海洋航空救援団マーメイドウィッチーズ   作:レーゲン

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今日は対ネウロイ用魔導徹甲弾登場回


怪異を滅する砲弾

ミーナ中佐から大和が受領した新型魔導徹甲弾のテストに誘われた晴風一同はテストに同行する艦隊空母天城にお世話になっていた。砲撃なら天城の甲板からでも見ることが出来るのと、万が一の場合、発進設備のある天城の方が都合が良かった。晴風のウィッチだけではなく他の乗員も乗っている。晴風乗員以外の外部の乗組員はミーナ中佐を始め、バルクホルン、宮藤芳佳、服部静夏、ウルスラの5人である、本当は坂本少佐も来るはずだったが、万里小路と共に鍛冶屋に行っているため不参加である。本当は自国の軍の活動なので参加しなくてはならないが万里小路の件を報告したら許可が下りたらしい。

かつて坂本少佐が自身の魔法力を込めて作り上げた烈風丸での戦果を知っている大和艦長は、万里小路の剣もそのような進化をするのではないかと考えた。とても優秀なウィッチが更なる飛躍を見せる可能性があるならばそっちに回した方が得策だと判断し坂本少佐の万里小路楓との同行に許可を出したのだ。最悪、ウィッチの視点からの意見さえ聞ければいいのでミーナ中佐や服部静夏から意見が聞ければ問題はない

テストはブリタニアから北東に40キロ進んだ海上で行われる

先に先行していた輸送船から放たれたネウロイに見立てたバルーンを撃ち落とすものだ

バルーンの高度は80メートルで静止している。これを距離15キロ、離れた地点から砲撃する

 

 

「砲撃の的は上空のバルーンなんですね、バルーンの大きさがだいたい12メートルほどですからブルーマーメイドが保有している飛行船よりも小さいですね」

 

「それを距離15キロでか・・・的が小さいとはいえ簡単すぎる気がするんじゃが」

 

「そうですねぇ、大和型の射程がだいたい40キロですからもうちょっと離れてもいいと思うんですよね、こっちの世界には航空機がありますし、弾着観測も上空から出来ると思うんですよねぇ」

 

納沙幸子とミーナ(晴風側)がテストの内容について話し合う、いくら的が小さいとはいえ大和型で距離15キロからの砲撃というのは簡単すぎるような気がした。元の世界の海洋学校の生徒だったらかなりの難題だが、こっちの現役の海軍にとっては問題ないと思っていたからだ。なぜなら前に救援に来たとき上空を80キロ以上で不規則に飛んでいるネウロイを撃墜していたりしていたからだ。目標が動かないうえに小型ネウロイより大きいとなると距離15キロという距離でも問題ない気がした。二人の会話を聞いていたウルスラ中尉が今回のテストの目的を話してくれた。

 

「今回のテストの目的はただの砲撃訓練というわけではなく、海上での対ネウロイ用魔導徹甲弾のデータを取るのが目的なんで距離は特に関係ないんです。それに魔導徹甲弾はその特性上、通常弾頭と比べて有効射程が短くなってしまうのでこれでもテストとしては難しい方なんですよ」

 

 

「えっ、同じ大きさの砲弾で射程が違うの?なんで?」

 

射程が短くなっていると聞いて西崎芽依がウルスラに質問する。

ウルスラはそれに答えるが・・・

 

「はい、魔導徹甲弾は発射後、大気中のエーテルと反応する性質があり、そのせいで射程に影響が出てしまうんです」

 

「エーテルって?」

 

「エーテルというのは説明すると長くなりますがいいですか」

 

「ちなみにどれくらいの長さなの?」

 

「そうですね、基礎とエーテルによる起こる現象とその対策などの説明で大体90分ほどで説明が終わりますね」

 

「あっ、うんやっぱ説明いいや、多分聞いても分かんないやつだ。それ」

 

「そうですか、残念ですが説明していたらテストが終わってしまいますから仕方ありませんね、そろそろ開始時刻ですね」

 

ウルスラが持っていた懐中時計を確認するとテスト開始の1分前の時刻を示していた。

大和艦橋では砲撃試験の準備がすでに整っていた。

 

「主砲、目標に照準合わせ完了、魔導徹甲弾第一射装填完了」

 

