ジャッジメントですの!に転生したけど おねぇさまぁ!した方がいい? 作:ゆうてい
そして、未だ勢い止まぬ常盤台を、さらに勢い付ける出来事が起きる。それは他でもない、二人のレベル5の誕生だ。
総勢72人の少女達が礼儀正しく、綺麗に整列している。その右端の前から5番目の席に茶髪の少女が座っていた。つまらなくて長い理事長の話を聞きながら、退屈そうにしている。
彼女の能力は電気系で、彼女レベルになると常時、微弱な電磁波により周りの動きを感知することができる。この入学式の間も、例外ではない。例えば、理事長の話が5分に差し掛かった頃、少女の三つ隣の列の少女が尿意に悶え始めたことも。さらに5分後、四つ後ろの席の子が隣の席の子に寄りかかったことも。
(な、何やってんのよ///今は入学式の最中よ!?)
まあこのように、結構なことが感知できてしまうのだ。
もちろん感知といっても、彼女自身が無心でいればそんな事は気にしなくて済む。だが、まあ、
(今度は五つ隣の子が前の席の子に抱きついた。どうなってんのよ!)
この状態で無心には入れないだろう。
「——こと。御坂美琴!」
「は、はい!」
今は入学式の真っ最中。理事長による新入生の呼名がある事を忘れずにいよう。そう思う御坂美琴であった。
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まだまだ続く、入学式。今度は理事長の孫が話を始めた。やけに御坂美琴を見ている気がするが、まさかそんなことはないだろう。
どうやら彼は親譲りのモノをお持ちのようで、話はなかなか終わらない。唯一興味が出たのは飼っている犬の話で、家に帰ると自分だけ吠えられるのだとか。
話を聞き流し、あくびを一つした後、左に座っていた少女が同じように退屈そうな顔で御坂に話しかけてきた。
「ねえ、御坂さん。だっけ、あの人結構イケメンじゃない?」
「あ、えっと、何さんだったっけ、さっきぼーっとしてて名前聞いてなかったの」
御坂が申し訳なさそうな顔で謝ると、それを見た相手の女は少し慌てながら謝る必要はないと言った。すぐに御坂が名乗ると、彼女も笑顔でそれに応える。
「初めまして、私は
御坂からして、彼女の第一印象はかなり良かった。黒のショートを真ん中で分けたような髪型はとても可愛く見えて、笑顔も曇りのないモノだったから。
そして話は戻り、理事長の孫がイケメンかどうかだ。
「いやまあ、一般的な顔よね」
「御坂さん意外に辛辣?」
理事長の孫。そう、海原光貴は最初から好かれていなかった。話が長いからである。
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入学式が終わると、校内の案内が始まった。
まず入学式を行った体育館から始まり、そこから紆余曲折、学校を隈なく周り最後には校門に到着した。
ここから向かうのは「学舎の園」外部にある常盤台中学女子寮。
すでに「学舎の園」の内側に住む生徒たちは、もう一つの寮で今日の疲れを癒していることだろう。
バスに乗ること数分、寮に到着した。今は同部屋が誰なのかで生徒は大盛り上がり。それもそのはず、未だに同部屋の組み合わせが明かされていないのだ。
「なんだか緊張するわね」
「だね、御坂さんが同部屋だったら私嬉しいな」
「け、潔斎さぁん」
常盤台中学校の校内を共に見回った二人はもはや、旧知の仲のような関係になっていた。
御坂が目を潤ませながら潔斎の名前を呼ぶと、彼女は微笑みながら御坂の手を取った。
「ねぇ、美琴。私たちもう友達でしょ?」
「き、雪紫ぃ〜」
ズズリと御坂の鼻を啜る音が響き、和やかな空気が溢れる。そんな二人の様子を優しい笑顔で見守る他の新入生達という、少し不思議な空間が広がった。彼女たちの穏やかな微笑みは、初めて足を踏み入れたこの場所での絆の芽生えを象徴していた。
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「よし!じゃあお前ら入学式の並びに並べ」
緊張の瞬間が訪れた。御坂と潔斎は腰のあたりで互いの手を握り合いながら、祈るように瞼を閉じていた。
「今隣にいる人が同部屋になる人だ。仲良くしろよ」
生徒が俄かに盛り上がった。
先生が立ち去ると、御坂は隣に立つ生徒の手を握りなおす。
「きぃよぉしぃ〜♡❤︎♡❤︎♡❤︎♡❤︎♡」
「みぃこぉとぉ〜❤︎♡❤︎♡❤︎♡❤︎♡❤︎」
入学初日にして大親友を手に入れた御坂美琴であった。
シア派閥が発足してから半年ともう少しが経った。依然、勢力はシアの派閥に軍配が上がっている。
時期は4月の真っ只中。入学した人数は、先月の卒業生の数と同じく70人程度。彼女たちはこのような新天地にて学業に励んでいた。内訳としては、
レベル3が60人程度。
レベル4が10人。
レベル5が1人。
そう、その中には超能力者と呼ばれる少女が一人存在していた。
それだけで学校側はウハウハ気分だった。期待し続けた待望のレベル5というわけである。既にシア派閥の売り込みに合わせるように、
しかし、生徒側は少しだけ違った。
超能力者であれば手放しに喜べる、そんな簡単な話ではなかったのだ。レベル5の少女の能力は精神を操るモノだ。そんな少女に誰が近づこうと思うのだろうか。入学式から何週間かが経つも、レベル5の少女。
「はぁ、正直言って暇ねぇ」
昼下がり。食蜂操祈は当てもなく広い校舎を彷徨っていた。周りには、和気藹々と友達と青春を過ごす少女たちが多くいる。その中で1人、食蜂だけがひとりぼっち。どこかで使った表現だが、そこだけ逆スポットライトのようにくり抜かれていた。
授業の合間の時間に気分転換を求めに来たのだが、やはり周りには青春を見せつける少女たちばかりだ。
(私だって能力を使えば友達くらいできるわよ!)
