ジャッジメントですの!に転生したけど おねぇさまぁ!した方がいい? 作:ゆうてい
五月上旬
御坂美琴がレベル5になってからすぐの事、御坂はとある公園の自動販売機に万札を飲み込まれていた。
「え、あれ?うそって言ってよ!万札よ!?」
現実は悲しいものだ。どれだけものを言っても飲まれた万札は出てこない。
「ま、万札よ?1000円札の十倍。100円玉の百倍。10円玉の千倍。1円玉の一万倍。ふはは、ふへへ、あは、終わった」
ガチャガチャと自動販売機をいじくるものの、やはり万札は出てこない。やはり終わった。そう天を仰ごうとした時、誰かの声が聞こえた。
「おーい、そこの期待の新入生」
女性の、かなり元気な声だ。誰に話しているのかは分からないが、自分の可能性もある、と念のため御坂は声の聞こえた方を向いた。
「お札でも飲まれたかぁー?」
常盤台の制服を着た金髪ギャルがこちらに手を振っていた。しかし、制服というには色々と足りていなかった。シャツのボタンは第二ボタン以外が空いていて、半分以上の肌が晒されている。学舎の園でなければ通報ものである。御坂にはゲコ太風の髪型に見蕩れて気づいていない様子だったが。
知っている人ではなかったが、目のやり場に困った彼女が頭を下げると、ギャルは勘違いしたのか手を上げて、ヨッ!と元気に挨拶をしてきた。見た目に反してちゃんとしている人なのかもしれないと考えた御坂は挨拶をする。
「ど、どうも」
「あぁどうも。ちょっとどいてミソ」
「え、ミソ?あ、はい」
「こういう時は〜、伝統に則って」
御坂は押し付けられたカバンを両手で抱えるように持つ。自動販売機の前で軽くジャンプをしているギャルの揺れる胸に目を奪われていると、急にギャルが一回転して、
「ちぇいさー!」
バコンっ‼︎
ギャルの回転上段蹴りが自動販売機に当たっていた。大きな音が止んだ後、衝撃が伝わったのかゴトリと音を立てて飲み物が出てきた。丁度二本、人数分が。
「えぇぇえー!?なにやってんですか!」
「まあ、長年やってりゃこんなもんよ」
「あ、あの、これ大丈夫ですか?」
「ん?」
御坂の心配虚しく、公園に大きな警報が鳴り響いた。
♦︎
警報の聞こえない、少し離れた公園に逃げてきた二人は椅子に座りながら話をしていた。御坂はまだアンチスキルを警戒しているのか、小声で話している。
「御坂」
「あ、はい。って私のこと知ってるんですか?」
「そりゃ知ってるよ。なんてったって常盤台長年の悲願、超能力者の輩出。それが君だもの」
確かに、今はシア派閥と同時に御坂と食蜂を推す教員も増えていて、それゆえ派閥の力も微妙に下がっている。
「君は今、食蜂操祈と並んで有名だよ。レベル5としての自覚は持っといたほうがいい」
「いやぁー、超能力者最弱だの、
「やっかむ奴はどこにだっているもんさ、たとえお嬢様学校でもね。現実はこんなもんだよ、夢見る子達もいるだろうけど。てか、あんなでかい雷落としといてレベル4はないかな〜」
「レベル5としての自覚、ですか……」
そう小さく呟く。
御坂にはまだ、何のことかわからなかった。
女が学校へ向かっていくのを見て、足を進めた。
超能力者である御坂美琴と、私──潔斎雪紫の二人は現在、プールの授業前のシャワーを浴びていた。周りには同じ寮の生徒達がシャワーを浴びているが、美琴ちゃんがレベル5になってから、少し距離が離れた気がしなくもない。羨ましいと恨めしいはここまで紙一重なものだっただろうか。
それはさて置いておいて、常盤台は派閥という組織によって大きく区分されている。それ故派閥に入っていない人間など珍しく、もっと言えば派閥の詳細を知らない人間など本当に限りなくいないのだ。
そのはずなのだが、そんなことには興味が無い御坂美琴は派閥にも入っていない。さらに派閥の詳細もほぼ知らないようだった。世間知らずにも程があるだろうと、私は言いたい。
「きよしちゃんの派閥講座‼︎」
