暴虐の魔王と世界の破壊者   作:カトポン

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 どうも、おはこんばにちは。
 UAが20,000を突破して嬉しさいっぱいのカトポンでございます。本当にありがとうございます。これからもたくさん皆様に見てもらえるように頑張っていきます。
 さて、サブタイの『ディサイド』って何だよと思う方も居るかと思いますが、これは英語で望んだという意味です。つまり、サフダイを日本語にすると"望んだ結末“という事になります。そんなの日本語で最初から書けば良いだろと言われたら、至極真っ当なのですがなんかしっくりこなかったのでこうなりました。
 前書きが長くなってしまいましたが、第26話をどうぞ。


第26話 ディサイド・エンディング

「ふむ。これを壊さずに手に入れたのは初めてだな」

 

 時の番神の力を授かったアイヴィス・ネクロンを五体不満足にしてフルボッコにするという中々に酷いことをした俺達。普通の奴にこんな事したら絶対にトラウマ不可避だろうが、アイヴィス・ネクロンなら大丈夫だろう・・・たぶん。

 因みに、エウゴ・ラ・ラヴィアズを倒した事で俺達は白か染め上げられた世界から、自然魔法陣の部屋へと戻って来ている。

 

「今まで手に入れた事は無かったのか?」

 

 俺は変身を解除し、〈時神の大鎌〉を拾ったアノスに聞く。

 

「どうも、俺はこの大鎌と相性が悪くてな。いつもエウゴ・ラ・ラヴィアズを倒すために無理矢理使っては壊していた」

 

 さらっと時の番神であるエウゴ・ラ・ラヴィアズを何回も倒してると発言するアノス。

 そこにイチイチ触れていると話が進まないので、言及せずに〈時神の大鎌〉の話題で話を続ける。

 

「それで、その大鎌はどうするんだ?」

 

 流石に、アノスの部屋にこんな大鎌が置いてあったら、イザベラさんやグスタさんがアノスの部屋に入った途端、大騒ぎになるだろう。

 

「宝物庫にでも置こうと思っているが、最下層まで普通に仕掛けを突破する者が居る事だしな」

 

 すっかり忘れていたが本来、俺達はダンジョン試験を受けている真っ最中なのだ。

 本来なら、王笏を受け取って帰っている筈がネオディエンドに変身する謎の男と戦って、サーシャの誕生日プレゼントを選んで渡したらサーシャがミーシャをナイフで刺してるし、そのゴタゴタが終わってミーシャから衝撃の告白を聞いて過去を改変する為にアイヴィス・ネクロンと時の番神と戦ったのだ。

 ディエンドの変身者であるルパン・アルネウスが何故、最下層に辿り着けたのだろうか?しかも、痕跡を残さずに。

 

「なら、俺が持ってるよ。ちょっと便利な能力が使えるからな」

「そうか。なら、フィリウスが持っていてくれ」

 

 ルパンの事は一旦忘れ、俺はアノスから〈時神の大鎌〉を受け取ると、それを異空間に収納する。

 ライドブッカーあるから意味は無いかもしれないと言われていた『異空間収納』が初めて役に立った時だった。

 

「〈蘇生(インガル)〉」

 

 俺が〈時神の大鎌〉を異空間に収納している間に、アノスは何故か〈蘇生(インガル)〉を使う。〈蘇生(インガル)〉は他者を蘇生させる魔法だが、根源が消滅した者を蘇生させる事は出来ない。

 アノスが〈蘇生(インガル)〉を唱えると同時に、魔法陣が描かれる。すると、光と共に蘇生されない筈のアイヴィス・ネクロンが蘇生された。

 

「アイヴィス・ネクロンはアノスのヴェヌズドノアで根源諸共、消滅したんじゃないのか?」

「確かに理滅剣ヴェヌズドノアでアイヴィスにあった2つの根源を滅ぼした。1つは魔族のもの、もう1つはエウゴ・ラ・ラヴィアズのものだが・・・根源がもう1つあったみたいでな」

「どういう事だ?」

「エウゴ・ラ・ラヴィアズと融合する前に、既にアイヴィスと融合していた者が居たという事だ」

 

 アイヴィス・ネクロンが蘇生出来た理由は分かったが、エウゴ・ラ・ラヴィアスと融合する前にアイヴィス・ネクロンと融合していた人物は誰なのだろうか?

