暴虐の魔王と世界の破壊者   作:カトポン

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 どうも、おはこんばにちは。
 気づけば、お気に入りが40人を超えました。そして、年内最後の投稿です。
 それでは2020年、最後に送る『暴虐の魔王と世界の破壊者』第5話をどうぞ。


第5話 適正検査

「次はそこの部屋に行けばいいのか?」

 

 ミーシャはこくりとうなずく。

 適性検査が行われている部屋に入ると、石像の上にいたフクロウが口を開いた。

 

「魔法陣の中心に入り、適性検査を受けてください」

 

 床にはいくつもの魔法陣が描かれており、すでに適性検査を受けている生徒たちはその中心に立っていた。

 

「……じゃ……」

「行ってくる」

「あぁ。後でな」

 

 ミーシャとアノスは空いている魔法陣の中心まで歩いていった。

 俺も適当な魔法陣を見つけ、その中心に立つ。

 すると、頭の中に声が響いてきた。

 

『適性検査では、暴虐の魔王を基準とした思考適性を計ります。また暴虐の魔王に対する知識の簡単な確認を行います。思念を読み取るため、不正はできません』

 

 不正なんてするつもりはさらさらないから、さっさと始めてくれ。

 

『では最初に、魔王の始祖は名前を呼ぶことさえ恐れ多いとされていますが、その本名をお答えください』

 

 アヴォス・ディルヘヴィア。

 

『神話の時代。始祖はディルヘイドを壊滅させる、〈獄炎殲滅砲(ジオ・グレイズ)〉の魔法を使いました。これにより、ディルヘイド全てが焦土と化し、多くの魔族の命が失われました。なぜこのような暴挙を行ったのか、このときの始祖の気持ちを答えなさい』

 

 確か………戦いについていけない者を、別の時代に転生させるため。

 

『では、続いての問題ですが――』

 

 などと、適性検査は続く。

 正直、この先の質問には答えが分からないのでそれっぽい事を答えた気がする。

 それから三○分後――

 適正検査が終了し、俺はその部屋を後にする。

 帰り際になにやら入学について説明していたフクロウの言葉を軽く聞き流して、大鏡の間を抜ける。

 すると、外にミーシャが立っていた。

 なにをするわけでもなく、ぼんやりと虚空を見つめている。

 

「なにしてるんだ?」

 

 声をかけると、ミーシャは顔をこっちに向けた。

 相変わらず無表情だ。

 

「……アノスとフィリウスを待ってた……」

「後でって言ってたしな」

「………うん……」

「俺も待つか」

「いいの?」

「あぁ。俺も後でって言われたしな」

 

 首から下げたピンクの2眼レフカメラで夕焼けに染まるデルゾゲードを撮影する。

 

「……それは……?」

 

 ミーシャが俺が首から下げたカメラを指さす。

 

「カメラだ。写真撮影が趣味だからな」

「……変わったカメラ……」

「二眼レフだからな」

 

 この世界にあるのは基本的に一眼レフカメラ。二眼レフカメラもあるにはあるが数は少ない。俺が首から下げているピンクの二眼レフだって〈創造建築(アイリス)〉で作ったものだしな。

 ミーシャは俺のカメラをじっと見つめる。

 

「使ってみるか?」

「いいの?」

「あぁ。ただ、難しいぞ」

「……やってみる……」

 

 俺は首から下げたカメラをミーシャの首にかけさせる。

 使い方を教え、ミーシャはデルゾゲードがあるミッドヘイズの街並みを撮影した。

 

「……ありがとう……」

 

 ミーシャは首に下げたカメラをカメラを外し、俺に渡す。

 

「どういたしまして。ミーシャが撮った写真は現像したら渡す」

「現像?」

「現像ってのはフィルムに写真を可視化させる事だ」

「……見てみたい……」

「じゃ、現像する時は呼ぶよ」

「……うん……」

「ミーシャ、フィリウス」

 

 ミーシャと約束する時にアノスがやってきた。

 

「2人とも待っていたのか?」

「後でって言われたしな」

 

 ミーシャも頷く。

 

「悪い。適性検査で今日はもう終わりだったんだよな」

「……ん……」

「なら、合格祝いに、遊んで行かないか?」

 