御坂は一旦無視をしようかと思ったが、彼女なりの良心が痛みを訴えた。一拍おいて、シャワーにギリギリ負けない声量で答える。
「なによそれ」
「そのまんまだよ。美琴ちゃんは派閥について全く知らないでしょ?」
潔斎の言葉に少しずつ、嫌な記憶が掘り返される。
「ウ、テレビシアハバツシカウツッテナイ。ヨウツベキュウジョウショウシアハバツシカナイ。ザッシノトクシュウシアハバツ。ゲコタノコラボモシアハバツゥゥゥゥアアアァァァアアァァ!!!!」
「あ、うん。確かにシア派閥は知らない人いないよね」
狂ってしまった御坂を軽くあしらい、シャワーから出た潔斎は御坂を待ちながら話を続ける。
「数ある派閥の中でも、図抜けて人が多い上位三つの派閥は常盤台三大派閥って呼ばれてるんだよ。
まずはその中でも最大人数を擁し、最も
「マジェスティ?」
御坂が聞き慣れない言葉に首を傾げる。
「そう。最大派閥を一年以上、かつ卒業まで維持した派閥を率いた者に与えられる称号。
「へー、じゃあシアさんはこのまま最大派閥を率いることができたら、雲の上の存在なわけね。今のうちに胡麻をすっておこうかしら」
狡賢い!と二人で笑い合い、先生が来るのを待った。数分後、先生が来て指示を出し終わると、話の続きを始める。
「シア派閥は主にボランティアのような慈善活動をしているの。常盤台の評判は彼女のおかげでかなり良くなったみたい」
「あぁ確かに、ロコミで五つ星が一気に増えた時があったわね」
「そうそう、それもシア派閥の影響ね。
ちなみに、最大派閥のてっぺんは女帝と呼ばれるのが定説。シアさんは体が弱いから保健室の女帝って呼ばれてるよ」
「な、なんかいやらしいわね……」
「ん、それどういうこと?」
「あ、あぁ!なんでもないわよ!別に保健室は休むための部屋だしね」
「う、うん。続けるよ?
次は、三年生
「へー」
女性からすれば最高に魅力的な能力なのにも関わらず、御坂は興味がなさそうな反応をした。そこに違和感を感じたのか、潔斎は御坂のまな板を半目で見ながら質問した。
「あれ、美琴ちゃんは体型とか気にしない系?」
「まだ中学にあがったばっかだしスタイルとか気にしてもしょうがなくない?能力でそういうのをどうにかするってインチキくさいし。
「なんでそんな壮大な死亡フラグ立てちゃうかな.....」
「ん?まぁ、大丈夫でしょ」
「あ、これダメなやつだぁ」
潔斎雪紫は御坂美琴の悲しい未来を見通していた。
♦︎
「で、最後は私が所属している、支倉冷理先輩率いる支倉派閥ね。自分で言うのもなんだけど、三大派閥では一番古い派閥だよ。でも、他の派閥に抜かされちゃったの。周りを蹴落としてでも上に行こうとしてる派閥なんだけど、それが仇になったのかな」
「なるほどねぇ。あ、そういえば今日一緒に登校した先輩が居たんだけど、すっごい格好のギャルな人!あの人はどの派閥にいるの?見事な回転上段蹴りだったから気になって」
「あぁ、そりゃルリ先輩だよ」
「ルリさん?」
「
「手を焼くって、あの寮監も?」
「うん。寮監から逃げ切れたのはルリ先輩だけだね」
「うへぇ、そりゃ派閥の人たちも勧誘したがるわけだ」
「そうそう、多分美琴ちゃんも勧誘されるんじゃないかな?」
「んー、派閥かぁ。興味ないなぁ」
「だよねぇ、支倉派閥に美琴ちゃんが入れば良い梃入れになるんだけどね。そうだ、もう一人の
「あぁ、話したことはないけど、お人形さんみたいに綺麗な子でしょ?」
「そうそう、その子なら入ってくれるかなぁ。でも能力のせいで少し勧誘し辛いというか」
「今度会ったら話してみる?興味もあるし」
「そうだね、なんでそんなに可愛いの?とかね。
あ、もう部活の時間だ!」
更衣室で着替えていると、潔斎は血相を変えて走り去って行った。御坂の着替えが終わり、ふと視線を落とすと机の上に、月の形をした何かが残されていた。
「これって、雪紫のだよね」
その何かを握りしめて、御坂美琴は歩き出した。
更衣室を出て周りを見渡すが、もうそこには潔斎の姿は見えない。携帯を取り出し彼女の部室へ向かいながら、潔斎の携帯に電話をかけてみる。しかし、電話は繋がることはなかった。
