ジャッジメントですの!に転生したけど おねぇさまぁ!した方がいい?   作:ゆうてい

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死の開幕

 9

 

 

『現在』の食蜂はバッグを漁った。バッグから出てくる手には、一つの笛が握られていた。

 その笛は上条当麻からもらったもので間違いない。

 食蜂はそれを首にかけ微笑む。

 

「ふふふ」

 

 周りから見れば、そこらに売っているただの笛。それでも食蜂にはその何倍もの価値がある。忘れることはできないあの人との日々。

 

「お見舞いにきてくれたりしないのかしらぁ」

 

 食蜂は自分の恋を認めた。きっと、彼女がこの先恋に落ちることはないだろう。何故ならば、この恋心は叶わぬものと決まったわけではないからだ。

 病室の扉が開く音に肩がびくついた。

 

 

「へ!?か、か、か—————」

 

 

 10

 

 

『はっ、はっ、はっ』

 

 上条当麻は夜の学園都市を走り回っていた。いつも通り彼は追いかけられていたのだ。しかし、彼の手には女の手が握られており、その点だけはいつもと違うところだろう。

 

『か、上条さん! 私のことは気にしなくていいのよ!』

 

『なんだ? あいつらお前のこと追ってたのか!?』

 

 その握られた手の主、食蜂操祈にはわかっていることが一つだけあった。それは、私たちを追っているあの『追っ手』が実は、私だけを狙っている。ということだ。

 食蜂は上条にそのことを伝える。彼は少しだけ驚いた顔をするが、すぐに顔を走り疲れたものへと戻す。ただそれだけで上条は覚悟を決めていた。

 

『だったらなおさら、お前の手を離す理由がねぇな』

 

 食蜂は、上条が何故そこまでしてくれるのか分からなかった。彼女の目には涙が浮かんでいた。

 

『なんでそんなに助けようとしてくれるの!?』

 

 涙を浮かべる彼女に上条は、にっこりと笑いかけるとこう言った。

 

『お前は俺の、いいや、俺たちの大切な仲間だろ?』

 

 それを聞いてしまった食蜂は、涙が止まらなくなった。啜り泣く声と、2人の足音が大きな音を路地裏に響かせていた。

 

 

 ♦︎

 

 

 くそっ! 道を間違ったか! 

 

 上条と食蜂は、振り切っていたはずの赤いライダースーツの『追っ手』から逃げていた。

『追っ手』は体中に車輪をつけており、それは見るものを笑わせてしまうだろう。しかし、それを見て上条は笑うことが出来なかった。その理由は、背中に乗っている小型のジェットエンジンのせいだ。先ほどから、そのエンジンが音を立てる度距離がグッと近づいている。

 

『食蜂! 一回後ろ見れるか!?』

 

 上条は前だけ向いて走ることしかできない。だから食蜂に頼んだ。

 

『わかったわ!』

 

 食蜂は後ろを見たことを後悔した。

 

『ぎゃぁぁああぁあ!!!』

 

『どうした!?』

 

 食蜂はイケナイものを見てしまった。後ろを向いた彼女の目には大量の赤色で埋め尽くされていた。

 

『いっぱいいるんだけどぉ!!!』

 

『そんなにいんのかよ!?』

 

 そう言って釣られた上条は後ろを見てしまった。彼としてはそんなわけないだろ。のつもりだったのだが、彼の目にも大量の赤が埋め尽くされていた。

 

『ぎぃやぁああぁあぁ!!!!』

 

『ちょっとぉ! なんで後ろ見るのよぉ!』

 

 食蜂は後ろを向いた上条をつついて咎めるが、変わらずこちらに余裕はない。

 食蜂はあれだけの人がいるなら、1人くらいは能力にかかるのではと思い、リモコンをバッグから取り出した。

 

 ぴっ

 

 この場に似つかわしくない、軽快な音が聞こえたときにはもうそれが起こっていた。

 

ギュヴィィィンン!!!! 

