また、ふざけた長文サブタイトルですが、理由は前回と同じく、何にも思い浮かばなかったからです。
たた、次回は長いですが普通のサブタイです。サブタイトルだけはこれを書いてる途中に思いついたので。
それでは、第14話をどうぞ。
班別対抗試験に勝ったのと、アノスがお嫁さんを連れてきたーーイザベラさんとグスタさんの勘違いーーお祝いということで、イザベラさんが腕によりをかけてご馳走を作ってくれた。
サーシャは負けたのに祝勝会に参加するのは腑に落ちないとぼやいていたが、イザベラさんの手料理を口にした途端、黙り込んだ。
「それでそれで?アノスちゃんはなんて言ってサーシャちゃんを班に誘ったの?」
結局、イザベラさんの誤解を解くのは難しく、俺やミーシャの時と同じようにサーシャは質問責めに合っていた。
「別に普通だわ。俺の配下になれって、それだけ」
「いやあああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!配下になれ?配下になれって、なにそれなにそれ?そんな不器用な男っぷりを見せつけられたら、女の子はイチコロなんだよぉぉ!!」
イザベラさんの黄色い悲鳴を聞き、サーシャは手に負えないといった表情を浮かべている。
「理由は?アノスちゃんがサーシャちゃんを誘った理由ってなに?」
「・・・別にないわ。ただ戦力になるからでしょ」
「あ、なあに?今の間、怪しいぞー。ミーシャちゃん、どうなの?」
ミーシャはもぐもぐと野菜サラダを飲み込んだ後、淡々と言った。
「・・・お前の
「そんな綺麗な魔眼は見たこともないと言っていたな」
「そっ、そんな殺し文句言っちゃったら、絶対惚れちゃうよぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!! もうっ、アノスちゃんの天然ジゴロォッ。不器用からのギャップすごすぎ。このこのぉ」
またも、黄色い悲鳴・・・いや、歓声を上げる。
「もう、ミーシャ。余計なことを言わないでくれるかしら?」
「・・・だめだった・・・?」
ミーシャに訊き返され、サーシャはハッとしたように顔を背ける。
「別に。後、貴方も余計なこと言わないで」
「へいへい」
喧嘩をしていたのに、うっかり口を利いてしまったといった表情だが、そんな二人の様子をイザベラさんは完全に誤解し、ハラハラしたような様子で見守っている。後、ミーシャの言った事を補足した俺は釘を刺されました。
後、サーシャへの結局、誤解は解けないままだったのだが、これで良かったのだろうか。まぁ、アノスやサーシャがそれで良いなら良いんだが。
さて、祝勝会も終わり俺達は帰宅するのだが、アノスが送ってくれる事になった。アノスが工房に居るグスタさんと話している間、2人の様子はというと・・・
「・・・・・・」
「・・・・・・」
無言である。ミーシャは元々口数が多い方ではないから分かるが、サーシャはミーシャとは対照的に口数が多いイメージがある。そんなサーシャが無言というのは、違和感しかなかった。
それから、10分程無言が続いた。流石にこれ以上、無言の空間が続くのは耐えられないからなんか話題を振ろうとした時だった。
流石に我慢出来なくなったのか、サーシャがぼそっと呟いた。
「遅いわ」
「・・・ん・・・」
それからまた、しばらく無言が続く。
「ねぇ」
「ん」
「・・・今日は珍しく話したわね」
「ん」
「ミーシャは、アレが好きなの?」
「・・・アレ・・・?」
「だから・・・アノスよ」
ミーシャは、しばらく考え込む。
「・・・好き・・・」
「ふ、ふーん。どこがいいの?」
