「爆裂魔法は最強魔法。その分、魔法を使うのに準備時間が結構かかります。準備が調うまで、あのカエルの足止めをお願いします」
カズマ少年とアクアは満腹になっためぐみん少女を連れ、ジャイアントトードにリベンジに来ていた。そして、どうしてか騎士も一緒にきていた。
平原の遠くの遠く離れた場所には1匹のカエルの姿。
そのカエルは、こちらに気付いて向かって来ていた。
だが、更に逆方向からも別のカエルがこちらに向かう姿が見える。
騎士が刀を抜きながら別のカエルの方へ走り出そうとすると
「待ってくれ!あいつのことは俺たちに任せてくれませんか?」
騎士が刀から手を離すと
「ありがとうございます。アークウィザードは遠い方のカエルを魔法の標的にしてくれ。近い方は……。おい、行くぞアクア。今度こそリベンジだ。お前、一応は元なんたらなんだろ? たまには元なんたらの実力を見せてみろ!」
「元って何!? ちゃんと現在進行形で女神よ私は! アークプリーストは仮の姿よぉ!」
涙目でカズマの首を絞めようとしている自称女神を、めぐみんが不思議そうに。
「女神……?」
首を傾げてこちらを見てきたが騎士も首を傾げることしか出来なかった。
するとカズマが
「女神……を、自称している可哀想な子だよ。たまにこういった事を口走ることがあるんだけど、できるだけそっとしておいてやって欲しい」
俺の言葉に、同情の目でアクアを見るめぐみん。
涙目になったアクアが、拳を握ってヤケクソ気味に、近い方のカエルへと駆け出した。
「何よ、打撃が効き辛いカエルだけど、今度こそ女神の力を見せてやるわよ! 見てなさいよカズマ! 今のところ活躍してない私だけど、今日こそはっ!」
パクッ
(案の定……か。アクア。足止め感謝する。)
騎士がカエルの体内に居るアクアを助けに行こうとすると
いきなりめぐみんの周囲の空気がビリビリと震えだした。
騎士は危険を察知し距離をとる
うねる空気の中
魔法を唱えるめぐみんの声が大きくなり、めぐみんのこめかみに一筋の汗が伝う。
「見ていてください。これが、人類が行える中で最も威力のある攻撃手段。……これこそが、究極の攻撃魔法です」
めぐみんの杖の先に光が灯った。
膨大な光をギュッと凝縮した様な、とても眩しいが小さな光。
めぐみんが、紅い瞳を鮮やかに輝かせ、カッと見開く。
「『エクスプロージョン』ッ!」
平原に一筋の閃光が走り抜ける。
めぐみんの杖の先から放たれたその光は、遠く、こちらに接近してくるカエルに吸い込まれる様に突き刺さると……!
その直後、凶悪な魔法の効果が現れた。
目も眩む強烈な光、そして辺りの空気を震わせる轟音と共に、カエルは爆裂四散した。
吹っ飛んできためぐみんを捕まえながら騎士はその威力に少し驚嘆する。
爆煙が晴れると、カエルのいた場所には二十メートル以上のクレーターができており、その爆発の凄まじさを物語っていた。
(杖を触媒にしているということは魔術か?これ程の力をなぜ少女が行使できるのだ。)そんなことを考えていると
さきほどの衝撃で起きたのだろうか。
地中から追加のカエルが現れた。寝起きだからだろうか。動きはかなり鈍い。するとアクアを助け出そうとしているカズマ少年が
「めぐみん! 一旦離れて、距離を取ってから攻撃を……」
カズマ少年はそこまで言いかけて、めぐみんの方を向くと同時。そのまま動きを止める。
そこにはめぐみんが倒れていた。
「ふ……。我が奥義である爆裂魔法は、その絶大な威力ゆえ、消費魔力もまた絶大。……要約すると、限界を超える魔力を使ったので身動き一つ取れません。あっ、近くからカエルが湧き出すとか予想外です。……やばいです。食われます。すいません、ちょ、助け……ひあっ……!?」
「おぉぉぉい!!何してんだァァ!!!騎士さァァァんお願いしまァァァす!!」
承った。
騎士は頷くと《めぐみん入りカエル》の方へかけて行った。
もぐもぐと咀嚼しているカエルの元に着くとカエルの背中を踏み台にして跳躍しながら左手に
右手をカエルの口に突っ込むとめぐみんを引っこ抜く。「うぇ〜。生臭いですぅ。」
そして代わりに"
【たぎる混沌】
悪魔の命の欠片をカエルの口に残したまま手を引き抜くとそのままめぐみんを抱えて走った。
瞬間──。
カエルは爆散した。
【たぎる混沌】
デーモンの王子が最後に灯した炎
混沌としたその欠片を、投げつける呪術
混沌の欠片は着弾地点で激しくたぎり
一瞬の収縮の後、大きく爆発する
デーモンにとって、それは命の欠片だった
このフレーバーめっちゃすき。