 

ドガァァアアンン!!!! 

 

 彼女の能力はおよそ20人の『追っ手』のうち1人に当たるとき、その男の前にブロック塀が現れ、そのヘルメットを砕いた。露となった顔に彼女の能力が当たり、その転倒に巻き込まれたことにより半数の『追っ手』が転倒した。そのままスピードを落とすことなく壁に突っ込んだ者たちは爆発に巻き込まれ、おそらく死んだ。

 

『食蜂!? 何をしたんだ!?』

 

『能力で止めようとしただけよぉ!』

 

『その割にはすごく爆発音がしたような気が』

 

『しないわよぉ!』

 

 食峰は、自分が人を殺してしまったことに焦りを感じていた。襲ってきた彼方が悪いことは誰が見ても明らかだが、彼女本人は違う。どんどん汗が吹くようにでてきて、上条と繋いだ手がぬるりとすっぽ抜けてしまいそうだ。

 

『どうした食蜂! 足が動いてない!』

 

 それを心配した上条は声をかけるが、食峰は反応しない。彼女は真っ青な顔の目を閉じて、上条の先行だけを頼りにして走っている。

 

(くそっ! どうすりゃ良いんだ! 携帯もさっきの爆発でどうかしてるし!)

 

 その時には上条と食蜂を挟むようにまた、赤い人間が現れた。

 

(チッ! 囲まれた!)

 

『テメェらこいつにかなりご熱心なようだが、何のようだ?』

 

 上条の問いに対して、低めの声で答えが帰ってきた。

 

『レベル5に死を』

 

 その言葉に呼応するように、赤い人間たちが洪水のように2人を取り囲んだ。

 

『レベル5に死を』

 

『レベル5に死を』

 

『レベル5に死を』

 

『レベル5に死を』

 

『レベル5。我らから全てを奪った、レベル5に死を』

 

 ただの、度を超えた八つ当たりが食蜂を死地に送り出す。

 

 

 ♦︎

 

 

 いくつもの建物を飛んだ。中には落差5メートル以上のモノもあり、跳んだつもりもなく飛んだのだ。

 その衝撃で少しだけ足を止めてしまうと、全周を囲まれた。

 時間が経つにつれ増えていく赤い人間たち。その数はもうすぐ50を超えてしまう。

 この状況じゃ、がむしゃらに突っ込んでも死者が少し増えるだけだろう。あの様子じゃあいつらは食蜂を殺すためなら些細な、いや、ここのデッドロック全てが死ぬのも厭わないだろう。

 そんな中、1人の男が前に出た。その男は食蜂ではなく上条に話しかけた。

 

『まだやるのか?』

 

『まだやるとも』

 

 即答。

 デッドロックはここで手を引けば、お前は助けてやるという譲歩だったのだろう。それを上条は容易く却下した。

 上条の背に守られながら、食蜂はもう一度涙を浮かばせていた。さっきの言葉を思い出したのだ。

 

『そこまで言うからには、余程の能力者なのか? だが、道具に頼る我々を侮るなよ。たとえお前がレベル5でもこの群勢には勝てない』

 

『そんな大層なモノじゃねぇよ』

 

 少年は強い目のまま吐き捨てた。

 

『ゼロだ、レベル0。…………それでも許せねぇ事があんだよ、だったらカッコつけるくらいカマわねぇだろ?』

 

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『ふっ、一緒にして欲しかないけどな』

 

『『ふははは!!!』』

 

 2人は大声で笑った、それでもお互いを嘲る事なく。

 

 その笑いがお互いにおさまったとき、簒奪の槍(クイーンダイバー)が喋り始めた。

 

『君は考えないのかい? 君自身が彼女に操られている可能性を』

 

はっ

 

 少女の息を呑む音が嫌に響いていた。

 




 まだ編集中ですが流石に間を開けすぎるのは良くないと思いましたので。

 白井出てなさすぎたので、少しだけ出しときました。(能力だけ)
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