暴虐の魔王と世界の破壊者   作:カトポン

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 どうも、おはこんばにちは。
 投稿頻度が1ヶ月に1話とクソ遅くなったカトポンです。
 現在、ネタ切れとモチベーションの低下という負のコンボでめちゃくちゃ筆が進みません。早くこの負のコンボから抜け出したいです。
 それでは、第34話をどうぞ。


第34話 錬魔の剣聖vs二刀流の七魔皇老

「・・・信じられねえ・・・七魔皇老のガイオス様が、まるで赤子の手を捻るみたいに・・・」

「・・・今の・・・勝負にすら、なってないだろ・・・」

「・・・もしかして、アノスの言ってる事・・・本当なのか・・・?あいつが暴虐の・・・」

「おい、なに馬鹿なこと言ってんだ!!どんなに強かろうと、皇族でもなければ、不適合者のアイツが、暴虐の魔王な訳ないだろうが!」

「そうだ。大事なのは力でも知恵でもない。俺達の体に流れる尊い血だろ。始祖の血を受け継ぐ皇族の誇りを忘れるな。アイツは只強いだけの不適合者だ。アイツの力には尊さが無い」

 

 そんなような事を黒服の生徒達が言っているが、血筋に執着し過ぎでもう滑稽にも程がある。いくら、血筋が良くても力や知恵が無くては意味がないではないか。

 

「お疲れさん。で、どうだった?」

 

 魔法障壁から出て来たアノスに俺は声を掛ける。

 

「どうとは?」

「七魔皇老の頭を鷲掴みにしてただろ?アイヴィス・ネクロンの時と同じように2千年前の記憶を引っ張り出そうとしていたと思ったんだが」

 

 もしかして、違ったか?

 

「その事か。確かに、〈時間操作(レバイド)〉と〈追想(エヴィ)〉を重ねがけし、ガイオスの記憶の表層を洗ったが俺の名前はガイオスの頭には無かったな。たが、アイヴィスと同じようにガイオスにも根源が2つ存在していた」

「1つはガイオス・アンゼムの物だろ。そうなるともう1つの根源は・・・」

「恐らくアヴォス・ディルヘヴィアの配下の魔族だろうな」

 

 根源が2つ存在していたと言われた段階で、予想はついていたがやはり、アヴォス・ディルヘヴィアが関与していたか。

 しかも、アイヴィス・ネクロンの時と同様、ガイオス・アンゼムと融合していた者の起源が分からない以上、その魔族の記憶を過去に遡り調べる事は出来ない。

 やはり、そう簡単に尻尾を掴ませてはくれないか。

 

「くっくっく」

 

 イドル・アンゼオの笑い声が聞こえたので、考え事をやめて笑い声のする方へ視線を向ける。

 

「それが最後の1本か。小賢しい真似をしてくれたが、もう投げる訳にはいくまいな」

 

 闘技場一面に突き刺さっていた魔剣は全て無くなり、残っているのはレイが握っている魔剣だけだった。

 

「じゃ、そろそろ普通にやろうか」

 

 レイは一言呟き、何の小細工も無しに、堂々とイドル・アンゼオの方へ向かっていく。

 

「ふん、ようやく覚悟を決めたか。来るがいい。剣は投げる物ではない、貴様に魔剣の使い方を教えてやろう」

 

 イドル・アンゼオとレイが向かい合い、闘技場の空気が張り詰める。

 どちらも半歩踏み込めば、両者の間合いの内側。打ち合いは圧倒的にレイが不利――にも関わらず、無造作に一歩を踏み出したのはレイの方だった。

 

「迂闊な真似を」

 

 手加減なしにイドル・アンゼオの双剣が走る。両腕が別々の生き物のように動き、炎の魔剣がレイの頭部を、数瞬遅れ、氷の魔剣が胸部を狙っている。これでは、かろうじて炎の魔剣をやりすごしたとしても、体勢を崩れたところに氷の魔剣が襲いかかるだろう。

 そんな必殺の2連撃に対して、レイは右手の魔剣で迎え撃つ。

 

「そこだ」

 

 ガキッ、キィィンと剣と剣が衝突する音が響く。

 

「2」

「・・・・・・!?」

 

 イドル・アンゼオが険しい表情を浮かべる。

 レイの魔剣がイドル・アンゼオの双剣を打ち払ったのだ。

 ほぼ同時に迫った双剣を一本の剣で迎撃したレイの技量もさる事ながら、不可解なのはレイの魔剣が無傷だという事だろう。炎の魔剣ゼス、氷の魔剣イデス、そのどちらに触れても、レイの剣は破壊される筈だからだ。

 

「・・・ぜあっ・・・!」

 

 再びイドル・アンゼオが双剣を振るうが、レイはそれを容易く打ち払う。

 

「4」

 

 レイが呟く。

 