「・・・優しい・・・」
「どこがよ?班別対抗試験では悪魔みたいだったわ」
いや〜アノスもだいぶ手加減した方だと思うぞ。無論、俺も。
「・・・敵には厳しい・・・」
「そ。一貫性のない奴だわ」
また、無言が続く。もう、姉妹水入らずで会話してほしいので無言でもアノスが来るまでは黙っていようと決めた俺はライドブッカーを取り出し、ライダーカードを見ていた。
量が多過ぎてまだ全然把握してないから丁度良いや。ライダーカードを取り出して見ながら、2人の様子を見ていると、ミーシャが口を開いた。
「・・・サーシャは・・・?」
「なにがよ?」
「アノスが好き?」
「はぁっ!?そんなわけないでしょ。ありえないわ」
顔を真っ赤にして全力で否定するサーシャ。
「・・・そう・・・」
「そうよ」
ミーシャは、サーシャの目をじっと見る。
興奮したからか、サーシャの瞳には〈破滅の魔眼〉が発現していた。
「でも・・・」
サーシャが小さく呟く。
「・・・私の目をまっすぐ見られるのはアノスぐらいだわ・・・」
独り言のように、サーシャは言った。
「・・・ん・・・」
「ほんと、頭おかしいわ。私の
一旦言葉を切り、またサーシャは口を開いた。
「同じ
ほんの少しだけ、サーシャは微笑んだ。
「それだけ」
「・・・わかった・・・」
サーシャはじっとミーシャを見つめる。
ミーシャも目を逸らそうとはしなかった。
「そういえば、ミーシャも同じだったわね」
「・・・同じ・・・?」
「私の目をまっすぐ見られるわ」
こくりとミーシャは頷く。
サーシャの〈破滅の魔眼〉で影が薄いかもしれないが、ミーシャの魔眼も中々のものである。話を聞く限りだと、ミーシャの魔眼はサーシャの<破滅の魔眼>に対して、抵抗力みたいなのがあるのだろう。
俺は普通に面を合わせたら多分、自壊するので班別対抗試験でもやったように破滅の魔眼が発現した状態で面を合わせる時は、反魔法を展開して面を合わせている。
「覚えてる? 小さい頃、私はこの
「・・・覚えてる・・・」
サーシャは俯き、思い出すように言った。
「誰も私の視界に入ろうとしない中、ミーシャだけが私の側にいてくれた」
「一緒に練習した」
懐かしむようにサーシャは笑う。
「そうね。おかげで、目を合わせさえしなければ、うっかり誰かを傷つけることもなくなったわ」
「サーシャはがんばった」
言葉はなく、サーシャはただうなずいた。
「ねぇ、手・・・繋いでも良いかしら?」
「・・・ん・・・」
ミーシャが手を差し出し、2人は手を繋ぐ。
「懐かしいわ」
「・・・私も・・・」
「昔はいつもこうしてたわ。私が牢獄の外に出られなくて、泣いている時、ミーシャが手を繋いで、笑いかけてくれた」
ミーシャが頷く。
「ほんと、どっちがお姉さんだかわからないわ」
「サーシャがお姉ちゃん」
それを聞き、サーシャは苦笑する。
「ミーシャ。一度しか言わないわ」
こくり、とミーシャは頷く。
「・・・ごめんね・・・許してくれる・・・?」
ふるふるとミーシャは首を横に振った。
「・・・怒ってない・・・」
驚いたようにサーシャは目を丸くする。
「そう」
「・・・ん・・・」
2人は見つめ合い、ぎゅっと互いの手を握り締めた。
どうやら、2人とも仲直り出来たようだ。こうして見ると、なんで喧嘩していたのか謎過ぎるが、まぁ、色々とあったんだろう。とにかく仲直り出来て良かった。
「悪い、待たせたな。送るぞ」
2人が仲直りしたタイミングで、アノスもやって来た。
「いいわ。歩いて帰る」
ミーシャも、こくりと頷く。
「アノスに頼めば、一瞬で着くのにか?」
「いいでしょ。別に。じゃ、ごきげんよう」