リモコンの入っているカバンを強く小脇に挟む。言葉に反して、この学園内では能力を行使しないという宣言のように見えた。
時計に視線を移すと、針はもう少しで授業開始時間を指すところ。教室に向けて踵を返す。
このまま孤独はいやだなぁ。そんな言葉が彼女の心を蹂躙した。
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食蜂に友達が居ないと思っていた諸君。残念だが彼女には従者を除いて唯一の友達と呼べる存在がいた。それは食蜂の同部屋に住む少女である。少女といっても、食蜂に比べれば体は大きい。特に胸元の主張はその歳にしては反則級。生物学的にはロリ巨乳とでも分類されそうだ。
射干玉の長髪は人の視線を惹き寄せるようだった。黄金に輝く瞳はガラス細工のように宝石を思わせるもの。
「こうして支倉さんの派閥に入ることになったわけです」
少女はことの経緯を話す。
派閥に入ると言うことは常盤台中学においてステータスのようなものだ。レベル5ともなればそこに身を置く必要はないが、彼女以外においては必要になってくるものだ。
「なるほどねぇ、でもそんな荒くれ者しか居ないイメージの派閥に入ってよかったの?」
「そんな心配はいりませんよ。支倉さんは話してみれば慕われているのがよく分かる人でしたから」
「確かに、頼れる姉御みたいな人なのは分かるけどぉ」
「そうだ、食蜂さんもそろそろ派閥に入ってはどうですか!仲良くなれるかもしれませんよ」
「私には派閥なんて向いてないわぁ。今までの通り一匹狼として生きていくの」
はぁ、とため息を吐いた少女は食蜂と向き合った。
「食蜂さん、あなたにまだ私以外のご友人が居ないのは、能力のせいだけじゃないと思いますよ」
「目と目を合わせて言われると悲しいわねぇ……。そういう性格なのよ?
う、そんな目で見るんじゃないわぁ。分かった、分かったからぁ。
「それじゃ遅いです!夏までに友達を作って私に会わせてください!」
五月も目前の四月の最終日。期限はあと三ヶ月といったところ。さて、本当に間に合うのだろうか。
そして、食蜂がピンク髪の少女と出会うのはこれから、一ヶ月後のことである。
五月一日、この日は入学して初めてのシステムスキャンの日だ。新入生72人が一同に会するこの場は緊張感が漂っており、まさに戦場と言えるだろう。
そのなかで、一際目を引く少女がいた。少女は用意されたパイプ椅子に足を組んで座ると、能力測定器にカバンから取り出したリモコンを向けた。
彼女の能力を知らないものは居ない。学園都市に五人しか居ない超能力者の一人であるという肩書きはそれだけ巨大なものだ。それが末席であろうと、彼女を忌み嫌う者は確かに居た。
しかし今日、本当の意味で格の違いを見せつけられるのだ。
ぴっ、と軽快な音が響いた。
周りを囲んでいた教師たちがおおっと声を上げる。
そして、今回もまた、超能力者の角印を押されたのであった。
バリバリィ!
広大なグラウンドの中央で、大きな雷が轟音を立てながら突如として落ちた。驚きに満ちた瞬間、ある者は悲鳴を上げ、ある者は腰を抜かした。恐怖と不安が一斉に漂い、周囲の新入生たちはその大雷に固まってしまった。数瞬の間、静寂が支配し、彼女らの心臓が激しく鼓動するのが聞こえた。
ただひとり、食蜂操祈だけが雷を落とした少女を震えた目でじっと見つめていた。彼女の表情は驚きと戸惑いに満ちていた。
「にてる。あの子が成長したみたいに……」
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夏休みってこんなに忙しいものでしたっけ、、、
とにかく遅れてすみません。
あと、登場人物の名前を変更しました。これもまた申し訳ないです