ジャッジメントですの!に転生したけど おねぇさまぁ!した方がいい? 作:ゆうてい
絶対悪
昼間、一方通行は目を覚まし、虚ろな眼差しで街へと繰り出す。
途中、彼を指差して笑う者たちがいても、彼はただ音を反射させるだけだ。そのような些細な挑発に応じる余裕などない。こちらから喧嘩を始めることはない。それが真の強者としての適切な振る舞いなのだ。
ファミレスに到着する。その日は休日だったためか、周囲には幸せそうな家族連れの姿が目立った。しかし、周りへの関心がない彼には見えていなかった。
呼び出しボタンを押し、店員を待つ。いつものように、ステーキとコーヒーを注文した。肉の塩味がコーヒーの苦味に殺された。口の中に残る余韻は、一方通行にとって悪くはないものだった。
会計を済ませた後、デパートに向かった。その目的は、留守の間に燃やされた服を補充することだった。彼が余ったお金を使うのは、このような場面に限られていた。
いくつかの服を手に取り、それを会計カウンターへ持っていく。店員が何か話しかけてくるが、反応はしない。手に入れた服を家に持ち帰り、適当にベッドに放り投げた。
テレビのスイッチを入れる。あれこれチャンネルを切り替えても、面白そうな番組はどこにもない。興味も湧かぬまま、ニュースの波が絶え間なく押し寄せる。
これもまた、富余した財産を浪費する方法なのかもしれない。
『今年の積雪量は昨年の二倍と予想さ──────』
テレビの雑音を浴びながら思い返した。
最後に人と話したのは、一ヶ月ともう少し前のことだったか。それはピンク髪の不思議な少女との三日間だった。
少女は実は闇の奥の人間であり、今でもどこか見えないところで戦っている。こんな風に言えば格好良いだろうが、実際にやっているのはヤクザ紛いの事。カチコミして潰す→カチコミして潰す。これの繰り返しだ。
つまり、力もそんじょそこらの組織の人間よりも強い。更には情報においても風紀委員と言う組織に所属しているためそれなりにある。
(意味がわかンねェ)
それが正直な感想だった。
その後彼が調べた情報によると、少女──白井黒子は表舞台において正義の象徴のような扱いを受けていた。風紀委員に明るい者なら知らないはずもないほどの人物だ。
「そンなやつが、裏で暴れまくってんのかァ」
何と言うか幻滅である。アイドルがタバコを吸っていたときのような感覚。一方通行をそんな感覚が襲っていた。
それから二時間が経過し、空が赤くなってきた頃に散歩へ出かける。何も考えずにてきとうな道を進んでいった。そこで懲りないカスどもにバットで殴られても傷は付かない。むしろ殴った男の腕がひしゃげるだけ。能力を使われても全く効くことはない。炎なら跳ね返し燃やす。水なら跳ね返し溺れさせる。それだけで終わる。暇つぶしにもならない雑魚ども。
アンチスキルのサイレンが聞こえてきて、一方通行は姿を隠すように高速で消えて行った。サイレンが聞こえなくなる程遠くへ移動すると、彼の姿は現れた。
いつも通り、余りに余った金で缶コーヒーを買った後家に帰る。落書きが増えてドアが吹っ飛んでいた。毎日のように荒らされる家はもう気にはしない。無駄な体力を使うだけだから。カチリと缶コーヒーを空け、ゴクリと一口コーヒーを飲む。
「うめェなァ」
そんな、いつもと変わらない日々だった。
そのいつもと変わらない日々が変わったのは、その数日後の夜だった。近道で進んだ薄暗い路地裏で、スーツで身を包んだ男が角から現れたそのとき。顔を見ただけですぐにわかった。裏の人間だと。あの風紀委員のように表の匂いで隠しているのではなく、嘘偽りのない純粋な闇の雰囲気が溢れていた。
目の前で止まった男に、一方通行は睨むように声を掛ける。
「なンのようだァ?」
男は緊張し震えた声で応える。
「とある計画に参加してほしい」
またかァ、くだらねェなァ。と一方通行は思う。この調子だと、前のようにクソガキがエージェントを組み伏せてくれるのだろうか。しかし、その男の続く言葉に目を見開いた。
「お前は、レベル五なんかで満足はしていないだろう?この計画はお前がレベル六へと進化する為の計画だ」
「面白そうじゃねェか」
一方通行って実験の前なにしてたんでしたっけ、、、?