会社の繁忙期などで中々時間が取れず執筆期間が長くなりました。
おまけに戦闘回でさらに時間が掛かるという不幸
何とか正月休み中に投稿出来て良かったです
愛知の工業地帯を占拠する、かつてアメリカ側が保有していたネウロイ化した海上要塞
ネウロイ化の影響で浮遊能力を得た要塞は工業地帯の上空に漂う・・・
その工業地帯より距離18キロの地点の海上にはブルーマーメイド、ホワイトドルフィン扶桑艦隊の連合艦隊が集結していた。佐世保での準備を済ませ、佐世保を出航しこの海域に集結したのだ。最初の難関であろう要塞型ネウロイを攻略するために扶桑皇国、戦艦大和を旗艦とした艦隊は旗艦大和の左右に二隻ずつ各海洋学校の大和型戦艦を配置、大和型5隻による一斉砲撃を可能とする陣形を取る
大和型戦艦前方に重巡3、軽巡4、駆逐艦8
大和型と同じ隊列に重巡2 軽巡2 駆逐艦6、そのうち2隻は扶桑皇国旗艦大和と隣り合わせの武蔵と信濃の間に陣取っている。旗艦の直衛というわけだ
大和型の後方には学生艦を中心とした護衛戦力が集中的に投入されている
生徒達の負担を少しでも減らす目的もあるが一番の配置理由は扶桑艦隊の空母の防衛が最大理由だった。ネウロイ戦の経験がある扶桑艦隊が最前線で戦うため空母の護衛に扶桑艦隊の艦を回すことが厳しくなってしまったため空母の防衛は学生艦に任せることになったのだ。空母を失うとせっかく無事に帰還しても海に機体を沈めることになるからだ。
ここまで敵のロケット砲弾型ネウロイの攻撃が無かったからよかったもののいつ来ても不思議ではない、すでに晴風艦長岬明乃が艦隊防衛のために扶桑皇国旗艦大和の上空で警戒待機しているが、いくら明乃でもすべての攻撃を防げるかは分からない状況はすぐに変化してもおかしくないのだ
「この距離まで敵の攻撃が無かったのは幸いと言ったところか・・・離陸した第一攻撃部隊は今どの位置だ」
「さきほど上がった電探室の報告を聞く限りあと5分以内に作戦空域のはずです」
「分かった、敵の先制攻撃が無い限り10分後に作戦を開始できるか作戦本部へ通達、大和型全艦に主砲装填の通達、全艦このまま最大警戒体勢を維持、作戦開始後、第一射掃射後全艦最大船速にて目標へ近づく、機関室に再度問題が無いか確認を済ませろ」
「ヨーソロ」
扶桑皇国旗艦大和の艦長の指示に大和の副長が了解する
副長は艦長の指示に従い各部署に通達を出すように指示する
その報告はパットン将軍達が乗艦している戦艦武蔵にも伝えられた。
パットン将軍達がなぜ、旗艦の大和ではなく武蔵に乗っているかと言うと武蔵にはこちら側の技術により統合軍より優れた情報収集能力が集約されていたからだ。それとウィッチ達に取り付けたボディカメラの映像の確認とリアルタイムでの位置情報の確認、それとこちら側の最高作戦責任者の宗谷真雪が乗艦していて色々と都合がよかったのが理由だ
旗艦大和からの通達にパットン将軍達はそれを了承した。今まさに作戦が開始されるのだ
「よーし、ついに来たぜ、天城にいるガルーダを発進させろ、突入部隊、攻撃部隊も発進、今から10分後にオペレーションブレイカーを発動する!」
「第一攻撃部隊に随伴しているミーナ中佐に連絡!攻撃開始時間を通達、ウィッチの配置をそれまでに済ませろ」
「ブルーマーメイド、ホワイトドルフィンの各艦隊に対空戦闘の準備、及び各種レーダーの最終チェックを通達、広域データリンク再確認、作戦開始を待て」
パットン将軍とブラッドレー将軍、宗谷真雪、三人の責任者がそれぞれ指示を飛ばしていく
空母天城では甲板に重爆兵装ガルーダが置かれており、今まさにパットン将軍の指示のもと出撃するところだった。