「レイの奴、何を数えてるんだ」

 

 2から始まり、1つ飛ばして4。何かを数えているのか、そもそも数えているのかどうかすら分からない。

 マジでレイなら適当に数字を言っているだけってのもありそうだし。

 

「・・・小僧、何をしている・・・?」

 

 ガキッ、キィィンッと剣と剣の衝突音が響く。

 

「6」

 

 再び1つ飛ばして6。規則性があるから適当に数字を言っているという線は薄そうだが、何を数えているのか検討がつかない。

 

「・・・ちぃ、ならば・・・!」

 

 イドル・アンゼオの双剣を振るう速度が倍に加速し、次の瞬間、更にその倍を超えた。

 手元が見えぬほどの無数の連撃を悉く打ち払うが、なお、レイの剣は無傷である。

 

「87」

 

 6から81増えてレイのカウントは87増える。何故、カウントが81も増えて・・・81?

 

「なぁ、アノス。さっきの連撃でレイとあの七魔皇老の剣が衝突した回数って81回だよな」

「うむ。さっきからレイが数えているのは魔剣と魔剣がぶつかり合った回数と一致しているな」

 

 魔剣同士をぶつけてレイは何かを狙っている。おそらく、一定の数字に達したらレイがしようとしている事の結果が表れるのだろう。

 

「おのれ・・・なぜその貧弱な魔剣で防げる?どんな小細工をしている!?」

 

 ガガガガガ、ギギギギギッと絶え間なく剣戟の音が響く。

 

「なるほどな。レイ、お前が投げた魔剣を斬り落とした時、イドルの双剣は僅かに刃こぼれを起こした。いかに魔剣と言えど、刃こぼれを起こした部分では存分に魔力を発揮出来ない。そうして斬り結ぶ事も出来るという訳か」

「・・・馬鹿な・・・この高速の双剣を、刃こぼれのある僅かな部分だけを狙って、打ち払っているというのか・・・!?そんな事が出来る訳が・・・!!」

「何を言う。魔剣を投げていた時から、双剣の一箇所だけを狙っていたぞ。投げる力、角度、狙いを制御し、寸分の狂いもなく、双剣のある箇所で斬り落とすように仕向けてな」

 

 アイツ、そんな事やってたのかよ。

 

「種明かしをされると不利になるから黙ってたんだけどね」

 

 まるで困った様子もなく、レイが言う。

 

「それぐらいのハンデはくれてやれ」

 

 イドル・アンゼオは1歩後退し、間合いを計る。

 

「・・・どうやら、小僧と侮っていたようだ。ここからは、全力で行かせてもらおう・・・」

 

 イドル・アンゼオの両手に魔法陣が浮かぶ。

 魔剣ゼスから炎の刃が立ち上り、魔剣イデスを氷の刃が覆う。

 

「これが魔剣ゼスとイデスの真の姿だ。覚悟せよ!」

 

 イドル・アンゼオの姿ブレる。一瞬の間に、間合いへ踏み込んだ奴は、双剣を高速で振るった。

 その連撃は一秒間に200。逃げる隙間も無い程の炎と氷の斬撃が、ほぼ同時にレイに襲いかかる。

 

「・・・ふっ・・・!」

 

 息を吐くような気勢と共に、レイは魔剣を煌めかせる。

 閃光にも等しき斬撃は、またしてもイドル・アンゼオの双剣を悉く打ち落とした。

 

「442」

 

 とうとうレイのカウントは442となった。442回も刃こぼれのある部分と切り結んで一体何をしようというのか。

 

「・・・な、ぜだ・・・?最早、刃こぼれを狙おうと無駄だった筈・・・」

「簡単な事だ。レイの魔剣はお前の双剣に触れてはいない。剣圧だけで弾き飛ばしたのだからな」

 

 あ、実際に刃こぼれがある所と切り結んだ訳じゃないのね。

 

「けっこう難しいんだけどね」

 

 と、涼しい顔でレイが言う。

 

「・・・剣圧だけで、私の双剣と打ち合えるというのか・・・」

 

 悔しさを滲ませた後、イドル・アンゼオは憤怒の形相でレイを睨む。

 

「おのれ、ならば!!その綱渡りがいつまで続くか、見せて貰おうではないか!」

 

 再びイドル・アンゼオの双剣が煌めき、レイはそれを打ち払う。

 

「確かに凄まじい剣の冴えだが、持久力はどうだ?こちらは百年だろうと疲れる気はせ・・・」

 

 イドル・アンゼオは言葉を失った。

 双剣が纏っていた炎と氷が砕け散るように霧散したのだ。2つの魔剣がぽっきりと折れ、刃先がくるくると回転しながら宙を舞い、地面に突き刺さる。

 

「・・・私の双剣が・・・折れ・・・・た・・・」

「444。目算通りかな」

 

