宇宙戦艦ヤマト2202 If 猛虎咆哮す   作:モアンゴル

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第七十話 新局面への潮流

 

【第70話】

 

 

デスラー、キーマン、古代・真田・斎藤らヤマトクルーの三者を三様に乗せて

飛行していたガミラス内火艇は宇宙戦艦「ヤマト」を取り囲むように

展開するガミラス艦隊の旗艦たるゲルバデス級には戻らず、

《テレザリアム》のある島を挟んだ反対側の海域上空に展開していた

別のガミラス艦隊へと向かう。

 

その中央には、巨大な青い戦艦が陣取っている。

鋭角的なシルエットで700mを上回る全長の巨艦の舳先には、

ガミラスの科学力の象徴ともいえる物質転送機が2基と、

ガミラス式波動砲(ゲシュ=ダール・バム)ことデスラー砲の巨大な砲口が備えられている。

 

やがて、内火艇はデスラー総統の旗艦であろう巨大戦艦の甲板に降り、

"女神"テレサの姿を見た者たちを艦内へと歩ませた。

 

 

デスラー総統によって案内されたのは、巨大戦艦の艦橋だった。

どうにもこの戦艦の大半はガトランティスによって建造されたらしく、

ガミラス式の艦隊旗艦によくある会議場は全くもって整備されておらず、

ガミラスで建造されたらしい全長250mのコアシップを巨大戦艦たらしめる

ガトランティス製外殻ユニットは純然な武装の塊と言って良かった。

よって居住性はコアシップにほぼ依存しており、必然的に自動化がなされ

乗員はほとんどがガミロイドとなっている。

コアシップはデスラー総統と数少ない同乗者の私的空間でもあったため

必然的に来客は艦橋へ迎えられることになっていた。

 

デスラー総統は、巨大なガミラスの国章が描かれた壁が背後に聳える

金色の玉座に腰を降ろし、4名の来客は玉座のある壇から数段降りた場所に

ガミロイドが置いた、客用の椅子に腰かけることに。

 

デスラーの玉座の傍らには、緑色のガミラス式正装、即ち軍服を着た

青肌の初老の男が立っている。細い口髭が特徴的で、華奢な体格な

頭脳労働に優れた風貌の、文官のようにも見える人物だが

垂れ目がちな細い目に宿る眼光は隣のデスラーにも劣らないものがあった。

 

「彼はヴェルテ・タラン。

 我が忠臣にして、友だ。」

 

デスラーが軽く紹介すると、タランと呼ばれたその男は恭しく礼をする。

 

「……では、始めようか」

 

名実ともに、この場の支配者となっているアベルト・デスラー総統は

愉快そうに眼前の"甥"と地球人たちを見渡し、口を開いた。

 

 

 

「まず、諸君の疑問に答えよう。

 わたしは、アベルト・デスラーだ。真偽などについての解釈は任せよう」

 

「「「……。」」」

 

着座した古代も、真田も、斎藤も、完全にデスラーに気圧されていた。

しかし、3年前の航海時に一度、艦内に侵入した(公的には偽物の)デスラーと

対面している古代は、眼前の男があの時の()()と同一人物であること、

彼こそが()()のデスラー総統に違いないことを察していた。

 

本来なら彼はガミラスを拡張主義へと導き、長きに渡る戦火を

地球にもたらした元凶で、兄をはじめとした肉親たちの、地球人の仇敵だ。

真田も斎藤も、おそらく同じことを思っているに違いないが、

それでも銃を向けることができないのは、警備のガミロイドの監視以前に

玉座に着くガミラス人が放つ、死をも厭わないような異様な雰囲気に

原因があると言えた。

 

 

「デスラー総統!」

 

重苦しい空気の中で、在地球ガミラス大使館付武官にして、

「ヤマト」への連絡士官兼オブザーバーとして同乗していた

クラウス・キーマン、デスラー総統から"甥"と呼ばれた男が立ち上がった。

 

「……私を、ランハルト・デスラーとお呼びになった理由をお教え願いたい。」

 

黄金色の髪色のガミラス人同士が鋭い視線を向けあう。

 

「フム……。

 父君と母君の面影をよく残している、では不満か?」

 

