宇宙戦艦ヤマト2202 If 猛虎咆哮す   作:モアンゴル

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第七十六話 土星沖海戦② 会敵

 

【第76話】

 

 

西暦2203年5月8日、極東管区時間にして0830時ごろ。

 

土星衛星群基地から出撃した地球連邦防衛宇宙海軍・第二連合艦隊は、

太陽系に来襲するガトランティス艦隊に対する迎撃予定宙域への展開を完了。

将兵たちをローテーションで休憩させつつ、厳戒態勢を維持していた。

 

迎撃ラインである天王星・土星軌道間空間の一角、

土星を背にして白色彗星の進撃針路と正対する宙域に

第十一艦隊を中央に、左方に第七・第九艦隊、右方に第八・第十艦隊が

壁となるが如く横列陣形を敷き、連合艦隊の中心には旗艦「ムサシ」が

艦隊の中でも最大級である三百数十m超の威容を見せつけている。

 

第二連合艦隊隷下の各地球艦隊の陣容は、相応の規模を有する。

第七艦隊は、改金剛(K)型宇宙装甲巡防艦(フリゲート)4隻と

村雨(M)型宇宙巡防艦(フリゲート)4隻を定数とする巡防艦戦隊2個、

磯風(I)型宇宙護衛艦(コルベット)12隻を定数とする護衛艦戦隊2個、

改FE型無人宇宙打撃艦12隻と改FE型無人宇宙軽空母4隻が定数である

無人艦戦隊1個から編成されており、第八・第九・第十艦隊も同編成である。

だが、第八・第九艦隊は4月下旬のガトランティス先遣艦隊との戦闘に参加し

損傷艦・廃艦を生じさせており、戦闘に参加しなかった艦隊でも

事故や故障で戦列に加わることが難しくなった艦が発生、

それらは後送されるか衛星泊地に残置されたため、編成表通りではない。

それでも、旗艦以外に二個巡防戦隊・三個無人戦隊を擁する第十一艦隊と

合計して戦艦1隻、装甲巡防艦35隻、巡防艦33隻、護衛艦86隻、

無人打撃艦81隻、無人軽空母24隻を戦力を有しているのである。

 

総数260隻を数える連合艦隊の旗艦・ヤマト型宇宙戦艦「ムサシ」の

第一艦橋では、同艦艦長を務める防衛軍大佐・尾崎徹太郎が、

「ムサシ」CICに詰めている第二連合艦隊(及び第十一艦隊)司令部から

艦内通信の呼び出しを受け、通信回線が開かれている所だった。

 

 

「ムサシ」戦闘/航海艦橋の天井スクリーンには

同艦CICから連合艦隊の指揮を取る第十一艦隊の司令長官、

マーカス・J・パエッタ中将がシートに身を沈めている様が映された。

 

本来は第十一艦隊の司令官であるパエッタ中将は、

第二連合艦隊を構成する5個艦隊の指揮官の中で

最高階級・最先任の将官であるため、連合艦隊の統括指揮を任されている。

欧州出身でガミラス戦役時代からの叩き上げの艦隊指揮官である彼は、

終戦後には練習・輸送艦隊の司令として宇宙艦艇乗員の育成に貢献し、

波動機関搭載艦艇就役後は、土星や木星圏を拠点に太陽系外縁の警備や

来航した船団の護衛を担当する外惑星方面艦隊の統括司令官と

同方面艦隊隷下の第七艦隊の指揮官を兼任した提督である。

 

宇宙戦艦「ムサシ」も2202年の暮れに就役後、

外惑星方面艦隊司令部の直轄艦艇となっていたが、

対ガトランティス戦争の本格化後、同艦を基幹に第十一艦隊が新編され、

その指揮官としてパエッタを艦上に迎えた。

司令長官の直率部隊を第七艦隊から第十一艦隊に替えた格好だが、

金剛(K)型装甲巡防艦より遥かに大型・堅牢で通信能力でも秀でた

ヤマト型戦艦を旗艦とした方が外惑星方面艦隊、後の第二連合艦隊を

指揮する上で好都合であった。

 