すぐに忘れ物の連絡をしようとメールアプリを開くが、下を向いていたせいか他の生徒とぶつかってしまった。
「おっと!ごめんなさい」
御坂が謝る。するとぶつかった生徒——3人の少女はこちらを横目で見ながら御坂を何故か嘲笑った。
「今のが例のレベル5……おっと!ですって」
「謝ることはできるようですが、おっと!ってねぇ……」
「能力が強くても、この学校に見合うような所作は備えてないようですね」
どんどんと歩いていく3人は聞こえていないとでも思ったのか、御坂のことを悪く言い始めた。
もちろん御坂に聞こえていないはずもなく、3人の内リーダー格であろう女が「きっと計測器の故障でしょうね」に対して「彼女がレベル5なら、私たちでもレベル5になれそうですわね」と言ったのも聞こえている。
そこで御坂は思い出す。今朝、ルリ先輩に言われた言葉を。
やっかむ奴はどこにでもいるもんさ たとえお嬢様学校でもね
「はぁ、まったく、その通りってわけねぇ」
御坂が嫌味を言われて黙っているはずもない。磁力を使い天井にくっつくと、そこから、先に進んでいた3人の目の前に落ちる。その時驚かす声を出すのも忘れずに。
「わっ!」
「「「キャァ!」」」
計画通り3人は簡単に驚き、腰を抜かしたように地面にへたりと座り込んだ。先程までの悪い顔をした少女とは打って変わったように表情を変え、今はまるでオバケに恐怖する少女のよう。
「座り方は可愛らしいけど、パンツを曝け出したままなのはお嬢様としてどうなの?」
御坂が呆れながらにそう言うと3人はまた表情を変え、スカートに手をやってそれを隠した。
「私の力が信じられないのなら、一回手合わせでもしてみるかしら? いちご柄ちゃん」
「だ、誰がそんな野蛮なことをっ!それと今日はたまたまこれを履いただけですからね!毎日じゃありませんから!」
いちご柄を履いていた少女が、顔をタコよりも紅くして叫んだ。
電気をビリビリと発しながら一歩一歩と近づいてくる御坂に3人は、蜘蛛の子を散らすように逃げて行く。流石にこれを追いかけていくほど御坂も悪い人ではない。
「んー、これはたしかに、メンドーかもしれないわねぇ」
先が思いやられる。しかし、それでも彼女が思っているほど彼女の未来は甘いものではなかった。そう知るのはまだまだ先のことだった。
♦︎♦︎♦︎
御坂が向かった方向の反対側には、かなり広い庭のような場所がある。そこには特に何かがあるわけでもなく、ただ芝の地面が広く敷かれているだけだ。
緑の芝生の上には、一人の少女が静かに座っていた。彼女は携帯電話を手に握りしめ、真剣な表情でその画面をじっと見つめていた。何を考えているのか、彼女の内面を知ることはできないが、少女の顔には微かな陰りがあり、何かを後悔しているようにも見えた。携帯電話には、彼女にとって重要な何かが秘められているのだろうか。
携帯はメッセージアプリが起動していた。画面には一つの着信履歴と新たなメッセージが浮かび上がっていた。メールを開くと、少女と同部屋の子が部室まで忘れ物を届けてくれると書かれていた。
「ごめんね美琴ちゃん」
少女——潔斎雪紫は笑顔をつくり、とある女へと電話をかけた。それが新しくできた、一番の友達を裏切る行為だとしても。
電子音が優雅に鳴り響くそのコールは、心地よいリズムで二度響き渡った。
『どうしたの雪紫さん、もしかして超能力者のお話かしら?』
繋がった電話に応答するのは大人びた声の女だった。
「美琴ちゃんがルリ先輩に会ったらしい、です。多分偶然だとは思いますけど」
『そう、今はまだ問題ないわ。でも、超能力者とルリがね』
潔斎の言葉に驚くこともなく、女は冷静に分析する。
『もしかしたらあの子が……』
「またあの子って。いったい誰なんですか?」
彼女との通話で何度も聞いた、あの子と言う言葉。
例の如く、今回も教えてもらうことはできなかった。
