ジャッジメントですの!に転生したけど おねぇさまぁ!した方がいい? 作:ゆうてい
「知らない天井だ」
目を開けるとそこには、知らない天井が広がっていた。体を起こし辺りを見渡す。どうやら、状況からして保健室で寝ていたようだ。
カーテンを挟んだ隣のベッドから吐息が聞こえた。おそらくシアが寝ているのだろう。
「ほのかちゃんおはよう」
名前を呼ぶ声が聞こえると、カーテンが凄い勢いで開かれた。目を向けると、いつものパンダのぬいぐるみを口元に持ち、笑顔をこちらに向けるシアがいた。
「おはようごさいますシアちゃん」
挨拶を返すと、さらに笑顔を深めて笑ってくる。微笑ましい笑顔にしっかりと微笑んだ相道はベッドに座り直し、それに合わせてシアも姿勢を正した。
「なんで急に倒れたの?」
シアがそんなことを聞く。原因はシアが可愛過ぎたからだと前話でも書いたが、もちろん彼女自身は知らない。だからといって本人に「あなたが可愛すぎたから」なんて恥ずかしくて言えもしない。
相道はその常盤台に入学できるレベルの頭で考える。どうやってこの場を乗り切ろうか、と。
「そ、そんなの決まってるじゃないですか。体調不良ですよ、ただの」
そんな頭を持った口は、一般的な普通のことを言ってしらばっくれた。その結果、座っていた相道がシアによってベッドに強制的に寝させられたのは、勘の鋭い読者に言う必要はないのだろう。
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2人で長い間世間話をしていると、大きな音を立て入り口のドアが開いた。そこから訪丸が顔を覗かせ、彼女はベッドに座る2人を心配し、声をかける。
「2人とも大丈夫なんですの?」
「ええ、大丈夫ですよ」
「大丈夫です」
問題ない旨を伝えると、訪丸はふぅと息を吐き、額に腕を当てた。どうやら話を聞きつけ焦って来たようで、訪丸の額には汗がうっすらと浮かんでいた。友人の優しさに心を暖かくさせながら、3人は同じベッドに座りながら話をしていく。
「そういえば、あの水鏡派の女とすれ違ったのですが、何かお話になったのですか?」
ここで言う水鏡派の女とは先日、喧嘩を売って来た女のことだ。相道は保健室に来る前、その女とすれ違っておりそれを疑問に持った。
「うん、大事なお話があってね」
「そのお話とはなんなんですの?」
訪丸が心底疑問に満ちた顔でそう聞くと、相道も続いて頷いた。少し間を開けた後言うことを決心したのか、シアは2人に向けて叫んだ。
「私、派閥を作るつもりなの!」
返ってきた言葉は2人にとって信じられるようなものではなかった。このヒョロヒョロの少女が派閥を支配できるとも思えないし、それをあの女に話すのもよく分からない。
「あ、あなたが?」
「そう」
「し、シアちゃんが?」
「そう」
やはり、とても信じられるものではなかった。
シアはまだ何か続けようとしていたが、決心が足りなかったのか口をモゾモゾさせながらパンダの人形を見つめていた。
そのことに気付かず、相道と訪丸が応援してるよ。などと言おうとした時、また、ドアが大きな音を立てて開いた。
そこには先ほども話に上がった水鏡派の女が立っている。なんの用かと訪丸が聞くもそれを無視し、彼女は急ぎ足で歩きシアの元まで足を運んだ。
シアのその小さな肩をガシリと掴み耳元へと口を動かし、耳元でゴニョゴニョと何かを話した。シアは強く頷き相道と訪丸の手を掴む。
「私と一緒に派閥を作りませんか?」
相道と訪丸は目を見開いた。どれくらいかと言うと、普段が1とするならば3ぐらいに。眼球の水分が全て飛ぶくらい。むしろ血が出るんじゃないかというほど。目の精度が顕微鏡になるくらい。
それから数ヶ月が経過した訳だが、前述の通りシアが率いる派閥が出来上がった。勢力的にはすでに支倉派、水鏡派ともに追い越し、最大派閥になっている。
理由は簡単、単純に人が多いのだ。今まで無派閥と呼ばれていた人や派閥を抜けた者がシア派閥に入り、派閥メンバーは50人を超えた。
リーダーはシア。そして幹部には相道、訪丸、さらには例の水鏡派の女。
彼女の名前は
さて、シア派閥と言う新しい派閥が出来てから、常盤台は大きく変化した。それは前述の通り、権力の1番強い派閥が支倉派閥からシア派閥に変わったことだ。
