最悪の場合ヤマトクルーの中から人柱を出さざるを得なかったということ。
……ヤマト以前に似たようなことをイスカンダルがやっていたとして、
いつもいつもたどり着く船と別に星のエレメント、つまり星の人類の魂が得られると思えないので……
もしかしたらスターシャ女王はズォーダー大帝とさして変わりない方なのd(デスラー砲着弾)
【第15話】
芹沢が、そしてほかの会議列席者も予想した通り、
北米管区は流れにこそ乗ったものの他管区の尖鋭たちと衝突することとなった。
議題はさまざまである。
統一政府下に置かれることとなる管区政府の権限の如何、
CRSにより復元されたものの地域により差のある資源の配分方法、
統一政府での人事権・管区政府からの人材引き抜きの是非、
……そして何より、統一軍の設立。
どの管区も、厳しい現状という枷により正面を切って激論を交わすことこそなかったが、
暗示・示唆を通して互いに意思表示という名の牽制を行った。
その中でおいても、三極化構造がうっすらと見えてくるような状況が出来上がった。
まず、戦前優勢を誇っており、戦後でも主導権をとっていきたい先進管区群。
該当するのは北米管区を筆頭に、東亜管区、欧州管区、中東管区の4管区。
次に、戦前では工業・経済・軍備その他で上述の先進管区群の後塵を拝しており、
戦後となった現在大きく弱体化した先進管区にとって代わり人類社会を牽引せんとする
後発管区群。これらは北ユーラシア管区、東南亜管区、南北アフリカ管区、南米管区が入る。
そして第三勢力に、戦前は経済規模などが前述二派の中間に位置しており
対立する先進・後発の二グループの緩衝材となっている、
管区問題から距離を置いた統一政府の建設を主に目指している中間派が存在する。
第三勢力派は、極東管区、南アジア管区、オセアニア管区、地中海管区があたる。
こうした勢力関係図を明らかにして、第一回サミットはその幕を下ろしたのだった。
しかし、会議の末には二週間後の3月15日に第二回を開催するという決定もなされた。
そして、極東管区司令部にて藤堂・芹沢・土方の首脳三役は第二回に備え論議を行っていた。
「……概ね予想通りではあったが、な……」
「軍単位での統合は円滑に行くと考えられます。各管区軍の現状を見なければ分かりませんが、
会議時において、各管区の上級軍人の反応は期待の持てるものです。」
管区間での不和を嘆く藤堂に対し、励ますように話題を変える土方。
「ヤマトの一件で我が極東管区はどの海外管区からも好意的にみられていますからな。」
土方の発言につけ加えるように、芹沢が言う。
「……ヤマト。」
それを受け、藤堂は噛み締めるように地球を救った艦の名を呟いた。
「長官。ガミラスはいつ何時再接触に及んでくるか分かりません。
地球統一政府の建設には一刻の猶予もないものとお考えだと思います、
このまま会議が冗長と化すのは好ましかざるシナリオでしょう。」
「……では、軍務局長。あの案を取るべきだと?」
「私としては、決して時期尚早だとは思わん。
どうあっても地球人類を早期にまとめ上げねばならないはずだ。」
「……それについては、まったく同意見ですが。」
藤堂に、決断を求める視線と言葉を向ける芹沢とそれに対し意図の確認をする土方。
「……よかろう。芹沢君の提案を実行するとしよう。」
少しの逡巡を経て、藤堂は芹沢の案を容れることにした。
芹沢は自らの意見を汲んでくれた上官に対し、感謝の一礼をした。
「……ほとんど、ショック療法のようなものになるか。」
「……残念ながら、人類を結束させてきたのは常に外部の脅威でした。」
「……そうだな。」
やれやれ、とかぶりを振る藤堂。彼は芹沢と土方を見据えて言った。
「……だがこれで、各管区の動きは一気に変わるはずなのは確かだ。
その上で我が極東管区が流れをつかめるだろう、芹沢君、土方君。」
「「はっ!」」
極東管区は、逆転の一手を放たんとしていた。