「……母は苦しい生活の中で死んだ。」

 

二人のデスラーの表情が、にわかに曇る。

だがキーマンはすぐに、驚きや奇異、警戒のこもった目線を向ける

「ヤマト」クルーへと顔を向け直し、高らかに告げた。

 

「……確かに、私はマティウス・デスラーとエリザ・デスラーの子、

 ランハルト・デスラーだ。

 

 その上で問おう。惑星ガミラスがじきに滅ぶというのは事実か?」

 

「「「!?」」」

 

キーマン、否、ランハルトが叔父へ告げた内容に驚く地球人たち。

対して、アベルト・デスラーは目を細め、険しい表情を浮かべる。

 

「外宇宙勤務が長くなると肌身でわかる……。

 我々生粋のガミラス人は、ガミラス星を離れて長くは生きられない。

 だからこそ、母星と同じ環境を持つ星を見つけるか、

 あるいは人工的に作り出し、すべてのガミラス人を移住させる。

 そんな途方もない計画を実現するため、貴方は拡大主義を掲げ、

 外宇宙に条件に合う星を見出そうとした!」

 

口調は熱がこもり、鋭くなっていく。

「ヤマト」クルーたちも、彼の言葉の中に思う節があったことに気付く。

 

「そうか、だから地球を……!」

 

真田が呻くように呟く。

ガミラスが遥か銀河系に進出してまで地球を求めた理由が、

ここに判明したのだ。

 

「……その通りだ。

 ならば、わたしがテレザート(ここ)に来た理由も察しがつこう。」

 

総統は威厳に満ちた声で甥の言葉に応じる。

それを受けて、臨席する古代大尉も考えを巡らせた。

 

(……テレサは個人の願いを叶えるような存在ではないことは、

 デスラー総統も知っている筈だ。

 とすれば、どうやってガミラス星の問題解決に繋げるつもりだ……?)

 

先に答えとなりそうなものに辿り着いたのは、ランハルト(キーマン)だった。

 

「テレサを、テレザート星そのものを

 ガトランティスとの交渉材料とするお考えですか。」

 

彼の言葉に、ヤマト乗員の3人が目を剥く。

ガトランティスの守備部隊を退けた「ヤマト」さえ排除か、

無力化してしまえば、デスラー艦隊がテレザートを実質的に制圧できる。

一時の間ガトランティスに身を寄せていたデスラーであれば、

一旦は「ヤマト」が解放したテレザートをガトランティスへ返還する

交渉を行うという考えを持っていてもおかしくはない。

 

テレサから明かされた情報では、

ガトランティスは技術開発力こそ持たない戦闘種族であるが、

他文明から拐った"科学奴隷"を使役しており科学力は決して侮れない。

ガミラス民族の救済のために、

デスラーが求めている技術を有しているかもしれないのだ___

 

 

ところが、デスラーからの回答は意外なものだった。

 

「……確かに、一度はそれを考えていた。

 だが、考えを改めたのだよ、ランハルト。」

 

予想外の答えに目を丸くするランハルト(キーマン)

彼の叔父は、その理由をぽつぽつと語った。

 

「ガトランティスが交渉に応じる、内容を履行するといった点は別にして、

 そもそも我々の手でテレザートを掌握するというのが困難、

 いや、不可能というのが実情というものだ。」

 

怪訝そうな表情を浮かべる一同に対し、

デスラーは視線を艦橋の外、《テレザリアム》のある島へとやり、続けた。

 

「……伝説の女神、テレサ。

 高次元に住まうというその存在の力の一端は、既に諸君らも

 目の当たりにしたのではないかね?」

 

その言葉に触発され、古代らは《テレザリアム》で体験した事象や、

これまでにテレザートから遠く地球圏まで通信波を及ぼしたことなど、

テレサの"御業"を思い返してみる。

 

「言ってしまえば、テレザート星を巡るあれこれは全て、茶番なのだ。

 諸君も、ガトランティスも、私でさえ、テレサの掌の上で

 弄ばれているだけに過ぎない。」

 

