宇宙戦艦ヤマト2202 If 猛虎咆哮す   作:モアンゴル

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あぁ^~

公式の他管区のキャラ供給がないんじゃあ~~



え?こっちでも芹沢の出番が減りつつある?

本当に申し訳ない(これから滅茶滅茶出てきますで)


第二十七話 使者相見ゆ

【第27話】

 

 

 西暦2201年 3月10日未明。

 

 その時はやってきた。

 

 

 青き星の蒼い空を悠然と降りてくるのは、

遥かな彼らの故郷の星の外殻を想起させる緑色で彩られた生物的フォルムの宇宙艦隊だった。

 

ガミラスを発った遣地球(テロン)外交団を乗せた艦隊が16万8000光年の長路を越え、

遂に地球へと到達したのである。

 

彼らは先遣部隊であるバーガー艦隊(巡洋戦艦1隻、軽巡2隻 ※ただし軽巡1隻は本隊に随行)の

誘導管制を受けて地球側が降下地点・停泊地に指定した太平洋のカロリン諸島の一画、

チューク(トラック)環礁へと向かっていく。

 

 

 

 

その光景は、バーガー大佐の先遣艦隊が到着して以来ガミラス側に糧食を提供している

地球防衛軍宇宙海軍オセアニア管区駐留艦隊所属の輸送艦「オーウェンスタンレー」からも

望むことができた。__その艦橋にて、艦長と航法士官は語らった。

 

「……とうとう、来ましたな。」

 

「……ああ。だが、地球人類(われわれ)は負けたわけではない。

 払った犠牲はあまりに大きかったが敗者として彼らを迎えるわけではないのだ」

 

モニターに映される降下中のガミラス艦隊の姿を睨みながら、艦長は重く語る。

その脳裏には、過日のことがありありと蘇る。

火星沖海戦で壊滅した友軍を地球で迎えたこと、同期や戦友の死の衝撃。

次々に落着する遊星爆弾の恐怖、地下都市での絶望と無力感にまみれた逼塞の日々。

 

だが、自分たちは生き残った。決して地球人類は絶滅せず、ヤマトによって地球は青く甦った。

ガミラスの悪魔の思い通りにはならなかったのだ。

艦長は軍帽をかぶり直し、その思いを強めた。

 

「……そして、地球人類(われわれ)は勝者と敗者ではなく対等な立場で条約を結ぶのだ。

 エバット外務局長なら、あの爺さんならやってくれるだろう。」

 

「交渉上手な爺さんですからな。宇宙人相手でも退くことはないでしょう」

 

「……問題はその上か。」

 

「オーウェンスタンレー」の乗員たちは自管区出身の外務局長官、

対ガミラス交渉団長に選ばれたチャールズ・コーネリアス・エバットに大きな期待を持つ。

彼は粘り強さと経験に裏打ちされた老獪な交渉で鳴らす男だ。彼の経歴もそれを物語る。

 

しかし同時に、乗員たちは地球連邦政府が弱腰な外交姿勢を取るのではないかと懸念する。

少なくとも、ガミラスから謝罪と賠償は引き出してもらう。いや、引き出さねばならない。

できないようならば、自分たちのような軍人・民間人たちが連邦政府を倒しすらするだろう。

 

地球人の怒りの根は深い。

艦長以下「オーウェンスタンレー」乗員たちは、

降下を続け泊地に近づくガミラス艦隊を映しているモニターへやる視線の鋭さを一層強めた。

 

 

 

 

 

 ……0550時、日の出のころにガミラス外交団艦隊はトラック泊地へ着水を開始する。

 

 

「第24及び第62巡洋戦艦戦隊、第302・第317両快速巡洋艦戦隊はモエン島西方へ着水開始。」

 

「第236快速巡洋艦戦隊と第9独立宙雷戦隊はデュブロン島東方海面へ着水せよ。」

 

艦隊旗艦「シャングリ・ラー」の艦橋内では艦隊各艦への入泊命令・情報が交わされ、

忙しなく司令部要員らが管制にいそしんでいる。

そんな中で、艦隊司令官であるシー・フラーゲ中将は副官に語った。

 

「……こうした海洋での停泊もたまには悪くないかもしれんな。兵たちの訓練にもなろう」

 

「それに、風情もありますな。」

 

