ジャッジメントですの!に転生したけど おねぇさまぁ!した方がいい? 作:ゆうてい
チェックメイト
1
ここで、おさらいをしておこう。
彼、上条当麻は単なる中学三年生ではない。彼は
だが彼の耳には、黒いイヤホンのような装置が接続されていた。そこからは位置情報や音声情報が風紀委員本部や近隣の支部に絶え間なく送信されている。
これで、察することが出来ただろうか。そう、彼は最初から食蜂操祈を一人で守ってなんかいない。百人単位で守護しているのだ。
赤いライダースーツの男たち────デッドロックは気配の欠片すら気付いていないようだが。
2
「もうすぐですのね、上条さんとみさきさんがいるのは」
『はい。学園都市製のGPSには1ミリの狂いもありません。端末に示された通り、そこから三時の方向に三十メートルほどの距離です』
白井は上条から発された緊急信号を受け取り、すぐに現場に急行していた。ちなみに緊急信号にはレベルが設定されているのだが、今回上条が発したのはその中でも最大の警戒度のもの。命に危機が迫っている際にしか許されていないシグナルだった。
白井のサポートには
現在、上条と食蜂は共に路地裏を必死に駆け抜けている。彼らが今まで逃げ延びることができたのは、偶然路地裏であったからに他ならない。もしもここが直線の道だったならば、彼らは既に命を落としていただろう。運命の歯車が彼らを遊ばせ、偶然と必然が交錯するなかで、生死を分ける微妙な線上を彷徨っていたのだ。全くもって、こういうところは幸運と言う他ない。
食蜂操祈が能力を使う。
事前に捕まえておいたデッドロックの装備するスーツを調査した結果、驚くべき事が明らかになった。それは、食蜂操祈の能力である
食蜂は驚きの表情を隠すことなく、手元のリモコンを何度も操る。
「流石に2人だと不利ですのね。あら、丁度良い場所にコンクリが」
白井は足元に置かれたコンクートブロックを、自身の超能力を駆使して簒奪の槍の前方へと転移させた。その瞬間、物体が砕けるような音がエンジン音の響き渡る中に鳴り響いた。
突然、大きな爆発音が轟く。その威力は周囲の建物をも巻き込み、崩壊させるほどのものだった。爆風が荒々しく吹き荒れ、破片が空中を舞い散る。煙と埃が立ち込め、場の光景は一瞬にして混沌とした状態へと変わっていた。
「やりすぎでしたかしら」
遠いところで青ざめた食蜂の顔が望めた。
風紀委員の後輩が恐怖や畏怖といった念を含んだ表情で白井を見つめていた。彼らにとっては信じがたい光景だったのだろう。建物の上から眺めると、赤い服を身にまとったいくつかの人物が倒れているのが見えた。中には
「群れですから、何人か巻き込めると思っていましたの」
苦笑いを浮かべながら、後輩は炎に包まれたまま地に倒れ伏している簒奪の槍を巧みに捕縛した。白井が瞬く間に屋上へと彼らを転移させると、男たちの意識が徐々に戻り始めた。
苦悩と闘いの痕跡を浮かべながら、彼らは目を開け、周囲の状況に気づいた。炎が舞い上がり、崩れ去る建物が目の前に広がっていた。
「これはお前らがやったのか。ははは、ここまで転移させたのもお前らが能力者だから出来たってわけだ!
あはははははははははははは‼︎クソ能力者め、ぶっ殺してやるよ!」
狂気に満ちた男たちは、自らの行動が正義であると信じ込んでいた。縄で縛られ、制約されている身でありながらも、彼らは執拗に立ち上がろうとし、白井たちを殺そうとしているのだった。
その瞳には狂気と憎悪が宿り、炎のような情熱が燃え盛っている。彼らは自己の信念を貫くために、あらゆる手段を用いる覚悟を持っていた。縛られた身体を引き裂くかのように激しく暴れる彼らの姿は、まさに凶暴な獣のようだった。
白井は無線を通して白井に指示を出す。
「これは………初春、アンチスキルを呼んでくださいな」
『分かりました。五分後には到着するはずです』
「ありがとうですわ。
しかし、声でバレるとイケませんわね。上条さん聞こえていますの?聞こえていましたら首を何度か横に振ってくださいの。違和感は内容にですわよ」
『はぁ、はぁ』
無線が繋がり、そこから上条の疲れ切った息遣いが聞こえてくる。その息遣いは重く、疲労と戦いの熾烈さが感じられた。だが、食蜂の息遣いは聞こえてこなかった。おそらく距離の問題によるものだろう。
無線が聞こえたのか、少し先で首を横に振る上条の姿が見えた。
「聞こえているようですわね。全ての準備が整いました。
あとは対面するだけです。そこから百メートルほど先の曲がり角におびき寄せてくださいな。こんどこそ、それで準備は完了ですわ。
理解したのなら先ほどと同じように」
もう一度上条が首を横に振った。
「チェックメイトですの」