デスラーは表情をいささか険しくして言った。

テレサは、その気になれば自力でガトランティスの艦隊も、

封印岩盤さえも排除できたに違いない。

元より、ガトランティスに星を発見さえさせなかったかもしれない。

にも拘らず、わざわざその手に落ち、「ヤマト」を呼び寄せたのか。

その理由は恐らく、()()にとって望ましい何らかの未来に

世界を導くために介入を行うためだったのだろう___と、

彼は結論付けた。

 

「……そして『ヤマト』がこの星にたどり着き、

 君たちがテレサからの"啓示"を受けた現状、

 テレザートがこの宇宙に存在し続ける意味合いは薄いだろう。

 今この時にさえ、この星はテレサの手で消え失せるかもしれん。

 

 ……とすれば、テレザート星を手土産にガトランティスと交渉などという

 計画は到底成立しえないことに思い至ったのだ。」

 

これで、ランハルト(キーマン)の問いに対する説明は終わる。

しかし同時に、それでは何故デスラーがテレザートに訪れたのか、

という疑問へ再び戻ってきてしまう。

アベルト・デスラーはようやくその目的・真意を語りだした。

 

 

「わたしがこの星に来た理由は、最初に言ったとおりだ。

 ___君たちと、()をするためだよ。」

 

「……我々と、ですか。」

 

真田が、デスラー総統の真意を探るように呟いた。

 

「左様。

 君たちが受けた、テレサの啓示の内容はどういうものだったかね?」

 

「……大いなる『和』、「縁」の力が、

 滅びの方舟……白色彗星を止める、と言われました。」

 

デスラーからの質問に、

古代大尉が啓示の意味についての解釈に苦しみながら答える。

抽象的な言葉のため、翻訳機を通じてガミラス言語に

上手く変換されているか、との不安もあったようだが、

幸いにもデスラー総統は言葉のニュアンスを掴めたようだった。

 

「……人物や事象、異物同士を繋げる関係性といったところか。

 テレサは、それがガトランティスを倒す武器になると告げたのだな?」

 

「デスラー総統、貴方は……我々がガトランティスを打倒するのを

 助力してくださるんですか?」

 

「……アンタ、ガトランティスに命を救われたんだろう……?」

 

デスラーの言動に不審を感じ、真田と斎藤が言う。

ガミラスの総統は、それに何でもないかのように返答した。

 

「確かに漂流していたところを彼らに救助された恩はある。

 だが、その義理は彼らの手駒として『ヤマト』に挑んだことで

 果たしたと思っている。

 それに彼らは、大ガミラスの総統をいいように使おうとしていた。

 デスラー家の、いや、ガミラスの人間は受けた屈辱を忘れはしない……」

 

答えの後半は暗い笑みを伴っていたが、それを打ち消して彼は続ける。

 

「どの道ガトランティスの持つ技術を得ようとするのであれば、

 交渉するよりも彼らを打ち破り、戦利品として得た方が確実なのだよ。

 元来、ガミラスはあの蛮族たちに悩まされてきたのだ、

 いつかは決着をつけねばならん。

 

 ……何より、我が国の()()が脅かされている以上、

 その軍に協力するのは当然のことではないかね?」

 

不敵な微笑を浮かべるデスラー総統に、面々は閉口してしまった。

そんな中、「あぁ、そうだ」と何か思い出したように青肌の貴人は言う。

彼の視線は、甥へと注がれた。

 

「ランハルトよ、厳密に言うならばお前もまた『ヤマト』の中の異分子だ。

 ならばテレサの言う「縁」とやらが、お前と『ヤマト』の間にも

 あるのではないか?」

 

「……ッ!」

 

その言葉に、もう一人のデスラーは硬直して冷や汗を浮かべる。

彼に対し、"叔父上"は追撃とばかりに口を開いた。

 

「……思い当たる節があるのだろう?()()()()()()()()()()。」

 

敢えて呼び方を変えたデスラー総統。

それを受けて、キーマン(ランハルト)は観念したかのように俯いた。

 

「……何もかもお見通しのようですね、叔父上。」

 

「わたしから何もかも明かすような無粋な真似はしない。

 お前の口から、彼らに説明するのだ。」

 

意味深な言葉を交わす二人のデスラーに、『ヤマト』クルーはついて行けない。

かろうじて古代が、隣にいるキーマンへ言葉を絞り出した。

 

「キーマン中尉、一体どういうことだ……?」

 

