前回の話はいかがでしたか?
今回もよろしくお願いします。
では!
皆様、質問があります。
五月はーーー冬ですか?
三日月は心の中でイマジナリー観客席に問い掛けた。もちろん答えはない。
答えはないが、おそらく正解はNOだろう。
寺子屋の一件から数週間。月は五月へ入ろうとしている。
なのにまだ…
「なんで雪降ってるんだよ…」
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事件は今朝。
三日月はいつものように寝ていたのだ。昨夜はいつもより冷えたので、少し厚めの布団をしっかりとかけていた。
いつもならまだ寝ている時間、太陽が顔をのぞかせて少し経った程度。
しかし。
小鳥の声すら聞こえてこない時間帯にーー
「…」
あまりの寒さに、三日月は重たい体を動かした。
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一体僕は何回寒さで起きなければならないんだろう。
そんなことを思う三日月。もう少し厚着をしたり布団をかければいいのは分かっているが、寝る前になると面倒くさくてそのまま眠ってしまう。昨夜こそ少し厚い布団をかけたが、普段はあまりそういったことはしない。だが結局寒くなり朝早く起きてしまう。
最近はその繰り返しだ。
「でも、流石におかしいよなぁ」
おかしいのだ。もうすぐ五月。春。
なのにまだ暖かくなるどころか雪が積もっている。おかしい。
三日月はまだ寝起きの、覚醒しきっていない脳で一度整理してみる。
「時期的には、春…」
虫はいない。
「春…」
花も咲いていない。
例年の春と現状を比較し、三日月は一つの結論に至った。
「よし…」
三日月は重たい腰を上げ、そして、
「お茶淹れよ」
考えることをやめた。
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「れーいーむー!」
あぁ、朝っぱらから騒々しいったらありゃしない。
博麗霊夢はこたつで温まりながら茶を啜っていた。朝からこんな大声で呼ばれては頭が痛い。
声は霊夢の名を呼びながら近づいて来る。ズカズカと音を立てながら。
不法侵入で訴えてやろうかしら。
霊夢は本気で考えていた。
「霊夢!」
ふすまがバン!と音を立て、勢いよく開かれた。
壊れたらどうしてくれるんだ。
「おい霊夢!異変だ!異変解決だ!」
開口一番、そう訴えてきた声の主。
「勝手に部屋にあがらないでよ。訴えるわよ、魔理沙」
「されたくなかったらさっさと異変を解決しろ!」
霧雨魔理沙はこたつでぬくぬくしている霊夢に怒鳴りつける。
あーうるさい。
「異変異変ってねぇ。そんな証拠どこにもないじゃない。今年は冬が長いだけよ」
「長いだけって…長すぎるだろ!もう五月だぞ!本来ならとっくの昔に春だっての!」
「そーねー。珍しいこともあるものねー」
霊夢は軽く流した。
実の所、霊夢もおかしいことには気付いている。気付いているが、別に何か悪いことがあるわけではないので
そっとしていた。理由は簡単。面倒だから。実害はないしいいかなくらいの気持ちだった。
「そーねーじゃねえよ、全く。おい霊夢。お前が行かないってんなら、私一人で行くぜ」
''一人で行く''という言葉に、霊夢は思わず魔理沙の方へ顔を上げた。
魔理沙は呆れたように、そして決意したように宣言する。
「春にならないと、花見が出来ないからな」
そう言い残し魔理沙は箒に跨り冬空へと飛んだ。
一人で行くと言い出したのは予想外だったが、まぁ魔理沙ならなんとかするだろう。
開けっ放しの襖を閉め、霊夢はダラダラを再開した。
心に一つの疑念を残しーー
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さて、どうするか。
三日月は悩んでいた。今日はすることが何もない。
寺子屋の方にも、雑貨屋の方にも手伝いは頼まれてない。
服屋の方にも…
「あぁ服屋」
そういえばまだ新しい服を買っていなかった。
寒いから上に着れるものを買おうとしていたのだが、いいタイミングがなかったのだ。
まさか五月に羽織ものを買うとは思ってなかったが。
思い立ったが吉日。軽く身支度を済ませ、外に出た。外は案の定寒かった。
しかし、雪はどうやら止んだらしく、思った以上にいい天気の空を見上げた。太陽も出ている。
雲ひとつなく、人が飛んでいて、とてもいい天気ーー……
「…」
…
「は?」
ありえない光景に目を凝らす。人だ。あれは人だ。
晴れ渡った冬空の下、人が確かに空を飛んでいる。見間違いなどではなく、姿形もなんとなく視認できるほどの高度を飛んでいる。箒に跨った黒い帽子を被った…
「ん?」
三日月はある可能性が頭をよぎる。
あれって、もしかして…
三日月はその人物に届くように、なるべく届くように叫んだ。
「魔理沙ー!」
飛行物体が移動を止める。ビンゴだ。
完全に当てずっぽうだが、間違えていても周囲に人はいないし少し恥ずかしくなる程度だ。
完全に輪郭がわかるぐらいまで近づいてきた彼女は嬉しそうに笑っている。
「三日月!いいところに!」
「ん?」
言ってる意味がわからない。いいところ?そしてなんだその嬉々とした表情。
こういう時の魔理沙にはいい思い出がない。
例えば、手に持っていた虫のような何かを投げつけて悪戯したり、
激辛料理を偽って食べさせる悪戯をしたり、色々だ。
どうせまた悪質な悪戯でも思いついたんだろう。
だが、魔理沙の言葉は三日月の予想を裏切った。
「今、異変解決中なんだ」
「異変?」
久しぶりに聞いたその単語に、思わず問う。
「何かあったのか?」
「わからないのか?」
質問で返された。わからないのかって、わかるわけ…
ーーあ。
「もしかして、この雪?」
魔理沙は笑いながら「正解」と言った。
だろうなと納得した。流石におかしい、五月でこれは。
「それを解決しに?」
「あぁ」
「アテは?」
「無い。今から探す」
「えぇ……」
呆れた。やってることが賭けと変わらない。
異変であることは間違い無いだろう。それは三日月も同意する。
概ね雪を降らせる妖怪辺りだろう。
「大丈夫なのか?」
「まだわからん」
「お前なぁ…」
再度呆れる。
本当に大丈夫なのかと心配していると、魔理沙が「そこで!」と手を打った。
「三日月も手伝ってくれよ!」
「え」
まぁなんとなくそうだろうと予想はしていたが、本当に頼まれるとは。
「三日月ケンカ得意だろ?」
「得意じゃ無いわ」
何言ってるんだこいつ。頭でも打ったか。
「よく言うぜ。この前だって大立ち回りしたくせに」
「あれは運が良かっただけさ」
あんなのは大立ち回りとは言わない。少し首を出したら運良くまとまっただけだ。
「まぁいいからいいから。暇してるんだろ?」
「暇じゃ無い、これから服を…」
服。上着。冬。異変。春。
「…」
「どうした?」
魔理沙が首を傾げる。
急に黙りこくった三日月は、やがて。
「少しだけなら、協力する」
冬が明ければ服を買わなくていいことに気がついた三日月であった。
いかがでしたか?
お気づきの通り。はい。異変です。
次回からもよろしくお願いします。
では!