 どうやら、レイのカウントは魔剣が折れるまでの回数だったようだ。

 

「ところで」

 

 涼しい顔をしてレイは言う。

 

「魔剣の使い方はいつ教えてくれるのかな?」

 

 うわぁ、レイの奴。イドル・アンゼオのメンタルをブレイクさせるような事を涼しい顔で言ってやがる。

 さて、レイのメンタルをへし折りかねない言葉にイドル・アンゼオは畏怖を感じたように身を竦め、助けを求めるようにガイオス・アンゼルの方へ視線を向ける。だが、ガイオス・アンゼルもアノスやられた後だと、ようやく気がついたようだ。

 

「・・・いったい・・・いったい何者なのだ、お前達は・・・? 我々、七魔皇老をこうまで子供扱いする魔族が居るなど、聞いた事も無い・・・」

 

 項垂れるようにイドル・アンゼオは言う。どうやら、レイによって完全にメンタルをへし折られたようだ。

 そのレイはというと、魔法障壁から外に出てきて俺とアノスの方にやって来た。

 

「レイ。お前、手を抜いていたな?」

 

 項垂れているイドル・アンゼオには目もくれず、アノスはレイの方に視線を向ける。

 

「そんな事は無いけどね」

「謙遜はよせ。お前の力なら、一合も交える事なく斬って捨てる事が出来た筈だ」

 

 すると、レイは涼しげな笑みを浮かべ、こう答えた。

 

「それじゃ、練習にならないからね」

「ほう?」

「魔力を使わずに、技だけであの双剣を折れるかと思ってね。最後は少しだけ、ズルしたから、まだまだかな」

 

 七魔皇老を練習相手に使う人などそうそう居ない。やはり、レイもかなりのやり手であるのは間違いないようだ。しかも、力の底をまだ見せていないし。

 そういう意味では、アノスとレイの対決を間近で見てみたい気がする。ま、たぶん無理だけどな。

 

「明日は本気で来い」

 

 レイは笑みを崩さずに言った。

 

「どうかな?」

「俺を相手に練習などしていては、死ぬ事になるぞ」

 

 それは、その通りだろう。

 アノスを相手に練習なんかしていたら、秒殺は確定である。

 

「出来れば、死なない程度にお願いしたいかな」

 

 相変わらず、飄々と受け答えするレイ。

 

「まあ、好きにすれば良いがな」

「そう言ってくれると助かるよ」

「お前が本気を出したくなるようにしてやる」

 

 そう言って、不敵に笑うアノス。

 レイは一瞬きょとんとしたような表情でアノスを見た後、くすっと笑う。

 

「アノス君って、けっこうサドだよね?」

「何を言う。俺ほど心の優しい魔族はいないぞ」

「じゃ、手加減してくれると助かるな」

「は。馬鹿を言うな。お前の体はそう言っていない」

「お前、人の身体見ただけでそんな事が分かるのかよ」

 

 エスパーかよ、コイツは。

 

「俺を誰だと思っている。そのくらい朝飯前だ」

「改めて、アノスの辞書に不可能の文字がない事が分かったよ」

 

 暴虐の魔王は何でもアリってのを改めて実感する俺だった。

 

「それにしても、運動したら、お腹空いたね」

「この授業はもういいだろう。教室に戻って早弁でもするか?」

「大丈夫かな?」

「大丈夫だろ。講師の七魔皇老2人をお前達がぶっ倒しちまった訳だし」

 

 この2人に至っては、今さら学ぶ事など無いだろう。俺は何か学べるかもしれないが、魔剣の扱い方とか興味ないし。

 

「フィリウスの言う通りだ。それに、こそっと行けば問題ない」

「了解。こそっとだね」

「じゃ、教室までさっさと行くぞ」

 

 俺とアノスとレイは展開したオーロラカーテンをくぐって教室へと移動する。

 

「・・・ねえ、ちょっと。七魔皇老を簡単に打ち負かしておいて、なにその日常感?いつものことみたいに早弁の話とかしないでよね・・・それにフィリウスに至っては剣を抜いただけで何も・・・」

 

 と、サーシャがぼやいていたが、最後の方は良く聞こえなかったのだった。




 如何でしたか?
 前話に引き続き、フルボッコにされる七魔皇老ですが、相手が悪すぎましたね。彼等だってこの時代の基準ならかなり強い部類でしょうが、相手がアノスとレイなので。レイはアレですしアノスは暴虐の魔王その人なので。
 ライダーな方もセイバーが終わりリバイスが始まりましたね。50周年記念作品で最初はゼンカイジャーみたいに頭空っぽにして見る作品だと思いましたが、蓋を開けて見ればギャグの皮を被ったつもりが全然足りていないシリアスですし。あちらこちらに地雷があるし本当に見ていてハラハラします。
 それでは、また次回お会いしましょう。


PS.アギレラ様しか勝たん
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