『あなたに話せることではないわ』
「…………わかりました」
話さないのは理由がある。何事にも理由がある。
プツリと電話を切った潔斎はそのまま寮に帰ることを決めた。
「なんか、やってられないなぁ」
なんだかどっと疲れた気がする。
いいや、気のせいではないのだろう。
命令で作った偽りの友情のはずだったのに。
裏切るのは簡単なはずなのに。
心は痛みを増すばかりだった。
♦︎
潔斎へメールを送った後、御坂は彼女の部室を訪れていた。しかしそこに潔斎の姿はなく、同じ部活の生徒に話を聞いてみてもまだ姿を見ていないようだった。
潔斎が部活に向かってから御坂が追いかけるまで全く時間の差はない。3人組に絡まれた時間を考慮すると、彼女がここに着いていないのはあり得ないことだ。
「まあ、同部屋だし寮で渡せばいいか」
未だにつかない連絡に少し焦りもあったが、結局は同じ部屋に帰るのだと気づいた御坂は帰路についた。
○ 頂の集い
常盤台はとても入り組んでいる。学校だというのに廊下が十字路になっているのはとはや当たり前のこと。数年働いた教師が離任の日に迷ってしまうなんてことは珍しいことではなかった。
御坂は潔斎の忘れたアクセサリーを手に持ちながら下駄箱へと歩いていた。そのとき、御坂の右手から長身の見覚えのある女が現れた。彼女は御坂の手を一瞥すると、パンダのぬいぐるみを構え話しかける。
「珍しいアクセサリーをお持ちですね」
御坂に近づき興味深そうにアクセサリーを見る女は、やはり見覚えがある。
「こ、こんにちは。シア先輩ですよね?」
「あら、知っているんですか? 私も有名になってしまいましたね」
シアはわざとらしく、おほほと口に手を当てて言う。
御坂はなんて可愛い子なのだろうと内心思った。
「そりゃそうですよ。テレビでもよく見てましたし」
「そうですか、テレビはあまり見ないので知りませんでした。おっと!皆さん集まってしまいましたね」
お嬢様でもおっと!って言うじゃない。などズレた思考を止め、御坂は左と前方から歩いてくる誰かを見た。彼女たちもシアと同じように御坂の目の前で止まった。三大派閥の長たちである。
「おいシア、勧誘か?」
茶髪ロングを垂らした美女——
「いえ世間話を少々、うちはもう勧誘はいたしませんので。元々私の派閥は友人と楽しむために作ったモノです。それなのにどういうわけか大所帯になってしまいまして」
「ぐうっ!やっぱり腹黒いわねアンタ」
一瞬で追い抜かれてしまった支倉は思うところがあるのか、綺麗なぐうの音を披露する。
「はぁ、どうでもいいけど、くだらない政治ゴッコで道塞ぐのやめてくんない?」
金髪三つ編みにそばかすの美少女——
「アンタもその一員でしょ!」
支倉さんはもうツッコミ担当だと言うことがわかった。彼女ははぁはぁと息を切らしながらもう嫌だと呟いている。
水鏡は派閥にあまり興味が無いらしく、支倉のツッコミを無視してどこかへ歩いて行った。
それに続くようにシアも、またねの言葉を残して去って行く。
この場には御坂と支倉、それと彼女の派閥幹部が四人が残っていた。支倉が幹部に帰るように言うと二人になり、少しの沈黙が場を包む。
「超能力者、ちょっと付き合いなさい」
「タイマンですか?」
「アホか」
嬉しそうな顔でタイマンを望む中学一年生。
これが御坂美琴の正体であった。
支倉の後を着いて行くと、裏庭へたどり着いた。
中央には綺麗な二匹のイルカの銅像が建っている。その周りにベンチがいくつか並べてあり、昼休みならばここはかなり賑わうのだが、いまはその気配すらしない。
「そうだ、私のこと知ってる?」
質問したのは支倉。意図は特に無い。支倉もまさか御坂が自分のことを知らないとは思っていなかっただろう。なんて言ったって支倉はあの三大派閥のリーダーなのだから。
対して御坂は額から汗をながら考えている。潔斎から三大派閥長達の能力などは聞いていたが、容姿については全く聞かされていなかったからだ。
だが、わかる!完全にわかる!