2人は手を繋いだまま、外に出る。
そのまま、何かを話す訳でもなく、2人は手を繋いだまま並んで歩いて行く。
「で、なんで貴方達はついてきてるの?」
「そりゃあ、家がこっちの方だし」
これは、マジです。
俺ん家と同じ方向で、2人の家からだと10分あれは余裕で着くぐらい近かった。まぁ、あの時は戦闘後だったのもありオーロラカーテンを使って帰ったが。
「送っていくと言っただろう。一度口にした言葉は守る」
「それって〈
「たまには無駄を楽しむのも一興だ」
「ふーん」
サーシャが変わった奴とでも言わんばかりの視線をアノスに向けるが、アノスはそれを軽く受け流す。
〈
イザベラさんのインパクトが強すぎて、頭の中からすっかり抜け落ちたのだろうか。
「そういえば知ってるかしら?」
「当然だ」
「いや、何を?」
俺のツッコミに同調して、サーシャも〈破滅の魔眼〉で白けた視線をアノスに向ける。
「あのね。まだ何も言ってないわ」
「サーシャの言う通りだぞ。そんな事言って、もし、お前が知らない事だったら恥ずかしくないのか?」
「何を言う。俺が知らない事などある筈がない」
さも当然のように言うアノス。まるで、俺の言った事が間違ってるみたいです。
「そ。じゃ、知ってると思うけど、明日の大魔法教練の講師、七魔皇老のアイヴィス・ネクロンなのよ」
「ふむ。そうなのか。知らなかった」
俺とサーシャは思わず、ズッコケそうになった。
「知らないのかよ!」
「だったら、初めからそう言いなさいよ!」
「そう興奮するな。ただの冗談だ」
アノスがサーシャを宥める。
「サーシャ。その七魔皇老というのはなんだ?」
ふと、アノスが気になったのかサーシャに訊く。
「呆れたわ。貴方、知らない事などないって言っておきながら、七魔皇老も知らないの?流石、不適合者ね」
「それで、なんなんだ?」
「2千年前、魔王の始祖は自らの血を使い、7人の配下を生み出したわ。始祖の血を引く最初の魔王族を」
「それなら知っている」
「知ってんのかい!」
「じゃ、もう分かったような物じゃない。その7人の配下を、七魔皇老って呼ぶのよ」
「なに・・・?」
結局、アノスは七魔皇老を知ってるのか知ってないのかどっちなんだ?
「七魔皇老はデルゾゲード魔王学院で、次代の魔皇の育成を始めたわ。いつか始祖が転生するから、その時の為にっていうのもあったみたいね」
「なるほど」
それを聞いたアノスは考え込みながら、俺の隣を歩いていく。
「アノス・・・アノス!」
俺がアノスの肩を揺すりながら呼ぶ。
「・・・フィリウスか。どうした?」
「どうしたじゃねぇよ。ミーシャとサーシャの家に着いたぞ」
俺達の目の前には門があり、その奧には立派な豪邸が見えた。
「七魔皇老の話をしてから、ずっと黙り込んでたが、どうしたんだ?」
「いや、なんでもない」
そういう台詞を聞いて、なんでもなくない事がよくあるが、アノスの場合だと本当になんでもない気もするので、これ以上追求するのをやめた。
「わざわざついてきてくれてありがとね。ごきげんよう」
くるりと踵を返し、サーシャは去っていく。
「さよなら」
「あぁ。また明日」
「あぁ。またな」
ミーシャに手を振り別れを告げる俺達。
さて、2人も家に帰った事だし、俺も家に帰るとするか。
「じゃ、またな。アノス」
「あぁ、またな」
アノスとも別れた俺は、自分の家に向かう。せっかくだし、今日は家まで歩いて帰ろうとしていた時だった。
「あの、アノス・・・」
俺が呼ばれた訳じゃないが、サーシャの声が聞こえた。
なんで、家に帰った筈のサーシャがアノスを呼んでるのだろう。
