これを書いている日にはレポートの参考文献を探す為に講義をサボったカトポンでごさいます。えぇ、新しく決めたテーマの参考文献を大学にある図書館で検索して調べたら、まさかの4冊しかない!しかも、3冊は参考文献には難しそう!!さらに、追い討ちを掛けるが如く残り1冊は別のキャンパスの図書館にあって、取り寄せに2〜3週間掛かると来た!!!少なくとも、この日を以て大学の図書館を勝手に役立たずと勝手に認定しました。
講義をサボってまで参考文献を探しに、実家近くの図書館に行くとかホント、何やってるんだろう。
さて、今回は28話は、時系列的には誕生日パーティーの翌日です。
それでは、とてつもなく本に嫌われている作者が送る第28話をどうぞ。
ミーシャとサーシャの誕生日が終わった次の日。
俺はネクロン邸の前でミーシャを待っていた。
というのも、写真を撮り終わった後、明日・・・つまり今日、現像するけど見てみる?と言ったら、見たいとミーシャが言ったからだ。
そんな訳でネクロン邸の前でミーシャが来るのを待っていた。もうそろそろで待ち合わせの時間なので来るとは思うのだが・・・。
「待った?」
そんな事を考える内にミーシャがやって来た。服装は入学試験の時と一緒だ。かくいう俺も、入学試験の時と服装は同じだが。
「いや、さっき来たばっかだ」
まぁ、本当は15分前に来たんだが、そんな無粋な事をわざわざ言わなくても良いだろう。
「んじゃ、早速で悪いが行くぞ」
「ん」
俺は出現させたオーロラカーテンを操作して、前方に移動させる。オーロラカーテンが俺達を通り抜けると、そこはさっきまで居たネクロン邸ではなく、俺の家の前だった。
「此処が俺の家だ。んじゃ、中に入るぞ」
自分家のドアを開けると、中にはお母さんが居た。
「ただいま」
「お帰りなさい、フィリウス」
俺に気づいた母さんが出迎える。勿論、イザベラさんみたいに抱きついたりする事はない。
「それで、フィリウスが言ってたお友達は何処に居るの?」
「あぁ、紹介するよ。入学試験の時に知り合って友達になったミーシャ・ネクロンだ」
「よろしく」
俺は半歩横にズレると後ろに居たミーシャが一歩前に出てぺこりと頭を下げる。
「ちょっと、フィリウス」
突然、母さんが俺の方に近づいて来たかと思ったら俺を家の中に連れ込んだ。
「いきなり、どうしたんだ?母さん」
「駄目じゃない。奪ったりしたら」
いきなり、何を言ってるんだ母さんは?
「俺、何も奪ってないんだけど・・・」
むしろ、奪われた物があるくらいだ。ルパンの野郎にバクヴァイザーⅡを奪われたし。
「ミーシャちゃんの左手の薬指に指輪がはめられてたでしょ。あれは婚約を意味するのよ」
「あ・・・」
確かに、ミーシャの指に昨日あげた〈蓮葉氷の指輪〉がはめられている。
はめる、はめないはミーシャの自由だし、自分で左手の薬指に指輪をはめてしまった手前、「その指にはめるのはちょっと・・・」と言ったり出来る程、肝は座っていない。というか、自分でやっといてそんな事を言える程、肝が座っている奴なんて居るのだろうか?
「ミーシャちゃんは可愛いし、雰囲気からして性格も良さげだけど人の婚約者を連れ込んで来るのは「その指輪、あげたの俺だけど?」・・・え?」
一刻も早く誤解を解く為にした事は、母さんの言葉の最中に簡潔に纏めた事実をド直球に伝える事だった。母さんが固まっているが、そんな事気にしてなんかいられない。
「だから、ミーシャがはめてる指輪をあげたのは俺なの!」
「2回も言わなくても分かるわよ」
「母さんが固まってたから聞こえてないと思って言ったんだよ」
本当は、ネタのつもりで言ったんだがな。
アノスじゃないけど、大事な事だから2回言ったなんてネタはこの世界じゃ通用しないだろう。
「あんな高級そうな指輪を何処で買ったのよ」
「いや、買ってない」
「買ってないって・・・フィリウス。貴方、まさか盗んだり落ちてたのを拾ったの?」
「はい、そうですって言うと思う?」
悪いが、俺はそんなクズじゃない。それは母さんも分かってる筈だ。・・・分かってるよね?