水鏡の能力は胸を大きくできる素晴らしい能力。目の前にいる茶髪ロングさんは胸が大きい。それに対して金髪三つ編みのそばかすさんは、あまり大きくなかった。こんな能力を持っているのに、自分の体を煩悩の塊に、つまり胸を大きくしないなんてことはないだろう。
ならば答えは出た!
胸の大きい方が水鏡先輩だと!!
「もちろん!水鏡先輩ですよね!」
「……いや、支倉よ。支倉冷理」
「…………ぁれ?」
御坂の考えは虚しく外れる。呆れた支倉が御坂をどやしても、それすらも聞こえていない。
どうして? 水鏡先輩はなんで自分自身に能力を使わなかったの?
彼女の思考は今、これで埋まっているだろう。無理もない。
「私と勝負しない?」
支倉の言葉で引き戻される。気を取り直し、御坂はなんの勝負なのか聞いた。
「言っとくけど喧嘩じゃないわよ。あそこの的をこの球で貫けばいいだけだから」
支倉は貫くだけと言ったが、それ自体がかなりの難易度だ。的を破壊するのではなく貫くことが目的。もし御坂が手加減せずに能力を打ち付けてしまえば、的ごと消滅するのは確実だ。
「お手本とかできます?」
御坂が図々しくお願いすると、支倉は金属の筒を持ち腕を的へ向ける。ボンッ!と音が鳴るとすでに的には穴が空いていた。筒に詰めた金属球を彼女の能力で射出したのだろう。
「どうよ」
支倉が大きな胸を張って御坂に自慢するが、御坂には見えていなかった。彼女は思考の渦に巻き込まれていた。
距離は五十メートルほど離れている。
雷撃では手前にある鉄製バリケードに避雷針のように引っ張られて、的に届かないのがオチだ。
磁力操作なら的に命中こそできるが、支倉のように貫くことは難しいだろう。
つまり、彼女の真似をして
目標に向かう二本のレールをイメージして、磁力線を的に向け伸ばす。その上を滑るように突き進む金属球を幻視した。
「これならいける!」
御坂は確信する。
バチバチと紫電が体表を迸り、それが彼女の手元の一点へと集まる。
手に持つ金属球を、親指で想いのままに弾いた。
金属球は彼女の造った二本のレールに従い真っ直ぐ的へと‼︎
進むことはなかった。
磁力のレールを最初の一歩目から脱線した金属球は進行方向を変え、地面にぶつかりゴッヴァァと鼓膜を破裂させるような音を立てた。さらに、地中に潜ったそれはズガガガガガガガガが!!!!!!!と地を揺るがしながら進んで行った。
「えっ」
風圧に負けた支倉が、数メートル先を風船の如く浮かんでいる。数秒間の浮遊ののち、地面へ打ちつけられた彼女が小さなうめき声をあげる。
強い風によって土は舞い、電気熱で芝生は焼き焦げた匂いを撒き散らした。倒れている支倉と裏庭の惨状を御坂の視線が行き来する。
「えっ?」
まるで災害の後のような光景に眩暈がする。幸いなことに、金属球は御坂の能力に耐えられず溶け消えていたらしく、校舎まで影響は及んでいなかった。
だが、御坂は自分が
「えっ??」
支倉はようやく体を起こすと、一思いに叫んだ。
「御坂あああああ!!!殺す気か!!!!」
その叫び声は先の御坂の能力よりもっと強くて、とある最強の魔術師がビーカーの中を三回転半回るほどだったのだとか。。。
支倉とのあれこれが予想よりかなり時間を使っていたらしく、気づいた頃には空が赤く染まりかけていた。ちなみに裏庭は支倉の部下が能力を使い、なかった事にしているので問題はない。
帰りはかなり遅くなり、どうせなら彼女と一緒に帰ろうと携帯を開いた。しかし、画面に映る潔斎からのメッセージにはすでに帰っている旨の内容が記されていた。