「よぅし、これより新型魔導徹甲弾発射訓練を開始する、観測員、準備はいいか」

 

「こちら第一観測員、準備完了!」

 

「同じく、第二観測員、準備完了」

 

「魔導徹甲弾、目標に向け発射ぁぁぁ」

 

大和艦長の発射指示のもと魔導徹甲弾は放たれた。

 

    ドォォォン

 

放たれた砲弾はまっすぐ飛んで行き目標のバルーンに命中した

 

「だんちゃーく、今」

 

大和砲術長が弾着を確認すると同時に観測員から報告が上がる

 

「報告!砲弾は目標に命中後、貫通し400メートル後方の海面に着弾」

 

「おおまか、予想どうりの位置か、海上でも通常砲撃でなら地上とはそう変わらないらしいな、次の試験に移る、護衛艦隊に連絡、大和の左舷90度、距離15に砲撃用意、応急員は万が一に備えて浸水対策用意、第二射は3分後に開始する以上」

 

「了解」

 

第一射を見届けた晴風一同は大和の護衛艦隊が主砲及び副砲を大和に向けているのに気づき慌て初めていた。なぜいきなり大和に向け照準を合わせたのか

 

 

「ちょっと、全艦砲塔大和に向けてない!?」

 

「もしかして反乱!?」

 

「なんでいきなり反乱なんか起こるのよ!」

 

光、順子、美千留が慌てるがそれを見ていたウルスラが今起きている事態の説明をする

 

 

「安心してください、ただ次の試験の準備に入っただけです」

 

「えっ、準備?」

 

「ハイ、次のテストはネウロイとの戦闘を想定しての戦闘時に発生する揺れなどによる影響のテストですね、今回は大和の左舷90度、距離20以下の所に砲撃を集中するように言ってあります。大和は巨大ゆえ試験に必要な揺れは再現が難しいですから。大和からも左舷に爆雷を投下してもらってさらに揺れを大きくする予定です」

 

 

「やり方が強引だなぁ」

 

「あっ、砲撃開始した。本当に距離20、いや15くらいかな」

 

「爆雷も放ってるわね・・・確かに少し揺れ始めたけど、大した揺れじゃないわよ、本当にテストになるの?」

 

「僅かな揺れで砲弾の軌道に影響が出なければいいので大丈夫です。第二射がそろそろ・・・」

 

ウルスラが大和の主砲に目を向けると第二射が発射された。2発目も目標のバルーンに見事命中した。大和の艦橋では報告が飛んでくる

 

「二射目も命中!、弾着するまえに右にややずれましたが誤差の範囲内です」

 

「この誤差の数値なら大型ネウロイに後れを取ることは無いな」

 

「そうですね、艦長このまま予定どうりに艦隊での砲撃訓練に移りますか?」

 

「いや、一応主砲の点検を済ませろ、魔導徹甲弾の影響があるかもしれない」

 

「了解しました」

 

「艦長、距離3000、上空800メートルに謎の現象を確認!円形状に赤黒い何かが広がっていきます」

 

 

「何だと!」

 

見張員の報告聞いた大和艦長は自ら双眼鏡を手に取り確認する。

確かに言われたところに赤黒い何かが広がっていた。

 

空母天城で大和の砲撃テストを見ていた晴風一同もその光景を確認していた。

 

「何アレ?雲?」

 

「違う・・・」

 

「シロちゃん、ココちゃん、何か分かる?」

 

メイが雲かと思ったがタマがそれを否定する。艦長の岬明乃はあれが何なのか確かめるため、ましろと幸子の固有魔法を頼った。二人はすぐに自身の固有魔法で調べていたらしいが何も分からなかった・・・

 

「ダメですね、私の魔法でもシルエットすら認識できません」

 

「私もです、少なくても実体は無いみたいです」

 

「そうなんだ・・・一体何なんだろう、野間さーんなんか見えたりしない?」

 

明乃は野間マチコの魔眼で何か見えないかと思い、野間に確認をお願いする

野間は魔眼で空に広がる赤黒い何かを確認する

 

「こっちも特に変わった物は見えない・・・うん?」

 

特に何も見えないと思われた景色の中に一瞬前に見たことがある物が見えた。

ただそれはこの世界にあるはずないものですぐに見えなくなったため野間自身、気のせいと思ってしまった。

 

