明けましておめでとうございます。
今年もまた大変な年になりますがよろしくお願いいたします。
【第65話】
西暦2202年12月26日、太陽系第十一番惑星・炉王星空域。
荒野と氷海が広がる惑星の軌道上には、"大砲"に貫かれ
光を失いつつある人工太陽と、それを利用し未曾有の攻撃を実行せんとした
ガトランティス巨大艦隊が死んだように漂っている。
波動共鳴によって生じた強力なエネルギーで
機関や操艦系統が壊滅し、艦としての機能を失い
炉王星沖で漂流する多数のカラクルム級の合間をすり抜けて、
炉王星を発進した宇宙戦艦ヤマトは同惑星の重力圏から離脱していく。
その第一艦橋では幹部乗組員たちが、窓越しあるいは天井のモニターから、
無力化された膨大な数の敵艦を奇異の目で眺めていた。
「……凄まじい物量ですね、こいつは」
太田気象長が誰にともなしに呟く。全員の共通意見だ。
「だが、殆どは無人艦艇のようだ。
少数の有人艦から指令を受け、コントロールされていたんだろう。」
応じたのは、真田中佐の声だった。ヤマト副長と技術長を兼務する彼は、
波動砲発射の後・波動共鳴が一先ず落ち着いた頃に
炉王星から発進した無人偵察機による敵艦隊への観測調査の過程で、
無人機のセンサーによる敵艦外から生命反応の走査を行った結果、
250万を数えるカラクルム級大戦艦のうちほぼ全てが無人艦であり、
ごく少数の一部(それでも約250隻という数に達したが)が有人艦であると
確認されたという報告を受け取っていた。
航行するヤマトの上下左右を過ぎ去っていくカラクルム級艦内の生命反応を
スキャンした場合、まず無反応となることは確実だった。
「それなら、修理が行われていないように見えるのも納得がいきますね」
砲術長の南部中尉が発した言葉に、意外な人物が反応する。
「いや……それ以前に、どうもガトランティスという連中は
兵器を含めて"物を造る"、"修復する"という概念が希薄なようなんだ。
だからこそ、我がガミラスや被征服国家の技術者を"科学奴隷"として
利用している__というのが我が軍の見解だ。」
「壊すことはできても、生み出すこと・直すことができない種族か……」
ガミラス軍から連絡武官としてヤマトに派遣された、
クラウス・キーマン中尉の言を聞いて、ヤマト戦術長古代進大尉は唸る。
「……そうなると、"さっきの通信"を受け取ったとしても、
「
ヤマトの操縦桿を握る航海長・島大介大尉が言う。
彼の慎重な操縦により、ヤマトは無事に無数のカラクルム級が漂流し
互いに衝突しあっている危険空域を離脱することができた。
炉王星の重力圏外にヤマトが出たことで操艦に余裕が生まれたのか、
内心の疑問を口に出来たようだった。
「そう考えるのが妥当だろう。
ガトランティスが確保している"科学奴隷"にも限りがあるはずだ。
おそらく修理のために有人艦には乗せているにしても、
それも旗艦などさらに少数だろうな。あの膨大な数はおろか、
有人艦だけであっても全てを修理し、
応えたのはヤマトの艦長・土方竜大将だった。
これに真田副長も同意し、補足する。
「敵艦艇は、波動共鳴の影響を間近から受けています。
これは宇宙艦艇にとって長期のドック入りを強いられる損傷です。
設備も整っていないこの場で影響を受けた艦の機関や各種機器系統を
長距離の宇宙航行に耐え得るように修理するのは不可能です。
追撃を試みたところで殆どが途中で再度航行不能・爆沈するでしょう」
「ですが、本当に敵は「ヤマト」を追ってくるでしょうか?
