半端者と幻想と   作:あざね

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どうも、あざねです。
少し私生活の方が忙しくなってしまい投稿が止まっていました。
すみません。
今回の話も楽しんでいただけたら幸いです。
では!


お話

三日月は部屋で一人、ベッドの上でくつろいでいた。

あの後咲夜に部屋を案内され、夕食をご馳走になった。

部屋はなんだか高そうなベッドが置いてあり、貴族にでもなったような気持ちになる。

魔理沙も少し離れた部屋で大声を上げていた。この部屋まで聞こえてきた。

夕食も三日月の生活とは縁のないような豪華なものが用意されていた。

どれもこれも咲夜がやっているというのだから驚きだ。レミリアやフランは毎日こんな良い生活を送っているのか。少し羨ましい。

さて、色々やってもう夜の十時だ。そろそろ寝る準備でもしようか。

思い立って体を起こす。

明日は霊夢のところに行かなくては。今日パチュリーからもらったあの助言の意味を紐解かなくてはいけない。

そのためにも、八雲紫に会うことは最善の手だ。

まぁ何にせよ、今日はもう眠っておこう。明日はなんだか疲れる気がしてならない。

いざ寝ようとベッドの横の灯りを消そうとした時、

 

ーコンコン

 

ドアからノックの音がした。

おや。一体誰だろうか。

 

「三日月さん。起きていらっしゃいますか?」

 

ドアの向こうから聞こえた声は十六夜咲夜のものだった。

 

「はい。起きてますよ」

「そうですか。あの…少しお話を、と思いまして…」

 

なんだろうか。

まぁ断る理由もない。寝ようとしていたのも、別に眠かったからというわけではないし。

 

「どうぞ入ってください」

「!。し、失礼します」

 

ドアをゆっくり開けて、何故か恐る恐る部屋に入ってくる。

動きがどこかぎこちないのは気のせいだろうか。咲夜はまたゆっくりとドアを閉めた。

咲夜はこの時間でもまだメイド服を着ているのか。別段メイド服が動きづらそうというわけではないが、

こんな時間になっても着替えられないというのは少し窮屈そうだ。

と、それはいいとして。

 

「どうしたんですか?何かありました?」

「あ、いえ、そういうわけではなくてですね」

 

なんだかやっぱりぎこちない。いつも以上に喋りが硬い。

しかもさっきからずっとドアの前から動こうとしない。

 

「とりあえず、椅子に座って話しませんか」

「そ、そうですね」

 

またもゆっくり動く咲夜。

三日月もそれに合わせてベッドから移動する。二人で向かい合うように椅子に腰をかけた。

三日月は早速、さっきと同じ質問を投げかける。

 

「本当にどうしたんですか?こんな時間に」

「あー、えっと…その」

 

咲夜は少し溜めて、

 

「この間の一件のことで、お礼をしたくて」

 

あぁ。そういう。

だが、そのことならその時にもうお礼されている。第一、

 

「あれは僕のおかげじゃないですよ。僕は本当に何もしていない」

「謙遜しないでください。本当に三日月さんのおかげなんです」

 

謙遜したつもりはないのだが。

そもそも、

 

「僕は本当に、ただ首を突っ込んだだけです。僕が居ようと居まいと何も変わっていなかったと思いますよ」

「そんなことありません。三日月さんが居なかったら、今こうしてお嬢様と妹様が仲良くしているなんてきっとあり得なかった」

 

何ヶ月か前、幻想郷全土を巻き込んだ異変。そして、壮絶な姉妹喧嘩。

 

「三日月さんは、自分はただ首を突っ込んだだけだと言っていますけど。でも、それでいいんです。

いいえ、それが良かったんです」

 

咲夜は少し悲しそうに、申し訳なさそうに笑ってみせた。

 

「それは、私には出来ないことだったから」

 

三日月は何も言えなかった。咲夜の言わんとしていることを理解してしまって。

つまり咲夜はこう言いたいのだ。

 

「三日月さん、お二人がまた向き合うきっかけを、貴方が作ってくれたんです。私が当然のように目を瞑っていたことを、貴方はやってくれた」

 

言葉が出なかった。咲夜はそんなことを考えていたのかと、そう思った。

三日月は異変が起こってからの彼女らしか知らない。その前の紅魔館がいったいどういう状況だったのかを、三日月は知らないのだ。だが、咲夜の言葉を聞いてしまっては感じずにはいられない。