現在、尾崎以下「ムサシ」乗組員を始めとした第二連合艦隊の将兵は

臨戦態勢にあり、艦に万一の事があった場合に備え宇宙服を着用している。

無論それは連合艦隊司令部も同様であり、モニターに映るパエッタも

ヘルメットこそ外しているが、装いは黒を基調とした司令長官専用宇宙服だ。

くすんだブロンドヘアの司令長官は、いかめしい顔を崩さず語った。

 

『たった今、チタニアの系外監視ハブステーションから情報が入った。

 ……問題の方面から、大規模な重力波のゆらぎを検知されたそうだ。』

 

発言を受け取った尾崎も目を見開き、司令長官へ確認するように言った。

 

「それでは……!」

 

『うむ、間もなく()()に違いない。

 ……"二連艦(2CF)司令部より全艦に達す!総員、戦闘配置!!"』

 

途中で通信回線を艦隊全体に対するものへ切り替え、パエッタは声高に命じる。

そして再度、通信回線をCICと艦橋を結ぶものに戻し、提督は告げた。

 

『オザキ艦長。我々司令部は予定通り艦隊指揮に専従し、

 個別命令が無い限り、旗艦のことは一任する。……よろしく頼む。』

 

「ハッ!」

 

艦内にブザーが鳴り響く中、確かな声で伝えられた指示に敬礼を返す尾崎。

通信が終了し、立っていた彼は艦長席に腰を据え、宇宙服のヘルメットを

被り直して戦闘突入への準備を整えた。

 

 

(長官の御信頼に応えねばな)

 

間もなく、ガトランティス巨大艦隊と会敵し交戦が開始されるだろうという

切迫した状況にもかかわらず、尾崎は冷静沈着に思考を巡らせている。

 

戦艦「ムサシ」含む第十一艦隊、否、第二連合艦隊の取るべき作戦行動は

既に、土星の衛星基地群出撃前に二連艦司令部から将兵に訓示されている。

現在、「ムサシ」CIC内で地球の防衛軍総司令部に状況報告をしているだろう

パエッタ中将ら艦隊司令部の姿を思い浮かべながら、尾崎は呟く。

 

「想定される敵の動きは、数に任せた力押し、か」

 

盟邦ガミラスの系外偵察艦隊が敵の巨大艦隊を捕捉した時点から、

地球極東管区に置かれた地ガ合同防衛司令部、宇宙海軍艦隊司令部は

ガトランティス艦隊の目的を、戦力的優勢に物を言わせた地ガ連合軍の

外惑星圏防衛線突破、内惑星圏侵攻、地球の制圧ないし破壊とする、

"正面突破"にあると推定していた。

尾崎のような()()()()指揮官から見れば、「大軍に用兵なし」を地でいく、

ある意味合理的で真っ当な作戦展開であると言えた。

 

(もしも敵艦隊をここで始末したとしても、

 敵本星である白色彗星が後方に控えている。)

 

尾崎の思考は続く。

地球の総司令部・艦隊司令部は当然、来襲する敵巨大艦隊が

ガトランティスにとって前衛部隊・先鋒に過ぎず、

主力である白色彗星が後続していることを百も承知であった。

仮に地球・ガミラス艦隊主力が敵巨大艦隊を正面から全力で迎撃し、

これを撃滅できたとしても、代償として大損害を被ることは想定に難くない。

そこに白色彗星が次なる巨大艦隊を差し向けたり、彗星自体が太陽系へ

襲来すれば、迎撃可能な戦力は存在せず、地球は蹂躙されてしまう。

これこそがガトランティスにとっての次善の戦略であるとも予測がなされ、

地ガ連合軍はその事態を阻止しながらも敵巨大艦隊を撃破するべく

作戦を立てたのだ。

 

(……イレギュラーがない限り、我々は算段通りに動くだけだ)

 

尾崎は連合軍司令部と、パエッタら二連艦司令部が立案した作戦を

(自らも作戦計画の策定に携わったこともあって)信用しており、

事前の演習通りに事を運べば良いと内心で結論付ける。

 