長距離航行はできなくても、あくまで地球を狙うなら……」
不安を口にしたのは通信長・相原中尉。
"敵艦隊がヤマトを追ってくる"という仮定の根拠である"通信"を
受け持ったのは他ならぬ彼だった。
「ガトランティスは必ず「ヤマト」を追撃する。間違いない」
確固とした口調で断言したのはキーマンだった。
第一艦橋内の"異邦人"は冷静に続ける。
「連中の
おそらく、地球の大使館もそう判断して防衛軍に助言したのでしょう。」
最後の一言は、土方に視線を向けて発されたものだ。
言葉を向けられた土方も、沈黙しつつ首肯した。
事の起こりは、数時間前に遡る。
宇宙戦艦ヤマトは12月25日に地球の連邦防衛軍司令部から
事後の処理を炉王星基地や救援艦隊に任せ、
引き続きテレザートへの調査任務を続行するよう命じられ、
いよいよ炉王星を後にしようとしていたところだったが、
そこに防衛軍司令部からの追加命令が舞い込んだのである。
内容は、炉王星に出現した敵艦隊が態勢を建て直し再度地球への攻撃を
企図することを阻むため、「ヤマト」から敵艦隊に対し挑発するような
電文を送り敵の標的を変更させるように__というものだ。
命令には在地球のガミラス大使館からキーマン中尉へ、
ガトランティス将兵に対する有効な挑発表現を「ヤマト」へ
アドバイスするようにという加え書きまでもがあった。
当然、幹部乗組員からは反対があったが、
実際には敵のヤマト追跡が困難であること、
依然として漂流する敵艦隊の兵力は地球に対する脅威であることから
司令部の命令に従い、挑発電文が敵艦隊に打電されたのである。
結局、敵艦からの返電などはなく、「ヤマト」の乗組員らは
挑発の効果を知ることなく太陽系外へとワープしていった。
しかしガトランティス第八機動艦隊の提督、
メーザーは防衛軍司令部の思惑に見事に嵌まったのだった。
『ガトランティス艦隊へ告ぐ。地球連邦防衛軍・宇宙戦艦「ヤマト」は、
貴艦隊が既に戦闘能力を喪失したものと見なす。
本艦は貴艦隊との交戦の価値を認めず、本空域より離脱する。
貴艦隊も速やかに太陽系からの撤退を勧告する。』
「ふざけおってぇ……!!」
通信手が読み上げた「ヤマト」からの電文の内容に、
メーザーは怒髪天となり、顔中に青筋を浮かべながら叫んだ。
「科学奴隷に艦の修理を急がせよ!
修理が出来次第、ヤマトを追撃するのだ!
我ら第八機動艦隊をここまでコケにした艦、生かしてはおかん!!」
「ですがそれでは、大帝からの勅命に背くことに……」
ガトランティスの本星から行動不能になった第八機動艦隊に下された命令は、
将兵の自爆による全艦の自沈と、名誉なき敗死だ。
怒気のまま命令に背かんとするメーザーに対し、
士官が困惑気味に説得を試みるが、彼に対する返答は
提督が腰に提げた剣の一振だった。
血を噴きながら崩れる士官に一瞥もくれず、メーザーは熱弁する。
「我ら
彼奴は、「ヤマト」は、我々に戦う価値がないとほざきおった!
我らはいまだ生きているのにもかかわらず、だ!許せん!
「ヤマト」を追え!彼奴との戦いはまだ終わっていない!
