マウンテン・ティムに相棒がいてもいいじゃない   作:不知東西屋

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第5.5話:おまけ

 医者を呼んでマウンテン・ティムを治療させた後、夕方に街を出発した。

 

 夏も終わりとはいえ、まだまだ日中の砂漠は暑い。

 快適な夕方の間、完全な日没までに出来るだけ距離を稼ぎたかったからだ。

 

 マウンテン・ティムとは出発の前にちょっとした話をした。

 

「それで、ちょっと聞いておきたいんだけど」

「なんだ?」

「この陰謀を、一体誰のために止めたいんだい?」

 

 虚を突かれたように瞬きをするマウンテン・ティム。

 珍しい表情に僕はにやっと笑う。

 

「カウボーイとしての正義感?嘘じゃないけど、それだけじゃないだろう。アナタにここまでさせるなにかがあるんじゃないか?」

 今までの経験から十中八九、女性のためだと思いながら問いかける。

 

「……、なかなかイイ趣味してるな。」

「アナタがベッドで休んでいる間に、こっちは砂漠を旅しようっていうんだ。これくらいは聞かせてもらわないとね。」

 

 マウンテン・ティムは白旗を揚げるように肩をすくめた。

 

「…、ルーシー・スティール」

 大切なものであるかのように、そっと彼は口にした。

 

 それはスティール・ボール・ランの主催者であるスティール氏の妻の名前。

(若干14歳の美少女だ。)

 

「なるほど。彼女はレースの中心に近いところにいる。当然、この陰謀に巻き込まれる可能性は高い。いや、すでに巻き込まれている可能性もあるか。」

 本当はもっと茶化そうと思っていたが、やめにした。

 マウンテン・ティムの表情があまりに切実だったからだ。

 

「答えてくれてありがとう。おかげで気合いが入った。」

 そう言って部屋を出ようとする僕をマウンテン・ティムが呼び止めた。

 

「おいおい、ちょっと待てよ。」

「まだ何かあったかい?」

 

 振り返ると、先ほどまでとは一転してにやっと笑ったマウンテン・ティムがいた。

「俺だけ秘密を話して終わりか?そうはいかないぜ。お前もなにか秘密を言えよ。」

 

「どうして僕がッ?」

「おいおい、オレたちは相棒だろう。相棒ってのは平等なもんだ。一方だけ秘密を話して終わりって事はないだろう」

 

 相手が折れそうにないので、僕は諦めることにした。

 ため息をついて、肩をすくめる。

 

「秘密ね…。」

「ああ、なんでもいいぞ。」

 

「僕が時々、修道院に手伝いに行ってる事は知ってるよね。」

「ああ、ワイオミングの人間なら大概知っている。メアリー・ロバート目当てだろう?」

 流石にそこまで知れ渡ってはいないと信じたい。

 

 メアリー・ロバートは修道院で一番若い修道女だ。

 可愛らしい女性で修道院の外で奉仕活動をするときなど、ちょっとでも言葉を交わそうと若い男が周りをうろちょろする。

 

「いや、実は僕の目当てはメアリー・ロバートじゃなくてメアリー・パトリックの方なんだ。」

「え?メアリー・パトリック?あの4○歳近くて、デ…ふくよかな体型の?」

 

「そう、年といい体型とジャストなんだ。あの柔らかそうな体で抱きしめて欲しいっていうか。」

 そこまで言って改めてマウンテン・ティムの顔を見ると完全に理解できないものを見る顔をしていた。

 

「あ、引いたな。ひどいぞ。自分のことを棚に上げて。そっちだって一体いくつ年の差があると思ってるんだ。」

 僕が抗議の声を上げると、マウンテン・ティムは快活な笑い声を上げた。

 

「すまん、すまん。ちょっと驚いただけだ。」

「アナタにだから打ち明けたんだ。誰にも言わないでくれよ。」

「もちろん。誰にも言わないさ。」

 

 大げさに真面目ぶった口調でそこまで話して、お互いに口元に微笑が出た。

 

「…、それじゃあ僕は行くよ。」

「ああ、ぬかるなよ」

「ああ、そっちも油断するなよ」

 

 最後にそう交わして、僕たちは別れた。

 




列車に向かう前にジャイロとジョニィが秘密を打ち明け合うシーン、好きなんですよ。
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