   今、一瞬見えたあの景色・・・私達の世界のフロート艦に似ていた

 

 

野間が気のせいと思っていたことはただの気のせいでは無かったが、今本人がそれに気づくことはない、再び目を凝らすと赤黒い景色が歪んでいった。いや空間が歪んでいるのだ。

 

「なんだ、いきなり景色が歪んだぞ」

 

「なぁ、この現象あの時に似ておらんか」

 

「そうですよ、私達の世界の大和と武蔵の姿が見えた後に突然消えた、あの時の消え方と凄く酷似しています」

 

そう、前に晴風がブリタニアに向け航行中に遭遇した明乃達の世界の大和と武蔵の光景が消えたときと似ているのだ。

 

 

「確かに似ているね、じゃあ待っていれば消えるんじゃないかな」

 

知床鈴がふとそんなことを言った。確かに消えるのであればそのまま待っていれば問題は無い、全員がそのまま元の景色に戻るのを待っていようとしたとき納沙幸子から衝撃の報告が上がった。

 

 

「待ってください、ネウロイの反応を感知!場所は・・・あの歪んでいる景色の場所です!」

 

「何だと!」

 

ましろが叫ぶと同時に歪んだ景色からウミヘビのような姿をした大型のネウロイが姿を現した。大和でもネウロイを確認し、すぐに戦闘態勢が敷かれた

 

 

「全艦戦闘準備、第三船速」

 

「天城に至急連絡、ウィッチの発信を優先させろ」

 

「了解」

 

「第三船速ヨーソロー」

 

大和艦長と副長の指揮のもと戦闘準備が進んでいく

なんとかネウロイの先制攻撃が来る前に戦闘態勢はとれたものの油断できない状況だった

 

 

「なんとか準備は間に合ったか・・・まさか何もないところからあれほどの大型ネウロイが現れるとは・・・」

 

「艦長、新型魔導徹甲弾を使いましょう、このような時のための新型弾です」

 

「よかろう、だが敵の動きを見てからだ。交互撃ち方用意、左右の砲に魔導徹甲弾を装填しろ」

 

「了解!直ちに準備させます」

 

「空母天城よりウィッチが飛び立ちました。」

 

大和砲術長の返事の後にウィッチが飛び立った報告を聞いた大和艦長は何とか安堵した。

もしあの大型ネウロイが現れてすぐに空母を攻撃した場合、ウィッチが発進する前にやられていた可能性があったからだ。最も最強クラスのシールドの出せる明乃、宮藤がいるからそう簡単にはやられないが

 

 

天城から飛び立ったウィッチはバルクホルンを先頭に大型ネウロイに向かっていく

 

「敵は大型が一体だ。火力が高い西崎、立石、インゲノール、黒木、野間は敵本体を狙えミーナ、艦隊の守りを頼むぞ」

 

「任せて、岬さんはそろそろ艦載機が発進される頃だから、艦載機を守りながら敵への攻撃にも参加して」

 

「分かりました」

 

「宮藤さんと鏑木さんは大和の護衛に入って、恐らく魔導徹甲弾発射のために可能な限り近づくはずよ」

 

 

「わかりました」

 

「了解した」

 

「他は私と一緒に各自援護しながら護衛艦隊の守りに入るわよ」

 

『了解』

 

それぞれの役割が決まると大型ネウロイに攻撃を開始する。

まずは野間マチコの魔眼によりコアを確認する

 

 

「コアを確認!蛇の頭にあたるところにある」

 

「よしっ!各自頭部に攻撃を集中しろ」

 

「よっしゃあぁぁぁ、いくよタマ」

 

「うぃ」

 

コアの位置を聞いたメイとタマが最初に攻撃を開始する

 

タマの50mm砲と同時に発射された4発のロケット弾が大型ネウロイの頭部に命中する

命中したところは跡形もなく吹き飛び、倒したかと思われたが・・・

 

 

「おかしい・・・コアのある頭部を破壊したのにネウロイが消えない」

 

コアを破壊したのに消えないネウロイを見て野間は再び魔眼でネウロイを見る。

すると・・・

 

「なっ、コアが移動しているだと!」

 

そう、この大型ネウロイはコア移動タイプのネウロイだった。

 

 

