しょうもない事ですが
晴風のウィッチ組が自分達の魔法体系の手掛かりを求めてやってきた遺跡にて、水測員の万里小路楓に新たな力が宿った翌日、明乃達は昨日あった出来事をクラスの皆に説明していた。
『封印されていた思念体が万里小路さんに憑いたぁ!?』
明乃達の説明に他のクラスメイトは驚愕した。それもそうである。いきなり取り憑かれた、なんてオカルト話もすれば驚きもする。万里小路はその内容を少し訂正する
「憑りついた、というより私が受け入れて、彼女も納得してくれたという感じでしょうか」
「大丈夫なのそれって」
「体とか大丈夫?」
同じ砲雷科の水雷員の果代子と理都子が万里小路を心配する。万里小路は心配いりませんわ、と返す・・・万里小路は宿った彼女について話し出す
「彼女の名前はキルティーさんと言うらしいですわ、元々は田舎町のただの町娘だったのですが、ある時怪異に襲われて逃げているときに偶然拾った剣を拾うと同時に魔法力に目覚めたそうですわ、その時に今の私の様に、前の持ち主の記憶や技を受け継いだそうですわ」
「受け継いだってどういうこと?」
管制員の内田まゆみが質問する、万里小路はキルティーから聞いた自分達の魔法体系の最大の特徴、マリアーナス式独自のシステムを語る
「何でも私達が目覚めたマリアーナス式の魔法体系は条件こそあるものの、術者の固有魔法や魔法力、記憶などを他人に継承させることができるらしいですわ、最も前者の二つは血縁者でも成功率は低く1000万人に一人でもいい方らしいですわ」
「そういえば教授もそんなこと言ってたわね」
「あれ?でも確かペリーヌさん固有魔法って代々受け継いできたやつだったような」
黒木が教授の言葉を思い出すと納沙幸子がペリーヌの固有魔法、トネールの存在を思い出す、代々受け継いできたのであればあれもマリアーナス式なのでは・・・
納沙幸子のその疑問に話を聞いていた鏑木美波が答えた。
「いや、彼女のは違うだろう、前に私も気になって少し調べたんだが、遺伝で同じ固有魔法を発現する者もいれば、違う固有魔法を発現する者もいるようだ、前にあった雁淵ひかりの固有魔法も姉と同じ魔眼の一種だったが彼女は接触して発動するのに対して姉の方は触れずに発動出来たらしいからな」
「ひかりちゃんってお姉ちゃんがいたんだ、あれ?でもなんで美波さんが知っているの?」
宇田慧の質問に美波は答える
「個人的に調べているときにエイラさんに聞いたんだ。何でも扶桑でも名が知れたとても優秀なウィッチらしい」
「へぇー、あっそういえば美波さんが頼んでいたウィッチの魔法力について書かれた医学書、ロンドンの書店にあったから買ってきたよ、なんて書いてあるか分からないけど、あとモモちゃんが頼んだ漫画のネタになりそうな本も買ってきたよ、世界の優秀なウィッチを紹介した図鑑みたいな本だけど」
「感謝する」
「ありがとうっす、英語は苦手っすけど漫画のネタのため頑張って翻訳するっす」
ロンドン土産に二人は感謝の言葉を贈る、話は戻り再び万里小路の話が再開される
「お話を続けさせてもらいますね、私も遺跡に祀られていた聖剣カラドボルグに導かれてキルティーさんの技や記憶を受け継ぎまして、彼女に一時的にお体を預けて彼女の技の一部を見させてもらいましたわ」
「何度聞いてもクラスメイトが聖剣振り回すって内容が凄すぎるわ・・・」
「ねぇ」
麗緒、桜良が万里小路から聞いた状況に若干引く・・・
最早別次元の話だった。
「今は私の中で休んでいますが、私がもっと精進すればまた私の体を使って出てくることも可能だそうですわ、無論お話しなら寝ている時に夢として会話も可能ですわ、昨晩もお話とお稽古を少々夢の中でさせてもらいましたわ」
「夢の中で修行って、もうバトル漫画のノリじゃん、どんな事したの」
応急長の和住媛萌が万里小路のいうお稽古の内容を聞く、万里小路が語ったお稽古の内容は想像を絶するものだった。
「剣術の勝負ですわ、お互いに剣を持って斬り合いですわ、夢の中なので痛みもありませんから何度も負けてしまいましたわ」