そして、3月15日
第二回管区間遠隔会議 席上。
第一回と同じく、次々とモニターに各国代表者が映し出されていく。
だが、その表情は前回よりも固く険しかった。第一回が不調で終わったからではない。
極東管区は3月10日に国連本部からの許可を得、宇宙戦艦ヤマトの全航海記録データと
ガミラスなど異星文明由来の技術的情報を殆ど全て地球の全管区へ公開したのである。
(惑星ビーメラ4でのイズモ派による反乱の記録は改竄・削除)
この極東管区の行動は海外管区の意表を突いたものであった。
公開当時、極東管区がガミラスに対して優勢に戦えるヤマトの戦闘力を見せて
武力的威圧を図っているのかと管区の指導者たちは勘ぐった。
しかし、データの確認を行ううちに指導者たちは別の意図で公開がなされたことを悟った。
戦争相手であったガミラスの政権崩壊、それに伴う不安定化。
そして、新たな星間国家勢力・帝星ガトランティスの存在。
現在のところ太陽系内からガミラス艦隊を排除してあるとはいえ、
外宇宙には恐るべき脅威がいまだ存在していることをヤマト航海の当事者たる極東管区は示した。
デスラー政権健在時においても一枚岩になかったガミラス帝国である。
政権崩壊ののち艦隊や元貴族が離反・軍閥化し地球に攻めてくる可能性が皆無とは言えない。
ヤマトによるデスラー政権の打倒は必要だったとはいえ、ある面でむしろ
ガミラスを一層予測不能な脅威へ変えてしまったともいえる。
さらにイスカンダルからの帰路で遭遇した地球人類にとって未知の勢力・ガトランティス。
苛烈なまでの戦闘性・攻撃性、恐るべき兵器群を有するガミラス以上の脅威。
対話がほとんど絶望的であることも判明している。
極東管区は新たな脅威の存在を広く明らかにすることによって地球人類を団結させんとしたのだ。
無論、これを主導したのが芹沢軍務局長たちであることは言うまでもない。
海外管区の主導者たちも、これほどの危機が放置されているのに自管区の都合を
声高に主張するわけにはいかなかった。まだまだ、戦時は終わってはいないのである。
一度滅びを味わった地球人類である。これ以上の危難を呼び込まんとする姿勢は誰で
あってもとることは出来ない。また、とることは許されなかった。
そうして、極東管区に救われた、そして
地球各管区の指導者たちはこの第二回サミットの場に現れたのであった。
モニターに映る各管区指導者たちの顔を見ながら、芹沢は考える。
(……やはり効果覿面だったようだな。よし、これで流れは掴んだも同然だ。
……二年後の脅威は現状私しか知らない。それでも最大限の備えを地球人類にさせるには
地球連邦をあの記憶のものより遥かに強力に、能率的にするほかない。
そのための踏ん張りどころがここであるとするのは間違いない……!!)
彼は策が上手くいったところに満足しつつ、今後について勘案した。
(……ここまではいいとして、問題は各管区の利権闘争を白紙にしたことで
極東管区がつまはじきにされんかだな。ヤマトの航海とエネルギー供与で我が極東管区は
一躍全世界の救世主となったが、あまりにうまく行き過ぎた。その反動は楽観視できん。)
(……これ以上わが管区が表立って世界中をリードしようとしたものなら必ず他の管区群から
反感を買うことは免れ得ぬ。……ここらが潮時だ。各管区に相互の譲歩体制をとらせるのは
成功した。一応は儂や藤堂長官が期待する通りにことが運ぶはず。
それでもダメなら今後一つ一つ修正するまでよ。同時に、海外管区の協力者を得るとしよう)
芹沢がサミット後の基本行動デザインを描いていると、ムベキ国連総長が登場し宣言した。
「……ではこれより、第二回管区間サミットを開催します!!」
地球情勢は一気に流れを変え、一つの結末へと至ろうとしていた。
芹沢はいま、間違いなくその渦の中心にいる。
長々やるのは申し訳ないと思い、急展開としました。
次回はもっと早めの投稿を心掛けたいです。