「行くよタマ、一杯ぶっ放すよ!」
「うぃー」
メイとタマが互いに確認の言葉を交わすと重爆兵装ガルーダは立石志摩の固有魔法により重さが軽くなる、それと同時に取り付けられた飛行ストライカーユニットが可動を開始する。ある一定数の回転数になると重爆兵装ガルーダは空母天城を飛び立った。先に向かった皆の元へ急ぐ、一方その頃、作戦開始時間を通告されたミーナ中佐達と第一攻撃部隊は通達された時間6分前に作戦空域に到着した。
「作戦空域に到着、各機警戒を怠らないで、作戦開始前に敵の攻撃がいつ来てもおかしくないわ、以降は作戦開始まで空域を旋回しつつ開始時間を待ちます」
『了解』
リーネと納沙幸子が返事をすると、二人は再び気を引き締め警戒にあたる
第一攻撃部隊も再度作戦内容の確認をする
「いいか、野郎ども、高度4000からの精密爆撃とはいえ、相手は大和の何十倍もあるデカブツネウロイだ。外すんじゃねぇぞ、今こそ扶桑の飛行機乗りの実力を見せつけろ」
「勿論です!絶対に命中させます」
「俺らのありったけの60キロ爆弾をくらわせてやりますよ」
隊長からの指示に部下たちは士気高く答える、その様子に隊長は安堵するが新たにあることを伝えておく
「その意気やよし!だが忘れるなよ、所詮俺らの火力じゃネウロイのクソ野郎には効果は薄い、俺らの役目はウィッチの手助けに過ぎないことを忘れるな、だがウィッチ達だけにいいところ持っていかれるなよ」
『応!』
第一攻撃部隊の隊員達が隊長からの激に答える、隊長に言われるまでもなく、もとよりそのつもりだ。そのまま作戦空域を旋回していると納沙幸子にある通信が入ってきた。それは事前に決めていたウルスラ中尉と宗谷ましろがいるロケット砲弾型ネウロイ対処チームからの通信だった。
「・・・!!大変ですミーナ中佐、ウルスラさんからロケット砲弾型ネウロイが発射体勢に入ったって連絡がありました。」
「やっぱりこちらか、艦隊の接近に気付いていたわね、作戦本部こちらミーナ、砲弾型ネウロイの発射体勢に入った報告あり、作戦手順に基づき計画を早めます」
「作戦本部了解、作戦開始時間を繰り上げる、第一攻撃部隊は直ちに攻撃を開始せよ、第一攻撃完了次第艦載機は艦砲射撃に巻き込まれないよう高度1500以上を保ち子機の出現に備えよ」
「了解、二人とも聞いていたわね、作戦開始時間を早めるわよ、ロケット砲弾型ネウロイは予定通り宗谷さんに任せて私達は艦載機の護衛を専念するわよ」
「「了解」」
第一攻撃部隊が攻撃を始めようとしているとき地上では自衛隊部隊と合流した宗谷ましろがコメートの発進準備に入っていた。ウルスラ中尉がコメートに燃料を注入し出撃体勢を整える、本来は作戦開始時間の3分ほど前に注入が完了する手はずだったが急な繰り上げで間に合うかどうか微妙なところだ。
「砲弾型ネウロイ、発射体勢!過去のデータから推測するにあと20秒以内に発射の可能性あり!」
「燃料注入完了!行けます」
「!分かりました。宗谷ましろ、発進する」
コメートの近くで待機していたましろはすぐに自身の素足をコメートに装着し急発進をする、その圧倒的上昇能力でもうすでに点に見えるほど離れていった。その光景をただ茫然と見ている者達がいた。途中で合流した自衛隊部隊である
「あんなに速く飛んで行けるのか・・・」
「しかも戦闘用の装備じゃなくただの制服に武器だけの装備であの化け物らに挑むのか」
「あんな少女達が・・・」
「我々はなんて無力なんだ、済まない危険な戦闘を頼んでしまって」