「晴風最高戦力の一人の万里小路さんがやられるって超怖いんだけど」
空の言葉にクラスの全員が納得する
「得意の薙刀でもきっと勝てないでしょうね、いろんなやられ方をしましたわ、首が刎ねられたり、両目を貫かれたり、喉も貫かれましたわ、胴体も真っ二つにされたりもしましたわ」
『まてぇぇぇい』
クラスメイト全員が待ったをかける
「ちょっと、本当に大丈夫?何処かおかしくない」
「なんで斬られて平気なの!?」
「何夢の中でガチの殺し合いしてるの!本当にお稽古?万里小路さん倒して人格乗っ取ろうとしてないソレェ」
同じ砲雷科の光、順子、美千留が万里小路を心配する
そんなガチの殺し合いを体験したら夢でもビビッて色々漏らす
そんな心配をよそに万里小路は気軽に話す
「さっきも仰いましたが夢の中の出来事ですので痛みとかもありませんでしたし、それに稽古が終わった後に彼女とお話ししましたがそんなに怖い人ではありませんでしたよ」
「いや、容赦なく首を刎ねる人は普通に怖いです・・・」
「うぃ」
メイとタマが万里小路が言った言葉が信じられず、ふとそんな言葉をこぼす
「キルティーさんも中々つらい事を経験してきたようですわ、聖剣に彼女の思念が残ったのも大きな心残りが原因だと仰ってましたし」
「この時代まで残る心残りってなんじゃ、故郷が無事だったかみたいなことか?」
心残りの内容が気になったミーナは万里小路に聞く
万里小路は稽古が終わった後に話した内容を伝える
「もっと彼女自身に関係があることですわ、キルティーさんも大変だったみたいで・・・」
そう言って万里小路は彼女と話した時を思い出す
万里小路楓・夢の世界にて
「ではキルティーさんは力を受け継いでからは旅に出られたのですね」
「あぁ、この力で各地の怪異を倒して回ったわ、色んな景色を見たわ、色んな人とも出会ったわ」
「素晴らしいですわね、私と同年代の頃に人を守るために戦うなんて」
「今の貴方達も似たようなものでしょ、闘いの日々で失った物もあったわ」
「あぁ、あの契約の」
万里小路は力を受け継ぐ時に聞いた契約の内容を思い出した。それは・・・
「闘いばっかに気を取られて婚期逃したわぁー」
「女性にとって結婚は憧れますものねぇ、でもキルティーさんは美人ですし引く手数多なのでは・・・」
「私の生まれた街ね・・・かなりの田舎でね、若い子って少なかったのよ、私が旅に出たのが14歳の時で19歳の時に一端帰郷したのだけれども、その時には親友は全員結婚しててね・・・私の実家の近所に住んでたメアリーなんか私が旅に出て3週間後には妊娠したらしくてね、15歳で出産した後にまた次男と双子の長女を生んでね、私が帰ってきた時には6人家族の家庭を持っていたのよ!私が怪異と戦ってる間に!」
「それは・・・確かに気まずいですね・・・でも私達の世界ではそんなに早く結婚はしませんし、多分10年ちょっとくらい待てば契約どうり新婚生活を体験できると思いますよ」
そう、万里小路楓が力を受け継ぐ時にした契約とは万里小路の中で結婚生活を堪能させるものだった。
「甘いわね!そんなこと言っていると私と同じように婚期を逃すわよ!想像してみなさい結婚した友人家に泊まって夜に友人の叫び声が聞こえて心配になって駆けつけたら互いに裸でくんずほぐれずしている光景を目撃した光景を!」
「流石にそう言った出来事は無いと・・・」
「私は翌朝もの凄く気まずくて予定を早めて再び旅に出たわ」
「実体験でしたかぁ・・・」
「私もウィッチとして戦ったから魔法力が衰える20歳までは待つけど、それ以降は結婚に向けて準備しなさいよ、いい相手見つかって何にもしないようなら体乗っ取って夜這い仕掛けるからね、婚期逃した女の執念舐めないでよ、ちゃんと努力しなさいよ、本当にしなさいよ!」
婚期を逃した女の執念恐るべし・・・
現実世界にて・・・
「と言うふうに仰っておりましたわ」
『未練小っさ!』
クラスメイト全員がツッコミを入れる、思ったのと違うと