予想外の事態(イレギュラー)に対しても、一定の備えはしてあった。

例えば、敵の分析結果から可能性は極めて低いと判断されたが、

敵艦隊主力または分遣隊が天王星・土星軌道間防衛線の迂回を試みた場合でも

太陽系外の監視衛星群など早期警戒体制が崩されていない限りは

事前の兆候が見られる筈で、感知次第地球艦隊は即応可能となっている。

また、第二次天王星軌道沖海戦に参加しなかったガミラス艦隊の一部が

地球第二連合艦隊の予備戦力(バックアップ)として土星・木星軌道間で待機している。

万一にも戦略的奇襲を許すことは無いという確信が連合軍にはあった。

問題となるのは未確認の敵の新装備だが、立案された作戦の内容を考えれば

それほど懸念はあるまいというのが、尾崎含めた二連艦の判断だ。

 

 

(それにしても……ヤマト型の二番艦、か)

 

いつ始まるかと分からぬ戦闘直前にて、

尾崎はふと、思考内容を眼前の状況から離れたものに変えた。

現実逃避にも似た、艦長に相応しからざる行為だったが、

自身と部下の生死を懸けた極限状況へ突入する前の、

最後の一服代わりでもあった。

 

(……大層な艦を任されたものだ)

 

今この瞬間も自分が艦長シートに着いている、宇宙戦艦「ムサシ」。

尾崎とヤマト型宇宙戦艦の二番艦として生を受けた同艦とは、

彼が艤装工事の指揮官(即ち就役後の艦長)になった時からの付き合いである。

 

塗装(いろ)以外は「ヤマト」と同一、第二の「ヤマト」とも言える。

 ……尤も、司令部(うえ)は第二の「ヤマト」"そのもの"として造ったんだろうがね)

 

「ムサシ」艦長に就任し、対ガトランティス戦争態勢が本格化し始めた頃、

尾崎は軍指定の料理店で久々に同期生らと飲む機会を持った。

その席には「アンドロメダ」に乗る宇宙海軍第一艦隊司令官となった山南や、

機動部隊である第五艦隊の旗艦「アポロ」艦長の安田の姿もあった。

そこで、司令部に勤務する同期の一人から"噂話"を聞かされたのである。

 

それは、2202年の末に特殊任務で外宇宙に向かった宇宙戦艦「ヤマト」が

万が一帰還しなかった場合、同型艦「ムサシ」を新たな「ヤマト」として

極秘に仕立て上げる計画があるというものだった。

 

宴会の席ではあくまで噂話としてその場を流した尾崎ではあったが、

後々になって考えれば「なるほど、合点がいく」という心持ちになった。

旧式の設計となるヤマト型戦艦をわざわざ新造した理由としては十分だ。

 

何せ、今の「ヤマト」は地球人類を救った本邦の象徴たるばかりではなく、

ガミラスを独裁体制から解放し、マゼラン銀河の混乱収拾にも貢献した

立派な実績がある外交的にも重要な艦である。

しかし、「ヤマト」は軍事的にはあくまでも一宇宙戦艦に過ぎず

戦闘を前提とした任務に送り出した場合、撃沈されない道理はない。

そのため、代わりになり得る"影武者"を確保しておくのは必然とも言えた。

 

仮に「ヤマト」が地球に戻ることがなかった場合、連邦政府と防衛軍は

地球人類の戦意・士気、ガミラスとの外交関係への悪影響を恐れて

「ヤマト」喪失を徹底的に隠蔽するだろう。

それから、「ムサシ」をドック入りさせて塗装(いろ)を塗り直すなどし、

「ヤマト」として出渠させるのではないか。

表向きは「乗員は全滅したものの、自動航行で帰還し修理した」などと喧伝し、

「ムサシ」は修理用の部品取りに用いられたとされ廃艦扱いになるか、

新造されたヤマト型三番艦が新たな「ムサシ」として就役するのだろう。

腹黒い防衛軍司令部が考えそうなことだ___尾崎は皮肉げに口元を歪めた。

 