「フィリウスはそんな事しないとは分かってるけど、買ってもないし盗んだり拾った訳じゃないとなると、どうやって手に入れたのよ」
「ほら、この前ダンジョン試験あったじゃん」
「朝までかかるかもしれないって言って、夜に帰ってきたアレね」
この世界にはスマホという文明の利器は存在しない。なので帰りが遅くなる時は〈
「それで、ダンジョンの最下層まで偶々行けたんだよ」
「凄いじゃない」
母さんには、ダンジョン試験で満点取ったとしか言ってないからな。
最下層まで行った事に母さんは驚きながらも褒めてくれた。
「んで、ミーシャとその姉のサーシャって子が誕生日だったんだよ」
「ミーシャちゃんには双子のお姉さんが居たんだ。それで?」
「ミーシャがサーシャへの誕生日プレゼントを最下層にある宝物庫で見繕ってる時にミーシャが今はめてる指輪をじっと見てたんだよ。だから、ミーシャも誕生日だったしあげた」
俺がそう言うと、家の中は暫くの間沈黙に包まれた。
「何でミーシャちゃんの左手の薬指にはまってるの?」
「俺がプレゼントする時にその指にはめたから」
俺の言葉に、家の中は再び沈黙に包まれた。
「まぁ、フィリウスは生まれてまだ2ヶ月だからしょうがないけど次からは、そんな簡単に左手の薬指に指輪なんてはめないでね」
「はい。重々承知しております」
母さんに釘を刺されたものの特に怒られる事も無く、母さんから解放された俺はミーシャの元へ向かった。
「待たせて悪かった。家の中に入っても良いぞ」
「・・・お邪魔します・・・」
ミーシャを連れて家の中に入ると、母さんがミーシャを出迎える。
「いらっしゃい、ミーシャちゃん。いつも、息子がお世話になってるわ。これからも息子と仲良くしてくれると嬉しいわ」
「ん」
「母さん。暗室って今、空いてる?」
ミーシャと母さんのご対面が済んだ所で俺は母さんにそう質問した。
「空いてるけど、どうして?」
「俺が使ってるヤツの現像しようと思って。ミーシャを連れて来たのも現像する所を見たいって言ったからだし」
「それなら、お客さんのも現像してくれる?」
アノスの両親が鍛治・鑑定屋を経営しているように家は写真屋を経営している。
「分かった。ついでにやっとく」
ミーシャを暗室連れてに行こうとするが、ふと気になる事が出来たので母さんに聞いてみる事にした。
「そういや、父さんは何やってんだ?」
「今は店番してるわ」
「珍しいな。父さんが店番なんて」
店番をするのは基本的に母さんで、父さんは基本的に現像したりカメラのメンテナンスをしたりと裏方がメインだ。
「そう?私だって裏方の仕事はするし、お父さんだって店番をする時はあるわ」
俺が見てないだけで父さんも店番していたし、母さんも裏方の仕事をしていたのか。
母さんに気になった事を聞けた俺は、ミーシャを暗室に案内する。
「此処がフィルムを現像する暗室って部屋だ」
ミーシャは暗室の室内をぐるりと見回す。
ミーシャにとっては見慣れない機械とか置いてあるからな。写真撮影を趣味とする人はそれなりに居るが、個人で写真を現像する人はほんの僅かだ。家が写真屋を経営して生活していけてるのもそれが理由だ。
ミーシャが辺りを見回している間に、俺は現像に必要な道具を探す。
「タンクの中にリールと撹拌棒は・・・よし、ちゃんとあるな。後は・・・薬品と撹拌棒に温度計と計量カップ・・・ハサミと栓抜きにフィルムピッカー・・・ついでに、スポンジとクリップも用意しとくか」
ガサゴソと漁りながら、探すこと数分。お目当ての物が全て見つかった俺は準備を始める。