たとえ命に背こうとも、
戦って、死ぬのだ!!」
中途半端な決着、本星からの敗北宣告、存在意義の否定と、
恥辱の極みを味あわされた怒りに我を忘れた司令官に気圧されながら、
科学奴隷を乗せた有人艦は修理を行い、科学奴隷のいない有人艦は
無理矢理機関を再起動させようとして暴走、爆発四散する。
手の施しようがない250万隻の無人艦はそのまま捨て置かれる。
すでに、眼下にある炉王星や本来の標的だった地球は、
第八機動艦隊の眼中から消え去っていた……。
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西暦2203年1月4日。
新年の祝賀ムードが一段落したこの日、地球連邦政府は全国民に対して
昨年末に太陽系最外縁の炉王星にガトランティス艦隊が来襲し、
現地防衛部隊がこれを撃退した事実を公表。
一方、国民の混乱を防ぐため100万隻規模の敵艦隊など詳細は伏せられた。
地球=ガミラス同盟軍と衝突を続けていたガトランティス軍が
地球勢力の本拠地である太陽系外縁まで迫ったという緊急事態に際し、
地球連邦大統領エイブラハム・ダグラスは地球全土に「戦時状態」を布告、
軍の大動員と、全産業・経済が国防計画に基づき統制されることを発表。
連邦議会では諸々の戦時特例法が滞りなく議決され、ガミラス大使館は
地球=ガミラス安全保障条約に基づく同盟関係を力強く喧伝した。
そして、翌5日。
極東管区近畿地区に置かれた大統領府ビルの大会議場に、
ダグラス大統領、アーサー・C・ペリー国防局長官、
ミハイル・スヴォーロフ資源生産局長官、メアリー・ピット物資配給局長官、
李興建国土開発局長官、チャールズ・C・エバット外務局長官など閣僚陣、
芹沢虎鉄防衛軍統括司令長官、デューイ・ジェファソン参謀本部総長、
パウロ・D・タナカ宇宙海軍艦隊司令長官、
プラヤー・パノムヨン地上軍司令官といった高級軍人が集結し、
政軍一体となった戦争指導会議が幕を開ける。
大統領を最上座にした細長く並べられたテーブルには、大統領の左手に
国防局長官を除く閣僚が、右手側に国防局長と軍人たちが着席していた。
「……先の大戦が終結してから3年。
地球人類はガトランティスという新たな脅威にさらされることとなった。
この戦争は、我が地球連邦、防衛軍の存在意義が問われるのみならず
今後の地球人類が星間国家として存続するための試金石になるだろう。
この国難を切り抜けるために、諸君らの力を貸してほしい。」
険しい表情をした大統領の挨拶から、会議は始まった。
「第一に、軍が策定した防衛計画について確認させていただきます。」
ここ連日で緻密な防衛計画を練り、軍の準備を支援するべく
激務をこなしていたためか疲労の色が滲むペリー国防長官が進行役となり、
昨年末の炉王星襲撃・ガトランティス巨大艦隊による地球砲撃未遂後に
新たに策定された地球連邦防衛軍の戦略構想について説明が始められた。
一番手として、軍人側の座列でペリー、芹沢に次いで大統領に近い席の
ジェファソンが立ち上がり大統領や閣僚を見渡して語りだした。
「では、新たに策定した戦略を既存のものと比較しつつ説明いたします。
こちらをご覧いただきたい。」
ジェファソンは大統領と正反対に位置するモニターに、太陽系を中心とした
銀河系オリオン腕内辺境宙域の宇宙図を映し出した。
「昨年半ば、ガミラス軍よりガトランティスが攻撃目標を銀河系方面へ
移しつつあるという情報を提供され策定した戦略では、
太陽系周辺宙域各地に展開したガミラス軍艦隊が、
地球へ向け来攻せるガトランティス艦隊迎撃の第一陣となり、
太陽系外での迎撃作戦の主力を担いました。この時地球軍は増援要請があれば
それに応じ無人艦隊を軸としてガミラス軍戦力を補完する想定であり、
万一太陽系内に敵が進攻した場合、温存していた波動砲艦隊で以て
敵侵攻戦力を撃破、あるいは遅滞を図り、マゼラン銀河方面からの
ガミラスの援軍が来るまで持久するというものが既存戦略の概要です。」
ジェファソンの言葉に対応し、仮想敵ガトランティスや同盟相手である
ガミラスの艦隊を示すアイコンなどが宇宙図に浮かび、太陽系を示す
