万里小路が坂本少佐と共に聖剣カラドボルグの破片を利用し新たな剣を作り上げるため近くの鍛冶場に行った夜、ストライカーユニットが格納されている格納庫にてシャーリーと機関科の面々がユニットの整備を行っていた。シャーリーや整備兵の指導のおかげで機関科の面子はもうほとんどの整備項目を出来るようになっていた。魔導ポンプなどの元の世界に無かったパーツの理解には苦しんだが何とか修理できるようになった。
ただ一人、機関長のマロンだけは魔導ポンプなどの魔導機械をすぐに理解でき、パーツさえあれば一人で一から組み立てることが出来るようになっていた。
他の子も破損個所を見つけたらその部分を交換する修理や魔導機械以外の修理は完璧にできるようになった。
機関科が定期的にチェックしている晴風保有のユニットの整備が一段落すると一緒に整備していたシャーリーがやってきた。
「よぉ、お疲れさん、そろそろあがろうぜ」
「なんでぇ、もうこんな時間か」
シャーリーの言葉を聞いてマロンが時計を見るともう夜の10時だった。
「うわぁ、もうこんな時間だよ」
「今回は交換するパーツが多かったから」
「区切りがいいところまでやっていたから気が付かなかったんだね」
「早くベットで寝よぉぉと・・・アレ?」
麗緒、空、桜良が各々に言葉をこぼすなか、瑠奈が床に落ちていた一枚の書類を見つけた
拾い上げるとびっしりと書かれた文字とユニットのパーツの絵と右端のスペースに何故か書かれていたヘルメットを被った兎の絵があった。瑠奈がそれを見ているとそれに気づいたシャーリーが瑠奈のもとに来る
「あっ、すまねぇ、それあたしのユニットの書類だ。後でこっちの整備兵に出さなきゃいけねぇ書類なんだ。拾ってくれて助かったぜ」
「どういたしまして!シャーリーさんこの端に書いてある兎の絵って何ですか」
瑠奈はシャーリーにさっき拾った紙に書いてあったヘルメットを被った兎の絵について聞いた。なぜこの書類にこんな絵が書いてあるのか
「あぁそれはな、私達ウィッチの識別用の専用のエンブレムだ。私達は自身の使い魔を模したエンブレムを持ってるんだ。ユニットに描かれたり、軍の資料には判別用にエンブレムを記載する欄もあるからな」
「へぇーそんなのがあったんだ。なんか意外」
「そう言えば岬達のエンブレムは無かったな、そろそろ作っておいた方がいいか」
「じゃあさ、明日皆呼んで艦長達のエンブレム、考えようよ」
「いいわね、それ」
「じゃあ、モモちゃんに皆が考えたデザインを描いて貰おうか、絵うまいし」
「賛成!」
シャーリーが明乃達のエンブレムを作った方がいいと言ったとたん機関科の面子は早速明日皆で集まってエンブレムを考える流れになった。
するとマロンが・・・
「お前ら、盛り上がるのはいいが、さっさと行くぞ、仕事終わったとたん眠くなってきやがった。さっさと寝るぞぉぉぉ、ふわぁぁ」
睡魔に襲われたマロンが格納庫からの撤収を促す、マロンのあくびを見た他の面子もすぐに疲れが現れ眠気が襲う、今日の所はもう就寝することにした。
翌日・・・
昨晩の話を聞いた晴風メンバー(万里小路を除く)が一つの部屋に集まった。
内容は勿論・・・
「それじゃあ、これよりエンブレムの考案会を始めるっす」
わぁぁぁぁ
青木百々の開始の宣言によりちょっとした歓声が起こる
ひと時の安らぎを皆楽しむ気である
「まずは艦長からっす、艦長の耳は猫っすけどどんな絵柄がいいとかあるっすか」
「うーん、特に無いけど強いていうなら海っぽい感じとか?艦とか海とか魚とか」
「なるほど、なるほど、それじゃ皆さんこの意見をもとに意見を出してくださいっス、私がそれを纏めてイラストに仕上げるっす」
「ハイっ、お魚加えた猫!」
『昭和の光景か!』
「はーい、バタフライで泳ぐ猫!」
『猫バタフライ出来ないよ!』
「戦艦の艦橋で葉巻加えながら指揮してるグラサンかけた猫がいいぞな、強そうぞな」
『たばこや葉巻は20歳から!』
「というか、ハードボイルドっすねそれ」
瑠奈、桜良、聡子の出す案にクラスメイトからダメ出しが出る、このままいい案が出ないと思われた時、二人の生徒からいい案が出された。
「五十六に艦長の帽子かぶせたのを参考にしたらどうかな、岬さんの耳は五十六と毛の色が似ているし・・・」
「せっかくだし後ろに人魚の絵とか入れない?ほら私達一応ブルーマーメイドを目指しているわけだし」