 と、アノスから誘われた。

 もしかして、俺達を待たせた事を気にしているのだろうか?ミーシャは分からないが、俺はそんなに待った訳じゃないし、2人で写真を撮ってたりして全然苦じゃなかったから、そこまで気にしていない。

 

「俺達と?」

「あぁ」

「いいの?」

「俺が誘ってるんだ」

「……行く……」

「フィリウスは?」

「俺も行く」

 

 せっかくアノスから誘われたんだ。行かない手はないだろう。

 

「そうか。じゃ、とりあえず家に来ないか? たぶん、母さんがご馳走作って待ってるだろうからな」

 

 俺とミーシャはこくりとうなずく。

 

「なら、つかまれ」

 

 アノスが両手を差し出すと、ミーシャは片方の手にすっと手を置いた。俺もミーシャが置いた手とは反対の手に自分の手を置く。

 

「こう?」

「それじゃ、置いてかれるぞ」

「〈飛行(フレス)〉なら使える」

 

 フレス?何それ?何の魔法かさっぱり分からない。

 

「いいから、もっとつかまってみろ」

「わかった」

 

 ミーシャは素直にアノスの手をぎゅっと握った。

 地面に魔法陣が浮かび上がり、目の前の風景が真っ白に染まる。

 

「〈転移(ガトム)〉」

 

 次の瞬間、目の前には鍛冶・鑑定屋『太陽の風』の看板が見えた。

 木造で、二階部分が住居になっている。

 

「ついたぞ。俺の家だ」

 

 アノスはそう口にするが、ミーシャはじーっと目の前の看板を見つめたままだ。

 表情に変化はないのだが、なんとなく気配で驚いているというのがわかる。

 

「……魔法……?」

「うむ、〈転移(ガトム)〉だ。簡単に言えば、空間と空間をつなげて一瞬で移動する魔法だな」

 

 一瞬、ミーシャは口を閉ざす。

 それから、呟くように言葉を漏らした。

 

「……失われた魔法……」

「なんだそれ?」

「使い手がいなくなった魔法のこと。主に神話の時代に失われた」

 

 まぁ、アノス以外で〈転移(ガトム)〉使ってるとこ見た事ないし。

 

「しかし、魔法でこんな事が出来るとはな……」

「フィリウスも似たようなのは使っていたであろう」

「確かに、オーロラカーテンと似てるな」

 

 オーロラカーテンは空間と空間を繋げないが、一瞬でどんな所でも一瞬で移動出来る。

 そういや、オーロラカーテンを使えば別の世界へ行く事も出来るのだろうか?それこそ、元いた世界に行く事も全く別の世界に行く事も……。もし、出来るのならアノス達を俺の世界に観光に行ったりしてみたいな。

 

「……アノスは天才……?」

 

 はは、と思わず笑うアノス。

 

「……本気……」

「いやいや、悪い。これぐらいで天才って言われるのがこそばゆくてな」

「……アノスは何者……?」

「魔王の始祖だ」

 

 ずっと無表情だったミーシャが目を丸くして驚いた。

 俺はというと、そこは流石に知っていたので特に驚かない。

 

「……転生した……?」

「信じるか?」

 

 ミーシャはじっと考え、訊いた。

 

「……証拠は、ある……?」

「俺が証拠だ。この俺の魔力がな。もっとも、この時代の連中は魔眼が弱すぎて、俺の力の深淵を見ることさえできないようだが」

 

 困ったようにミーシャが黙り込む。

 

「アノスの魔力は膨大。わたしにも底が見えない」

 

 ミーシャに見えないなら、殆どの連中にはわからないだろう。無論、俺にも。

 

「まあ、そのうちわかる。行くぞ」

「……ん……」

「あぁ」

 

 アノスが『太陽の風』の扉を開くのだった。




 如何でしたか?
 大晦日に投稿出来るよう頑張りました。
 因みに皆様は大晦日をどのように過ごしていますか?紅白見てたり、ガキ使見てたりしているのでしょうか?作者はというと、テレビを二画面にして、紅白とガキ使を両方見ながら、これを書いています。
 それでは、また来年お会いしましょう。
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