地球連邦の国章アイコンに対しガトランティスの侵攻を示す矢印が展開、
ガミラス艦隊のアイコンも矢印を阻むように移動__と、説明を略図化。
宇宙図は最終的に、銀河系の局所図から大小マゼラン銀河が
映るようなロングショットになった。
それからモニターは新たな画面、実在の天体写真へ代わった。
「昨年12月2日のガス惑星ガミロニアⅧ基地の奪回作戦も、
この戦略に基づき実施されたものと言えます。
ところが同月24日、皆さんも御存知の事態が発生しました。
……この件について防衛軍参謀本部やガミラス軍内では、
先述したガミロニアⅧ基地が一時失陥したことで、
太陽系へ向かう敵艦隊に対する早期警戒網が弱体化しており
監視の穴が生じていた可能性、また、ガミロニアⅧでの戦闘で
相当の規模の敵艦隊を撃破したことで、敵戦力の減少から
ガトランティスの攻勢がしばらくの間ないと錯誤していたことが
早急な敵巨大艦隊の捕捉に失敗した可能性を考えております。」
参謀総長は表情を曇らせて防衛軍に警戒の緩みがあった可能性を語る。
対して、ダグラス大統領は渋い顔をして頷いた。
「だが、前例もなしにあんな大艦隊の存在を予期しろと言うのも
酷な話だっただろう。致し方ないと私は思う。」
ジェファソンは大統領の擁護に謝意を示しつつ話を続けた。
「新策定の防衛戦略を簡潔に申し上げると、
"太陽系への全戦力の結集と要塞化"であります。」
再び、モニターが切り替わる。
今度は、太陽系周辺だが、先程より狭い領域を映した宇宙図だ。
ガミラス軍艦隊を表すアイコンが太陽系の周辺に映り、
それら全てから移動を意味する矢印が太陽系へ伸びていく。
ここでジェファソンの隣に座っていた芹沢司令長官も立ち上がり、口を開く。
「既に、国防局と防衛軍司令部はガミラス大使館および
ガミラス国防軍の銀河系展開部隊司令部と協議を済ませており、
同部隊の隷下部隊全てを前線拠点から引き上げさせ、
太陽系に集結させる旨に同意を得ております。
即ち、現在銀河系に展開する地球・ガミラス軍の全戦力が
太陽系に集中されることとなり、密度の高い防衛陣の構築が期待できます。」
「周辺宙域各地から太陽系に向かっているガミラス軍部隊は、
前哨基地に配置されていた艦船修理・部品製造が可能な工作設備や
糧食供給用に我々が供与した食料再生システムOMCSなど、
物資自給のための諸装備を伴っているため、兵站上の負担は少ないかと。」
軍人たちの言葉を受けた閣僚からはおお、と唸るような声が上がった。
3年前の事実上の終戦まで、さんざん地球を苦しめたガミラス軍の大戦力が
今度は地球人類の味方として戦列に参加する事実に、
一定の安心感があったのだろう。
外務局長官で、かつての安保条約締結の立役者であるエバットも発言する。
「また、ガミラス側との協議で、銀河間通商航路を事実上閉鎖する代わりに
太陽系での調達困難な資源やガミラス軍の兵器・整備部品の製造機器、
その他ガミラス軍の長期活動に要する各種物資を
マゼラン銀河からの弾丸船団で太陽系へ送り込むこと、
地球連邦防衛軍への兵器など各種の技術供与の拡大が決定しております。」
閣僚らは顔を見合わせ、今後は軍需生産拡大・ガミラス技術導入が
輪をかけた勢いで進行していくことを悟る。
「……しかし、我が防衛軍の"波動砲艦隊"と"無人艦隊"に、
ガミラス軍の艦隊が加わったとしても、
今度はあの膨大なガトランティス艦隊と正面から対決せねば
ならないとなると……勝算はあるのかね?」
だが、ペリー国防長官は軍備の実情をよく把握しているためか、
暗い顔で芹沢に問い掛けた。
芹沢は視線を受けると、他の部局の長官たちの顔を見回しつつ言った。
「……"見込み"は、あります。
それを確実な"勝算"まで昇華させるため、連邦各部局におかれましては
一層の軍への協力、特に各産業の軍需・兵器調達源への転用に賛同願いたい。」
重々しく響く、力強い声。
室内の人間の視線が一気に芹沢に集中する。
信じ難い程の膨大な戦力を有するガトランティスを相手取る防衛戦争を
切り抜けられる手立てがある__彼の言葉に一様に驚きの目が向かった。
「……後程具体的に話を聞かせてもらおうか、セリザワ統括司令。」
