ジャッジメントですの!に転生したけど おねぇさまぁ!した方がいい?   作:ゆうてい

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日常

 結果から言って、上条当麻の手術は無事成功した。彼の体には後遺症などは何もなく、一ヶ月も寝ていれば退院出来る程に良い状態だ。これには上条自身もニッコリ、入院費が少なく済みそうと喜んでいた。

 そんな彼の病室に、手術をした張本人——カエル顔の先生(ベブンキャンセラー)が入ってきた。

 

「いいかな、上条君」

 

「いいですけど、それって入る前に言うものなんじゃ……?」

 

 上条の応えに頷き、カエル顔の医者は話を始める。彼の言葉の後半は無視である。

 

「君ね、こんな無茶を一ヶ月に何回もしちゃ困るよ。まぁこうして生きているからいいのだがね」

 

「う、それはすみません」

 

 今月だけですでに三回……。上条がカエル医者から視線を逸らす。

 心なしか触診をするカエル医者の手が急に荒々しくなった気がする。

 

「いや、謝る事は無いんだがね。

 手術代は風紀委員側が払ってくれるらしいけど、君の治療だけでも本部は大分痛い出費をしてると思うんだよ?」

 

「それは、本当に申し訳ないと思っています」

 

「いや、それは僕に言うことじゃないと思うけどね?」

 

 少しの静寂が二人を気まずくさせた。

 

「えっと、結局デッドロックはどうなったんですか?」

 

「ふむ、それは彼女が話してくれると思うよ」

 

 そんな言葉を最後に、カエル顔の医者は静かに病室を去った。彼の後ろ姿が遠ざかる中、その場にはもう一度静寂が広がった。

 しかし、まもなくして、病室の扉が勢いよく開いた。

 

「本っ当に貴方って人は!どれだけみんなを心配させたと思っているんですの!?」

 

 それは上条当麻の白井黒子(パートナー)であった。いや、この言葉に風紀委員(ジャッジメント)相棒(パートナー)という意味以外の言葉は含まれていない。

 

 彼女は泣き腫らして赤くなった目元を隠すことなく、上条に怒鳴りつけた。上条はこの時、ようやく自分の『日常』が戻ってきたのを感じた。

 思わず笑みを浮かべていた彼は、思わず白井へと腕を伸ばしていた。届いた手が、彼女の髪の流れに沿って頭を撫でる。引き寄せられるように、白井は上条の胸に頭を埋め(うず)める。嗚咽混じりの涙が流れた。

 

「本当に、死んでしまうのではないかと心配しましたのよ!」

 

「すまん。無茶しちまったな」

 

「無茶なんて言葉じゃ済まされませんの!」

 

 顔を上げた白井の目と目が合う。何故だか、微妙な時間が流れた。

 もう一度上条の胸元に(うず)まった彼女が話を続けた。

 

「やっぱり、あの時あなたを止めておくべきでしたの」

 

「いや、いいんだ。俺がやりたいって言ったんだから」

 

 上条が簒奪の槍(デッドロック)のリーダーとタイマンを張ったのは、当然彼自身の意思だった。止めないでおいて大変無責任ではあるが、白井はこんな風になるだろうことは予想が付いていた。それでも彼女が上条を止められなかったのは、この男の目が強く語っていたからだ。絶対に俺がやるんだと。

 

「そんなことより食蜂は大丈夫か?あの後どうなったのか分からなくて」

 

「操祈さんなら、身体的精神的疲労両方が大きいので近くの病院で入院しておりますわ」

 

「そうか、大丈夫なんだよな?」

 

「はい、そこまで重くないようでして、上条さんより早く退院する予定ですの」

 

 そこまで聞いて、ようやく上条は息をホッと吐いた。安堵の念が彼の心臓を増幅させる。

 結果的には、彼にはデッドロックを止めることが出来なかった。しかし、その行動が食蜂を守ったのだ。彼は人を、いや、彼女を守ったことを誇りに思うだろう。

 

「良かった。アイツおっちょこちょいだからな、心配になるんだ」

 

「貴方は自分の心配をして下さいな」

 

 上条の優先順位は、超えられない壁よりも高いところに他人がいて、その真逆の位置に自身がいるのだ。彼は優先するものを間違え過ぎている。だが、それが白井との相性が抜群な理由なのかも知れない。

 

 これは白井の切実な願いだったのだが、上条は浅く頷くだけだった。

 

「言ったところで止めないだろうと思っていましたの」

 

 彼女は諦めることにした。それでも、彼は強くなっていくから。

 

 

 私に師事してもらう事によって(笑)

 

 






短くてすみまんせ。すみません。

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