特に変更点は誤字以外ありません。
キャベツ狩りを終えた騎士はカズマ少年達と別れを告げて酒場で休んでいた。
ちなみに、氷漬けになったアクアは他の冒険者のファイアーボールに炙られる事によって回復した。
そんな光景を思い出して綻んだ口元を騎士はサッと隠した。
(まさか、私が笑うとはな。感情なんて久しく忘れていたはずなのだがな。)
クリムゾンビアを頼もうとマスターに話しかけようとしたその時。
【使命を果たせ】
騎士は不意に頭を抑える。
【使命を果たせ】
騎士は机に突っ伏して苦しみ出す。
【使命を果たせ】
騎士は不意に立ち上がり、
【使命を果たせ】
(帰らなくては。)
騎士はユラリユラリとギルドを出ると町外れの方へ歩いていった。
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「最近騎士のこと見ないわね。」
アクアがカエル肉を貪りながら言う。
「騎士……あの怖い人のことですか。あの人の強さならここら辺のモンスターにやられることは無いでしょうから別の街にでも行ったんじゃないでしょうか?」
「めぐみんの言う通りね。アイツなら死ぬことはないわ。ならそう考えるのが妥当よね。まぁ、崇高な私の誘いを断った男の事なんてどうでもいいけど、」
「お前なぁ。根に持ちすぎだろ。それに、ほんとにそうだと良いんだがなぁ。俺はなんか嫌な予感がするんだよ。」
カズマはそう呟くのだった。
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騎士は町外れで火を眺めていた。
(帰らなくては。だが、、どうやって。)
焦り、、、脅迫的なまでに練り上げられた使命感は騎士のことを追い詰めに追い詰めていた。
騎士は少しでも誤魔化すために火を眺めているのであった。
すると、
「ここらへんはあまり人がいないな。ここから攻めるのが良さそうだ。クックック。人間共はまさかこの最弱の街に魔王軍幹部デュラハンのベルディアがいるなんておもわ……うわァァっ!びっくりした!!貴様ァ!!いつからそこにいた!!」
首なし?の騎士に見つかった。
騎士は刀に手をかけながらゆっくりと立ち上がると
「貴公こそ。何者だ。」
と答えた。
(大振りの大剣か。かち合うのは分が悪いな。)
そんなことを考えながら騎士はゆっくりと距離をとる。
すると首なし騎士は
「私を見ても驚かないのだな……。私の名はベルディア。魔王軍幹部で、いずれ人類を滅ぼすものの1人だ。貴様も名乗れ。」
「私には。名はない……。あったのかもしれない。だが、忘れた。
それに………必要もない……。」
「名無しの騎士か。ふはは。面白い人間だな……。聞くが、何故そこで火を眺めていたのだ。暇なのか?」
ベルディアが聞いてくる。
「いや。ただ落ち着くのだ。それに貴公と同じで、私にも果たさねばならない使命がある。」
「ふ、そうか。しかしまあ。貴様もなかなかに、歪んでいるな。私が言えたことではないがな…。」
「なぜ…。なぜ貴公はそんな姿になったのだ。」
火の前に腰を落ち着けながら騎士が聞く。
「首を跳ねられてな。冤罪だよ…。裏切りだったかもな。死んだ理由など忘れた。思い出したくもない。ただただ。憎しみだけが私をつなぎ止めた。それでこんな姿になった。で、復讐のために魔王軍幹部をやってるのだ。」
いつの間にか横に来たベルディアがそんなことをいった。
「ハハッ。久しく焚き火などやらなかったがなかなか悪くない。なあ、名無しの騎士よ。貴様の使命とはいったいなんなのだ。」
「火を……思い出を継ぐことだ。」
騎士はベルディアに【ジークの酒】を渡す。
「ふはは!!思い出か。それは良い事だな!」
酒を飲みながらベルディアは言う。
「そうだろうか。私のやっていることは正しいのだろうか。」
「正しいかどうかと聞かれればそれは分からない。それに貴様が1番分かっているのではないか?」
「そうだな。そうかもしれない。」
「それに、、騎士の私が言うのも変な話なのだが。。使命……。これは必ずやらなくてはならないことではないと思うのだ。使命を守った結果。自分が被害を受けたり。誰も救われないこともある。目の前にちょうど良い例が居るだろう?自分でも考えることが大切なのだ。そして、自分がそれをしたいかどうかもな。」
「ふふ。貴公は騎士として失格だな。」
「ふはは!確かにそうだな!しかし…とても大切なことだ……。では、私はそろそろ行く。美味い酒の礼だ今回は見逃す。貴様なら誰かに私のことを話すこともあるまい。……2週間後にここを攻めるつもりだ。それまでにやりたい事・・・・・を見つけてここから出ていくんだな。 」
それだけ言うと、ベルディアは馬に乗り去っていった。
(やりたい事……か。)
騎士はベルディアの言ったことを思い出しながら揺らめく火を眺めた。
コタツあったけぇ。執筆頑張ります