2つの大きな派閥がある中、新しい派閥が最大派閥に君臨するとは、流石の常任理事会でさえ思わなかったらしい。
常盤台の最大派閥がシア派閥に変わったことにより、今年の大覇星祭は幾年ぶりの優勝を果たしたり、善良なシア派閥の知名度向上により常盤台の評判がかなり良くなったり。常盤台にとってプラスになることが多く起きたのだ。
それに気をよくした常盤台中学理事長や学園都市理事会は、シアやシア派閥の幹部を雑誌やテレビなどの特集で大きく取り上げ、空前の常盤台ブームが始まった。
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4ヶ月ほど前のことだ。入学予定の中学、常盤台中学で革命が起きたらしい。それくらいの時からだ。テレビを見ても雑誌を読んでいてもシア派閥の話題しか書かれていないなんて事態が起きたのは。
どこに行っても常盤台中学。何を見ても常盤台中学。そんな生活に、御坂美琴は辟易していた。
「ねぇママ、シア派閥って知ってる?」
久しぶりに学園都市に来た母親に、美琴はやけに疲れた顔でそう聞く。久しぶりに娘に会えてにこやかにしてる母、御坂美鈴はここ2日よく聞く名前に反応した。
「少しくらいわね。学園都市に来て2日だけど、テレビでもなんでもよく見るから。美琴ちゃんの先輩になる人達たちよ? 会ったら挨拶はしなさいよ」
う、うん。と美琴が引き気味に言うと、可愛い子がいっぱいいるわよねぇ。と美鈴が続けた。
美琴が引いた理由は、母の鈍感さだ。この2日、一緒にテレビを見ても内容はほぼシア派閥及び常盤台中学関連。他にあるのは合間の小さなニュース番組だけだ。これだけ見て何も思わない母にため息を吐きつつ、シア派閥が映る大きなモニターが目印の店で買い物を続けた。
そして、未だ勢い止まぬ常盤台をさらに勢い付ける出来事が起きる。
それが彼女自身であるとは、この時は知るよしもなかった。
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とある中学からの帰り道、とある男2人がいつも通り話をしながら帰宅していた。
「なぁ土御門、最近気づいたことがあんだけど」
真剣な顔つきで話を切り出した上条に対して、土御門は彼の今までにない真剣な顔つきに、彼もようやく気づいたのだと察し話を促した。
「かみやんやっと気づいたか」
「あぁ、俺思うんだ。お前シャンプー変えただろ」
「あぁそうそう、金髪にしたから髪の痛みは気にしてます。っておい! それか? 数ヶ月も引っ張っといてそれか?」
「ん? 他に何かあるのか?」
土御門のノリツッコミも虚しく、上条は顎に手を当て考え始めた。彼の変わらぬボケ具合に言葉を躓かせながら聞く。
「お、おいおい、お前はテレビを見てても何も思わないのか?」
「そういえば、常盤台中学の特集をよく見るけど」
「そうそれだ!」
ドンピシャに答えを言い当てた上条に、やはり気づいていたか!と土御門は魔術師的な不気味な笑顔で彼の肩を掴んだ。
「おかしく思わないかかみやん。これはおそらく理事会の印象操作に違いない」
「なんだよそれ、根拠はあるのか?」
上条が胡散臭そうな顔で土御門を見ると、
「いやないぜよ。しかし、何か強く匂うんだ」
いつもとは違う低い声でそう言い放った。
レベル4
能力
水鏡派閥からシア派閥に移籍。
相道に挨拶をして無視された人。
水鏡の能力によって大きな胸を作ろうと水鏡派閥に入った。しかし成長期な事もあり、能力に頼らずしてかなり大きな胸を手に入れてしまった。
植物を無条件で生やす能力を持つ。能力名は背後から無音で近づく、肉食獣のような巨大な植物の根が由来。
かなり不器用で常盤台中学生には珍しく料理が苦手。さらには人間関係も不器用で、少し話そうと思うと何故か悪口が出てしまう(同じ派閥の人は普通に話せる)。
胸は手に入れてしまっているので、何を理由に水鏡派閥にいるのかが分からなくなっていた。そこでシアに声をかけられ、今はシアの派閥にいる。
シア、相道、訪丸と同じ1年生。
早く原作行きたいので大幅に話を削減しています。
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