「……今から説明する。」

 

キーマン中尉は古代、真田、斎藤のそれぞれと視線を交わすと、

意を決して自らの()()()()を明かしはじめた………

 

 

 

_____________________________________

 

 

 

ほぼ同時刻。

テレザート星から遠く離れた太陽系の第三惑星・地球。

紺碧の太平洋に浮かぶグアム島に置かれた、共和政ガミラスの在地球(テロン)大使館。

その一室において、テーブルを挟みソファに着いた男たちが向かい合っていた。

 

片方のソファには、同大使館の主ともいえる、

共和政ガミラスの遣地球(テロン)特命全権大使メフィルス・ミューラーが

大使館付きの駐在武官を束ねるクライクァルス・ノルティオ大佐と共に着き、

反対側には赤毛の髪と顎髭が特徴的な、ローレン・バレル参事官が着席。

彼らの周囲、部屋の出入り口には武装したガミロイドが立哨している。

大使館の主だった面子たる3人は共に、テーブルの隣に置かれている

ホログラム通信機で呼び出された人物へ視線を向けている。

 

「……まさか貴方に梯子を外されるとは思ってもいませんでしたよ」

 

バレルが疲れたように嘆息した。

それを受けて、通信機の向こうの人物もまた苦々しげに返した。

 

『仕方あるまい、彼らの方が一枚も二枚も上手だったのだ。』

 

ホログラムに映る老爺は、グルス・デリュゲ保安情報局局長。

バレル(及びキーマン)に、旧親衛隊が母体のデスラー総統を信奉する

反体制分子の摘発を命じた張本人である。

 

彼は現在、摘発を狙っていた旧親衛隊勢力が取り込まれた秘密組織、

「救国軍事会議」によって半ば拘束状態にあった。

彼だけではない。

ガミラス内務省における彼の直接の上司である共和政ガミラスの首相、

レドフ・ヒスも同じ組織からの接触を受けており、

同国の内務省保安情報局は実質的に機能を停止させられていた。

 

 

「……まったく、旧デスラー親衛隊に加えて、

 国防軍の参謀本部がほぼ丸ごと寝返ったとあっては

 我々が勝てるわけがありませんな」

 

バレルは遠い目をして言った。

現在の彼は、ガミラス大使館に参事官の身分で潜入していた

保安情報局の捜査官であることが露見したため、拘留の身である。

 

「やれやれ、"寝返った"とは心外ですな。

 我々『救国軍事会議』はガミラスの未来を想ってこそ、行動しています」

 

ノルティオ大佐が苦笑しつつ応じる。

彼もまた、かつてガミラス国防軍の参謀本部に籍を置いており

その時の伝手から組織のメンバーに招かれ、ガミラスの同盟国・地球(テロン)での

組織の活動を監督する立場に収まっていたのである。

バレルはノルティオに何とも言えない視線を送るが、ミューラーが言い添えた。

 

「……まぁ、そう渋い顔をなさらないでください、()()()

 私も先ほど知らされたばかりでしてね。」

 

ミューラー大使もノルティオから、"ガミラス星と民族の秘密"と

この危難に立ち向かうため創られた組織『救国軍事会議』について知らされ、

バレル拘束のために協力を求められてこれに応じたのだ。

 

「……しかし、後学のために教えていただきたい。

 どうして私とキーマンが保安情報局の手の者だと確信なさったんです?」

 

「……。」

 

バレルがノルティオに尋ねるが、流石に口が堅く答えるそぶりを見せない。

その中で、デリュゲを映していたホログラム通信が切り換えられ、

全く異質な声が部屋に聞こえ始める。どうやら、変声機を通したもののようだ。

 

『賢明な判断だと思います、ノルティオ大佐。

 ですが、そのくらいは明かしても構わないと思いますよ』

 

「……ケス中将。」

 

声の主はゴロラー・ケス元親衛隊中将。

かつて親衛隊の離反勢力を率いていたが、『救国軍事会議』の一員に迎えられ

親衛隊艦隊戦力の引き渡しを拒んだ配下の将校たちを毒殺したこともある。

組織の長で、組織母体である参謀本部を仕切るネルン・キーリングに次いで

発言権を持っている。

彼の言葉に促され、ノルティオはバレルら保安情報局の活動が露見し

彼らが拘束されるに至った経緯を語りだした。

 

