【第72話】
その
艦にマーキングされた
いわゆる"目玉"をはじめとしたパーツ群、意匠、
そして何より国防軍指定の濃緑色の艦体色からガミラス軍の宇宙戦艦と判る。
だが、全体のシルエットは既存のガミラス軍艦とはかけ離れており、
寧ろその同盟国である
尤も、同国の新造艦の設計はガミラス軍のガイデロール級の系譜に連なるため、
ある意味では
時に、西暦2203年4月5日のことである。
太陽系第五惑星・木星。
ガミラス側では同星系最大のガス惑星を「ズピスト」と呼称している。
イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストと複数の大型衛星天体を有し、
それらの表面や重力圏には、ガトランティスの太陽系進攻開始に伴って
地球=ガミラス同盟が太陽系周辺宙域の放棄・防衛線の同星系までの
大幅縮小を決定したことで後退してきた、銀河系オリオン腕宙域各地に
設営されていたガミラス軍前線哨戒基地の移動工廠、弾薬等補給廠、
その他基地設備が移設され、衛星表面・周辺空域は同軍の仮設泊地と化していた。
そうした仮設泊地が置かれた衛星の一つであるガニメデの沖、
ガミラス宇宙艦隊の主力艦である、鮫を思わせる紡錘形に近いフォルムの
航宙装甲艦の群れの中にその"艦"の姿はあった。
1隻ではない。
宇宙戦艦一個戦隊の定数である4隻がその場に存在している。
まるで、いや、まさしく、
ガミラス版アンドロメダ級宇宙戦艦と言うべきその艦は、
正式名称を『ランダルミーデ級一等航宙戦艦』という。
同級戦艦群は、2202年8月に地球連邦防衛軍が新型戦艦「アンドロメダ」を
就役させたことに触発されたガミラス兵器開発局が開発を推進、
地球側からも設計データ提供・一部ライセンス生産を承諾するなどの
支援を受け、ガミラスに貸与された時間断層工廠ステーションで建造された。
船体規模は(この世界線における)アンドロメダ級の約500mと同等だが、
各所の艤装のサイズや配置などはガミラス基準のものに改められている。
尤も、地球側の新造艦もガミラス軍との共同を視野に入れており
元からかなりの互換性が確保されているため、さほどの修正は不要だった。
兵装も大部分はアンドロメダ級の配置を踏襲しているが、
ガミラスが開発した兵器に加えて地球側の技術を取り入れたり、
ライセンス生産した武装が搭載兵器の大半を占めている。
艦橋構造物を境に上部前後甲板に2基ずつ、計4基搭載された
砲身付きの三連装主砲は、第14空間機甲軍団旗艦「ツェルベロク」が属する
改ゼルグート級と同じ、実弾発射も可能な490mm陽電子カノン砲塔である。
アンドロメダ級の改良型であるアポロ型戦艦と同様の配置で艦橋の左右に
各5基・合計10基装備されているのは地球側からライセンス生産を取り付けた
5インチ両用速射連装
重力子スプレッド発射機も、地球側の技術開示を受け同級戦艦に装備されていた。
また、ランダルミーデ級が有砲身型を艦上各部に、
隠蔽格納式を船体舷側のバルジなど各所に近接防空火器として設置している
陽電子速射砲塔は、地球側のパルスレーザー対空砲技術を取り込んで
口径を40mmに大型化し出力も強化した改良版となっている。
元設計となった地球の「アンドロメダ」との最大の差違となったのは、
やはり
ランダルミーデ級の艦首に存在する、連装波動砲口に相当する箇所には
一つの砲口につき
アンドロメダ級では波動砲の機構が置かれている空間は
置き換わっている。
当然、これはガミラス(及び地球)側の政治的事情を考慮したものではあるが、
艦首発射管から発射可能な
宇宙戦艦「ヤマト」をも撃沈の危機に追い込んだ、
あのガミラシウム弾頭を装備する大型宇宙魚雷も入っており
火力面で言えば決して波動砲に引けを取るものではない。
艦首以外の艦体各所に配された多数の
絶大な宙雷兵装を誇っていると言えるだろう。
当然ながら
装備しているため、優秀な装甲船体設計と併せて防御力も高い。
高い信頼性を誇る戦艦用大型波動機関は充分な加速力・機動力を与えるし、
対宙索敵レーダー・射撃システムは改良を何度も加えられ確たる実績を有する。
サイズでも、実戦闘力でも、改ゼルグート級にひけをとらない本級は
"一等"の称に相応しい宇宙戦艦であると言えた。
そんなランダルミーデ級は、ネームシップである一番艦「ランダルミーデ」、
二番艦「デルス・ガードラ」、三番艦「ゼイラギオン」、
そして四番艦「バーゲルストⅡ世」の4隻で一個戦艦戦隊を編成している。
将旗は最新鋭の四番艦に掲げられており、指揮官は……言うまでもない。
「全艦、発進準備を急げ!
