ジャッジメントですの!に転生したけど おねぇさまぁ!した方がいい?   作:ゆうてい

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Shun-Do

 そして二日後、よく分からないことは研究員に任せて、白井は後処理に努めていた。

 

「まずは、実験が潰れた事が暗部に広がった事で資金が実験に回って来なくなりました。つまり今必要なのは資金ですわねぇ」

 

 実はこれがかなり痛い。あの実験はかなりの上の方々が実験に賛同していたことから多額の支援金が回ってきていた。しかし、実験が潰れたことによって当然支援金は断絶。妹達(シスターズ)が造られた建物に残っていた金額は、彼女達のホルモンバランスを整えるのに到底足りない程度のモノだった。

 

 更に、一方通行の意向により残りの一万五千人の妹達を製造することが決まっている。単価十八万円の彼女達だが、一万五千人となると金額は最低でも二十七億円もの大金が必要となる。ホルモンバランスを整える事も考えれば三十億円でも足りないはずである。

 

 とにかく、建物に残っていた件の十億円のほかに、最低二十億円が必要となるのだ。これでも白井はいいとこのお嬢様。親に頼めば半分はなんとかなるだろう。でもそれが限界である。だとすれば残りの半分はどうすればいいのだろうか。

 

「あぁ、何処かにこの実験のことを知っていて、しかもお金を沢山持っている人はいないのでしょうか」

 

「おい、それは俺に言ってるンだよなァ」

 

 と、反応する一方通行。白井のわざとらしい言い方に貧乏ゆすりが開始されていた。

 彼はテーブルの下からやけに大きな紙袋を取り出し、その袋からアタッシュケースを取り出した。それに対して白井は目を見開く。

 

「え、えぇ、貴方に言ったつもりでしたが、まさか持って来ているとは思いませんでしたの」

 

「あいにく、金は余るほど持ってンだ」

 

 はぁ、と呆れる白井に追撃のような衝撃発言を放つ。

 

「俺は全額払うつもりだァ」

 

「はぁ!?あ、貴方一体幾ら持っているんですの!?」

 

「うるせェ。お前の家がわざわざ払う必要はねェって事だ。締めて二、三十億円。それくらいは払える」

 

「ああららら、そうですの。もう、あまり反応しない方が宜しいですわね」

 

 レベル四とレベル五でこれほどまでの差が……。と、軽く目眩が起きそうな金額に無視を決め込んだ。正しい判断である。

 

「では、ここくらいは私が払わせて頂きます」

 

「アァ、前のお返しだと思っておく」

 

「あら、まだ覚えていましたのね」

 

「当たりめェだァ」

 

 レベル五は記憶力も良いらしく、一ヶ月前のカフェの記憶も健在のようだった。

 

 


 

 

 次の処理(仕事)は風紀委員への報告、もとい説明だ。

 噂のうの字もなかった件の計画をどのようにして知ったのか、何故その計画が失敗に終わったのか。おそらくそれらが主に聞かれることだろう。

 

 ガチャり、と扉を開けて白井が部屋に入る。奥の席に筋肉のだるまが腕を組んで座っていた。とても話しかけづらい様子である。

 

「おお、待っていたぞ白井。さあ、席についてくれ」

 

 腕を(ほど)けば態度は一変、優しい老人へと変貌していた。ご自慢の肉体でシャツをピチピチにした男──風紀委員会会長が白井を座るよう促す。分かりましたと一言、白井は席についた。背もたれに背をつけないお嬢様振りである。秘書にお茶を出してもらい、ゴクリと一口飲んだところで報告会が始まった。

 

「まずは、計画の詳細を教えてくれ」

 

「はい。樹形図の設計者(ツリーダイヤグラム)の計算により、御坂美琴さんのクローンを二万人殺す事で一方通行がレベル六へと進化する事が判明したようです」

 

「それがそのまま計画になったと言うわけか」

 

「そのようです」

 

 実験の内容のせいか、表情を辛いモノにした会長。同じく暗い表情をした白井が応えた。会長の近くに立っている秘書も嫌なものを聞いた表情をしており、この場の空気は最悪だ。

 

「次にだが、その実験はどこで知ったものなのだ?やはり君のことだから、独自の情報網があるのかな?」

 

「いいえ、そんなものはありませんの。ただ、偶然出会った一方通行さんの携帯に盗聴機能と、GPSの信号を私の手元に来るように細工をしただけです」

 

「うーむ、情報を得るためとは言え、正義である風紀委員が盗聴はなぁ。捜査中ならまだしも、偶然出会っただけのときは流石にやめようか」

 

「はい、わかりましたの」

 

 会長はその行為の問題点をしっかりと挙げて注意する。やけにアッサリと快諾する白井だが、もしかすると辞める気はないのだろうか。

 

「それで、この計画が失敗に終わった理由は?白井の力でも流石に第一位を躾ける事は難しいだろう」

 

「もちろん、私にそのような力はありませんの。その事ですが、実はよくわからなくって」

 

「わからない?」

 

「ええ、一方通行さんに聞いても、『気が変わったァ』としか言わないんですの」

 

「そうかなら、いつか言ってくれるまで待つしかない。そういう訳だな?」

 

 これで白井の出番は終わり、これからは他の風紀委員が様々な報告をする時間だ。幾つか興味深いものがあったが、どうせそちらは領域外で白井が捜査する事は難しい。興味深い事は今度、対応した風紀委員に聞いて今は妹達(自分たちの問題)に専念する。

 

「おぉそうだ。最近家の水槽にシャチを飼ったんだ。名前はShun-Do(しゅんどう)と言ってな、それがまた可愛いのだよ。飼ったのは一ヶ月と半月くらい前だったな。三千万もしたが、それに見合う可愛さだよ。あと————」

 

 

 ♦︎

 

 

「なんだかどっと疲れましたの」

 

「あら白井さん、お疲れ様」

 

「おかえり黒子、お疲れ様だな」

 

「あ、白井さん!また私の机に白井さんの仕事を開きましたね!全く、白井さんの仕事は桁違いに多いんですから、言ってくれればやりますから!」

 

「皆さんただいまですの。

 初春ぅ、今、言いましたわね?じゃあこれをお願いしますの」

 

「言いましたよ!では上条さん、固法先輩、一緒にやりましょう!」

 

「そうだな、黒子は寝てていいぞ。ここは俺たちに任せろ!」

 

「ええそうね。じゃあ白井さんは私の膝の上で寝ましょうか」

 

「固法先輩?サボろうとしてるのがバレバレですよ?」

 

「冗談よ!白井さん、頑張りすぎは良くないからね」

 

「あ、ありがとうございますの。って、罪悪感しかないですわ!私もやりますわ!」

 

 風紀委員一七七支部は、仲良しの集まりである。

 

 




GWは毎日投稿しようとしてたのに、早速無理でした..........

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