「まずは・・・」
フィルムピッカーを使いフィルムの先端を引き出す。ある程度、引き出すとハサミでフィルムの先端を切る。
「ミーシャ、電気消すから暗くなるけど電気つけるなよ」
そう言って、暗室の電気を消す。途端に真っ暗で何も見えなくなるが、人の目は次第に慣れてくるものだ。最初は真っ暗で何も見えない暗闇の中でも程なくして見えるようになってきた。
「どうして、電気を消すの?」
「フィルムを光に当てると感光してに台無しになっちまうからな」
ダークバックもあるが、アレは作業をする時に全く見えないのでやりづらい。しかし、暗室なら、慣れれば暗闇の中でもある程度見えるようになるので、作業がしやすい。
栓抜きを使い、フィルムの上部にある丸い部品を取ってカートリッジからフィルム本体を取り出すと、現像タンクの中にあったリールに巻いていく。リールに巻き終えたフィルムを現像タンクの中に入れてフィルムの準備は終了だ。
「次は薬品の準備だな」
暗室の電気をつけて、薬品の準備を始める。現像中にまた電気を消さなくてはならない時があるのだが、流石に電気を消したまま計量は無理だし、見間違えて薬品同士を混ぜてしまうかもしれないので仕方ない。
計量カップで原液と水を計りながら、現像液と停止液と定着液、初期水洗の水と水洗用の水を用意する。この時、温度計で水温を測る事も忘れない。水温によって、現像時間が変わるからだ。
今回は水温が20℃なので初期水洗は30秒、現像は5分30秒、停止は初期水洗と同じく30秒、定着は4分といった所だな。忘れないようにメモしておき、タイマーをセットする。こういう時は〈
まずは、初期水洗。水をタンクの中に投入し30秒間、連続で撹拌する。撹拌はタンクを180度回転させる事で、30秒経ったらタンクから水を排出する。
次に現像。現像液をタンクに投入し1分間、連続撹拌した後に泡取り。泡取りはタンクの底を軽く叩いくと泡が取れる。泡取りの後に50秒程、保温して2回目の攪拌を行う。2回目の攪拌は10秒行い、また泡取りして50秒、保温。これを後3回行い、現像液を排出する。
「ミーシャ、やってみるか?」
「良いの?」
「あぁ。次の停止の工程は初期水洗と停止の次の定着の工程は現像の工程とほぼ一緒だからな」
という訳で停止の工程はミーシャにやらせる事にした。只見てるだけじゃ暇だろうしな。
「まずは、その停止液をタンクの中に投入してくれ」
ミーシャは俺が用意した停止液をタンクの中に投入する。
「投入したらタンクのフタを閉めて、タンクを30秒間ひたすら180度回転し続けてくれ」
ミーシャはこくりと頷くと、現像タンクのフタを閉め、タイマーが鳴るまでの30秒間ひたすらタンクを連続撹拌していく。
タイマーが鳴ったので、俺がタイマーを解除している間にミーシャはタンクのフタを開けて、停止液を排出する。
「停止液を排出したら、定着液をタンクの中に投入してくれ」
停止液を排出し終えたミーシャは、タンクの中に定着液を投入する。
「フタを閉めたらまずは30秒間、さっきみたいにタンクを回転し続けてくれ」
ミーシャは俺の言葉通りに30秒間、タンクを連続撹拌していく。タイマーで30秒経過したのを確認すると次の指示を出す。
「んじゃ、次は泡取りだ。タンクの底を軽く叩いてくれ」
ミーシャはタンクの底を軽く叩いて、泡取りをする。
「よし、泡取りはそれぐらいにして今度は10秒、タンクを回転させたら泡取りして50秒保温してくれ」
ミーシャは現像タンクを10秒、撹拌させると底を軽く叩いて泡取りし、50秒保温する。