彼らの瞳には、朝焼けに燃える碧海が映る。ガミラス本星ではまずお目にかかれない光景だ。

遊星爆弾によって地球(テロン)の地表は一度破壊しつくされ、ガミラス艦隊が停泊できる

宇宙港が無かった(元より地球にはガミラス艦が収容できる宇宙港が存在しないのだが)ことが

逆にガミラス艦隊の将兵らや、外交団の一部に対しては(地球側も意図せず)有効に作用し、

地球が「美しい星」であるとガミラス側に好印象を与えることに成功した。

 

……そんな美麗な礁湖に、総勢50数隻を数えるガミラス外交団護衛艦隊は次々に降りたち、

ハイゼラート級戦艦「シャングリ・ラー」も先遣隊旗艦の巡洋戦艦「バーゲルスト」が

停泊するモエン=デュブロン両島間の錨地、先日までヤマトの姿があった場所へ着水する。

 

黎明の光を浴びる海水は、巨大な戦艦が身を置く衝撃で波立ち、そのしぶきは黄金に輝く。

 

「シャングリ・ラー」に並ぶように水面上に浮かぶ巡戦「バーゲルスト」艦橋では、

先遣隊の指揮官を務めたフォムト・バーガー大佐が部下共々今しがた到着した、

艦隊総旗艦の艦橋にいるフラーゲ中将へ向けて右手を挙げるガミラス式敬礼を行っていた。

「シャングリ・ラー」からもねぎらうように敬礼が返されるとバーガーは各員に持ち場へと

戻るように告げて、腕を組み改めて艦隊旗艦の艦橋を、あるいは現在の上官のフラーゲ中将を

見遣りニヒルな笑いを浮かべた。

 

「……やれやれ、ようやくのご到着か。おかげで一か月あまりハネをのばせたがね。

 ……さ~てコダイ、ここからだぜ。正念場は……」

 

バーガーは、数日前にヤマトとともに去った異邦の友人を思いつつ今後のことを考えた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガミラス艦隊の入泊完了からおおよそ4半時が地球上で経過した3月10日の午後1時前。

とうとう地球とガミラスの終戦と国交各種条項を取り決める外交交渉が始まろうとしていた。

 

舞台となるのは、地球側が用意した標準宇宙輸送艦のうちの一隻、「ユートピア」。

欧州管区の所属艦で、同艦の艦上に交渉場所が設定された理由は、

トラック環礁に施設を建設するのは非効率的であり、環境的にも良好とはいえないこと、

地下都市に移動するのには時間がかかるうえ地球市民の感情を鑑みるに危険であること、

輸送船であれば議場として必要な容積は満たせること、代替となりうる戦艦「ヤマト」は

マゼラン銀河への派遣に備える為ドック入りしていることなどがあげられた。

 

他にも、外交団護衛艦隊の旗艦の艦名が「シャングリ・ラー」であることから、

地球言語で近いシャングリ・ラ(理想郷)と同義を持つ「ユートピア」が採用されたとも

いわれているが、この真偽は定かではない。

 

地球側の交渉使節は、同艦に乗ってこのトラック泊地へとやってきていた。

 

補給艦機能を備えた輸送艦の「ユートピア」上部甲板上には元から艦載宇宙舟艇の発着場が

備え付けられており、交渉に臨むガミラス側外交団は「シャングリ・ラー」から内火艇(ランチ)

用いて移譲が行われた。もちろん、外交団には護衛の武官が付いている。

 

 

 

そして、

艦内に設えられた地球式の会議場(国威と体面を重視し豪奢なテーブルクロスをかけた

黒檀の長机とふかふかの席、絨毯や壁面装飾にも手が込まれていた)において、

経験に富むチャールズ・コーネリアス・エバット地球連邦外交局長官率いる地球側交渉団と、

多数の植民星での外交を成功させたヤヒメル・ドロッペ外務次官らガミラス側外交団は対面。

両国の代表団は団長を中心にして左右に広がり、交渉のテーブルへと着く。

 

 

ここに、地球史上初となる正式な対異星人との外交交渉が幕を開けた。

 

 

先にカードを切ったのは、老獪なエバット外務局長官。

会場を設定したアドバンテージから、ガミラス側は出鼻をくじかれる格好となった。

ドロッペ外交団団長がいざ話題を切り出そうとした直前になって、エバットは言ったのだ。

 

