大和の新型魔導徹甲弾のテストに現れたネウロイの撃破に成功した晴風一同とテストに同行していた501のメンバーの内二人、ましろとミーナ中佐は艦隊には戻らず、そのまま統合軍本部、司令室へ足を運んでいた。理由は大和の砲撃テストの時にやってきたネウロイの出現報告をする為だ。普通に現れたなら後日書類を出せば済む話だが、今回現れたネウロイに関してはそうはいかなかった。何故なら何も無かったところからいきなり出てきたからだ。まるで空に穴が空きそこから現れたかのように・・・
二人は事の重大さを考えすぐに報告へと向かったのだ。晴風と501からましろとミーナ中佐が・・・二人はすぐにパットン将軍とブラッドレー将軍に面会が許され今回現れたネウロイの報告をする
「何だと!それは本当か、ミーナ中佐」
「はい、すべて事実です。ここにいる宗谷さんを始め晴風乗員の他に多くの目撃者がいます」
「まさか、空に穴が空きそこからネウロイが現れるとは・・・」
「正確にはまだ穴だったのか分かっておりませんがそのように見えたのは事実です」
「あとネウロイの現れた穴らしき物を私の固有魔法で調べてみましたが何も感じ取れませんでした。納沙さんの固有魔法も同様です」
「感知タイプの固有魔法で認識不能な現象か、かなり厄介だな」
ブラッドレー将軍が事の厄介さに嘆く、今のネウロイの防衛網はレーダーと対空監視によるものが大きい、だが今回現れたネウロイはどこの防衛網にも引っかかっていない
つまり防衛網をかいくぐることが出来るのだ。
「私個人の推測ですが、最近現れ始めた隠密性が高かったネウロイは隠密性が高いのではなく、あの現象によって突如現れたものだと思います」
「確かにそれなら説明がつくな・・・」
「だが、どっからやってくる?何処かの巣から来てるとしてもネウロイの行動範囲を超えているのが殆どだぞ」
「今、確認されているネウロイの巣の内、カールスラント南部の巣は望遠鏡での目視が出来る位置に観測班がついているから除くとして残りは・・・」
「オストマルク、オラーシャ方面の巣が妥当かと」
「偵察部隊を出したいがどちらも厳しいな・・・」
「ブリタニアのウィッチ部隊の被害が大きかったからなぁ、だが悠長に待ってるわけにはいかねぇ、オストマルクはブリタニアの防衛網がもとに戻るまで待つとしてオラーシャ方面には無理をしてでも偵察班をだすしかねぇ、近い部隊だと502が妥当か・・・」
「502だけだとかなり危険だぞ、この際508のウィッチも招集したらどうだ」
「無茶言うな、大和の護衛の任務を終えて今は太平洋のど真ん中だぞ、航続距離がたんねぇだろ、無理に向かわせたとしても3日は航続距離不足で欧州に入れねぇ、ことは重大なんだぞ遅くても明後日には偵察班を出すべきだ」
二人の将軍が口論を重ねているとミーナ中佐と共に話を聞いていたましろがあることを聞く
「ミーナ中佐、確かオラーシャの巣ってモスクワでしたよね、位置的には勢力圏の端の方ですけど、偵察も難しいほどネウロイの警戒が激しいのですか」
「そのことね、オラーシャの領地は広大だから統合軍もまだ正確な戦力を把握できていないの、特にモスクワより先は未知の領域で巣が何個あるか把握できていないの、もし複数の巣のネウロイの行動範囲が重なるところがあったらそれだけでも危険度が爆発的に上がってしまうの」
「なるほど・・・そういう理由があったんですね」
二人が会話をしていると口論を終えたパットン将軍があることを思い出しましろにそれを伝える
「そう言えば忘れるところだった。さっき報告が上がったんだがお前らの晴風の修理が完了したそうだ」
「本当ですか!」
将軍から自分達の家とも呼べる晴風の修理の完了の知らせを聞いてましろは喜びの声をあげる、皆が戻ったら早速言わなければ
「それともう一ついいか、ウルスラ中尉が開発をしていた震電の改良型の新型ユニットの完成が近いらしい、開発コードは蒼雷という名前らしい、恐らく坂本少佐が名づけたのだろう、完成しだい君らの艦長の岬明乃にテストを頼むからよろしく言っといてくれ、今後の方針は統合軍本部で協議することになりそうだ。君達はもう下がってくれて構わない」
「分かりました。失礼します」
ブラッドレー将軍に退席の許可をもらいミーナ中佐とましろは部屋を後にする
震電の改良型、蒼雷・・・この機体がその後歴史に名を残す戦闘に名を残すことになることをこの場にいる誰もがまだ思ってもいなかった。
一方その頃、ブリタニアへの帰路についた大和の艦橋にある客人がやってきていた
晴風の炊事員の美甘、ほまれ、あかねと3人をストライカーユニットで運んだ明乃とメイとタマの6人だ。やってきた理由は炊事員の作ったかりんとうの差し入れだ
大和の砲撃テストの前日、たまたま晴風に私物として持ち込んでいた黒糖の存在を思い出し炊事員の3人が作った物だ。結構な量が出来たため差し入れ用に持ってきていたのだ。
「これ、差し入れです良かったらどうぞ」
「おぉ、これはわざわざすみませんな、ありがたく拝借させてもらいます」
「皆さんの分もありますよ」
「召し上がってくださいね」
3人は艦橋で勤務する乗員に袋に入れた小分けにしたかりんとうを渡す
渡された乗員はお礼の言葉をいいそれを受け取る
「岬艦長、わざわざありがとうございます」
