執筆スピードは相変わらず遅いですが、ここ最近のに比べたらだいぶ早くなりましたカトポンでございます。
サブタイが英語ですが、簡単な英語をくっつけたような物なので意味は言わなくても分かりますよね。まぁ、いい感じのサブタイが思いつかなかったので。
それでは、第35話をどうぞ。
翌日。
デルゾゲード魔王学院、魔樹の森。
俺達2組の生徒はこれから始まる試験の為、全員この場所に集まっていた。
「それでは、これからレイ班とアノス班による班別対抗試験を始めます」
授業の開始を告げる鐘が鳴り、エミリア先生が班別対抗試験の開幕を宣言した。
「昨日はよく眠れた?」
レイが俺達の方へ歩きながら、声をかける。
「ああ、寝つきは良い方だからな」
「俺もぐっすり眠れたな」
「羨ましいな。僕はあまり眠れなかったよ」
「ふむ。面白い本でも見つけたか。夜更かしは体に毒だぞ」
「ホントだよね。朝起きるのがしんどくて仕方がなかったよ」
ふわぁ、とレイは欠伸をする。
「ちょ、ちょっとちょっとちょっと!」
この和やかな雰囲気にサーシャが口を挟む。
「どうした?」
「どうした?じゃないわよ。これから班別対抗試験をするのよ、班別対抗試験!何、そのぬるい空気。遠足にでもいくつもり?」
「似たような物だろ。それに只の試験だぞ?」
戦争する訳じゃないんだし、そう気負う事も無いだろ。
「悪いな、俺の配下は少々口うるさい」
アノスがサーシャの頭に手を置いて、黙らせる。
「・・・あの・・・手、手っ・・・こんなことで黙らないわよ・・・」
そう言いながらも、サーシャは勢いが削がれ、大人しくなった。
「やきもち?」
サーシャの後ろから、ミーシャがひょっこり顔を出す。
「・・・な、何言ってるのよ・・・?」
「アノスがサーシャの時と違うから」
ミーシャの言葉に一瞬、首をかしげるがすぐにミーシャが言いたい事が分かった。
「あぁ、そういう事か。サーシャ。お前、自分の時とは違ってアノスがレイと和やかに話しているから妬いているんだろ?」
「ば、馬鹿なの!妬いてなんかないわ・・・!」
「そうか?」
アノスがサーシャの顔を覗き込むと、サーシャはぷいっと顔を背けた。
「・・・・・・・妬いてないわ・・・」
そして、独り言のような弱々しい呟きが漏れた。
「そもそも、前の班別対抗試験はお前の方から喧嘩をふっかけてきたんだろ」
懐かしいな。しかも、俺達が負けたらサーシャの従者にされるんだったか?
当のサーシャはアノスの方に視線を向け、「うー・・・」と唸っているが。
「サーシャさん」
「何よ!!」
サーシャの剣幕に声をかけたミサが若干怯む。
「・・・え、えーとですね。あたし達も勝負をしませんか?」
「何よ、勝負って?」
「ほら、アノス様とレイさんは勝負の約束をしているじゃありませんか。二人の邪魔にならないように、あたし達はあたし達で力比べをしませんか?」
「呆れたわ。班別対抗試験は模擬戦争よ。何処の世界に、示し合わせて勝負なんてする戦争があるのよ?」
「此処にある」
と、俺がふざけてボケると
「フィリウスは黙ってなさい」
すぐさまサーシャがツッコミを入れる。
「そういえば、サーシャさん。昨日の魔法写真、随分お気に入りだったみたいですね」
ミサがにっこりと笑いながら、そう口にする。
「・・・べ、別に。そうでもないわ」
と、言いつつもサーシャの目は泳いでいる。
「ふふふー、あたしを倒したら、差し上げますよ?」
ミサが一瞬、懐から写真らしき物をちらりと覗かせる。
「・・・そ。言いたい事はそれだけ?」
「はい。お互い、健闘しましょうね」
そう言い残し、ミサはアノス・ファンユニオンの集団に戻っていく。
「ああ、そうだ。思い出したけど、昨日の勝負はアノス君の勝ちだったよね?」
「そうだな。何かくれるのか?」
レイは涼しげな笑顔を見せる。
「じゃ、この班別対抗試験を楽しませる、とかどうかな?」
アノスからくつくつと笑い声が漏れる。
「面白い。期待させてもらうぞ」
「陣地はどうしようか?」
「好きに選べ」
「じゃ、東側かな」
そう言って踵を返し、ミサ達の方へと向かおうレイが突然、振り返った。