「……唐突でご無礼なことは承知ですが、乾いた口では語らうことはできますまい。

 二つの星、二つの文明の未来を議論するのであればなおさらです。

 ここはひとつ、我が地球の茶葉……戦禍により、長期保存させたものですが、

 最高品質を誇るものの一つを、皆様にご賞味いただきたく存じます。」

 

「……!!」

 

ドロッペや外交団員の青肌の耳には、翻訳機越しに流暢なガミラス語が聞こえてくる。

それはエバットが実にスムーズに言葉を紡いでくることの証左だ。

ドロッペはテーブルをはさんで目前にいる老人を、危険なほど優れた外交のプロと直感する。

判断理由は、弁が立つことだけではない。ガミラス人が喫茶の習慣を持つことを知っており、

この場で述べたのは恐らく自分が茶を好み嗜む人間であることの情報が地球(テロン)側に

渡っているからであることに違いない。……情報の出どころは恐らく先遣隊あたりだろうか。

とにかく、相手が情報収集にそれなりの手腕を持っていることは確かだ。

 

(ーーーー例の件ももしや……)

 

少なくとも、ドロッペ外務次官は自分より二回り年長の地球(テロン)側代表が年齢に相応しく

相当の場数を踏んで経験を蓄積してきたことと、それを交渉で発揮しようとしていることを

理解する。

 

 

そして、エバットの発言に呼応して地球側の女性士官だろうか、

数人の女性がガミラスの物とどこか似ている各種陶器をカートに乗せて運んできた。

彼らの言う地球産の茶であることは疑いない。

女性たちは、毒が入っていないことの証明も兼ねてか、地球側代表から先に茶を淹れ始めた。

だが、地球人に無毒でもガミラス人にはそうとは限らない……

……ということがないのは既にヤマトの戦訓などの調査によってわかってはいるが、

そういう体でガミラス側の警備兵が毒見役として飲むこととなる。

 

「……試飲させていただきます。」

 

勇気ある一人の兵士が地球製のなかなか美しい陶器のカップに口をつけ、中の液体を飲む。

ドロッペは、兵士の表情に注目する。毒が入っていないのは(ほぼ当然だが)確かなようだ。

……それより、紅茶通の彼としては彼が地球の茶を美味そうに飲み干したことに注目する。

期待が持てる、と直感的に感じたのだが、彼の前に置かれたカップに茶が注がれると

その直感は確信に変わった。

 

甘さと渋さを併せ持つ芳醇な香りが外務次官の鼻腔をくすぐってきた。

ガミラスの茶葉にはあまりみられない系統だが、快味を連想させるのは容易だった。

 

「……では、いただきましょうか。」

 

思わず綻んだ顔で、ドロッペはカップを取った。その様を見て、他の団員も続く。

静かに、喉へとカップに淹れられた液体を流し込んだ。

 

美味い。

 

快い風味が味覚と嗅覚を楽しませてくれる。

ガミラスにおいて最高品質といわれるメランの物にも負けぬインパクトだ。

地球の茶は、ガミラスの紅茶通を唸らせ、満足させるに十分な素質を持っていたのだ。

ドロッペが個人的に地球に期待していたことの一つは、思いもよらぬ形で叶えられた。

 

 

「……素晴らしい。何という種の茶か、お聞きしてもよろしいでしょうか?」

 

感動し、思わずエバットに向けて尋ねたドロッペ。

エバットは彼の表情を見て、会心の笑みを浮かべて答えた。

 

「はい。それは地球の南アジア管区で採られた葉を加工した、

 ファイネスト・ティッピー・ゴールデン・フラワリー・オレンジペコという茶葉です。

 お出ししたものは特殊な保存方法で地球が爆撃される前に造られたものを長期保存し

 大切に保管していたものでした。」

 

ドロッペは茶の余韻を楽しみつつ、少し表情を曇らせた。

我が軍はこのような美味な茶葉を産する星を攻撃し、破壊しようとしていたのか……と。

 

「アッサム、セイロン、ダージリンなど、地球産の茶の品種は様々なものがありますが、

 往時の物を再び生産するには多大な時間と費用が掛かるでしょう。

 もし、貴国のご支援がいただけたならば、かかる時間の方は大きく短縮できるはずです。」

 

そんなドロッペの心中を察したかどうかは定かではないが、

エバットは商人さながらの巧みな口調でガミラス外交団へと語る。

外交団員たちも地球の茶葉の良さを感じ取ったようでその話には耳を澄まして聴いている。

ガミラスの帝国銀行副頭取であるエゼフ・ドルジなどは即座に融資に繋げようとするだろう。

 