 

「目覚めよ、血を分けた我が配下よ」

 

 アノスがアイヴィス・ネクロンに魔力を与えると、髑髏の瞳に光が浮かんだ。

 ぼんやりとアノスを見つめ、アイヴィス・ネクロンは声を発する。

 

「・・・我は長い間忘れていた・・・。自らの主の事を・・・。今も思い出せぬ。だが、我が根源が畏怖を覚える。そなたの戦いぶりを見て、ようやく気がついた・・・」

 

 アイヴィス・ネクロンは体を起こすと、アノスに跪く。

 

「お許しを。我が敬愛なる魔王、アノス・ヴォルディゴード様」

「記憶が戻ったのか?」

 

 あんまり口を挟むべきではないのだろうが、俺はアイヴィス・ネクロンに質問する。

 

「我の記憶は消されたままだ……。だが、2千年前であろう。アノス様が転生なされた後、恐らく我は何者かに殺された。そして、この根源を融合され、乗っ取られていたのだろう・・・」

 

 少なくとも、今のアイヴィス・ネクロンは俺達に敵意は無いだろう。

だか、アイヴィス・ネクロンの記憶は戻っておらず、さっきの言葉も全て推測に過ぎない。

 

「大魔法教練の時、俺と教室で話したのは、その何者かという訳か?」

 

 アイヴィス・ネクロンは頷く。

 アイヴィス・ネクロンの推測なので何とも言えないが、ここまでの情報を整理すると、アノスが転生した後にアイヴィス・ネクロンを殺した奴が、アイヴィス・ネクロンの根源と融合する事で今日までずっとアイヴィス・ネクロンを演じていたって訳か。

 

「そういや、アノス。〈時間操作(レバイド)〉と〈追憶(エヴィ)〉でアイヴィス・ネクロンの記憶を読み取ろうとして失敗した訳だが、根源と融合しているならソイツの記憶が読み取られたりしなかったのか?」

「アイヴィスと同化している何者かの過去を読み取るには、ソイツの起源を知らない事には不可能だ」

 

 アイヴィス・ネクロンと同化していた者の手掛かりは無しか。

 

「今思えば、俺に未完成の融合魔法の基礎術式を見せたのもわざとか。融合時間に制限がある。あるいは極端に短いと信じさせれば、アイヴィスの根源が何者かと融合している可能性を疑われずに済む訳だしな」

 

 アイヴィス・ネクロンと同化していた奴は抜け目ないな。

 確かに、制限時間がとても短い融合魔法を見せられたら、アイヴィス・ネクロンの根源には何者かが融合しているなんて誰も思わないだろう。

 

「他の七魔皇老も、お前と同じく記憶を消されたのか?」

「恐らく。あるいは、どの者かが記憶を消したのかもしれぬ」

 

 アイヴィス・ネクロンと同じように、他の七魔皇老も記憶が消されているかもしれないし、七魔皇老の誰かが裏切って記憶を消したかもしれない。どれも確証が無い推測に過ぎないので何とも言えないが、可能性として考えるのなら、どちらもありえる話だ。

 俺がそんな事を考えている間にアノスは、アイヴィス・ネクロンの額に指先で触れる。何をしているのか定かではないが、それはものの数秒で終わった。

 

「ご命令を」

 

 アイヴィス・ネクロンはアノスに指示を仰ぐ。

 

「お前と融合していた何者かは、恐らくアヴォス・ディルへディアの手の者だろう。アヴォス・ディルへディアが本当に存在するならの話だが、いずれにしても、俺を始祖と知ったうえで敵対している奴がいるのは間違いない」

 

 アヴォス・ディルへディアは確かに、現代に語り継がれている暴虐の魔王の名前だが、あくまで間違って語り継がれているだけじゃなかったのか?

 

「アヴォス・ディルへディアは俺を見ているだろう。神話の魔族は厄介だ。殺しても転生する。魔王城にのこのこと姿を現すなら、理滅剣の錆にしてくれるが、そう馬鹿でもあるまい」

 

 アイヴィス・ネクロンは頭を垂れたまま、アノスの言葉を聞いている。

 

「奴の思惑に乗ってやる。俺はこれまで通り、学院でゆるりと過ごす。何か企んでいるのなら、そのうち動きを見せるだろう。だが、俺に気取られれば、尻尾を巻いて逃げるかもしれない。そうなれば、次にやって来るのは何万年後といった事もあり得る」

 

 魔族は寿命が長いからな。ここまで手の込んだ事をする奴なら、絶好の待つ為ならアノスの言う通り、何万年でも待つだろう。

 

「いいか。お前は此処で死んだ。なら、アヴォス・ディルヘヴィアも警戒を緩めるだろう」

 

 アノスの作戦は、アヴォス・ディルヘディアーー本当に居るのかどうか分からないがーーにアイヴィス・ネクロンは死んだと思わせたまま、裏でアイヴィス・ネクロンを使って探らせるというものだった。

 

「まずは七魔皇老を調べろ」

「御意」

 

 アノスの指示を受けたアイヴィス・ネクロンは俺が少し目を離した隙に自然魔法陣の部屋から姿を消していた。

 