自衛隊部隊の部隊長がそう嘆くと無意識のうちに敬礼をささげていた。他の隊員もそれに続く、ましろの発進より3秒ほど早く発射された砲弾型ネウロイは艦載機の方ではなく艦隊の方へ飛んで行く、どうやら狙いは艦隊のようだ。ましろはそれを追跡する
「W87、2570、捉えた!」
ましろはコメートを巧みに操作し砲弾型ネウロイの真後ろに着いた。ましろはそのまま狙いを定め機関銃で撃ち落とす。弾丸をまともにくらった砲弾型ネウロイはそのまま消えて行った。ましろは自身の固有魔法でロケット砲弾型ネウロイが発射された位置を確認する
作戦通り大和型各艦に照準指示を送る
「発射位置はだいたい中央より少し前くらいか、作戦本部、砲弾型ネウロイの発射口は中央より少し前、ブロック8とブロック12の中間地点です。艦砲射撃の照準修正を!」
「作戦本部了解、修正座標送信します」
武蔵に乗艦していたブルーマーメイドのオペレーターが各艦に修正座標を送信する
初弾発射前だったので修正さえ終わればすぐに発射できるがそううまくことは進まなかった。ロケット砲弾型ネウロイの第二射が発射されたのだ。予め想定されていたとはいえ第二射の発射は流石に少し驚いてしまった。予め決めていた通りコメートの燃料が続く限りましろが撃墜を担当する。幸い弾道コースが先ほどとほぼ同じだったので、今度は砲弾の前に位置をとり機銃で攻撃しながら砲弾に向かっていき砲弾を破壊した。ましろはすぐに自身の固有魔法を発動し一番近い着陸地点のポイントを探し出しウルスラ中尉に連絡する
「ウルスラ中尉!ポイント12へ降ります。予想合流時間はいつくらいになりそうですか」
「もう低空飛行にて向かっているのであと3分ほどです。それまでなんとかそこで耐えていてください」
「了解、作戦本部、これからポイント12でウルスラ中尉と合流します」
「作戦本部了解、直ちに回収班を向かわせます」
ウルスラの回収を担当する平賀倫子が作戦本部からの指示でスキッパーで回収に向かう
航洋艦に搭載している中型スキッパーとは少し違い平賀専用にカスタマイズされたそれは二人目の搭乗者が座れるように座席が追加され、さらにエンジンもいじり通常より速く走行でき、気休め程度だがネウロイへの目くらまし用のスモークと閃光弾の発射装置を取り付けたブルーマーメイドでも初めて使うスキッパーだ。平賀は一端艦隊から大きく離れ迂回しながら目標地点へと向かう、直線で行くと艦砲射撃の中を行くことになるからだ。
ウルスラの回収の際はそこに入ることになるがそれはあくまで一時的、危険は避けられるものなら避けるのが鉄則
平賀が最大速度でウルスラの元へ向かっているとき、砲弾型ネウロイの第3射が発射されそうになっていたが、それが発射される前に第一攻撃の無数の爆弾がそれを破壊した。
要塞型ネウロイも落ちてくる無数の爆弾をビームで撃ち落としていったが、護衛として随伴していたミーナ中佐、リーネ、納沙が前に出て撃ち落とされる前にシールドを張り、さらにリーネと納沙の二人がその合間を縫って上空からビーム発射口を狙い撃ち一時的に弾幕を薄くする、破壊されて再生するまでの短い時間だがその間に投下された爆弾は要塞に命中し爆発していく、幾つか撃墜されたとはいえ投下された7割近い60キロ爆弾が要塞上部を破壊していく、ビーム発射口も幾つか潰せたため再生が終わるまでは弾幕が薄くなる