「遅くなっちゃったわね」
御坂が一人呟く。返答はない、その筈だったのだが。
「なら私と帰る?」
「ひえっ」
「そんなに驚くことはないだろうが、御坂」
ぬるっと御坂の肩口から覗いて来たのは、今朝一緒に登校していたルリ。暗くなり肌寒いのにも関わらず、シャツ一枚を羽織るだけのかなり攻めた服は健在だ。
「こ、こんにちは。ルリ先輩」
「お、名前は誰かに聞いたんだね。まあ改めて、
朝と変わらず、絡みやすいのか絡みづらいのかわからないノリで下駄箱まで一緒に移動する。この道中で、御坂がルリと呼び捨てにするのを恥ずかしがるという最高の光景が見れたのは内緒だ。
「それで、今日はどうだった?」
「えっと、どうだったって?」
「ほら、朝言ったでしょ?やっかむ奴らがでてきたんじゃないかなって」
今日あった出来事を思い出す。例の三人組には完全には嫌われている気がしたが、派閥の長であるシアと支倉には案外認められていると思っていた。
「あー、居たには居ましたね」
「まぁ、私は御坂のこと認めてるから、何かあったら言いな。はいこれ連絡先」
携帯を突き出したルリは、御坂に携帯を出すように催促する。御坂は携帯を取り出そうとするがその時、ルリの秘密を知ってしまった。
「あああぁぁァあぁぁゥゥぁ!!!??」
瞬間、御坂の叫び声が轟く。ルリはあまりの声量に屈んで耳を塞いでいた。
御坂は屈んだルリの手元をじっくりと見つめ、そっと、そーっと近づいて行く。ルリは猫のような顔をして近づいてくる御坂に、恐怖を感じたのかじりじりと後退って、ついに、背中が壁にぶつかった。
もう逃げ場はない。ルリが能力を使って逃げようとした時、御坂は懐から何かを取り出した。それは、銃。などではなくただの、いや、カエルをモチーフにした幼稚な携帯だ。
「ふふふ、ルリってゲコ子推しなのね」
「な、み、御坂、お前はゲコ太推しなのか」
「「ふふふ」」
同志、それに気づいた二人はもう遠慮しない。さっきまでとは打って変わる。緑とピンクの携帯が交差する。
「ねぇルリ、明日ゲコ太のイベントあるじゃない」
「そうだな御坂、一緒に行く?」
「うん。やっと見つけた同志」
「これからもよろしくね」
「ただいまー!」
御坂は寮に帰ると一目散に潔斎の元へ行った。
「今日ルリが同志だと気づいちゃったわけよ!」
「よ、呼び捨て?」
潔斎は急過ぎる二人の展開に驚くが、御坂は気にすることなく話し続ける。
「明日は土曜日、ゲコ太のイベントよ!ルリと出かけてくるから!」
潔斎は戸惑う。展開が早過ぎるのだ。御坂に友達ができたことは素直に喜ぶべきことなのだが、それができなかった。
罪悪感を覚えながらも、彼女は命令に従う事を決めた。
「う、うん。気をつけてね」
「そうね、限定品ゲコ太とゲコ子が先に誰かに取られないように、すっごく気をつけるわ!」
「そういう意味じゃないんだけど……」
♦︎
深夜、御坂は明日のイベントのためにぐっすりと眠っている。その隣のベッド、その上には本来寝ているはずの少女の姿がなかった。
「はい、わかりました」
やけに響きこもった声だった。風呂場だろうか、その方向からぷつっと通話の切れる音が響く。
「はぁ」
そこには暗い顔をした潔斎が居た。お湯に浸かりながら思考に思考を重ねる姿。
「ほんとどうしよ」
一番の友達を裏切り、自分の身を保全するか。
自分の身を危ぶむことで、友達を守るか。
彼女は決めることが出来なかった。
レベル4
能力 ???
