ジャッジメントですの!に転生したけど おねぇさまぁ!した方がいい? 作:ゆうてい
自分に瓜二つの何者かを見つけてしまったとき、普通なら怖くてその場から立ち去るのが普通なのかもしれない。しかし、彼女はそれとは大きくかけ離れていた。御坂は何者かもしらぬ自分と同じ顔の女に話しかけた。
「ねぇあんた、なにしてんの?」
「お、まさかお姉ちゃんに出会うとは、今日は幸運が続くなぁ。とミサカは静かながらも喜びます」
話しかけてみると、圧倒的な不思議ちゃんの予感がした。つまり、嫌な予感である。
顔を突き合わせて、見れば見るほど少女は御坂に似ていた。鏡を見ているのではと錯覚するほどの一致。周りからすれば待ち合わせの双子だ。
それよりも御坂が一番気になったのは
「お、お姉ちゃんって、私に妹はいないはずなんだけど」
「お姉ちゃんは知らないかもしれませんが、私はれっきとした妹ですよ、とミサカは驚くべき事実をドヤるようにお姉ちゃんに知らせます」
なんなのだろうこのドヤ顔は。少しだけ片方の口角を上げる姿は可愛らしいものはあるが、なんだか無性に腹が立ちそうになる。
自称妹によると彼女は本当の妹らしい。と言っても信じることは全くできない。敢えて言うなら、無信全疑のような顔で自称妹の顔に自身の顔を近づけた。
「なんかその顔ムカつくわね。それで?何をしていたわけ?」
「見ても分からないのですか?とミサカはお姉ちゃんを嘲笑いつつも優しい心の持ち主なので説明を丁寧にします。知人紹介されたカフェに行くと見せかけて、知人に紹介された服屋に今から行くところですよ」
「いや分かるかーい!ってなんか調子狂うわね。ああそうだ、そこ一緒に行かない?丁度暇だったのよ」
見てわかる筈のないことを、さも当然のように話され思わずツッコミを入れたが、気を取り直す。そして自分の妹と名乗る女の詳細を知るために、彼女と行動を共にすることを決めた。
「それはいい提案です。ミサカがお姉ちゃんの服を選んであげましょう。どうせお姉ちゃんのセンスは絶望的なので」
「あのねぇ、見てもいないのにそんなことを言えるの?驚かせてやるんだから!」
♦︎
ミサカと適当な話をしながら歩くこと十数分、エスカレーターに乗り着いたのはセブンスミスト二階に位置する服屋だった。
服屋に入るとまず御坂の目に入ったのはカエル柄のパジャマ。吸い込まれるように彼女はその服を手に取った。鏡で見てみると、よく似合っていると思う。
「えへへ、ねえ似合う?」
「こ、これは、ミサカはお姉ちゃんのセンスのなさに驚いていることを精一杯に伝えようとしますが.............」
「あ、あはは、そうよね冗談よ冗談。さあちゃんと決めましょう!?」
純粋に引かれたことに心を痛め、涙を目にため込むが、見栄を張り名残惜しそうに服を元の場所に戻す。カエルさんが御坂を悲しい目で見ている。彼女はそれさえも鋼の精神で無視した。ゲ、ゲコォォォォォォオオオオオオ!!!!??
