日のフェレットの話をしよう。」」
いざ勇気を振り絞って、話しかけに行こうとするとこんな感じでアリサとすずかがタイミングよく現れて結局うやむやになってしまう。
そうして、話を切り出そうと動こうと決意してから数日が経っていた。
「ふあー。」
「将暉くん、眠いの?」
隣のすずかちゃんが話しかけてきた。
「うん。ちょっと、夜更かしちゃって。」
「そうなんだ、大丈夫。宿題は終わっている?」
「大丈夫終わっているよ。」
実際、最初こそ量の多さにわずらわしさを感じていたが欠かさずにやるようにしていた。
『私立にしたって、多いような気がします。』
ティルもそんなことを言っていたので平均しても多いのだと思う。
―てか、ティル。いきなり話しかけてくるな。学校では話さないって言ってなかったか。
ティルが、いきなり話しかけてきた。
『念話なんですから、良いじゃないですか今まで我慢してきましたが、もう無理です。』
ティルに関しては、登校初日から一応持ち歩いていたがまだ念話になれてなかったこともあって、学校内では遠慮してもらっていた。
―はあー。分かったよ。会話はいいけど、毎もって報告しろよ。
『はい、分かりました♪』
今まで我慢してもらっていたのだが、ティルの性格上これ以上は無理なようなのを感じてので許可した。
「ふぅーん。あんな、宿題で夜更かししたんだ?私なんて、習い事の合間にパッパッと終わらせたのに。それじゃあー、今日のテストが心配ね。」
後ろのアリサちゃんが身を乗り出してそんなことを言ってきた。
『マスター、後ろのアリサというのは何様のつもりですかね。締めていいですか。』
ティルがその言葉に過剰反応を示した。
―落ち着け、あんな物言いだけどこっちを気遣ってのことだと思うから。
「アリサちゃん、気遣ってくれてありがとう。テストの方は大丈夫だと思うから。」
そんな感じの言葉を返すと少し恥ずかしそうにして視線をそらしていた。
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『マスター、少しいいですか。』
―どうしたんだ?今テスト中だから後に出来ないか。
『テストを確認しましたが、解答に間違いは見当たらないので大丈夫だと思い、声をかけさせてもらいました。』
―…大事なことなんだな?
『はい。なのはさんの件です。』
―なのはちゃんがどうしたんだ。
『さっきから、マスターや周りに気づかれないようにして眠っている姿を目撃しましたので報告させていただきました。』
それを聞いて思い当たることが浮かんだので、少し焦りを覚えた。
―ティル、報告ありがとう。
その報告を聞いているとちょうどチャイムがなったようだった。前に答案を回すときに目が合ったのでここしかないと思って、伝えた。
「なのはちゃん、放課後屋上に来てくれないかな?」
「……え?」
驚いたような表情を浮かべて、答案を落としそうになりつつもこっちを見てきたが「前の人が待ってるよ。」って言って止まっていた答案を前にやるように促した。
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ともかく、放課後なのはちゃんに屋上に来るように伝えられたことに達成感を感じつつも到着を待っていた。
なんて、質問をするか悩んでいたがそれではまた数日前のように有耶無耶になってしまうと振り払い直球で聞いていこうと思った。
そうこうしている間になのはちゃんが屋上にやってきた。手足をロボットのようにカクカクと動かしていてとても緊張しているようだった。
『大分、緊張しているようですけどマスターなにかしましたか?』
ティルがそんなことを聞いてきたが、心当たりが無かったので知らないと答えると何故か呆れたよう感じが伝わってきたが、今それどころではないと無視した。
「しょ、将暉くん待たせちゃたかな?」
「大丈夫、僕も今来たところだから!」
「そう、それはよかった。」
「それで、今日屋上に呼び出したのはなのはちゃんに聞きたいことがあったからなんだ。」
そう言うとなのはちゃんは更に緊張の色を強めてモジモジと仕出した。顔が少し赤くなっているようになったので察したのか?と思い、前振りを省いて思い切って聞いてみた。
「なのはちゃんは……魔導士になったの?」
「はい!……………えっ?」
――――――――――――――――
そこからは、なのはちゃんの話を淡々と聞いていた。ジュエルシードのことそれを封印するために魔法少女になったこと。
お話として聞く分には、話の導入として考えられるが実際の出来事として聞くなら、その事件に関われるのはスゴイと思う。自分だったら、見て見ぬふりをするか逃げていると思う。
「はあー」
「どうしたのなのはちゃん?」
「うんうん、何でもないよ!でもまさか将暉くんも魔法少年?……じゃなくて、ええと。」
『魔導士です!なのはさん。』
「そうそれ、ありがとうティルさん!」
『どういたしまして。』
ティルがどういった反応を示すか気になっていたが良好といえたので安心した。
『マスター、なのはさんはとてもできた子ですね!』
―そうだよな、同い年って言われなければ年上と思いそうになるもん。
その年不相応な姿勢と責任感が危険を招くことを知っている身としては複雑な心境ではあるが、
「あ、そうだ。将暉くん念話ってできる?」
「念話って 」
―「これのことか?」―
「!!すごい!将暉くんって何でもできるんだね。」
その純粋なまなざしを向けられてむずがゆかったが、うれしいと思った。
「あ、あのね。将暉くん」
「うん?どうしたのなのはちゃん?」
「た、たまにでいいだけど念話でお話ししない……いや勉強のこととか!魔法で困ったことがあった時に相談に乗ってほしいと思って!」
「うん、力になれるかは分からないけど俺で良ければ相談に乗るよ。」
「うん!」
その笑顔はとても輝いて見えた。
「なのはちゃん、こっちもお願いがあるんだけど?」
「どんなこと?」
「なのはちゃんのジュエルシード集めの手伝いをしたくてさ。」
しばらく、何を言われたのか分からないように呆然としていたが、立ち直り言葉が返ってきた。
「え?…いやいや、危ないから大丈夫だよ!」
「それは、なのはちゃんだって同じことじゃない!女の子一人にそんな危険なことまかせるわけにはいかないよ。」
「あぅー」
「それじゃあーよろしくね。…それはそうとジュエルシード集めっていつ頃やってるの?」
「ええと…だいたい12時から1時くらいかな。」
「ああーそれで、寝ていたんだね!」
「……なんで、知ってるの?私バレないようにしていたのに!」
「ティルが教えてくれたんだよ。」
そのことを伝えると考える素振りをしてからこう言ってきた。
「将暉くん、少しティルさんを借りてもいいかな?」
「別にいいけど…どうして?」
「お話したいことがあるだけだよ!」
腑に落ちない思いがあったが、問題ないかと考えてティルをなのはちゃんにわたした。
しばらく、何事かを話してからこっちに戻ってきた。
「何を話してたの?」
「内緒♪」
『そうですよ、マスター。野暮なことを聞いてはいけません!』
意気投合したのか、二人がこちらをからかってきた。
― ― がティルとの会話時
―「」― がなのはとの念話時 って感じです。