「えっ、未練それなの」
「確かに婚期を逃すのは辛いけど!」
「20代ちょっとで婚期逃すって大げさじゃろ」
「そんなこと言ったら家の姉さん達はもう結婚できないぞ・・・」
「あぁそれじゃあ古庄教官とかもそうだ」
「瑠奈、あんた教官にばれたらただじゃすまないわよ」
美甘、鶫、ミーナ、ましろ、瑠奈、麗緒がそれぞれ感想をこぼす
万里小路はふとあることを思い出し話を続ける
「あと、そのお話しの後に聞いたのですが、キルティーさんが力を継承する前からある数字の羅列を受け継いでいたそうです。なんでもいずれ現れる異国のウィッチの故郷への帰路に関係するものらしいのですがキルティーさんもどういう意味なのか分からないようです」
「へぇー異国のウィッチねぇ、帰り道に関係するなら地図でも書いておけばいいのに」
「言葉で地図を伝えるって難しいからじゃない?数字ってのがよくわからないけど、距離とかかな?」
「あるいは旅費ぞな!」
秀子、まゆみ、聡子が思ったことを口に出していくなか、知床鈴があることに気付きそれを皆に伝える
「ねぇ、異国のウィッチって私達じゃない?私達違う世界から来たし、それに欧州じゃなくて日本からこっちに来たし・・・」
『・・・』
暫し沈黙し・・・
『アァァァァァ』
クラスメイトの絶叫が響きあった
「完全に私達のことじゃん!」
「うぃうぃ」
「いきなり手掛かりきましたねぇ、キルティーさんの婚期を逃した話から・・・」
「それは言ってやるなココ・・・かわいそうじゃ」
「やったぁー、帰りの手掛かりゲットだよぉ、シロちゃん!」
「そうですね艦長、万里小路さんその数字の羅列を教えてくれ、納沙さん記録を頼む」
「分かりました。準備しますね」
納沙幸子の準備が終わると万里小路から数字の羅列が語られる。
数字の羅列は表と裏というグループに分かれており、それぞれ二桁から三桁の数字が書き込まれていく、納沙幸子が記録を終え、ましろがそれを見ると・・・
「どういう意味か全く分からないな・・・うん?この数字は・・・」
「何か分かったの宗谷さん」
ましろの反応を感じ取った黒木がましろに質問する。
ましろはただの気のせいと黒木に伝える
「いや、何でもない、最後の二組の数字が何処かで見た気がしたんだが気のせいだ」
「そう、何か気づいたら小さいことでも相談乗るからね」
「ありがとう」
黒木とましろが会話を終えると万里小路が明乃達にあることを伝える
「すみませんが艦長、私暫しここを坂本少佐と離れても構わないでしょうか」
「離れるってどれくらい?」
「長くて3週間ほどです」
「3週間!一体どこで何をする気だ」
3週間という長い日数にましろが驚き万里小路を問い詰める
「祀られていた聖剣が砕かれたことを聞いた坂本少佐がせっかくだからこれを溶かし再び剣として蘇させようと仰いまして、キルティーさんも再び打ち直せば力が蘇ると仰っていたので少佐と共に近くの鍛冶屋へ刀打ちへ」
「聖剣って直るもんなんすか」
「刀ってそんなに簡単に作れる物なの?」
「坂本少佐が前に烈風丸という刀を作ったことがあると仰っておられまして、私に指導してくれることになったんです」
「あの人、刀作ったことあんの!」
「凄いねぇ」
「っていうか坂本少佐って統合軍で結構な立場な人じゃ・・・3週間も休めるものなの」
光、順子、美千留が坂本少佐に驚く、あの若さで刀を打ったことがあるとは・・・
「坂本少佐も一緒なら問題ないかな、シロちゃん」
「まぁ、そうですね、万里小路さん後でその鍛冶屋の場所と緊急連絡先を紙に書いて提出してくれ、あと一日ごとに定時連絡を頼む、それができるならば許可をだそう」
「かしこまりましたわ、早速坂本少佐に聞いてきますわ」
万里小路は早速、坂本少佐の元へ向かっていった。
万里小路の体内に宿ったキルティーからもたらされた帰路への手掛かりはその後
明乃達の世界の命運を握る大きな鍵となるが今はまだそれを知る由は無い・・・
そろそろ明乃達のエンブレムの話を書こうかな・・・文字で伝えられるか分からないけど