そろそろ
かつての乗艦の名を冠したランダルミーデ級の艦橋で、
戦隊司令官フォムト・バーガー准将が声を張り上げ激励する。
その横では、前と同じく「バーゲルスト」を預かることになった
旗艦艦長エルート・リデム中佐が立っていた。
「閣下、"対戦相手"から通信が入ってきてますぜ」
現在、ランダルミーデ級戦艦の戦隊は、
ガミロニアⅧ海戦で初投入されたデストリア級やケルカピア級の設計を
転用した無人巡洋艦48隻で編成された無人装甲戦隊二個、
クリピテラ級を改設計した無人駆逐艦48隻から成る無人宙雷大隊一個と共に
機甲旅団級戦力集団「バーガー戦闘団」を構成している。
同集団の司令官もまた、バーガーが兼任していた。
この部隊も戦艦戦隊も、地球の時間断層工廠で建造された新造艦と
マゼラン銀河からの弾丸船団で太陽系に来着した将兵たちで編成されており、
開隊してから日が浅い。
そのためバーガー戦闘団__特に戦闘団唯一の有人戦力である
ランダルミーデ級戦艦戦隊は一刻も早く完熟訓練を完了させ、
同級の絶大な戦闘力をソフトウェアの面から
また、司令官であるバーガー准将にしても無人艦戦隊の運用は初であるため
作戦における実践的な運用法を確立しなければならなかった。
必然的に、新編されたバーガー戦闘団は完熟訓練に明け暮れることになり、
3月29日にランダルミーデ級各艦に乗艦し、正式に戦闘団が編成されて以降
連日操艦・運用・戦闘などの各種訓練を繰り返していたのである。
幸い、艦側の運用ソフトウェア・プログラムが他のガミラス艦のものと
共通していたこと、バーガーが連れてきた将兵が歴戦の精兵揃いなことも
手伝って、ランダルミーデ級の戦力化は驚異的な速さで進んでいる。
そしてこの日、バーガー戦闘団は初めて実際の艦隊を相手取り
艦隊戦演習を行うこととなった。
演習相手となるのは、バーガー戦闘団同様に無人艦部隊で増強されている、
ガミラス国防軍銀河機甲軍・第14空間機甲軍団所属の第1空間旅団だ。
同旅団は銀河機甲軍の予備戦力とされ、銀河系オリオン腕のガミラス勢力圏内で
運行される重要輸送船団などの護衛などを主任務として想定されていたが、
太陽系死守・対ガトランティス迎撃作戦のために他部隊同様召集され、
元からの戦力である一個装甲大隊、一個宙雷戦隊、一個航空戦隊に加え、
二個無人装甲戦隊、一個無人宙雷大隊が隷下に収まっており、
空間師団に匹敵する戦力を擁する。
第1空間旅団の指揮官はギュンテル・クライツェ少将。
彼は銀河機甲軍の一員としてオリオン腕に着任した際には准将だったが、
元来の艦隊に匹敵する数の無人艦隊を指揮することになり昇進していた。
宙雷戦の名手で、攻防両方に強いと航宙艦隊司令部から評される良将だ。
……だが、それ以前にバーガーにとっては重要なことがあった。
「……クライツェの兄貴、か……。分かった、回線を繋げてくれ」
それは、七色星団海戦で戦死した第六空間機甲師団艦隊における僚友、
カリス・クライツェ大佐(死後二階級特進)の実の兄であるということだ。
『ヤマト』との対決の中で消えていった、亡き長身の友を思い出しつつ
バーガーは通信に応じるよう命じた。
『……調子はいかがかな、バーガー准将』
そして映し出されたのは、弟同様の大柄な体躯と、細い目をした壮年。
顔の口髭が、武骨な印象に瀟洒なアクセントを加えている。
「こちらは上々です、クライツェ少将殿」