「いけない。忘れる所だった。今日、フィリウス君に伝えて欲しいってある人から頼まれてね」
「俺に?」
「森の中にある湖に来てくれだって。それじゃ」
何故、レイを通じてなのかは定かではないが、何となくレイに伝言を頼んだある人物が誰なのか予想がつく。
「行こうか。頼りないリーダーかもしれないけど、皆の力を貸して欲しい」
再び踵を返し、レイはミサ達に声を掛けると、ミサは意外そうな表情を浮かべた。
「どうしたの?」
「いえ、レイさんは変わっていらっしゃいますね。白服のあたし達に、そんな風に言うなんて」
「あぁ、僕はそういうのは苦手なんだ。皇族とか何とか、難しくて良く分からないからね」
飾らぬ口調でレイは言う。
「それに、偶に思ったりもするんだよね」
「何をですか?」
「始祖は本当にそんな事を言ったのかな?」
ミサが驚いたような表情でレイを見つめる。
「皇族が偉いなんて、本当にあの人が言うんだろうか?」
「・・・あの人?」
まるで、始祖・・・2千年前のアノスに会った事があるような口ぶりだな。
「あぁ、別に何となくの話だけどね。僕はずっと違和感を覚えてて。皆が言う暴虐の魔王が、別人のように思えてならない。まぁ、こんな事を言うと、混沌の世代なのにと白い目で見られるからね。内緒にしておいてもらえると助かるかな」
少し嬉しそうにミサは笑う。
「ふふふー、分かりました。ところで、レイさんは統一派の活動に興味はありませんか?」
こんな時にも、統一派の勧誘をする辺りミサもちゃっかりしてるな。
「いいや、まったく」
「そうですか。残念です。じゃ、アノス様のファンユニオンに興味はありませんか?」
和やかに会話をしながら、レイ達は東の陣地へ歩いていくので、俺達も踵を返し、森の西へと向かった。
しばらく時間が経過した後、上空を飛ぶフクロウから、〈
「それではレイ班、アノス班による班別対抗試験を開始します。
上空を飛ぶフクロウから、エミリア先生の声で班別対抗試験の火蓋が切って落とされた。
「・・・作戦は・・・?」
「私はミサと残りの生徒を相手するわ」
ミーシャがじーっとサーシャの顔を見る。
「写真が欲しい?」
「ち、違うわよ!私なら、何とかなるって思ってるあの女に、目に物を見せてやりたいだけ」
模擬戦争がどうのこうのと言っていたが、なんだかんだでうまく乗せられているな。
「なら、ミサ達はサーシャに任せるぞ。森の中にある湖に俺と会いたい奴が居るみたいだしな」
「何で今なのよ!?」
「こんな森の中に授業中以外で入る気になれんから。安心しろ、いざとなったら助けに行くから。って訳でアノス。俺は一応、遊撃って形で参加する事で良いか?」
「良かろう」
アノスからの許可も得れたので、ミサ達はサーシャに任せる事にしよう。
ただ、森の中にある湖って一体何処にあるのだろうか?川があるから湖自体が無いってのは無いと思うが、もし、レイに伝言を頼んだある人物が俺の予想通りなら、森の中に湖が無いのに森の中にある湖で集合とか言い出しかねないからな。
もしくは、レイが言っていた事が全て嘘って事も無くは無いが、確証がある訳じゃないがレイが嘘をついているようには思えない。
それに、これが戦力ダウンを狙う策略だとしても、サーシャ自体が強いから大丈夫だろう。
「サーシャ。1つ言っておくが」
「何よ?」
「多勢に無勢とはいえ、俺の配下なら、逃げ帰ってくるなよ」
サーシャはツンとした態度で微笑する。
「当たり前だわ。見てなさい。フィリウスが居なくたって全員、蹴散らしてやるわよ」
「ふむ。では、上手くいけば、褒美をやるぞ」
「何をくれるの?」
「何でもやる。好きな物を考えておくんだな」
途端にサーシャは顔を真っ赤にして、ぷいっとそっぽを向いた。
「・・・別に。何がって訳じゃないわ・・・か、考えとくから・・・」
この様子だと何か欲しい物がありそうだな。
「城を建てる?」
と、ミーシャが言う。
「そうだな。一応、建ててくれるか?」
アノスがそう言うと、ミーシャはこくりと頷き、右手を握るとその上に左手を被せる。その姿はまるで祈っているかのようだ。