能力は現在不明。しかし、体術に関してはあの寮監を抑えて現在の常盤台中学で随一。
スカートと短パン。そしてルーズソックス。完全に御坂に影響を与えた人物。
シャツ以外は何も着ず、スカートの中には短パンという痴女感溢れる服装でそこら辺を歩いている。白井さーん、ここでーす!
日焼けサロンに行っているのか、肌は褐色。とても良い。
髪は金色に輝いており、髪型は熊の耳。と聞いて思い浮かべるやつ。ゲコ子をモチーフにしたモノらしい。
派閥は作っていないものの、彼女を慕う者は多い。最近は御坂とよくいるところを見かける。
支倉はシアをスカウト失敗し、さらには御坂も失敗したのでルリに的を絞っているらしい。まあどうせ無理だろう。
レベル3
能力
蒸気を体のどこからでも出すことができる。熱気は100℃超まで上げることが出来るが、まず出す機会は来ないのでは?蒸気は目眩しにも使えるため、バトルの際はサポーターとして本領を発揮する。
支倉派閥に所属しており、下っ端。
御坂の情報を流しているのは支倉派閥ではない。
能力強度的には3なので、常盤台だと普通。しかし勉強に関してはかなり上位で、単純な学力と雑学なら御坂をも超える。
友達思いのいい子。なのだが、今はかなり揺れ動いている。
レベル4
能力
え、誰?
そう思っているあなた、いちごパンツちゃんです。
知名度は微妙だが、原作キャラ。時には婚后さんを転げ落としたり、バルーンハンターでは出オチ感のあるキャラクターを演じたり。
常盤台に47人しかいないレベル4を、多分一番無駄に使っている。
だが、とある科学の超電磁砲の最新巻(予定)では御坂にパンツ(ショーツ)を見せびらかした。残念なことに読者はもう少しアングルを下にしろぉぉ!!!と叫び散らかしたが。パンツのおかげで株が大暴騰。
少しだけ鋭い目付きとショートカットの彼女は、魅力が詰まっている。そして、、、恥ずかしがった顔のギャップが素晴らしい。ぜひ皆さんも見てください。
能力は念動力。物体の中に念力を送り込むことで、物の操作を触れることなくできる。バルーンハンターに置いて、玉を同時に十個以上も操っており、能力の強度は言わずもがなである。
御坂に絡んだのはたまたまぶつかったから。根は悪くない。実際、今後彼女は物語に、、、、。
NEW!! 御坂 Aカップ(以後変化なし)
いやいや、まだ入学したばっかよ?(死亡フラグ)
食蜂 Aカップ
ふふふ、私には未来があるわぁ!
NEW!! 潔斎 Bカップ
美琴ちゃん……私、未来が見えたよ……
NEW!! ルリ先輩 Eカップ
この格好?暑いからだよ
NEW!! シア Fカップ
一年前からすると、身長は15センチ伸びて、お胸は四つくらいカップが変わりましたね
NEW!! 支倉 Fカップ
くそっ!揺れて邪魔だぁ!
NEW!! 水鏡 Cカップ
はぁ、胸がステータスになんかなるわけないでしょ?
NEW!! 切斑 Cカップ
あ、あれ? アニメではもっと大きかったのに!
(漫画だとまな板だからアニメ版くらいにした....)
三話連結潔斎講座大作戦超電磁砲誕生秘話