「お礼なんていらないです、大和の援護のおかげで今回のネウロイを倒せたんですから」
「そう言って貰うと扶桑海軍として誇りに思います」
大和副長のお礼の言葉を明乃はあえて受け取らず今回勝てたのは大和の援護あってこそと大和を褒めたたえる。大和の副長もその言葉を受け内心喜んでいるようだ。
サクッ、大和の艦長が渡されたかりんとうを一口食べるとその味を称賛する
「おぉ、これはまた、甘さもちょうどいい・・・絶品ですな、あなた方を嫁に貰った者は幸せものでしょうな」
「そっ、そうですかぁ、えへへ」
大和艦長の褒め言葉に思わず笑みをこぼす美甘
将来お嫁さんになるのが夢の彼女にとってその言葉には弱かった
「これだけ器量よしなら故郷に恋人もいるだろうに、早く帰れるといいですな」
『ヴッ』
3人の動きが一瞬止まる。恋人がいると思われているが3人とも恋人はいない
唯一違うとすればかつて幼馴染に告白された柿崎ほまれ、だろう
「いえ、あのぉ、私達まだ恋人が出来たことが無くて・・・」
「うちの学校全寮制ですし、艦にも乗りますから」
「そう言えばそうでしたな、艦に乗っていたら出会いもそう多くはありませんか」
「あっ、でもほっちゃん、幼馴染に告白されたよね」
「おぉ、それはそれは、それで恋人がいないとなるとお相手が気に入らなかったとかですかな、それともすでにこの世を?」
「あっ、そういうのじゃないです。今でもちゃんと生きてます」
幼馴染が勝手に死んだことにされそうだったので慌てて訂正する
「えっと、晴風での初めての実習の前に幼馴染告白されたんですけど、その時は気持ちの整理が出来てなくて返事せず逃げちゃって、実習の時に返事を言う機会があったんですけど、その時にはもう幼馴染に他に好きな子が出来たって・・・」
ズゥゥゥゥゥン
大和の艦橋に重い空気が充満する。まさかの失恋エピソードに誰もが何も言えなかった。
明乃達に至っては改めて聞いても流石に気まずい
いたたまれない、ホント、いたたまれない
この重い空気を切り開くため大和艦長は副長にあることを聞く
「樽宮、うちの乗員で彼女に似合いそうな真面目な奴はいるか?」
「あぁー、そうですね、機関員の前園、砲術員の土田辺りがいいと思いますよ、前に何回か会いましたが常に全力で仕事に打ち込んでおりましたし」
まさかのお見合い斡旋
流石にほまれも結婚相手を紹介されそうな流れだったのですぐに止める
「あっ、そういうのは大丈夫です、それにまだ16歳ですし」
「まぁ元の世界では学生でしたな、こちらの世界ではウィッチじゃない女性なら早ければもう嫁いでいる者もいますからなぁ」
「そうですね、田舎や名家の女性ならそのくらいの時に嫁いでいますね」
『えっ』
大和の艦長と副長の発言に美甘達炊事員は驚く、まさか自分達と同じ歳で結婚している子がいるとはと
「私達と同じ歳くらいで結婚って・・・30過ぎたらもう絶望的なんじゃない」
「そんなことはないと思うよ美甘ちゃん」
「うん、前にウィッチは恋愛を禁止されているとか聞いたし、きっとまだ希望が残ってるよ」
「貴方方の世界ではどうかは分かりませんが25~26歳くらいまでに気になっている相手の一人でいないと親が心配しますよ、まぁだいたいほとんどの家庭は見合いを見繕ったりしますが」
「あっ、なんか分からないけど古庄教官がかわいそうに思えてきちゃった」
美甘はまだ結婚していない古庄教官に同情してしまう。すでに親が心配する年齢の教官を
「美甘ちゃん・・・教官に失礼だよ・・・」
「うん・・・今のは流石に酷いよ」
美甘が古庄教官に失礼なことを言っているとき明乃達は自分達の話をしていた。
「私達ウィッチになって良かったよねぇタマ、行き遅れても言い訳になるし」
「うぃ~」
「あははは、でも結婚は少しは憧れるよね」
3人がそんな話をしていると大和の艦長は岬にあることを言ってきた
「いや、実力のあるウィッチなら軍の方で見合いの斡旋はあると思いますよ。優秀な血筋は残さないと軍の戦力の喪失ですからな、特に岬さんは優先的に見合いをさせるでしょうな」
「へぇー、軍で相手紹介してくれるんだ。どんな人紹介してくれるのかな、軍人とか」
「うぃ~?」 (よくわからないと言っている)
メイのその言葉に大和の艦長が個人的に考えられる相手を挙げていく
「そうですな、まずウィッチの家系に生まれた男子を優先的に選ぶでしょうな、後は所属の軍の中でお似合いの奴を選ぶだろうが、岬さんの場合は政治家のご子息や将校の親戚やご子息、学者、などですかな」
「げっ、艦長の見合いの斡旋先優良物件ばっかじゃん」
「うぃ」
「そうかなぁ、でも結婚するならちゃんと自分で選びたいなぁ、楽しく暮らしたいし」
「理想の人とかいるの?艦長」
「私聞きたい!」
「うーん・・・まだよくわからないや!」
ズコッ
少し考えたのに結局分からないと答えた明乃の回頭に美甘以外の4人がこける
すると美甘が明乃を見て一言・・・
「艦長ズルーい、優良物件総取りだよ、それ!」
「えぇー、そんなこと言ったってぇー」
そんな他愛の無い話をいくらかしていると自然と重かった空気が無くなっていた。
流石の大和艦長、どんな過酷な状況も切り開く・・・少し違う気がするが
用を済ませた明乃達は空母天城に戻ると晴風乗員と共にブリタニアへの帰路を楽しむのであった。
そろそろ晴風の一般クルーの強化回も書かないとなぁ