大和を襲ったネウロイとの戦闘終了後、明乃達は空母天城に降り立っていた。
最初は着陸する人達の邪魔にならない様に大和か駆逐艦のどれかに降りようとしたのだが
大和からの指示で空母天城に降りることになった。天城へ降りていくと整備兵らしき人達がエレベーターから上がってきたストライカーユニットの格納装置の周りに待機していた。
「戦闘、ご苦労様です。整備は我々が責任を持ってやらせてもらいます。どうかゆっくり休んでください」
「あっ、はいありがとうございます・・・」
「次、ウィッチ三名着艦、整備班、準備急げ」
整備兵の声の響く、明乃は取りあえず邪魔にならないだろう艦の端にいることにした。
明乃の次に降りてきたのは明乃と一緒にやってきた先行メンバーの芳佳、シャーリー、鈴の三人だった。三人も整備兵にユニットを預けると明乃の元にやってきた。
「艦長ぉぉぉ」
「よぉ、岬お疲れさん」
「明乃ちゃん、大丈夫だった?あんなにシールド張ったまま飛んで、疲れてない?」
「うん、大丈夫・・・それより飛んでいたあの人達に申し訳なくて・・・」
「それってもしかして・・・」
芳佳が明乃に聞こうとしたとき、機体の損傷の関係でいち早く着艦した艦載機の操縦士達が明乃達の元へやってきた。
「おぉーここにいたかぁ、さっきは助かった。ありがとう」
「君は俺達の命の恩人だよ、ありがとう」
「どうしても直接お礼を言いたくてね、いや本当に助かった。」
「あっ、えっと・・・その・・・ごめんなさい、私のせいで!!」
明乃はやってきた操縦士にいきなり謝った。横から見ていた芳佳の目に明乃が泣いているのが確認できた。それを一緒に見てたシャーリーは明乃が泣き出した理由に見当がついた。
「そうか・・・岬のやつ戦場で人が死ぬのを見るのは初めてか」
「あっ、それで明乃ちゃんそれを気にして・・・」
「ゴメン・・・ナサイ、私、最初にシールドを張った時に飛んでいる人達にも張れたのに、張るのを忘れたせいで・・・」
明乃の謝罪を聞いた操縦士の一人はそっと明乃の頭に手を置いた
「そんなことか、それで君を恨む人間はココにはいないさ」
「あぁむしろ本当は俺達が君達ウィッチを守るために盾になるはずなんだからな」
「それに君はあの時、護衛艦隊にもシールドを張ってくれたじゃないか、あんなことが出来るウィッチは初めて見た。そのおかげで多くの同胞が守られたんだ。散っていった仲間も空の彼方で笑っているはずだ。俺達飛行機乗りは航空ウィッチより戦果は低いがまだ幼い少女達だけに戦わせない、共に戦い祖国を守るという意思のもと志願したんだ。君が責任を感じる必要はないさ、散って行った同胞のために泣いてくれるだけでもそいつは報われているはずだ。それでも責任を感じているのであればもっと胸をはってウィッチの使命を果たしていけばいい、それがきっと散って行った者達の餞になるはずだ」
「で、でも!」
「気にすんなって嬢ちゃん、宮藤曹長、この嬢ちゃんを頼みますよ」
「はい、それは勿論」
宮藤芳佳はそれを了解する。言われなくても明乃のケアは元々するつもりだった。
「そう言えば気になったんですが彼女達ってどこの所属なんですか、宮藤曹長」
一人の操縦士が芳佳に問いかける
「そう言えば見た目は扶桑人だが扶桑では見たことも聞いたこともないな」
「あんなに大量のシールドを張れるウィッチがいるのなら軍の方でも戦意高揚に使うと思うんだが・・・」
他の二人も明乃達の所属が気になっていた。芳佳は明乃達の今の扱いを簡単に説明した。
「明乃ちゃん達はつい最近ウィッチに覚醒して、私達の手伝いをしてもらってるのでまだ階級とかは持ってないんですけど、皆凄く強いんですよ、明乃ちゃんなんかネーデルラントの女王様から勲章を貰いましたから」
「勲章をでありますか!それは凄い、改めて名前を教えてもらっていいですか」
操縦士の一人が明乃に名前を伺う
「岬明乃です・・・」
「岬明乃っと・・・いやぁありがとうございます、これは自慢話の種になりそうです」
「はぁ・・・どういたしまして」
「では我々はそろそろ失礼します、明乃さんもお元気で」
「またいつか」