何事もなかったかのように服を選び始める御坂に、それを冷たい目で見るミサカ。その視線に耐えかねた御坂はたまたま目に入った服を指さす。
「こんなのはどうかしら、アンタに凄く似合うと思うんだけど」
それは壁に掛かっていた洋服。上着は黒色でその内側は白色のシャツ。シンプルなその服をミサカは手に取った。体に合わせてみると、案外似合っているように見えた。
「お姉ちゃんにしてはなかなかのモノです。とミサカはこれに合うズボン又はスカートを探しながら褒めてあげます」
「アンタ態度デカイわね本当に。まあいいんだけど。私は自分で自分の服を探しておくから、アンタも好きに探してて」
適当に選んだ服を褒められ罪悪感が残る。その場から逃げようと自分の服を選ぶと言い御坂が後ろを向き歩き出すも、その手をミサカが掴んだ。何事かと後ろを振り返ると、ミサカは悲しそうな顔をしてこちらを見ていた。
「それはダメです、お姉ちゃんの服はミサカが選びます」
「しょ、しょうがないわね、じゃあアンタの服は私が探すわ。それでいいでしょ?」
「はい、それがいいです」
ニコッと笑いながらそう言った彼女の顔に、不覚にも可愛いと思ってしまった御坂はその提案を丸々呑み込んだ。そして先程選んだ合うズボンを探そうと店内を歩き始めた。
(あの服にスカートはなんか違うわね。やっぱりデニムの長ズボンかしら)
目に入った服を姿見の前で体に当て、服に合うかどうかを確かめる。
「うん、悪くないわね。私に似合うってことはあの子にも似合うはず。って私何恥ずかしいこと言ってるのよ」
「決まりましたか?と、ミサカは気になって仕方がなく時間も経たない間に来てしまいました」
「私は、あと帽子とかバッグとかを探したいところね」
「そうですか、では選び終わるまで待っています」
「悪いわね、アンタは決まったの?あれだけ言っといてセンス悪かったら分かってるわよね?」
「大丈夫です。何があってもお姉ちゃんよりもセンスが悪いことはありません」
キリッとした顔で断言する彼女に、そんなに言わなくてもいいじゃない。そう思いつつも彼女が手に持つ服は、明らかにセンスで御坂に勝っていたので言葉には出さないでおく。惨めな気持ちになるだけだからだ。
次に探すのは帽子。この服に似合う帽子ならば、キャスケット帽だろうか。と考えて手に取り被る。鏡に映るのは美しい少女。
「このお店、結構良いものあるわね。まあ、着る機会なんてそうそうないんだけど」
常盤台中学には、普段から制服を着なければいけないというルールがある。おしゃれをしたい思春期の少女からすれば邪魔すぎる校則なのだが、そんな学校を選んでしまったのだから仕方がない。
「うん、これでいいわね。決まったわよ、それじゃあ着替えましょう」
御坂は選んだ服をミサカに渡し、着替え終わるのを待った。ゴソゴソと更衣室から音が聞こえてくる。彼女は自分が選んだ服を妹が着ることに特別な意味を見い出したようで、早く出てきて欲しいのか体を横に揺さぶっている。
待つこと一分、着替えました。と中から声が聞こえ、カーテンを開けたミサカが出てきた。その姿はとても中学一年生の見た目とは言えない、綺麗な大人の女性を思わせるモノだった。
「どうですか?ミサカはお姉ちゃんの反応が気掛かりで仕方がありません」
「似合ってるじゃない、カッコよくてオシャレな大学生みたいよ」
「その表現は私には分かりづらいのですが、褒めていそうなので素直に喜びます」
嬉しそうにしているミサカを見つめると、御坂もまた嬉しい気持ちになる。二人の笑顔は絶えなかった。
更衣室に入りミサカが選んだ服を着ていく。選んでいた時から思っていたようだが、ミサカの服のセンスは御坂からしてかなり高い。カゴから服を出して、それを自分が着ている姿を想像する。
「ふふ、さすが
よく合っている気がした。
含みを持つような言い方だがそんなことはない。
数分後、着替え終わった御坂はカーテンを開けて更衣室の外に出る。彼女の姿を見たミサカは手を叩き褒め称えた。
「さすがミサカです。お姉ちゃんに似合う服をよく選びました。センスや可愛さは姉以上、もはやミサカは御坂なのでは?」
ミサカ自身を。
「怖いわよ!もっと表情を見せなさいって、無表情でそんなこと言われても漏らすだけよ!」
「ふふふ、冗談ですよ。知人にお姉ちゃんは意外とツッコミ担当だと聞いて試したくなりました」
「全くもう、ふざけるのも大概にしなさい」
腰に手を当て上半身を前に倒して叱るその姿は、姉のようであり母性を感じさせるものだった。
よほど気に入った服なのか、御坂のお叱りをなかば無視しながらミサカは会計に進む。待ちなさいよと声を掛け御坂も後を追うように会計を済ませて店を出た。
「えっと、この後どこに行くの?」
「先程言ったカフェにでも行こうかと思っています」
「そう、分かったわ。じゃあ、ゆっくり話を聞かせてもらえるわね」
額を冷たい汗が流れる。