彼女の苦悩を、辛さを。そして彼女が感じていたであろう無力さを。

 

「だから、本当に。本当に、ありがとうございます」

 

咲夜は深く頭を下げた。部屋に入ってきた時とは違う、いつもの凛とした彼女がそこには居た。

窓から照らす月光で顔を上げた彼女はより一層綺麗に見えた。

こんな素晴らしいメイドがいる紅魔館は、心底幸せ者だろう。

 

「まさかこんなに感謝されるとは思ってもいませんでした」

「っふふ。そうですか。でも、それほどのことなんです」

「そうですか。でも、やっぱりこれは言っておきます」

 

咲夜は疑問を浮かべた表情でこちらを見てくる。

これだけは言っておこう。これだけは譲れない。

 

「僕からしたら仲直り出来たのも全部、貴方達家族の賜物ですよ」

「!…やっぱり、貴方で良かった」

「え?」

「いえ、こちらの話です」

 

僕で良かった?何が?

そんな疑問が頭に残るが、まぁ別段いいか。

 

「咲夜さん、もうお休みですか?」

「?。いえ、まだ少し早いですが」

「なら、もう少し話しませんか。なんだか眠気が全く無くて」

 

あんな話をされては、なんだか眠る気になれない。

今日はもう少し起きていることとしよう。

 

時刻は、十一時をまわろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

================

 

 

「失礼しました。…おやすみなさい」

「はい、おやすみなさい」

 

ゆっくりと…

ーバタン

 

「…………」

 

ドアの前に佇む。

 

「あぁ」

 

……

 

「……………!」

 

緊張したぁぁぁ!

咲夜は心の中で叫んだ。時間を止めて叫んでやろうかと思ったがやめておいた。

それぐらいまでに緊張した。心臓が破裂しそうだ。未だに鼓動が止まない。

一体何時間話していたのだろう。咲夜は懐中時計で今の時間を確認した。

 

「十二時半…」

 

実に二時間半。信じられない。そんなに経っていたのか。

とりあえずここから離れよう。なんとなくこれ以上いると危ない気がする。

咲夜は早足で三日月の部屋を後にした。

 

 

 

 

==============

 

「ありがとうございました」

「サンキューな!」

 

翌朝、三日月と魔理沙は朝一番で霊夢のもとへ向かうことにした。

外は、やはりまだ寒いままだった。

 

「気をつけなさいよ」

「うん。ありがとうレミリア」

「気をつけてね!三日月!」

「ああ。フランもありがとう」

 

レミリアとフランも送ってくれた。

パチュリーは部屋にこもっているらしい。まぁ寒いからな。

 

「これ、お弁当です。よかったら持っていってください」

「本当に助かります、咲夜さん。」

「昨夜の弁当か!ありがたいぜ!」

 

魔理沙がはしゃぐ。

こいつ朝から元気だな。人里の子供たちを思い出す。

 

「門の前までわざわざありがとうございます」

「いいのよこれくらい、気にしないで」

 

レミリアがどうということもないというように言う。

 

「じゃあ三日月、後ろ乗せてやるから早く来い」

「ああ」

 

魔理沙が急かしてくる。

 

「じゃあ、行ってきます」

「えぇ、行ってらっしゃい」

「お気をつけて」

「がんばれー!」

 

三日月は箒に跨り、魔理沙の肩を掴んだ。

 

「よっし!行くか!」

「うん」

 

足が地面から浮く。箒のくせに安定感があるのが解せない。

やはりこれは慣れない。そう思う三日月だった。

箒は徐々に高度を上げ、咲夜たちから遠ざかる。

三日月は最後に手を振った。

 

 

 

 

 

 

 

 

============

 

「あんた、何してんの。あんたまで不法侵入で訴えられたいわけ?」

「あら、そんなわけないでしょう?ただ用事ができたから来たの」

 

用事?

 

「私に?」

「違うわ」

「じゃあ誰に」

「そうねぇ。多分、もうそろそろくるわよ」

 

三日月が到着する少し前、博麗神社には大妖怪が訪ねていた。

 

 

まるで全てを察したように、八雲紫はそこに居た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?
楽しめていただけたでしょうか。
過去の異変もしっかり書くつもりなのでご心配なく。
では!
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