バーガーからしては、顔を合わせるのはこれが初めてではない。
戦闘団及び戦艦戦隊司令官として着任した際、他の将軍たちに挨拶しているし
演習計画についても議論を交わしている。
だが、いまだにこうして一個人として語らってはいない。
緊張の汗がバーガーの顔に浮かんだ。
『そう強張らないでくれ、准将。
……確かに私と
あいつは軍務を果たして、立派に死んでいった。
……それに君のことも、
画面の向こうのバーガーの緊張を察したのか、
クライツェ少将は面持ちを綻ばせて気遣うように言った。
気遣わせてしまったことを申し訳なく思いつつ、バーガーも応える。
「ありがとうございます、少将殿。
(……あいつが、俺をそんなふうに……)」
内心では、亡き年長の友が自分を高く買っていたことを驚いているバーガー。
何はともあれ、クライツェ少将とは良好な関係を築けそうだ、と
安堵の感情も浮かんだ。
そんな時、リデム艦長から「出港準備完了」の耳打ちを受ける。
モニター越しにクライツェ少将もそれを見ており、バーガーに告げた。
『……では、演習空域で待っている。
お手柔らかに頼むよ、"狼の後継者"』
「ハッ!胸をお借りいたします!」
互いに右手を垂直に掲げる敬礼を交わし、通信は終わった。
モニターから演習相手の姿が消えると、バーガーは声高に発令する。
「よし!全艦、発進せよ!」
その言葉と共に、戦闘団旗艦「バーゲルストⅡ世」を先頭にして
ランダルミーデ級戦艦群、無人巡洋艦・駆逐艦が次々と仮泊地を後にした。
旗艦の加速による振動を身体で感じつつ、バーガーは実感する。
(こいつは久々に、でっかい戦争になりそうだ)
__そんな主の思惑を乗せながら、
新たなる「バーゲルスト」は漆黒の宇宙を驀進していくのだった……。
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……バーガーの予感した「でっかい戦争」は、程なくして勃発の兆しを見せる。
西暦2203年4月15日。
地球連邦政府および防衛軍の上層部からなる戦争指導会議は
敵である帝星ガトランティスが太陽系侵攻戦力の再編を完了したことを予測し、
銀河間航路の完全閉鎖をガミラス側に伝達。
また、多数のワープ阻害・強制ワープアウト装置の網からなる迎撃線を
太陽系最外縁部から冥王星軌道・海王星軌道の中間宙域に移設・後退させた。
こうして、太陽系は外宇宙からの来航者を完全にシャットアウト、
地球人類及び共和政ガミラスの天の川銀河派遣部隊は籠城状態に移行する。
それから数日後、4月21日。
空母・巡洋艦・駆逐艦の合計64隻からなるガトランティス先遣艦隊が
冥王星近傍の強制ワープアウト設定宙域に出現し、
待ち構えていた地球連邦防衛宇宙海軍の第九艦隊と
ガミラス国防軍第164空間師団の分派戦闘団によって捕捉・殲滅された。
続いて23日にも、およそ同程度のガトランティス艦隊が出現。
今度は海王星に近い設定宙域に強制的にワープアウトさせられた同艦隊は
装置を破壊すべく進撃したが、道中で地球軍の第八艦隊と、
ガミラス軍の第38空間師団ルーゲンス戦闘団によって迎撃・撃滅される。
これらの衝突は「冥王星軌道沖海戦」「海王星軌道沖海戦」と呼称されるが、
いずれも伏撃の優位性を活かした一方的な戦闘であった。
こうした結果を見て取ったのか、それから数日の間は
ガトランティス艦隊が襲撃を試みることはなかった。