ミサカの顔を覗くようにそう言った彼女は、とてもとてーも怖かった。
♦︎
何人かのスキルアウトを潰しつつ、路地裏を抜けて行き着いたのは大きなカフェ。席は見渡すだけでも百以上あり、二階もあることを考えると学区内最大のカフェと紹介されても信じられるほどだった。
「こんなところにカフェがあったなんて知らなかったわ」
「お姉ちゃんには場違いなほど綺麗なカフェです。という冗談は置いておいて、路地裏を抜けなきゃ見つからないここは、あまり知られていません。それでも人気は異常に高く、一度来てしまうとこの沼にハマってしまうとかなんとか」
「たしかに、席はほぼほぼ埋まってるわね」
一階は空席が見当たらないほど人がいる。しかし、逃げるかのように二階へ上がると、まばらといった程度で席はあまり埋まっていなかった。ちょうど室内の中心、近くに誰もいない席があった。そこであれば誰にも話を聞かれないで済むだろう。ミサカが先に座ると、隣に腰掛けた御坂が息が掛かるほどの距離で詰め寄った。
「それでアンタ、本当に私の妹なのかしら?」
「さっきも言いましたが、ミサカは正真正銘の妹です」
「証拠は?」
「証拠と言われましても、瓜二つのこの顔、体以外に思いつかないです」
そう言ってミサカは立ち上がり一回転。何の一つも違いのないその体を御坂に見せつける。
「あぁ、もうそう言うことでいいわ」
呆れたように言った御坂にミサカは愚痴を垂れ流す。はいはいとてきとうに聞き流す御坂に不満を見せるミサカ。彼女は御坂が奢るということで上機嫌になり、一番高いステーキや肉に合うとは思えないブラックコーヒーを頼み始めた。
その代わりなのか御坂は質問攻めを始めた。ミサカがあわあわし始めても止めず、ついには機能を停止したかのように動かなくなるまで止めることはなかった。
「み、み、みみみ、ミサカは情報量の多さに対処が不可能ですぅ.........」
「ちょっと!?だ、だれか助けてぇ!」
「ッ!?ここは僕の出番なんだね!?」
そこに現れたのは、カエル顔の白衣を着たおそらく医者であろう男。御坂は彼を見た瞬間、にゃにゃんと表情を猫のように変えた。その短い間にカエル顔の医者はミサカの体を調べ異変がないことを確認。さらにはミサカのことを正気に戻したのだった。
「はっ!?ミサカは何を!?」
「君は錯乱状態にあったんだ。どうやらもう大丈夫みたいだね?」
「は、はい、大丈夫です」
「よ、よかったわ!ちょっと流石に質問しすぎたみたいね、もう少しだけゆっくり聞くことにするわ」
結局質問はするのかよチッ!とどこからか聞こえて来たが、愛する妹(仮)の筈がないだろう。
御坂は気を取り直して質問攻めを再開した。だが、今回は言った通り質問の答えが聞けるまで次の問が出ることはなかったため、ミサカは錯乱する必要はない。
「アンタってどこから来たの?」
もしもずっと同じ第七学区内にいたのなら、今まで見かけなかったことが不思議。ならば、どこかの学区からわざわざ第七学区に来ているのだと考えた。
「遠くの病院から来ました」
「え、病気でもあるの?」
返って来た言葉は御坂をかなり慌てさせた。彼女の心臓はバクバクと鳴り響き、汗は大量に流れ落ちていた。聞いてはイケないことを聞いてしまった時の反応そのものだ。
「いえいえ、ホルモンバランスが悪いとか何とかで今は通院しています。ですが、もう退院していいレベルなので、今は居座ってるだけと言っても過言ではありませんね」
「お、驚かさないでよ、病気とかじゃなくてよかったわ」
クールに言ったつもりの御坂だが汗は未だにかき続け、心臓はバクバクと鳴り響き続けている。もちろんミサカにはバレバレだ。
「驚かしたつもりはないのですが.......」
そうは言っても御坂の焦りように心の中では楽しんでいた。
それから他愛もない話を話し合い、もうすでに日は暮れ始めていた。そのとき御坂は自分の失態に気付く。
「あ、私アンタの名前聞いてなかったわ」
それは名前を聞いていなかったこと。
「ミサカはミサカ一号ですよ?」
ミサカはあまり考えずに、一号と名乗ってしまった。
「ん?い、一号?」
御坂が首を傾げたときに間違いに気付く。実験の関係者以外にこの名前を教えてはダメだった。ミサカはその自慢の脳で解決策を探す。考えること僅か一秒、ミサカは完璧な解決策を見つけ出した。
「あ、いいいい、いえいえ、
いちごと名乗ることにしたのだ。
「ああ、いちごね、いい名前じゃない。さすがママね」
「ええ、私たちのお母さんのネーミングセンスは素晴らしいです、ね」
愛する姉に褒めてもらい、顔を真っ赤に興奮している彼女にとっては、小不幸中の大幸いだった。と思う。
漢字は一護にでもしますか笑あはははは
十日以上休んですみません。と、このように遅れてしまう時はTwitterに理由が書かれていると思います。
あとがきはTwitterで書きます。
https://twitter.com/YuteiUT