「失礼します」
明乃より年上の男性が敬語で喋り敬礼をし、この場を去って行った。
明乃はまだ心の整理が出来ず茫然としていた。そこに芳佳が手を差し伸べた。
「明乃ちゃん、皆の所に行こうよ」
「うん、ねぇ芳佳ちゃんは辛くないの、その、目の前で人が死んで」
「辛いよ・・・私達ウィッチもこの手に皆を守る力があるけどすべてが守れるわけじゃないから・・・でもね散って行ってしまった人達の思いや願いを叶えるのも私達ウィッチの役目だと私は思うんだ」
「思いや願い・・・、私にも叶えてあげることが出来るかな・・・」
「出来るよきっと、さぁ皆の所に行こうよ明乃ちゃん」
「・・・うん!」
明乃は何かを自らの心に刻み力強く頷いた。
明乃が操縦士達とあっていたころ副長の宗谷ましろは空母天城に着艦していた。
副長として晴風乗員のウィッチが着艦するのを確認してから降りたため結局着艦は最後の方になってしまった。ましろが整備兵にユニットを預けて皆と合流しようとしたとき一人の男性に声をかけられた。
「さっき、私を助けてくれたウィッチですよね」
「もしかしてさっきの航空機に乗ってた・・・」
「えぇ、緋田飛鳥と申します」
「ひだ・・・あすか、さんですか、何か私にあるんですか」
「えぇ、助けてもらったお礼とそれとは別に言っておきたいことがありまして」
艦載機の操縦士の緋田飛鳥が宗谷ましろに何かを語ろうとしてたとき、ましろの後ろから四人の少女がやってきた。ココ、ミーナ、メイ、タマの四人だ。四人はましろより先に着艦しており最後に着艦した副長のましろを向かいに来たのだ。
「おぉー副長がいよったぞ」
「誰かとしゃべってる・・・」
「整備士の人じゃないよね、服装的に」
「あの服装って艦載機とかいう飛行機に乗っていた人達が着ていた服装じゃないですか」
「そうじゃそうじゃ、確かに着とっていたぞ」
「そう言えば副長、一機助けていたよね、確か」
「うぃ」
「じゃあお礼でも言われているんですかね」
四人がしゃべりながら副長の後ろから近づくと段々と二人の会話が聞こえてきた。
副長と話している男性の声が聞こえる距離までくると男性の方からとんでもない言葉が発せられた。この時宗谷ましろは後ろから近づいていた四人には気付いていなかった。
艦載機操縦士、緋田飛鳥の言葉を聞いた四人はましろに気付かれる前に後ろに下がり物陰に隠れることになる
「貴方に惚れました。私と結婚してくれませんか」
「なっ!!」
ズサァァァァァ⇒高速で後ろへ退いていく音
すぐさま後ろへ退いた四人は状況を整理する
「ちょっと、副長、告られたんだけど」
「うぃうぃ」
「しかも付き合ってください、じゃあなくて結婚してくださいですよ、大事件です!」
「あぁそうじゃの、それにしても知人が告白される現場を見るのも驚くもんじゃの」
「「「同感」」」
「って、そんなことしている場合じゃないですよ、相手の人どんな人か見てみましょう」
「そうじゃな、どんなやつじゃ」
「・・・かなりの、イケ・メン!」
「うわぁ、メッチャ、イケメンなんですけど、なんかスポーツ用品の雑誌のモデルやってるような」
「そこは普通にモデルでいいんじゃないですか、それにしても本当にかなりのイケメンですね、あれだったらもっと前から女性に告白されていそうですが」
「確かにそうじゃの、歳はだいたい22歳?いやもっと若いか」
「もしかしたら同い年?」
「いや、タマ、背の高さ的に同い年は無いでしょう、若くて18歳くらい?」
「それくらいが妥当でしょうね」
「おい、ココ、またなんか話とるぞ」
「そのようですね、でもここからじゃ聞こえませんね・・・一端他の人達と合流しましょう」
「賛成!」
「ウィ」
「了解じゃ」
四人はましろに気付かれないようにこの場を去っていく
一方、告白されたましろはというと、かなり動揺していた。
「なっ、な、なにをいきなり言うんですか!」
「突然、すいません!自分はもう悔いは残したくないものなので、自分の気持ちを伝えたくて貴方に声を掛けさせてもらいました」
「く・・・悔いですか?」