そして、〈蓮葉氷の指輪〉から氷の結晶がいくつも現れたかと思うと、それらが魔法陣を構築し、キラキラと輝き始めた。
「氷の城」
ミーシャは自身の得意魔法である〈
瞬く間に俺達の足元が凍りついていき、氷の床と外壁が作られる。続いて、氷の玉座や、銅像、鏡などが現れた。その次の瞬間、体をぐっと持ち上げられるかのように氷の床がみるみる天へ上っていく。最後に空が氷の天井に閉ざされ、巨大な氷の魔王城が完成していた。
どうやら、俺達が今居るのは氷の魔王城の玉座の間のようである。
「・・・ミーシャの〈
ミーシャは小首を捻った。
「〈蓮葉氷の指輪〉があるから?」
「まぁ、それもあるだろうな」
アノスがそう口にすると、サーシャは不思議そうに訊いてきた。
「他に何があるのよ?」
「自分の根源に聞いてみる事だ」
不服そうに睨んでくるサーシャの視線を、アノスはさらりと受け流す。
「どうする?向こうが城を建てる前に打って出るか?」
「それぐらい待つわ。万全の状態で、ぐうの音も出ないぐらいに打ちのめしてやるから」
初めてミサと会った時からずっと張り合ってるなサーシャの奴。
「なら、向こうの様子を探っておくか」
アノスは前回の班別対抗試験でやったように〈
「あぁ、今聞かれてると思うよ」
「え?分かるんですか?」
〈
てか、レイに〈
「やぁ、アノス君。聞いてるでしょ?」
アノスだけじゃなく、俺とミーシャとサーシャの3人にも聞こえている事に気づいているかどうかは定かではないが、少なくとも傍受されている事には完全にバレてしまったようである。
「暇だったからな。そっちの魔王城の建設はどうだ?」
「もう少しかかりそうかな」
アノスは傍受した〈
「それは退屈だ」
「じゃ、暇つぶしに、こっちの渓谷にある一番大きい滝で会わない?」
「ほう、2人きりでか?」
「邪魔が入らない方が良いよね?」
逃げも隠れもせずにアノスに堂々と戦いを挑んでくるとは、度胸があるな。
しかも、一度アノスが戦っている所をレイは見た事がある訳だしな。アノスを強さを知っている上で真っ向勝負に持ち込んでくるとは予想してなかった。
「すぐに行く」
「それじゃ、後で」
〈
「という訳だ。少し遊んでくる」
「気をつけて」
ミーシャが言う。
「遊ぶのは良いけど、私がミサを負かすまでに決着つけないでよね」
班別対抗試験は
「30分は待つが、それ以上は保証できないな」
アノスは〈
「んじゃ、俺も行きますか。何かあったら、〈
展開したオーロラカーテンをくぐり、ミーシャの建てた魔王城の外に出る。
再び、オーロラカーテンを出現させて、ロブスターオルフェノク、センチピードオルフェノク、クロコダイルオルフェノク、ドラゴンオルフェノクの4体のオルフェノクを召喚する。
ラッキークローバーと呼ばれたこの4体のオルフェノクならそう簡単には突破されないだろう。
「〈
滅多に使わない魔法を使って、空を飛びながら湖を探す。
森の中に流れている川は1つしかないので、湖を見つけるのにはそう時間がかからなかった。
「見つけた」
森の中にそこそこ大きな湖を見つけた俺はそこに着地する。
俺の予想通りなら、此処に奴が居る筈だが・・・居た。
「やっぱり、お前か。レイを使って俺を此処に呼んだのは」
黒い服に白いコート。明るい茶髪、もしくは金髪の髪に整った顔立ちの長身の男。
「やぁ、久しぶりだね。フィリウス」
ディエンドの変身者であるルパン・アルネウスがそこに居るのだった。
如何でしたか?
レイ班との班別対抗試験が始まり、フィリウスとルパンが対面するというオリジナル展開に突入しました。
サブタイのMessage and Contactも、レイを使ったルパンからの伝言であり、フィリウスとルパンの接触という事です。
それと、フィリウスが第35話になってやっとまともな魔法を使いましたね。一応、第1話で言霊を使いましたがそれ以来ずっとライダーの力を使っていたので。まぁ、フィリウスとしても魔法よりライダーの力の方が扱いやすいですしそのライダーの力が万能すぎますからね。
それでは、また次回お会いしましょう。