そんなうちに、太陽系第三惑星・地球は4月29日を迎える___
「……間もなく来るぞ!全艦、戦闘配備!」
地球連邦防衛軍第九艦隊の指揮官に任じられたルーベン・ワード少将が、
宇宙服のヘルメット内部のマイクに緊迫した声を送った。
ワード少将は以前、第九巡防艦戦隊司令の座にあり、
同隊が組み込まれた第一特務艦隊を指揮してガミロニアⅧ海戦を
戦い抜いたことを評価されて昇進し、
防衛宇宙海軍の第九艦隊を指揮することとなったのである。
現在の彼の艦隊が擁する戦力は以下の通り。
◎地球連邦宇宙海軍・第九艦隊
・第一巡防艦戦隊:改K級装甲宇宙巡防艦4隻、改M級宇宙巡防艦3隻
・第五巡防艦戦隊:改K級装甲宇宙巡防艦3隻、改M級宇宙巡防艦3隻
・第一護衛戦隊:改I級宇宙護衛艦10隻
・第二護衛戦隊:改I級宇宙護衛艦9隻
・第三無人戦隊:改FE級無人宇宙打撃艦12隻、改FE級無人宇宙軽空母4隻
定数編成と比べて所々"穴"が存在するのは、
第九艦隊が先述の「冥王星軌道沖海戦」に参加しており
戦闘による損傷艦や、故障艦を後方に残してきていたためだ。
それでもなお、50隻近い戦力を有している。
現在、星の海に展開する第九艦隊の陣容は有人艦の戦隊に属する
装甲
無人艦部隊とは別行動となっている。
しかし、同宙域に布陣しているのは地球艦隊だけではない。
同盟国・共和政ガミラスの国防軍艦隊もまた、艦列を敷いているのだ。
彼らは第90空間師団から抽出・派遣された1個装甲大隊(重巡4、軽巡12)と
1個増強宙雷大隊(駆逐艦64)からなる戦闘団で、指揮官は宙雷大隊の抽出元の
宙雷戦隊の司令ヨワン・ハルツマン中佐である。
地球軍とガミラス軍の合同部隊の指揮系統はいちおう一本化されており、
高階級の者、同階級であれば先任者が指揮権を有するようになっている。
しかし、あくまで同盟国軍のため両国軍間における命令・指示は
"要請"という体を取っていた。
従って、この宙域の地球=ガミラス連合艦隊はワード少将が統括指揮している。
……なお、連合艦隊が展開している宙域は、先に述べた第九艦隊が戦った
「冥王星軌道沖海戦」の舞台である、冥王星軌道・海王星軌道間空間に
設定された迎撃ライン・強制ワープアウト宙域ではない。
二度にわたって先遣部隊による太陽系・外惑星圏内への進攻を阻まれた敵は、
強制ワープアウトからの待ち伏せ攻撃を受ける正面攻撃から戦略を変更し、
ワープ阻害システムの効力範囲を迂回して太陽系への浸透を図ったのだ。
地球・ガミラス軍の最前線である迎撃ラインは、
冥王星軌道・海王星軌道間空間に多数のワープ阻害装置を
ガトランティス移動根拠地である白色彗星が来襲してくる方角を中心にした
長大な外惑星軌道に沿って、星系水平面(惑星群の軌道面)上に円を描く形で
展開することで形成されている。
円と言っても、配置される阻害装置の密度は白色彗星の観測方向と、
その逆方向では異なり、およそ3対2の割合となっているのだが、
太陽系の反対側まで迂回するのはワープを用いても手間がかかり、
反対側の阻害装置の密度が比較的薄いと言っても、
来襲艦隊に効力を及ぼすには充分な威力を有しており隙はなかった。
一方で、太陽系の
水平面の迎撃ラインに相当する重厚なワープ阻害装置の網は配されていない。
これは単純に、太陽系を3次元的に全面カバーするだけの阻害装置の生産が
時間断層工廠を以てしても(他兵器製造との兼ね合いもあるため)