知床鈴とその幼馴染の内田まゆみ、から出されたその案は明乃も納得するのであった。
「それいいかも、モモちゃん、そんな感じで書いてもらっていい」
「分かったっす、後ろに人魚の絵を入れて、帽子だけだと味気ないっすからデフォルメで書いた猫に艦長服を着せるっす、こんな感じでどうっすか」
早速意見を取り入れた絵を描き上げると、艦長にその出来を見てもらう
「あっ、これカワイイ、ありがとうモモちゃん」
「どういたしましてっす、次は副長っすけどなんか希望はあるっすか」
「そうだな・・・私の耳も多門丸と毛の色が似ているから多門丸を参考に・・・あとは艦長と同じように人魚の絵を入れてくれ」
「了解っす、せっかくなんで人魚の絵は全員にいれることにしましょう」
「あとは多門丸を参考にどんな感じに書くかだね」
艦長の岬明乃の言葉にクラスメイトから意見が再び出される
「不運にあった猫」
「餌を横取りされた猫」
「木から落ちた猫」
「私の運の無さを強調するな!」
光、順子、美千留がましろの運の無さを強調する内容を言いましろが文句を言う
「シンプルに猫だけってのも味気ないんすよねぇ、副長はなんか他に要望とかないっすか」
「そういえば前に多門丸が晴風の主砲の砲身で寝ていたことがあったな」
「それいいっすね、副長の授業の専攻は砲雷科ですし、ぴったりっす、砲身に佇む猫!これで決まりっす」
「うん・・・まぁこれなら問題ないか」
どうやらましろも納得のようだ。次に行こうとした時、一人の来客者が現れた
「調子はどうかしら、宗谷さん」
「ミーナ中佐、何かあったんですか」
「いえ、ただ少し時間に余裕があったから寄っただけよ、シャーリーさんからエンブレムの件を聞いていたしね」
「そうですか、わざわざすいません」
「ミーナ中佐に聞きたいんすけど、変わったエンブレムとか知っているっすか、参考までに聞きたいっす」
青木百々がミーナ中佐にエンブレムについて聞く、ミーナは自分が知る限りの特徴を話す
「そうね・・・基本は使い魔をベースにその人の趣味とかの絵を入れたりするわね、うちではリーネさんがエンブレムに使い魔の猫と紅茶のポットを書いているわね、あとは自身が使う武器なんてものも書いているウィッチもいるわね、あっ、そうそうエンブレムではないのだけれども、家業が青果店を営んでいたウィッチでユニットにロマーニャ語でそれいけ、バナナなんて言葉を入れていたウィッチもいるわね」
なんでバナナ?・・・
クラスメイト一同なんでそんな言葉を入れたのか理解に苦しんだ。
ユーモアだろうか・・・
「バナナに命でも救われたですかね・・・」
「過去に遭難でもしたんじゃろうか」
ココとシュペー副長のミーナが見たこともないそれいけバナナを書いたウィッチについて考えるがどうもどんな人物か予想が出来ない
「そろそろ行くわね、エンブレムが決まったらあとで資料に纏めて私の所に持ってきてもらっていいかしら」
「分かりました。決まり次第そちらに持っていきます」
「お願いね」
ミーナ中佐はそう言うと部屋を出て行った。再びエンブレムの考案に熱が入る
岬とましろのあとは比較的早く決まって行った。
納沙幸子は自身の固有魔法全方位広域電波探査の発動中にでる魔導針を発動した犬が寝ているエンブレム
ミーナはさっきのバナナの話の流れで自身の好きなソーセージの束を加えて歩く犬
知床鈴は昔の漫画に描かれていた物凄く急いでいるときのグルグルの脚で走っている、デフォルメされた兎
西崎芽依は本人の希望でフリーガーハマーを放つ猫のキャラクター
立石志摩も本人の希望で座布団に寝ている猫の後ろに交差させた50mm砲と30mmガトリング砲が書かれた
野間マチコは脚で機関銃を掴んで飛んでいる鷹というかなりカッコイイ、エンブレムとなり野間マチコ自身もこれには納得しているようだった。
鏑木美波は自身の実験でよく使う白いマウスの後ろに交差させた注射器となった
今、この場にいない万里小路は本人の了解が取れないので後日確認を取るが取りあえず日本刀を咥えた狐と幾つかの狐火が描かれた
最後の一人になった黒木洋美のエンブレムをいま考案中であった。
「最後はクロちゃんっす、耳は熊の耳なのでモチーフは熊っす、そう言えばクロちゃんは確か千葉出身っすよね」
「えぇ、そうだけどそれがどうかしたの?」