(まぁ、それも「ムサシ」がこの戦いを生還してこそだ)

 

尾崎艦長は目前の現実を直視することを忘れてはいなかった。

そして直後に、ガトランティス艦隊のワープアウト反応検知を示す警報が

「ムサシ」艦橋内、クルー各員のヘルメットに装備された通信機に鳴り響く。

 

尾崎は自身の宇宙服ヘルメット内の通信機を起動させ、

第一艦橋のクルーに向けて檄を飛ばす。

 

『諸君、お客様がおいでだ。

 地球に向かう気を無くすくらいに、ここで存分にもてなしてやれ!!』

 

それから通信機を切り、誰にも聞こえないような小声で独り言ちた。

 

「勝ち残ろうぜ、『ムサシ』。生き延びた先で何が待つとしてもな」

 

程なくして、二連艦の遥か前方空間にワープアウトに伴う現象の光が

無数に灯り始めた。

 

 

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「空間跳躍終了!艦に損害を認めず!」

 

空間跳躍(ワープ)を終えた彗星帝国(ガトランティス)第七機動艦隊の旗艦

巨大空母「バルゼー」艦橋内では、航法士ら艦の運用要員の報告が

次々に届けられ、旗艦含む艦隊が無事に転移を完了した旨が伝えられる。

 

「各集団指揮艦からも、脱落艦なしとのことです。」

 

「うむ。現在位置は?」

 

旗艦に同乗する副官ヴィルホにバルゼーが訊いた。

副官は手元のコンソールを操作し、浮き上がってきた情報を読み上げる。

 

「元来の転移予定地点の後方、第六惑星と第七惑星の軌道の中間付近です。」

 

「やはり阻害装置を使ってきたな」

 

バルゼーは小癪な手を、とでも言わんばかりにフンと鼻を鳴らした。

そんな上官に対しヴィルホは報告を続ける。

 

「先んじて転移を完了した第一集団からの報告では、

 前方空間にその阻害装置と思わしき物体を発見したとのことです。」

 

「ならば艦隊列の整理が完了次第、

 艦隊を前進させて射程に捉え、破壊しろ。」

 

「ハッ!」

 

既に、地球(テロン)やガミロンの軍が用いている空間跳躍阻害装置の存在は

先遣艦隊の報告などからガトランティスにも知れ渡っている。

(現在のガトランティス基準で)寡兵とはいえ、正面戦闘であれば

戦慣れしたガミロンでも駆逐に時間を要する戦力を持つ先遣艦隊を

次々に撃滅できたのは、この阻害装置が太陽(ゾル星)系中枢に跳躍を試みた艦隊を

途中で強制転移させ、地球(テロン)・ガミロン軍が伏撃・奇襲を仕掛けたからだと

バルゼーら第七機動艦隊司令部は判断していた。

無論の事ながら、自艦隊もまた阻害装置により跳躍を干渉されるという

可能性もよく分かっており、実際に強制転移させられても特に驚きはなかった。

そうして淡々と、進撃の準備と阻害装置の排除を副官を通じて艦隊へ命じ、

バルゼーは自身の名を冠した空母の艦橋窓から第七機動艦隊の威容を眺める。

 

(思い知るがいい、人間ども。

 貴様らが破ったのは不良品や、三級品の遊撃軍に過ぎぬ。

 我ら第七機動艦隊こそが真のガトランティス、その主力よ!)