「えぇ、貴方が自分が幼少期に好きだった、少女の面影にあまりにも似ていたもので、自分は結局、思いを伝える前に彼女の方が先に空へと旅立ってしまったので」
「空ってまさか・・・」
「えぇ・・・火事で・・・」
「そう・・・なんですか」
「空へと旅立ってしまった彼女を思い出すたびに、あの時自分の気持ちを伝えていれば、どんなに楽だったかと今でも思い出します」
「その少女に私が似ているから声を掛けたと・・・」
「それもありますが、今の貴方に惚れたことは間違いありません、返事を聞かせてもらっていいですか」
「・・・お気持ちは嬉しいですが、ミーナ中佐にウィッチの恋愛は禁止していると聞いているので・・・それにお答えすることはできません」
ましろは前にミーナ中佐からウィッチの恋愛を禁止しているという話を聞いていたためそれをだしてあえて答えなかった。
「そうですか、わざわざ貴重な時間を取っていただきありがとうございます。最後に名前を伺ってもよろしいですか」
「宗谷、、ましろです・・・」
「ましろ・・・いい名前ですね、では自分はこれにて」
そう言って操縦士、緋田飛鳥は告白に失敗し玉砕したにも関わらず何処か清々しく去って行った。彼が言った通り悔いを残さないようにしたためだろうか、去っていく彼の背中を見ながら宗谷ましろの心臓の鼓動は激しさを増していった。人生で初めて異性から告白されたからだろうか、ましろは深呼吸をして落ち着くことに専念した。3分後には心臓の鼓動も元のペースに戻っていった。
「ふぅー、皆の所に行くか・・・それにしてもいきなり結婚してくれだなんて・・・普通はもっと色々段階を踏んで・・・って何を言ってるんだ私は!!」
ましろは自らの動揺を隠すように歩くスピードを上げて、皆のもとに向かうのであった。
ストライカーユニットを天城の整備士に預けた彼女達は一端、天城の艦内で集まっていた
するとそこに天城の乗員と思われる人が一人やってきた。
「先ほどの戦闘ご苦労さまでした。艦長がお呼びです。五名ほど来てほしいとのことです」
「げっ、呼び出しかよ、あたしそういうの苦手なんだよ、私パス」
「私もー」
シャーリーとルッキーニがいち早く辞退した。ルッキーニはともかくシャーリーに至っては今ここにいる面子で一番階級が高いのに・・・
「シャーリーさん、貴方一番階級が高いじゃないですか、全く、仕方ありませんね私が行きますわ、後は宮藤さんと服部さんは多少面識がありましたわよね、来てもらってもいいかしら」
「いいよ、ペリーヌさん」
「了解しました」
「艦長、私達も行った方が良さそうですね」
「うん、ペリーヌさん、私とシロちゃんも行っていいですか」
「えぇ構いませんわ、では参りましょうか」
行く面子が決まり、五人は天城艦長のいる艦橋へ向かう
艦橋に着くと天城艦長が出迎えてくれた。
「さっきは助けていただきありがとうございます。天城艦長、長崎義男です。以後お見知りおきを、宮藤曹長、服部少尉もお久しぶりです。」
「お久しぶりであります」
「お元気そうでなによりです。紹介しますね、今、501で一緒に戦っている明乃ちゃんとましろちゃんです」
「岬明乃です。」
「宗谷ましろ、と言います」
「なんと501の戦力が増強されたのですか、初耳ですな」
「あっ、違うんです。明乃ちゃん達はつい最近ウィッチに覚醒して、私達が保護してくれたお礼ってことで一緒に戦っているんです」
「保護ですか、扶桑のウィッチではないのですか、だが名前は扶桑の・・・」
「これに関しては話が長くなってしまいますので基地についてから坂本少佐が説明してくださると思いますわ」
「そうですか、ところでさっきの大量のシールドはやはり宮藤曹長が」
「いえ、さっきのは明乃ちゃんが張ったシールドです。私が張ったのは大和を守るシールドなので」
「なんと、宮藤曹長では無かったのですか、これは驚きましたな」
「多分明乃ちゃんの魔法力は私より多いですよ、ストライカーユニットもつい最近履いたばっかですけど、勲章ももらいましたし、明乃ちゃんやましろちゃん以外の9人も凄いんですよ」
「というと全部で11人ですか、統合戦闘航空団1つ分の戦力ですか、凄まじいですな」