「そういや、アイヴィス・ネクロンの額に指先当ててたが、アレは何をしてたんだ?」

「アイヴィスに〈思念通信(リークス)〉で正しい記憶を伝達しただけだ。もっとも、アイヴィスが生まれてから、俺が転生する前までの僅かな間の記憶だがな」

 

 記憶が戻った訳じゃないが、僅かとはいえ正しい記憶を知れてアイヴィス・ネクロンも良かったと思って・・・るか、どうか定かではないな。

 

「・・・あれ・・・?」

 

 背後から呟きが漏れる。

 振り向けば、サーシャが天井を見上げていた。

 

「・・・月明かりじゃないわ。これ、太陽の光ね・・・」

 

 驚いたようにサーシャは言う。

 サーシャの言葉で気がついたが、アイヴィス・ネクロンとエウゴ・ラ・ラヴィアズとの戦いの前は月明かりが差し込んでいた自然魔法陣の部屋だったが、今は太陽の光が差し込んでいた。

 

「エウゴ・ラ・ラヴィアズが出現した時に作られるあの空間は、世界の時から隔離されていてな。エウゴ・ラ・ラヴィアズを殺してしまうと元の時間には戻れなくなるのだ。といっても、まぁ、せいぜい数時間程度先に到着するぐらいだ」

「朝日?」

 

 ミーシャの質問に俺は頷いた。

 

「・・・昨日が最後だと思った・・・」

「言っただろう。俺に立ち塞がるものは全て破壊するって」

「・・・ん・・・」

 

 まぁ、エウゴ・ラ・ラヴィアズにはアノスのサポートしか出来なかったが。

 ゲムデウスクロノスは1人で倒したが、アイツは俺がこの場に居なければウルが呼び出す事は無かった筈だ。

 そう考えると、自分が役に立ったとは思えなかった。

 

「ミーシャ。良かった・・・。本当に良かったわ」

 

 俺が脳内でそんな事を考えていると、ミーシャの後ろからサーシャが勢いよく飛びついてきて、ぎゅっと抱きしめた。

 

「あのね、あの・・・」

 

 バツが悪そうな表情をしながら、サーシャは言う。

 

「大嫌いなんて言って、ごめんね。私は、ミーシャに生きて欲しかった」

「私も同じ」

 

 サーシャの手に触れ、ミーシャが言う。

 

「サーシャに生きて欲しかった」

「うん」

 

 2人は嬉しそうに手を取り合い、この日を迎えられたことを喜ぶように抱擁した。

 涙をこぼすサーシャの頭を、ミーシャは優しく撫でる。よりいっそう泣きじゃくりながらも、サーシャはそれでも嬉しそうに笑う。

 本当はとても仲の良い姉妹なんだなと思いながら、俺とアノスはこの微笑ましい光景を眺める。

 やがて2人は意を決したように頷き合い、俺達の方を向いた。

 

「あ、あの・・・アノス・・・・・様・・・・?」

 

 サーシャのしおらしい態度に、俺とアノスは思わず笑ってしまった。

 

「なっ、なんで笑うのよ・・・!?あ、いえ、その・・・」

 

 サーシャは恐縮したような表情を浮かべる。

 2人はアノスを始祖と完全に信じた事により、〈時間操作(レバイド)〉が成立した。つまり、今のミーシャとサーシャにとって始祖、アヴォス・ディルへディアではなくアノス・ヴォルディゴードとなっている訳だ。

 

「サーシャ。平和というのは悪くないな」

 

 戸惑うサーシャにアノスは話を続ける。

 

「少々の無礼を働いたところで、命が取られる訳でもない。戦いばかりの荒んだ世界に飽き、転生したが、なかなかどうして、ここは良い時代だ。こんな世界を俺は作りたかった」

 

 確か、アノスは2千年前に世界を4つに隔てる壁を作ったんだったか?詳しい事は分からないから、いずれアノスにその事を教えてもらおう。

 

「そんなにかしこまるな。俺にキスした時の勢いはどうした?」

 

 あぁ、アレか。イザベラさんの誤解を解かなくても良いんじゃないかと思うようになったあのキス。

 

「え・・・ちょ、ちょっと・・・何を言って・・・!」

 

 サーシャが顔を真っ赤にしていると、隣でミーシャが呟いた。

 

「・・・キス・・・?」

「ち、違うわ!と、友達、友達のキスだから!他意はないもの・・・!」

「友達のキス、ねぇ・・・」

「な、何よ・・・!」

「いーや、何でもない」

 

 ファーストキスを友達のキスで済ませるのはどうなのか、と言ってやりたいが、それを言うと「なんでファーストキスって知ってるのよ」と、問い詰められるだろうから何も言わない事にした。