「いや、ちょうどいいモチーフがあったので、千葉にありながら東京と名乗っている海上遊園地にいる赤い水着を着た蜂蜜が好きな黄色い熊が、それを参考に毛をリアルよりにして蜂蜜の代わりにクロちゃんが趣味で作っている醤油でも啜らせればそれっぽくなるっす」
「止めなさい!色々怒られそうだわ、第一醤油作っているからと言って大量に啜ったりしないわよ!」
「塩分の取りすぎは体に良くないからな」
百々の危ない案に黒木が待ったをかけ、鏑木美波が塩分の取りすぎについて言及する
「あれはどうぞな、熊本の黒い熊のゆるキャラの・・・」
「いや、それも駄目だから!怒られちゃうよ!あっ、でもこの世界ならいないから別に・・・」
「ダメだからな、この世界にまだなくても」
聡子が出した案を言い切る前に媛萌がそれを拒絶するがこの世界に存在していないのであれば別にいいのではという悪魔のささやきが聞こえてくる、それを察したましろが止めに入る
「じゃあ他になんかいい案無いっすか」
『うーん』
皆が悩む中、慧があることを思い出した。
「ねぇあれは、東北あたりの家に置いてありそうな木彫りの熊」
「あれかぁー、そういえば熊といえばあれがあったわぁ」
慧の一言に美千留が頷く、いつのころからあったかなんて知らないが多くの人が見た事のある木彫りの熊、モモもインスピレーションを受けたのか、すぐに頭に浮かんだデザインを描いていく、出来上がったのは・・・
「出来たっす、機関科らしく、鮭の代わりに金槌を咥えさせて迫力あるデザインにしたっす」
鮭の代わりに金槌を咥えさせた迫力ある熊が書かれた絵を黒木に見せる
黒木洋美の反応はというと・・・
「機関科だからって金槌って」
「あっ、安直すぎましたっすか」
「私、どっちかっていうと金槌よりスパナの方がよく使うんだけど」
「あっ、そっちっすか、じゃあスパナに書き直すっす」
モモはすぐに黒木の言うとおり金槌をスパナに書き換える、新たに書き直したデザインに黒木は納得する、金槌もスパナも同じ工具なのにどこが問題なのだろうか、誰もが思った
一通り決まると一端ましろが資料を作成しそこに青木百々がそれぞれのエンブレムを書いていく、ちなみにましろが書いている資料は英語、ちょくちょくミーナ中佐からネウロイの資料や戦術を教わった際に色々教えてもらい、今では英語で報告書が書けるようになった。
ちなみに英語で報告書をかけるのは晴風ではましろだけである。万里小路なども英語は出来る方だがネウロイや戦術に使う専門用語は書けないので結局ましろしか英語で書けない
ましろが資料を確認し大丈夫だと判断すると先ほどミーナ中佐に言われた通り出来た資料をミーナ中佐に持っていく、まだ万里小路の確認が取れていないため万里小路のエンブレムだけは候補という文字が入っている
「ご苦労さま、わざわざ悪いわね持ってきてもらって」
「いえ、大丈夫です。晴風の修理と調査の方はどうなっていますか」
「順調よ、自動化されていた部分は殆ど破損が無かったらしいし、大和の技師に前に陽炎型で勤務していた人もいたらしくて予定より1割ほど早く完了するそうよ」
「そうですか、良かった」
「ふふっ、ウルスラさんもあなた達の世界のレーダーや通信装置の技術の高さに驚いていたわよ、ウルスラさんも一通り調べ終わるとすぐに新しい仕事に打ち込んで、倒れないか心配ではあるのだけれども」
「新しい仕事ですか、一体何を」
「前に坂本少佐が依頼した震電の魔導エンジンの改良型の製造よ、エンジンが完成次第、すぐに試作機の製造に入るそうよ、最も震電の予備パーツを流用するようだけど」
「そういえば言っていましたね、そんなことを」
「あぁ、そうそう明日大和が受領した新型の魔導徹甲弾のテストがあるのだけれども貴方達も来てみない?」
「私達が行ってもいいものなんですか?軍事機密とかじゃ」
「まぁ一般人ならそうだけど、貴方達は軍に協力もしているし、万が一の護衛には十分な力があるから問題ないわよ」
「分かりました。艦長達にも聞いてきます」
「お願いね」
ミーナに資料を渡したあと、艦長達に大和の新型魔導徹甲弾のテストの事を話すと満場一致で行くことが決まった。対ネウロイのために作られた特殊砲弾に興味深々であった。
晴風一同は大和の新型砲弾のテストに同行することに決まった
これを書いている時に気付いたんですが野間マチコの使い魔を鷹にしてたんですがはいふりのファンブックに野間マチコのスカジャン姿の絵がありそれに書かれていたのが鷹でした。偶然って凄い・・・