宇宙戦艦ヤマト2202 If 猛虎咆哮す   作:モアンゴル

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はじめまして、モアンゴルと申します。
FGOの芹沢さんがなかなかに格好よかったのでこちらの芹沢さんもなんとか活躍させたいと考えこの駄文を打った次第です。初めて書くので至らぬ出来ですが、温かい目で見ていただければ幸いです。


第一章 防人の立志
第一話 猛虎再起せり


【第一話】

 

 西暦2199年12月8日、宇宙戦艦ヤマトは数多の苦難を乗り越え地球へと帰還した。

 

 地球人類史上空前の、辛く、苦しい戦いに、ひとつの終止符が打たれた。

ここまで辿り着くまで人類が払ったのはあまりにも大きな犠牲であった。

遊星爆弾により地球は醜く汚染され、地球人類の総人口は戦前の三分の一を下回るほど激減。

地球防衛の要たる国連宇宙艦隊は少数を除き悉く潰滅、機材・人員両面で激しく損耗。

地球人類はあと一年で完全に破滅するところにまで追い詰められた。

しかし、地球人類は生き延びた。種として終焉を迎えはしなかった。

ヤマトがCRS(コスモリバースシステム)をイスカンダルから持ち帰り、

地球が人類の生存に適した環境に戻るまで、地球人類は地下都市で

息を潜め、懸命に耐え忍んだのである。

 

 

人類は壊滅した。

だが、絶滅はしなかった。

地球人類はその歴史を23世紀にまで繋ぐことに成功したのである。

 

 

 その日。

その男は感情のうかがい知れぬ表情で、地下都市にある国連軍極東管区司令部の席上で 

モニターに映る、今まさに地球の大気圏へ降下しようとしている船の姿を眺めた。

肩書は国連宇宙軍 極東管区 軍務局長・宙将。

名は芹沢虎鉄。

ヤマト計画に反対する立場をとり、イズモ計画推進派として活動した男である。

宇宙戦艦ヤマト艦長・沖田十三を敵視しており、大ガミラス帝星との接触時に

彼の権限を停止し大ガミラス帝星との開戦を結果的に引き起こしたのも彼だ。

 

 そして、その芹沢虎鉄は今、

自分の反対したヤマト計画が実を結ぶ瞬間を目の当たりにしている。

ヤマトが極東管区の行政局によって誘導され、地球へ降下したそのとき。

黄金色の閃光がモニターを満たす。

……次の瞬間にモニターは信じがたい映像を映し出した。

突如として水の流れが現れ、ヤマトを映していたカメラドローンを押し流すさま。

司令部内の一瞬の沈黙。それは直後に大歓声へと変じた。

干上がって久しかった海が、一瞬のうちに湧いて出たのである。

海だ、と司令部の要員が叫ぶ。失われてしまった海原。彼らの記憶の中だけにあった海原。

戻ってきたそれを見て、司令部にいた面々は涙さえ流して狂喜する。

その一方で、芹沢はひとり立ち上がりその場を後にする。歓声の中を歩く彼に、

気づくものは誰一人いない。彼の上司である行政長官・藤堂平九郎も、

感慨深くモニターに映るヤマトと海を見つめている。

眼前の奇跡は、みずからの功ではない。それどころか、それを妨げることもした。

芹沢虎鉄はその冷厳な事実を誰よりも理解していた。

 

 

 彼は自分の執務室へ戻った。シンプルな執務机の椅子にひどく疲れたように座ると、

両の手を組み、額を置く。絶望ですっかり濁った目を伏せる。

芹沢虎鉄はこの先の、さして長くもない将来を慮った。光射さぬ、暗然たる未来だ。

「……」

沈黙が支配する部屋。その外ではヤマトの帰還と突然の海や青い陸地の復活で、

かつてないほどの喧騒が生まれている。

距離はそれほど離れていない筈なのに、その間には何人にも越えられぬ溝があるようだった。

 

ヤマト計画の頓挫、イズモ計画の実行を狙った艦内クーデタ事件。その実行を

指示したのはほかでもない自分。彼こそがヤマトを窮地に陥れた元凶。

この後、自分に待つのは退役、逮捕、場合によっては処刑もありうる。

少なくとも夢見ていたような、栄誉に満ちた明日はないことは確実だ。

開戦の発端となったムラサメの一件は中央委員会の方針に従ったものだったが…。

多少の野心や計算があったとはいえ、

彼なりに地球の未来を案じ、進めてきたイズモ計画は破綻した。

計画遂行の為、行った数々の後ろ暗い行いは近いうちに追及されることは間違いない。

彼は観念したかのようにため息をついた……が。

 

 

 

 瞬間。

芹沢の体に雷が落ちるような衝撃が走った。

どさり、と鈍い音を立てて、虎のごとき猛々しさと鉄のごとき信念を持つ、

孤独な男の体躯(からだ)は床へと崩れ落ちた。

 

 

 

 その数分後のことである。

芹沢虎鉄は胸を張って執務室のドアを開き、足早にどこかへと向かっていった。

すれ違う職員たちに奇異、冷笑、憐憫の視線を向けられても彼は一向に意に介さない。

そもそも、芹沢の眼中に彼らの姿は入ってすらいないのかもしれない。

獲物を追う猛虎が如く、前を見据えひたすら歩んでゆく。

その瞳は爛々と輝いていた。

明らかに、以前の彼ではない。

 

 

 西暦2199年12月8日、

宇宙戦艦ヤマトは33万6000光年の路程を踏破し、

イスカンダルよりCRS(コスモリバースシステム)を地球へもたらした。

 

 その同日、ヤマト計画に反対していた軍官僚・芹沢虎鉄は再起を果たし、

自らに課した目的のため突き進んでゆくこととなる。

 

これが、地球人類の未来にとって憂うことになるか、否かは、全知の女神さえも知らない。

 

 




ちなみに私はFGOプレイヤーではないです。
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