「こいつ、コア移動タイプか、ミーナ!こいつコア移動タイプだ。同時多重攻撃を仕掛ける岬、宮藤、鏑木以外をこっちによこしてくれ」

 

「分かったわ、聞いての通りよ、各機敵ネウロイを包囲し攻撃開始」

 

「了解」

 

「了解しました」

 

「りょうかーい」

 

 

護衛艦隊の守りに入っていたメンバーもネウロイへの本格的な攻撃に加わるが中々コアを破壊出来ない。野間はコアが移動すると知ってから常にコアの位置を見ているがコアの移動速度が速すぎていた。

 

「速すぎる、ユニットと同等の速度は出ているぞ」

 

「野間さん、コアは」

 

「今も移動中だ、私達が撃つと同時にすでに動いているような速さだ」

 

「そんなにか・・・仕方ない手分けして攻撃個所を集中しよう、頭部は私とミーナ中佐、黒木さんで受け持つ、中心部を野間さんバルクホルンさん、納沙さん、知床さんで攻撃してくれ、残りで尻尾にあたる部分攻撃する・・・これは・・・全員ネウロイから30メートル以上離れろ、大和の砲撃が来る!」

 

固有魔法を発動していたましろが大和の主砲がネウロイへ向いているのに気づきウィッチ全員に注意を促す。ましろの報告を聞いた全員がネウロイから一端距離を取ると大和から1発の砲弾が放たれネウロイに直撃したがネウロイを倒すことはできなかった

 

「えぇー魔導徹甲弾っていうのでもこの程度のダメージなの」

 

「落ち着け西崎、今のは通常弾頭だ」

 

 

「えっ、そうなの」

 

「うぃ、さっき左右の砲が動いているのが見えた」

 

「えっ、じゃあもしかして交互撃ち方?」

 

「本命が撃たれるぞ、各自距離を取りながらネウロイをこの場にくぎ付けにしろ」

 

バルクホルンの指示のもとネウロイをこの場にくぎ付けにするため距離を取り攻撃をし続ける。ネウロイもボディをくねらせながらビームを撃って反撃してくる。こんな不規則な動きをするものに当てることが出来るのか多くの晴風乗員が思ったがその心配は無用だった。

修正された砲身から放たれた2発の対ネウロイ用魔導徹甲弾が大型ネウロイを貫通、貫通されたおかげでネウロイのボディーは頭部、胴体、尻尾の3つに分離した。

野間が魔眼でコアの位置を確認すると胴体の所でとどまっていた。

どうやら完全に切り離されたら流石に移動は出来ないようだった。

 

 

「コアが胴体の部分にとどまってる!再生が完了する前に破壊するぞ」

 

「私が・・・行く!」

 

野間の報告に反応したタマが胴体部分に近づき至近距離で50mm砲を放ちコアを撃ち抜いた。コアを破壊されたネウロイは今度こそ消滅した。ネウロイの消滅を確認すると改めて対ネウロイ用魔導徹甲弾の威力に驚愕した。

 

 

「凄かったのぉ、ネウロイに対しては通常弾頭の4~5倍の破壊力じゃったぞ」

 

「そうですねぇ、威力もそうですけど、あんな不規則に動いていたネウロイによく当てられましたよね」

 

「そりゃあそうでしょう、大和の乗員なら乗ってるのも優秀な人材ばっかだろうし」

 

各々が関心しているとミーナ中佐がましろのもとにやってきた。

 

 

「宗谷さんちょっといいかしら」

 

「何ですかミーナ中佐?」

 

「この後私と一緒に先に基地に帰還してもらっていいかしら」

 

「さっきのネウロイが現れた現象の報告ですか」

 

ましろはミーナの意図を読み、理由を言い当てる

 

「えぇ、これはかなりやばい事態よ、すぐに報告しないと、晴風のウィッチの代表ということで一緒に来てもらえる?」

 

「それだったら艦長の方がいいのでは?」

 

「また同様の方法で現れる可能性があるから護衛戦力は残しておきたいのよ」

 

「そういう事ですか、分かりました」

 

ミーナ中佐とましろの二人は一足早くブリタニアの統合軍基地へ報告に向かう

このネウロイの出現が明乃達の世界に大事件を起こしていた原因のせいだとは

まだ誰も気づいていなかった。

 




次は明乃達の世界の話をかけるかなぁ
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