「……わかりました……。本星の人間には、その旨しかと伝えておきましょう。」

 

ドロッペは、満足のうちにエバットに応じた。

地球の茶葉はガミラスの日の目を見、復興に大きなリーチをかけたようだった。

 

 

 

 

 

だがドロッペは表情を険しくして、次なる話題へ、

地球の素晴らしき茶に阻まれて言い出すことができずにいた彼らにとっての本題に移る。

彼は決してただの紅茶フリークではない。幾たびもの交渉を乗り越えてきた、

エバットにも決して劣らぬ強かな外交巧者でもあるのだ。

外交団長の変容ぶりに気付き、外交団も即座に臨戦態勢へと雰囲気を変えていく。

 

 

「……では、喉も潤させていただいたところで、我々から貴国の返答文書に対して

 我が外交団の意見を述べさせていただきたい。」

 

「……どうぞ。」

 

出鼻をくじかれたものの、外交に携わる者に相応しい冷静沈着さを纏わせた声で

本題へ切り込むドロッペ。エバットも、緩やかにしかし確実に構えてそれを迎え撃つ。

 

 

「……貴国の返答文書で、我がガミラスの謝罪と賠償を受け入れてくださること、

 相互に対等な立場での各種条約を締結することに同意してくださることについては

 こちらからは感謝の念を表す以外にありません。」

 

ドロッペが核心へと切り込むクッションとして、一言を差し入れる。

 

地球側交渉団の代表、エバットの眼光が鋭さを増す。

対峙する彼らが返答文書内で議題にしようとしてくる箇所は、

地球側にとって既に分かり切っているらしかった。

 

 

「……そして、我がガミラス国内の治安回復にヤマトを派遣し協力してくださること。

 ここに、貴国が本邦に対しお付けになられた条件について、真意をお聞かせ願いたい。」

 

ドロッペの放った言葉を境に、一気にガミラス外交団の雰囲気の温度が冷えていくように

エバットには思えた。が、彼は全く動じない。想定内であり、これ以上の難局は

彼の外交人生の中で何度も存在していた。

 

「……ヤマト派遣についての条件の、真意ですか。

 ……その条件とは、我が地球連邦の国防に対しての貴国への協力要請ですかな?」

 

「……それもあります。」

 

エバットは、()()()本題から少しずれたところに探りを打ってきた。

地球連邦のヤマト派遣への条件の一つは、ガミラス側も予期していたことだが

ヤマトの代替となる地球防衛のための宇宙戦力をガミラス国防軍に求めること。

具体的に言えば、一定数の艦隊戦力の派遣を条件に充てていた。

 

「貴国の国内から艦隊戦力を引き抜くことは相当の痛手であることは理解しております。

 しかし、地球からヤマトが離れることは本邦にとって貴国のそれと同等であることは

 ご理解願いたい。

 

 むろん、各種問題には対応策を打つ予定です。

 貴国の派遣艦隊への糧食補給は本邦側で負担させていただきます。

 消耗品や、部品などについては貴国から輸送していただくほかありませんが。」

 

エバットは何事もなさげに平然と上述の条件についての()()を語る。

 

交渉相手の老紳士の態度に痺れを切らしたのか、ドロッペはさらに深く問いただす。

 

 

「……貴国への艦隊派遣についてはこちらとしても用意があり、問題とはしておりません。

 派遣される「ヤマト」への万全な護衛と支援についても同様です。

 我々がお聞きしたいのは別の条項……

 

 

 『国内へ向け()()()()()()()()()()()()()()()()()()を内容とする布告を発表する事』

 

 についてです!!」

 

 

ドロッペははずみで、冷静の枷から外れ語気を強めてしまう。

地球側交渉団はそこから、同条件がいかにガミラス側にとって難しい条項かということと、

ガミラス側がヤマトの派遣とこの条項を天秤にかけていかに葛藤したかを悟った。

 

 

が、この男エバットは相手の心中を悟りつつたじろぐこともなく微笑する。

 

 

 

「……わかりました。

 では、その条件に関する地球連邦政府および防衛軍の意図をお話ししましょう。」

 

 

 

西暦2201年、3月10日の陽はいまだ空にあった____

 

 

 

 

 

 

 




始まったばかりでこの始末☆

なお作者は紅茶の味が一切わからない模様(反省)
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