 

「ふむ、〈思念通信(リークス)〉でお前の心の声が聞こえてきたが、なんでもこれが最初で最・・・」

「あああー、あぁぁ、あああ、ああああああーーーーーーーーっ!!」

 

 アノスの言葉を掻き消そうと、大声で叫ぶサーシャを見て、アノスはくつくつと喉を鳴らす。

 

「何笑ってるのよ、雑種!言っとくけど、あれは気の迷い!死ぬかもしれなかったから、手近な所で済ませようってだけ。それだけなの!分かった!?」

 

 怒り心頭といった風に、サーシャはアノスに言う。

 

「始祖を雑種呼ばわりか?」

「始祖だろうと何だろうと、この時代じゃ貴方は心が雑種だわ」

 

 サーシャの物言いに、アノスはまた笑った。

 

「これからもその調子でな」

「言われなくてもそうするわ」

 

 ぷいっとサーシャはそっぽを向く。

 

「ミーシャも今まで通りでいいぞ」

 

 こくりとミーシャはうなずいた。

 

「アノスは友達」

「そうだな」

 

 〈魔力時計(テル)〉に視線をやれば、午前7時30分だ。

 

「9時までに入り口へ辿り着けば満点だったよな?」

「うむ。入り口まで戻るとするか」

「呆れたわ。貴方達、あれだけのことをしておいて試験の点数を気にしてるの?」

「過去を改変した事は何度かあるが、あいにくダンジョン試験で満点を取った事は無い」

「大抵の事は出来るが、試験で満点を取った事は一度も無いからな」

 

 サーシャは目を丸くし、それからふふっと笑った。

 

「じゃ、早く行きましょ」

 

 サーシャが俺達の方に歩いてくると、サーシャで隠れて見えなかったが地面に落ちていたある物に目が行った。

 俺は、それが落ちている所まで行き、拾い上げる。

 

「バクヴァイザーⅡ・・・」

 

 仮面ライダークロニクルのライダーガシャットは壇政宗が自分の胸に突き刺して砕け散ったので正直、只のガラクタなのだが後でウルとかに回収されて悪用されても困る。

 

「俺が持っとくか・・・」

 

 『異空間収納』でバクヴァイザーⅡを保管しようとした時だった。

 突然、突風でも吹いたのかと思う程、何かが俺の目の前を通過すると俺が持っていたバクヴァイザーⅡが無くなっていた。

 

「このお宝は僕が貰っていくよ」

 

 俺が持っていたバクヴァイザーⅡを持ってたのは、ネオディエンドに変身したルパンだった。

 

「バクヴァイザーⅡなんて奪って、何をするつもりだ」

「理由なんて無いさ。言っただろう、僕は怪盗だって。それに、コレを使って何かしようとは考えていないさ」

 

 ネオディエンドは自身の背後にオーロラカーテンを出現させる。

 

「それじゃ、またね」

 

 オーロラカーテンが前に移動していき、ネオディエンドの前を通過するとネオディエンドは自然魔法陣の部屋から姿を消した。

 

「アノス、悪いが帰りはオーロラカーテン使って入り口まで行かないか?」

「〈転移(ガトム)〉では何処に転移するか分からないが、フィリウスのなら大丈夫なのか?」

「それは・・・正直分からんが、ルパンが此処までオーロラカーテン使って来ているだろうから、出来ると思う」

 

 ルパンは、何の躊躇いもなくオーロラカーテンを使っていた事だしな。オーロラカーテンを使えば、痕跡を残さずに此処に行く事は出来る。

 

「ふむ、時間もある事だし試してみるか」

 

 アノスからの了承を得たので、オーロラカーテンを使って帰る事になった。

 

「それじゃぁ、入り口まで行くぞ」

 

 前方にオーロラカーテンを展開する。

 

「ちゃんと、入り口まで行けるんでしょうね」

「もし、行けなかったら壁でも破壊すれば良いだけだ」

 

 その場合、ダンジョンがガバガバセキリュティになってしまうがその辺りはアノスが何とかしてくれるだろう。

 人任せに程があるな、と思いながら俺達はオーロラカーテンをくぐるのだった。




 如何でしたか?
 久しぶりに、文字数が6千文字を越えました。おかげで、リアルでのレポートや課題が全く進んでおりませんが。
 レポートとかマジでクソです。参考文献の雑誌を借りようとしたら、最新過ぎて借りるのもコピーするのも駄目だし、それが出来るようになるのも締め切り3日前とか言われてテーマを変えざるを得ないし。おかげで、基礎ゼミでレポートのテーマ決まってのは俺だけという始末。
 さて、このままだと大学のグチが長くなりそうなので、今回はこの辺で。
 それでは、また次回お会いしましょう。
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