「えぇ、それには納得しますわ」
「おぉっと忘れるところでした。先ほど大和艦長から連絡がありましてな、あなた達のおかげで艦艇には特に被害が出ずに済んだので10分後にポーツマスへの航海を再開するらしいです」
「そうなんですか、良かった」
「だったら一様護衛はつけておいた方がいいか・・・ペリーヌさん、最近探知がしにくいネウロイが多いですし、交代で上空の護衛を付けませんか、左右、前後方の四か所ほど」
ましろは少し考え上空に護衛を付ける事をペリーヌに提案する
「貴方もなんかミーナ中佐に似てきましたね、いいことですけど、無論構いませんわ、天城の艦長もよろしいでしょうか」
「おぉそれはありがたい、ぜひお願いします。大和にはこちらから連絡しておきます。港の方に付きましたら改めてお礼に参らせてもらいます。今度はなにかお礼の品を持参しますね」
「はい!えっと・・・ありがとうございます」
「それでは私達はこれで失礼しますわ、宗谷さん早速ローテーションと編成を決めますわよ」
「はい、五分以内に決めましょう」
「それじゃあポーツマスでまた」
「失礼いたしました」
五人は艦橋をあとにするとすぐに護衛の編成を考えた。3つほど編成を作りそれを回していく流れだ。最初にシャーリー、ルッキーニ、万里小路、ましろが就く編成になった。
大和を始めとした艦隊がポーツマスへ向かって移動を始めると同時にましろ達も飛び立つ
ましろが念には念を入れて警戒していたが特にネウロイの第二波は来なかった。
ましろ達が交代した後も異常は無く無事ポーツマス海軍基地へ入港することができた。
大和の入港を確認すると明乃達はユニットをハンガーに預け宿舎に戻っていく
副長の宗谷ましろは坂本少佐に用があり少佐の部屋を訪れていた。
「坂本少佐、例の発進レーンの取り付けについて全員の許諾が取れました。」
「おぉそうか、なら早速改造案を出すとするか、駆逐艦で格納スペースが少ないからつけるなら折り畳み式のレーンになるだろうな、サイズは3分の2ほどになるだろうが無いよりはマシだろう、あとお前達が大和に向かったあとお前の所の水雷員の松永と姫路がウルスラと一緒に来てなこんな提案を出してきたぞ」
坂本少佐はそう言って一枚の紙を取り出した。そこには発進レーンの増設を前提とした新たな武装の取り付け案が書かれていた。文字は恐らく松永理都子の字だろう、発進レーンの両脇に3×3の9つの筒らしきものが描かれそこに武装の名称が書かれていた。
「多連装ロケット砲ってたしか戦車についていたアレですよね、なんでこんなものを付けようと思ったんだ。撃ってみたいとでも思ったのか・・・あぁ砲雷科ならありえるかぁ」
ましろはこの紙に楽しく書く二人を思い浮かべていた。
「実はなウルスラが晴風の技術の調査の休憩中に二人からお前達の世界の噴進魚雷について聞いたらしくてな」
「噴進魚雷ですか、でも魚雷ですよ、空を飛ぶネウロイには・・・」
「あぁもちろんネウロイに魚雷は使えない、ウルスラが注目したのは発射方法でな、もしこれをロケット砲で再現できれば革新ともいえると言ってな」
「革新ですか」
「あぁ、どこの国の艦艇も今だに魚雷発射管を取り付けているからな、ネウロイには使えないのに関わらず、ウルスラはもしこの噴進魚雷をロケット砲と同じ規格で使えれば用途によって砲弾を変えれば新たな対空攻撃に使えると考えたらしい」
「つまり魚雷を使いたいときは噴進魚雷を装填、対空攻撃時にはロケット砲を装填ということですか」
「そういう事だ、まぁあれは対地砲撃用の装備だがな、一様ウルスラが噴進魚雷の仕組みを理解したそうだが流石にすぐに作れるものではないからな、まず海上でのロケット砲の運用についてのデータが欲しいそうだ。水雷員も一人余るからと言って二人も取り付けに賛成している」
「そういうことでしたら」
「よし、なら資料にまとめるとするか、後で岬にも見せてやれ」
「わかりました」
二人は新たな晴風の姿を資料にまとめていく
航洋艦・晴風はこの異世界で新たに生まれ変わるのだ。
ウィッチの搭乗を前提とした艦艇として
あと3~4話あたりで西ノ島の話書けるかな