 

旗艦空母「バルゼー」の前方窓越しには、無数ともいえる暗緑色をした

宇宙戦艦が青白い噴射炎を噴かしながら整然と艦列を組む様が展開されていた。

 

彗星帝国(ガトランティス)軍が一連の太陽系攻略作戦に、

メーザー提督率いる第八機動艦隊に続く次鋒として

送り込んできたのはバルゼー提督率いる第七機動艦隊。

 

250万隻という膨大な戦力で太陽系の最果ての惑星・炉王星(バルカン)に攻め入り、

艦隊を砲身と化し人工太陽を用いた超長距離狙撃という前代未聞の戦法で

地球の破壊を目論むも炉王星基地守備隊や宇宙戦艦「ヤマト」の活躍で

同惑星の沖に潰え去った第八機動艦隊と比べ、第七機動艦隊はその様相を

大きく異としている。

 

何より異なるのは、艦艇数であった。

第八機動艦隊は旗艦「メーザー」を含めた有人のカラクルム級戦艦250隻が

それぞれ無人の同級艦100隻を制御し、その制御された無人カラクルム級から

さらに各100隻が"孫"としてコントロールされ250万隻の艦隊を成し、

これに中級指揮官コズモダート率いるナスカ級空母・ラスコー級巡洋艦・

ククルカン級駆逐艦など64隻の前衛艦隊が加わり構成されていた。

対して第七機動艦隊は、有人のカラクルム級250隻が無人の同級戦艦を

各100隻コントロールしている所までは同じだが、有人艦から制御される

"子"のカラクルム級は"孫"のカラクルム級を持たず、総数は2万5000隻。

これと、艦隊旗艦たるアポカリクス級巨大空母「バルゼー」、

同艦が直率し、非ガイゼンガン兵器艦艇64隻が主力である

旗艦直衛部隊(第八機動艦隊の前衛部隊に相当)が第七機動艦隊の全戦力である。

 

メーザー艦隊に比べバルゼー艦隊は、戦力的には100分の一だった

(無論のことだが2万5000隻も充分に巨大戦力である)が、

この隔たりは運用構想の違いによるものであった。

前者は、(西暦2202年末当時、地球に対するガトランティスの警戒度が

低かったこともあり)あくまで新戦法である『集群砲』のテストが

主目的であったのに対し、後者は艦隊による太陽(ゾル星)系の地ガ連合軍が持つ

機動戦力(=宇宙艦隊)の誘引・撃滅及び本隊(白色彗星)の前路掃討を

主眼に置いて編成されている。

 

つまり、炉王星に現れた250万隻という超巨大戦力は艦隊というよりも

『集群砲』の構成ユニットという面が強いガトランティス側としても

ある意味イレギュラーな編成だった。

事実、第八機動艦隊の全兵力250万隻が炉王星沖空間に集結するのに

(地球時間で)一日という相当の時間がかかった上、

親・子・孫という二段階を経た制御方式で戦闘はおろか

通常の艦隊運動をするのも困難を極めており、

これを機動性・即応性が重視される戦術単位として運用するのは無理がある。

よって、艦隊戦を念頭に置いて派遣された第七機動艦隊は上記より

100分の一にスリム化された戦力で現れたのだ

(なお、地ガ合同司令部は炉王星沖の鹵獲艦から上記の問題点を把握し、

人工太陽が破壊された現状では100万単位の敵艦隊が来襲する可能性は

極めて低いと判断していた)。

 

 

 

「最前列、第一集団より新たな報告です!」

 

バルゼーが命を下してから十数分、ようやく隊列が整えられた

第七機動艦隊が動き出してから少し経ったところで、副官ヴィルホが

隊列最後尾付近に位置する旗艦と対照的に、艦隊の最前に位置する部隊から

新たに届けられた情報をバルゼーに告げた。

 

「第一集団は捕捉した敵阻害装置を破壊したようですが、

 さらに前方に別の阻害装置群の反応を検知したとの事です!」

 

「ム!?」

 

敵が設置した二段構えの阻害装置に何らかの意図を察し、

バルゼーの表情が険しさを増す。

副官はその反応の正しさを示すように報告を続けた。

 

「その阻害装置群周辺に、艦艇の動力反応も多数感知したとも報じています!」

 

「……!!」

 

 

斯くして、地球・ガミラス連合軍とガトランティス軍、

両陣営の前衛艦隊同士は天王星・土星公転軌道間空間にて会敵。

双方の主力同士による対決は最早秒読み段階をも越え、

即座に発火点に移らんとしていたのだった。

 

 

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