 

「……平たく言えば、()()()()ですよ。

 この星(テロン)の協力者から、ガミラス大使館のバレル参事官と

 大使館付き武官のクラウス・キーマン中尉は保安情報局の者だ、と

 情報をいただいたんです。」

 

地球(テロン)側から……!?」

 

意外な情報の出所に、驚きの表情を見せるバレル。

 

「えぇ。……本来ならば、信頼性に欠ける偽情報などと切り捨てる所ですが

 その協力者は、"クラウス・キーマン"と名指ししました。

 協力者には、彼が我々の計画における重要人物になっていたことは

 一切話していないにも拘わらず。」

 

元来、救国軍事会議の計画はデスラー総統を悲劇の英雄と視する世論を利用し

クラウス・キーマンことランハルト・デスラーを後継者として担ぎ上げ、

武力蜂起と共に政権を掌握することにあった。

万一、計画の要であるランハルトが民主政府側の密偵だった場合は

計画の全てが瓦解する。

 

その危険性に考えが至ったのと同時期に、

銀河系に派遣していた、組織の息がかかった探査部隊が、

生きていたアベルト・デスラー総統と合流したため、

ランハルト・デスラーの必要性が薄れ、

武力蜂起を前倒し・標的を首相官邸と内務省情報部門のみに絞るなど

規模を縮小して実施することが決まったのだ。

 

「そして今、内務省保安情報局で拘禁されたデリュゲ局長に尋問を行い

 参事官、ひいてはランハルト様が、保安情報局の人間であることを

 確認した、という訳です。」

 

「なるほど……」

 

説明が終わり、臨席していたミューラーが感心したような声を上げた。

対して、バレルはがっくりと肩を落としている。

 

(……すまん、クラウス。

 大魚を釣り上げるどころか、逆に水の中に引きずり込まれちまった……)

 

彼の心中を知ってか知らずか、ノルティオは言った。

 

「ご安心を、バレル参事官。

 貴方に危害を加えようなどというつもりはありません。

 ただ、情勢が落ち着くまでは我が組織の監視下に入っていただきます。

 我々の計画も多少の変更がありまして、もはや民主政府の転覆などを

 行うことにはならないでしょうからね……」

 

 

 

___そこまで聞いて、その男は通信回線を閉じた。

 

彼がいる場所は、大マゼラン銀河のどこかである。

そこで、今後の組織の展望について考えを巡らせていた。

 

ノルティオ大佐が言ったとおり、もはや民主政府を倒す必要はない。

首相のヒスにも"ガミラスの危機"を明かし、協力の確約をさせた以上は

すでにガミラスの政権は乗っ取ったも同然である。

後は『あのお方』をお迎えし、そのカリスマ性で以ってガミラス民族を

滅びゆく星から移住させるのだ。

 

問題は、その移住先をどう確保するか、どうやって移住させるか、だ。

カギを握るのは遥遠の盟邦・地球(テロン)

ガミラスの民を移住させるに足る宇宙船を建造しうる工業力を有し、

移住先となる惑星の情報や移住候補を広げるための技術を持つと

目される仇敵・ガトランティスの標的となっている星だ。

 

彼らが災禍(ガトランティス)を上手く撃破できれば、光明が見えるのだが……

 

 

眩暈がしてくるほど、あまりにか細い希望の糸だ。

それでも、屍山血河を築きながらもなお、ここまで繋いできた。

全ては祖国と、忠誠を誓ったただ一人のために。

そう。

 

「忠誠こそ、我が命。」

 

 

手に取ったティーカップの水面に、右目から頬へ走る傷跡が映る。

旧デスラー親衛隊中将にして『救国軍事会議』最高幹部、ゴロラー・ケス。

 

その正体は、旧デスラー親衛隊長官、ハイドム・ギムレーその人であった。

 

 





長らくお待たせいたしました。

粗があるかもしれないので修正するかもしれませんが、
どうかご容赦ください……

3199開始前にはどうにか完結までこぎつけたいのですが、
この投稿ペースじゃあ……ムリダナ(・×・)
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