「ハッ!!」
始めは状況に絶望的な思いを抱いていたダグラス大統領も、
芹沢の言葉に一縷の希望を見出だしたようだった。
そして、議題は現状の戦線についてへと移される。
ペリー国防長官が、芹沢とジェファソンを挟んだモニター側席についている
タナカ宇宙艦隊司令長官に告げた。
「では、現時点での防衛軍宇宙艦隊の活動状況を説明してくれたまえ。」
「現在、我が地球連邦防衛軍宇宙海軍の全艦隊は戦闘配備を完了しており、
太陽系各地で敵の来寇への警戒にあたっております!」
パウロ・D・タナカ大将は力強く答えた。
彼の言葉を聞いた芹沢は脳内に、太陽系内空間を往く地球艦隊の姿を思い描く。
"史実"よりも強大になった
彼女らこそ、来るガトランティスとの決戦の主役となるべき存在だった……
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急速に時は流れ、西暦2203年3月20日。
宇宙戦艦ヤマトは、伝説の惑星テレザートが位置する恒星系から
指呼の距離にまで迫りつつあった。
この空間へ進出するまでの約3ヶ月の間、
ヤマトは思いもよらない障害に遭遇し続けた。
第十一番惑星・炉王星を発ち太陽系をようやく脱したかと思えば、
テレザートの推定位置までの航路に存在する惑星シュトラバーゼから
地球・ガミラス半軍半民のアケーリアス遺跡調査団から救援要請が入り、
宇宙艦の修理を支援することになったのだが、途中地球側調査人員の
一人が行方をくらまし捜索した結果、同人物がガトランティスにより
改造・諜報員化されていたことが判明し乗組員らに緊張を走らせた。
また、古代宇宙文明遺跡に通じ看護術も有する調査団メンバーが
「ヤマト」の航海への同行を志願し、便乗させることに。
続いて、人への催眠効果があるばかりか波動エンジンに悪影響を与える
"宇宙蛍"が艦内に侵入するアクシデントが発生。
一時はあわやと言うところまで行ったが、キーマン中尉の協力により
難を逃れることに成功した。
その後、テレザートから
テレザートの置かれた状況の情報が「ヤマト」にもたらされたのだが、
程なくガトランティス艦隊と思われる敵の急襲を受け、ワープしたところ
波動機関を暴走させる特性を持つ異空間に転移してしまい、
待ち伏せていた敵の猛攻を受ける。
空間内に存在した古代星間文明の遺跡らしき円筒状構造物に
逃れこんだ「ヤマト」は再度ワープを実施し辛くも窮地を凌いだ。
さらに、地球の防衛軍司令部から敵の拠点と思われる
白色彗星(当初はクェーサーと思われていた)への
接近・強行偵察を命じられたが、逆に白色彗星がワープによって
「ヤマト」の眼前へ出現、超重力で艦を引きずり込み破壊せんとしてきた。
この事態の中で便乗させた調査団員・桂木透子が敵のスパイと判明し拘束。
「ヤマト」はどういうわけか攻撃が停止された隙を衝いて
白色彗星からの脱出に成功する。
同時に、彗星内部に炉王星沖に出現したものを上回る規模の敵艦隊の繋留在泊、
複数の惑星級天体の存在を確認し、地球への情報伝達を実施。
こうして白色彗星は帝星ガトランティスの本拠地と断定された……
2199年時の航海に勝るとも劣らない苦難を乗り越えつつ、
宇宙戦艦ヤマトは目的地である惑星テレザート、
伝説の女神テレサの元に到達しようとしていた。
同艦第一艦橋では、主だった面々が勢揃いし艦長・土方竜へ目を向けている。
土方も視線に応えるように各位の顔を見渡すと、全艦への訓示を始めた。
「宇宙戦艦「ヤマト」艦長、土方より全艦に達する。
これより本艦は目的地・テレザート星の所在星系に進入する。
迎撃に出たガトランティス艦隊との遭遇・交戦が予期されるため、
総員に宇宙服の着用を命ずる。」
土方はそこで言葉を切り、力を込めて次句を継いだ。
「全艦、戦闘配備!!」
艦内にブザーが鳴り響き、乗組員たちは弾かれたように一斉に動き出す。
「ヤマト」そのものも増速し、艦尾ノズルの噴射炎は長く曳かれている。
船足を上げたことによる微かな振動は、すぐ艦橋内にも伝わってきた。
土方も揺れを感じ取りながら、鋭い眼光を遥か前へ___
目指すべき星テレザートと、それを阻む敵艦隊へと向けるのだった。