少し気になった俺は、物陰から2人の様子を見る。2人は、ネクロン邸の門前にいた。
「どうした?」
「・・・別に」
じゃあ、なんでアノスを呼んだんだよ!と心の中でツッコミを入れる。
「・・・アノス・・・」
「ん?」
「あのね」
ぷいっとそっぽを向き、恥ずかしそうに顔を赤らめながら、サーシャは言った。
「・・・ありがとう・・・」
「なにがだ?」
「・・・だから・・・貴方のおかげで、ミーシャと仲直りできたわ・・・」
確かに、ミーシャとサーシャが仲直りするきっかけを作ったのはアノスである。けど、俺にもなんか言って欲しかったよ。
「別に大したことはしていない」
「そんな事ないわ。私に配下になれなんて、そんな命知らずなことを言う人はいないもの」
何故か嬉しそうにサーシャは笑う。
「貴方以外ね」
まぁ、アノスには〈破滅の魔眼〉だろうがなんだろうが命懸けの事なんて、そうそうないだろう。
「ところで、なんで喧嘩をしていたんだ?」
サーシャの表情が曇る。
「くだらない事よ。本当にくだらない事・・・でもね、どうしても譲れない物があったの。それだけだわ」
「それは解決したのか?」
「・・・うん・・・そうね・・・」
サーシャの歯切れは悪い。
「貴方に聞きたいんだけど」
「なんだ?」
「もしも、運命が決まっていたら、貴方はどうする?」
「まあ、気に入らなければ変えるが、どうでも良ければ気にしないな」
アノスは即答した。
「運命が変えられると思うの?」
「ああ、簡単だ」
「どうするの?」
「ぶち壊せばいい」
そうたやすく、運命を変える事が出来るのはアノスだけだろうが、俺もアノスと同意見だ。
運命は人の意思ではどうしようもない確定した未来だと言われているが、未来は可能性の無限大だ。だから、過去は変えられなくても未来なら変えられる。運命に抗い続けた男のように、運命に逃げずに戦い、運命を変え、悪の戦士の息子という呪縛からも解き放たれた少年のように。
「ねえ。ちょっとこっちへ来なさい」
「断る」
「・・・な、なんで断るのよ。いいから、来なさい」
「命令されるのは好きじゃないな」
「もう。わがままね」
はあ、とサーシャは呆れたようにため息をつく。
「こっちへ来てくれるかしら?」
「いいぞ」
アノスはサーシャの側に寄る。
「もっとよ」
「なにするん・・・」
一歩足を踏み出すと、サーシャはアノスの唇にキスをしていた。
「・・・と、友達のキスだから。ただのお礼だからね・・・」
サーシャはさっと身を離すと、恥ずかしそうに顔を赤らめて俯いた。
「・・・でも、貴方以外にはしたことないわ・・・」
「ふむ。それは貴重なものをもらった。ありがとう」
びっくりしたようにサーシャは目を瞬かせ、「変な雑種」と呟く。
「じゃ、また明日ね」
「あぁ」
アノスは、〈
「・・・ねえ、アノス・・・あなたに会えてよかったわ・・・」
サーシャはそう呟き、ネクロン邸へと戻っていた。
「これはもう、イザベラさんの誤解を解く必要はないな」
だって、付き合ってる訳でもないのに、ファーストキスをやるとか好きな人以外ないだろ。まぁ。他にも訳があるかもしれないが、これを見せられた後だと、イザベラさんの誤解を解く気にはなれなかった。
「いつの日か、アノスとサーシャが本当に結婚したりして」
俺はそう呟き、その場を後にするのだった。
如何でしたか?
サブタイはある意味、私自身が初めてこのシーンを見て思った事でもあります。こちとら、彼女居ない暦=年齢だってのに。
ここで切っておかないと非リアの愚痴が流れそうなので、今回はこの辺で。
それでは、また次回お会いしましょう。