この素晴らしい世界の火継ぎを!   作:出没する18禁

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メリクリ
最近ブラボにハマってるサンタから
ちょっと早めのクリスマスプレゼントです。




 

 

「うっ……うぐっ……。ぐすっ……。生臭いよう……。生臭いよう…………。おんぶぅ…。おんぶぅ……。ぐすんっ…………。」

 

 私とカズマの後を、粘液まみれのアクアがめそめそと泣きながら付いて来る。

 

「カエルの体内って、臭いけどいい感じに温かいんですね……。知りたくもない知識が増えました……」

 

アクアと同じ粘液まみれのめぐみん少女がカズマ少年の背中におぶさりながらやってくる。

カズマ少年におんぶされるめぐみん少女をみて「私の事をおんぶなさい!」と言われたが丁重にお断りした。やめてくれ。鎧にそのヌメヌメがつくのは"死んでも”ごめんだ。

 

魔法を使う者は、魔力の限界を超えて魔法を使うと、魔力の代わりに生命力を削る事になるらしい。

 魔力が枯渇している状態で大きな魔法を使うと、命に関わる事もあるそうだ。

 

「今後、爆裂魔法は緊急の時以外は禁止だな。これからは、他の魔法で頑張ってくれよ、めぐみん」

 

 カズマ少年の言葉に、背中におぶさっためぐみんが、「ギクッ」と小さな声を漏らした。そして、それに続くように

 

「…………使えません」

と答える。

 

(使えない?それはやはりそういう事なのだろうか。)

 

「…………は? 何が使えないんだ?」

カズマ少年が戸惑いながら答える。

 

「…………私は、爆裂魔法しか使えないです。他には、一切の魔法が使えません」

 

「…………マジか」

 

「…………マジです」

 

 カズマ少年とめぐみん少女が静まり返るなか、今まで鼻をぐすぐす鳴らしていたアクアが、ようやく会話に参加する。

 

「爆裂魔法以外使えないってどういう事? 爆裂魔法を習得できる程のスキルポイントがあるなら、他の魔法を習得していない訳がないでしょう?」

 

確かにアクアの言う通りだ。

あれ程の力を有していながらあれ以下の力を行使出来ないわけがないだろう。

なぜ爆裂魔法しか使えないのだろうか。

するとめぐみん少女が

 

「……私は爆裂魔法をこよなく愛するアークウィザード。爆発系統の魔法が好きなんじゃないです。爆裂魔法だけが好きなのです」

と呟いた。

そして続けざまに

「もちろん他のスキルを取れば楽に冒険ができるでしょう。火、水、土、風。この基本属性のスキルを取っておくだけでも違うでしょう。……でも、ダメなのです。私は爆裂魔法しか愛せない。たとえ今の私の魔力では一日一発が限界でも。たとえ魔法を使った後は倒れるとしても。それでも私は、爆裂魔法しか愛せない! だって、私は爆裂魔法を使うためだけに、アークウィザードの道を選んだのですから!」

 

「素晴らしい! 素晴らしいわ! その、非効率ながらもロマンを追い求めるその姿に、私は感動したわ!」

 

騎士の長年の勘と経験が警鐘を鳴らしていた。

"こいつはやばいかもしれない”

 

 よりによってアクアが同調しているのがその証拠だろう。

 カズマ少年が無言でこちらを振り返った。

騎士はカズマ少年を慰めるようにゆっくりと頷いた。

 

カズマ少年はなにかを決めたような顔をすると

「そっか。多分茨の道だろうけど頑張れよ。お、そろそろ街が見えてきたな。それじゃあ、ギルドに着いたら今回の報酬を山分けにしよう。うん、まあ、また機会があればどこかで会う事もあるだろ」

 

 その言葉に、カズマ少年の肩をより強くめぐみん少女が掴む。

 

「ふ……。我が望みは、爆裂魔法を放つ事。報酬などおまけに過ぎず、なんなら山分けでなく、食事とお風呂とその他雑費を出して貰えるなら、我は無報酬でもいいと考えている。そう、アークウィザードである我が力が、今なら食費とちょっとだけ! これはもう、長期契約を交わすしかないのではないだろうか!」

 

「いやいや、その強力な力は俺達みたいな弱小パーティーには向いてない。そう、めぐみんの力は俺達には宝の持ち腐れだ。俺達の様な駆け出しは普通の魔法使いで十分だ。ほら、俺なんか最弱職の冒険者なんだからさ」

 

カズマ少年はそう言いながら、ギルドに着いたらすぐに追い出せるようにか、必死でしがみついてくるめぐみんの手を緩めようと躍起になっている。

 

 が、その俺の手をめぐみんが摑んで放さない。

 

「いえいえいえ、弱小でも駆け出しでも大丈夫です。私は上級職ですけどまだまだ駆け出し。レベルも6ですから。もう少しレベルが上がればきっと魔法使っても倒れなくなりますから。で、ですから、ね? 私の手を引き剝がそうとしないで欲しいです」

 

「いやいやいやいや、一日一発しか使えない魔法使いとか、かなり使い勝手悪いから。くっ、こいつ魔法使いのくせに意外な握力をっ……! お、おい放せ、お前多分ほかのパーティーにも捨てられた口だろ、というかダンジョンにでも潜った際には、爆裂魔法なんて狭い中じゃ使えないし、いよいよ役立たずだろ。お、おい放せって。ちゃんと今回の報酬はやるから! 放せ!」

 

「見捨てないでください! もうどこのパーティーも拾ってくれないのです! ダンジョン探索の際には、荷物持ちでも何でもします! お願いです、私を捨てないでください!」

 

 背中から離れようとしないめぐみんが、捨てないでだのと大声で叫ぶためか、通行人達がこちらを見てひそひそと話をしていた。

 すでに街中に入っているため、見てくれだけは良いアクアもいるせいか、やたら目立つ

 

(これは……。まずいな。)

 

騎士がこれまで感じたことの無い。

 

確かな予感だ。

 

《逃げろ》

 

騎士はいきなり【古老の結晶杖】を取り出す

【見えない体】を詠唱した。

騎士が見えなくなるのと同時に周りからこんな声が聞こえてきた。

 

「──やだ……。あの男、あの小さい子を捨てようとしてる……」

 

「──隣には、なんか粘液まみれの女の子を連れてるわよ」

 

「──あんな小さい子を弄んで捨てるなんて、とんだクズね。見て! 女の子は二人ともヌルヌルよ? 一体どんなプレイしたのよあの変態」

 

 ……間違いなくあらぬ誤解を受けている。

 

「な、ななな、なんかただならぬ雰囲気に!違いますよ!皆さん!違いますよー!騎士さん!騎士さんも何とか言ってください!あれ?騎士さんどこいった?騎士さん逃げやがったな!?騎士さんンンンンンンン!!おい騎士ィィィィィ!!!」

 

それに追い討ちをかけるように口元を歪めためぐみん少女が「どんなプレイでも大丈夫ですから! 先程の、カエルを使ったヌルヌルプレイだって耐えてみせまぁ、ングッ」

 

めぐみん少女の口元を抑えながらカズマ少年は

 

「よーし分かった! めぐみん、これからよろしくな!」と絶叫した。

 

カズマ少年には見えていないはずなのだが彼と目が合った気がして、騎士は久しぶりに恐怖を覚えた。




クリスマス 男子シングルス出場予定です。
応援よろしくお願いいたします。
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