これを3回行った後、定着液を排出した。
「ありがとう、ミーシャ。ここからは俺がやる」
定着の工程を終えたので次は水洗だ。
水洗用の水を現像タンクの中に投入し5回撹拌した後、水洗用の水をタンクから排出する。再び、水洗用の水を現像タンクの中に投入すると、10回撹拌して排出。3回目は撹拌を20回行って、排出。これで水洗の工程は終了した。
後はフィルムの先端をクリップで挟み、適当な場所に吊るし上げるとスポンジで水分を吸い取る。これで吊るし上げたフィルムが乾燥すればフィルムの現像は終了。
お客様のフィルムの現像は流石にミーシャにやらせる訳にはいかないので全て俺がやった。
印画紙への現像は、ミーシャが撮った写真や俺が一部撮った写真をやらせたりしている内にあっという間に時間は過ぎていった。
「ありがとう。楽しかった」
「そりゃ良かった」
帰り際に父さんに絡まれーー内容は母さんが言った事と一緒ーーたりりはしたが、俺はミーシャをネクロン邸まで送った。
見ている時間の方が長かったが、ミーシャには楽しかったようで何よりである。
「それじゃ、ミーシャが撮った写真とサーシャとのツーショットの写真は明日渡す」
「ん」
本当は今日渡したかったが、乾燥の工程まで終わらなかったので、写真は明日渡す事に渡す事になった。
幸いにも、俺もミーシャも明日は特に予定が無いようだしな。
「んじゃ、また明日」
「ん」
ミーシャは背を向けて、ネクロン邸の敷地内へ歩いて行く。
ミーシャが居なくなったのを確認すると、俺は歩いて家へと向かう。そして、誰も居ない事を確認すると俺はポツリと呟いた。
「・・・忘れていた・・・か・・・」
ミーシャの指にはめらている〈蓮葉氷の指輪〉を見ると、どうしてもそう思ってしまう。
何故、左手の薬指にはめられている指輪の意味を忘れていたのか。サーシャに指摘されてからは、左手の薬指にはめられている指輪が婚約指輪や結婚指輪だという事は知識として前世から知っている。逆に言えば、サーシャに指摘されるまで前世で得た知識が抜け落ちていた。
ミーシャとサーシャの誕生日パーティーが終わった後、なんで前世で得た知識が抜け落ちていたのかずっと考えていた時にふと思った。
だが、何も思い出せなかった。何処で産まれたのか。どのような場所で育ったのか。親の名前。自分の名前。1人っ子なのか。それとも、兄か弟、姉か妹が居たのか。前世の記憶、思い出は何も思い出せず、鮮明に覚えている最初の記憶は、俺が神様からネオディケイドなどの特典を得て、この世界に転生してやって来た事だ。
此処までだと本当に前世なんてあるのかどうか怪しいが、一般常識や雑学なんかの知識は前世で得たものであるというのは確かであり、それを裏付けるようにこの魔王学院のアニメで見たなけなしのしょぼい知識がある。
「俺は前世ではどんな人物だったんだ・・・」
そんな事言ったところで誰かが答えてくれる訳もなく、俺の呟きは虚空に消えるのだった。
如何でしたか?
お気に入りがとうとう200人を超えました。本当にありがとうございます。
途中、気力が折れてダイジェストになりましたが、もはさ全部描写しようとしたら文字数がとんでもない事になっていたのは確実ですね。誰だよ、こんなの書こうとか思った奴・・・俺だったわ。
まぁ、誰にもウケないであろう1人ノリツッコミはこれぐらいにして、後1話だけ話は続き第一章は終わります。次はそんなに長くならない・・・筈です。俺の予定では、この話は短い予定だったので信用できませんが。
それでは、次回もお楽しみに。