追い付かなかったことに加え、
そもそも宇宙艦艇が恒星系内へ進入する場合は星系水平面を航行するのが
最もエネルギーロスが少なく一般的なものであり、
無駄にエネルギーを消耗する星系垂直方面からの侵入・航行する敵については
水平面から突入してくる敵と比べて可能性が低いものと想定されていた。
ところが敵はその低い可能性を現実のものとしたため、今に至る。
「手を変え品を変え、か」
ワード少将は、連合艦隊全体の指揮艦も兼ねる第一巡防艦戦隊の旗艦、
改K級装甲巡防艦「ソールズベリー」の艦橋で呟いた。
こうして、地ガ連合艦隊がガトランティス艦隊来寇に備えていることからも
分かる通り、同盟軍は星系垂直方面からの敵襲を"可能性が低い"と
見なしていたが、これまでの(ガミラス軍は特に長い)戦いから
ガトランティス側は手段を選ばないという戦訓を得ていることもあり、
それがあり得ないとまでは断じておらず、いくつか対応策を講じている。
第一に、先の冥王星軌道沖・海王星軌道沖の両海戦においても、
接近するガトランティス艦隊の存在をいち早く把握し通報した、
太陽系外縁部の対外宇宙観測・索敵衛星群からなる系外監視システムだ。
炉王星における戦いでも敵強襲艦隊・敵巨大艦隊の早期発見に貢献した
監視
天王星の衛星チタニアを新たな索敵情報ハブに定め、今も稼働している。
ガトランティス艦隊による監視
存在を知らないのか、膨大な数のため諦めたのか、攻撃は確認されていない。
これら系外監視システムが、星系垂直方向への迂回を試みる敵艦隊の
動きを捉えて即座に、絶え間なく、地ガ同盟軍へと通報するのだ。
次に、自律航行式の強制ワープアウト・ワープ阻害システムの開発・配備だ。
ガミラスが設計した阻害システムを、地球側の
換装式船体ブロック部に接続し機動性を付与したものである。
上記の監視衛星が敵の垂直方向への迂回の兆しを伝え次第
地球・ガミラス迎撃艦隊の泊地でもある土星の衛星群から発進、
予測敵針路上に迎撃艦隊と共に展開し、冥王星・海王星軌道間にある
迎撃ラインと同じ役割をこなすのである。
最後に迎撃艦隊だが、基本的に外惑星圏迎撃ラインに展開する地ガ艦隊は
ローテーション制となっているため、土星の衛星であるタイタン・ヒペリオン・
エンケラドゥスに戻ってきており補給と整備を済ませた即応可能な部隊が
敵迂回攻撃の迎撃役となる。
そのため今回は、先の戦いの損害をある程度回復させた(整備中艦艇の出渠と
再編は急を要するため不能だった)地球軍第九艦隊と、今回が初陣となる
ガミラス軍第90空間師団ハルツマン戦闘団が迎撃を担うことになった。
かくして地球・ガミラス連合艦隊は万全の準備を整えて、
迂回攻撃を狙ったことが察知されているとは知らないであろう
ガトランティス艦隊を手ぐすね引いて待ち構えているのだが、
統括指揮官ルーベン・ワード少将は何か得体のしれない胸騒ぎを覚えている。
(……なんだ、この言い知れない不気味なものは……)
周りの将兵の士気を削いではならぬと、
ワードは内心の不安らしき"何か"を押し殺し、平静を装った。
ちょうど、それに合わせたように旗艦艦橋内に
また、メインモニターには敵の強制ワープアウト予測宙域の望遠観測映像が
映されており、黒い虚空が波打つように揺らぎを見せる。
次の瞬間、揺らぎは薄暗い青の三角形が多数連なる、
最近のガトランティス艦がワープアウト時に放つ、特有の空間波紋に変わった……