この後の展開は決まっているのに文字にすると難しいなぁなんて思います。
今回もよろしくお願いします。
では!
「視界を操る程度の能力。それが今の彼の能力よ」
霊夢は紫の口から出た単語に少しだけ驚いた。
視界を操る程度の能力。思っていた以上に実用性がありそうな能力だ。霊夢の考えとしては、『三日月の能力は使い難いものだから彼自身もあまり使わない。だから自分も見たことがない』というものだったのだが、そういうことでもないようだった。
横にいる魔理沙が腕を組み、「へぇ」と面白そうに呟いた。魔理沙にもどうやら思うところがあるようだ。
「へぇ、視界を操るねぇ。それって具体的にはどういう能力なのよ。まぁ、視界を操るってんだから視覚の操作なのは分かるけど、もっとこう……具体的に」
興味半分、立場上半分で霊夢は紫に更に質問をした。いや、どちらかと言えば興味の方が強かったかもしれない。幻想郷の管理者だからといって、別にこれ以上言及は必要なかった。
まぁ気になったのだから仕方がない。そう、仕方ない。
……あれ?というかあの女、何か引っかかる言い方をしなかったか?
何らかの違和感。別にこれと言う確信があったわけではないが、突如としてそんな感覚に襲われた。決定的な何かを聞き逃した感じがする。
そんな霊夢の思いをよそに、紫が霊夢の質問に答えた。
「そうね…私が知っている範囲になるけどいい?」
「もちろん」
知っている範囲……か。
「彼の能力は自分、又は他人の視界を操るというもの。自分の視界を操作するのはいつでもできるけど、他人の視界を操るには、操る対象を自分の視界に入れないといけない……けど、視界内のものなら例えそれが何人居ようと全員の視界を操れるわ」
「え、それってめちゃくちゃ強いんじゃないか?」
魔理沙が驚いたように声を上げた。驚くのも無理はない、霊夢もなかなかの衝撃だった。
視界にさえ入れば捕捉人数は無限、問答無用で引き摺り込むのだ。普通に考えて弱いはずがない。
「そうね、十二分に強力な能力だと思うわ。でもいくつか弱点も存在する」
「何よ、弱点って」
「彼の能力は視覚だけを操る。だから当然、匂いもしないし触れもしない。彼の能力はね、視界を操作されていることに気が付かれたら解けてしまうの」
なるほど、納得だ。彼の能力はあくまでも視覚のみを操る。視覚以外の五感は操作の対象外、仮にもし聴覚が異様に優れている人などが現れても全く効果を成さないわけだ。
まぁ、それにしたって強すぎる気もするが。
「私が知っているのはこれくらいね」
「そう」
「ところで、そろそろよ」
「は?何、そろそろ?」
「えぇ」
なんだ、急に何を言い出すんだ。
唐突な紫の言葉に霊夢が困惑する。隣の魔理沙もコテンと首を傾げている。
霊夢が不思議に思っていると、紫が徐に立ち上がり、そして、高らかとこう告げた。
「乗り込みましょう」
ーーと。
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コツンコツンと辺りに鳴り響く。綺麗に整えられた道をただ一人スタスタと歩いていく。先程妖夢に言われた通り、真っ直ぐ道なりに進んでいる。周辺を見渡すが、虫も動物もいない。にも関わらず、異様に綺麗なこの場所は、やはりなんだか恐ろしく感じてしまう。普段自分が木々に囲まれた場所に住んでいるからと言うのもあるかも知れない。だが、階段のところよりかはまだマシだ。ここは大分明るいし空間もひらけている。
そしてーー
「でっかいなぁ」
顔を上げると、そこには大きな桜の木があった。まだまだ遠いところにあるその木には花も葉もないが、とても立派な大木に思わず声が漏れる。あれを咲かせるための異変か。なんだか三日月にはこの異変が悪いものだとは思えなかった。桜を咲かせるだけであれば、別段少しくらいは待っていてあげてもいい気もするが。
「お、あれか」
そんなことを思う三日月の目に大きな屋敷が映った。どうやらあそこに''幽々子様''という人が居るらしい。様と呼んでいたからには、偉い人なのだろう。とても厳しい人だったらどうしようか、手土産の一つくらい持ってくるべきだったかなどとくだらないことを考えてしまう。
「とりあえず、近くまで行ってみよう……」
少し重い足をどうにか動かすようにして歩いて行った。
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「うわぁ……」
三日月は思わず立ち尽くした。
近くで見る屋敷は想像以上に立派なものだった。ここに来るまでに見た冥界の外観によく似合った見た目をしている。どこかの真っ赤な屋敷とは大違いだ。まさに日本庭園、和風の美とも言うべき屋敷は、とても魅入るものがある。一度でいいから住んでみたいと思えてしまうほど。
……なんて考えている場合ではなかった。あくまでここは敵の本丸、今回の異変の首謀者がいるのだ。気を引き締めなければ。
「さて……」
そして問題はここからだ。いま三日月が選ぶことができる選択肢は二つ。
一つ。目の前のドアをノックして、礼儀正しく正面から入る。(作戦A)
二つ。音を殺して中に入り、首謀者を探し出す。(作戦B)
普通に考えて後者だ。敵の拠点に正々堂々正面から入る必要など全くない。仮に正面から入ったとして、それで自分が有利になるとは思えない。
よし、作戦Bだ、これしかない。敵の本丸にわざわざ礼儀正しく入るバカがどこにいるんだ。そうと決まれば早く進もう。あまり時間をかけすぎると霊夢たちも心配するだろう。
三日月が決意を決め足を踏み入れようとした時ーー。
「………」
ふと妖夢が頭をよぎった。
……本当に、これは悪い異変なのだろうか。妖夢は花が見たいといっていた。ただそれだけ言ったのだ。あの言葉に、悪意はあったのだろうか。少なくとも嘘を言っているようには、三日月の目には見えなかった。きっとあの言葉は嘘ではなかった、本心だったに違いない。なら、そんな彼女を前にして、三日月は。
「バカだな、僕は」
三日月はフッと自分に呆れ笑いをし、目の前にあるドアをノックした。
もしこの異変が悪いものではなかったら、それなのに不法侵入なんてしてしまったらと、三日月の良心が許さなかった。三日月は久しぶりに自分のこの人格に呆れた。変なところで真面目なのはいつもの癖だ。
「すみませーん。どなたかいらっしゃいますかー」
なるべく大きな声で問いかける。広い屋敷なので、そこそこ声を張らないと聞こえない可能性もある。
「あれ」
聞こえなかったのだろうか、少し待ってみても返事がない。仕方がない、もう少し声を上げて呼んでみよう。
三日月がもう一度声をあげようと息を大きく吸い込んだ時、ガラガラと扉が開かれた。
「あらぁ、これはまた珍しいお客さんねぇ」
ゆったりと喋るその口調はなんだか大人の女性のような感じを漂わせている。とても優しい声で、三日月に語りかけてきた。三日月が目を向けると、そこには水色を基調とする服に身を包んだ、とても美しいピンク髪の少女が立っている。
彼女はフッと微笑んでーー
「ようこそ、白玉楼へ」
本ストーリーのメインキャラクターである三日月の謎は後々明かそうと思っています。
多分まだ先になるので期待しないで待っていてください。
今はまだ多くは語れませんが、三日月が幻想郷に来る前は色々と大変だったようです。
それと、少し話が逸れますが一話の方を少し書き加えさせていただきました。少々駄文が目立っていたので。