要塞型ネウロイは第一攻撃部隊を破壊するため子機を放出し始めた。無数の子機が要塞の周りに展開する。ある程度放出されるとその一部が空爆を行った第一攻撃部隊に向かっていく、だが向かっていった子機の一部がいきなり破壊された。海上に展開した艦隊からの第二次攻撃である。有効射程に入っている艦艇からの砲撃が要塞に降り注ぐ、子機に命中したのはましろが報告したロケット砲弾型ネウロイの発射口目掛けて放たれた武蔵の砲弾の1発だった。武蔵と同時に発射された大和型の46㎝砲弾の一斉射撃が要塞に命中していく
要塞型ネウロイは艦隊に対応するためかさらに子機を放出する。子機の更なる出現に伴い作戦は第三段階に入った。
「そろそろ私達の出番だね、タマ!」
「うーぃ!!」
重爆兵装ガルーダを操るメイとタマが突入部隊と陽動部隊、超高速飛行型対処部隊と共に要塞に向け進軍を開始した。海上を飛行してきた彼女達に気付いたのか、放出された子機の実に6割が彼女達に向かっていった。それらに対し先陣を切るのはガルーダを操るメイとタマだ。ガルーダに新たに取り付けられた多連装ロケット砲にメイの固有魔法、弾道誘導を付与する。そしてそれを一斉に放った。それと同時にタマが30mmガトリング砲を子機に向かって掃射する。放たれたロケット砲弾はメイの固有魔法によりまるで意思を持ったかのように動き1発ずつ正確に子機へ命中しタマの放った30mmガトリング砲は子機を根こそぎ破壊していき、こちらに向かってきた1割を僅か3分で破壊して見せた。それに続いて他の面子も攻撃を開始していく、闘いは乱戦へと突入した。
「行くぞ!ハルトマン!!突入部隊に無駄弾は撃たせるなよ」
「オッケー、トゥルーデ」
「知床!ルッキーニ!あたしらは散って子機を少しでも艦隊から遠ざけるぞ、目標が来たらそっちに行くが、それまではあたしらで引き付けるぞ」
「ラジャー」
「はいっ、分かりました」
「万里小路さん、インゲノールさん、黒木さん、貴方方は攻撃に使える固有魔法なのですから、魔法力の使い過ぎには気を付けなさい、突入してから使えませんでは意味なくてよ」
「御忠告ありがとうございます。ペリーヌさん」
「じゃが、こうも多いと残弾が無くなりそうじゃ、なるべく節約するが使える時が来たら使わせてもらうぞ」
「突入することになるんだったら、うちの応急長に巨大ハンマーでも作ってもらうんだったわ、小型って小さくて殴りにくいのよね」
「野間さん、こっちは私と鏑木さんで受け持ちます。ガルーダの直衛に回ってください。予想通り向こうに敵が集中してます」
「了解、ここは任せます」
各々が戦闘を始めていき、今の所戦況はこちら側が若干の優勢と言ったところだ。
作戦本部も戦況の移り具合をこまめに確認し、戦闘指示を各所に飛ばす
「ネウロイ第6グループ、ウィッチとの戦闘区域を通過、艦隊部隊に接近しつつあります。あと3分で射程に入ります。対空迎撃要員、弾幕を展開、晴風より納沙幸子が長距離狙撃により撃ち落としていってます。残存敵機、残りおよそ48!」
「陽動部隊で第6グループの迎撃に回せるのは誰かいるか」
「服部少尉、鏑木美波が近いですが、それでも早くても4分後・・・待ってください、晴風の宗谷ましろがユニットの交換を終え向かいました。接触まであと2分の距離です」
「艦隊守備の晴風艦長、岬明乃より通信、第6グループの殲滅に動くそうです」
「よし、晴風艦長には現在地で応戦するように通達、全艦に対空警戒を厳にするよう再度通達、第一攻撃部隊をこちらに帰還させろ、制空権を何としても維持しろ」
「了解」
ブラッドレー将軍の指示のもと、放出されたネウロイに対して各ウィッチに情報を伝達していく、宗谷真雪もブルーマーメイド、ホワイトドルフィンの護衛艦隊部隊と学生艦に指示を飛ばしていく
「護衛艦、岸波、妙風、弾幕を張りながら前方距離2500まで前進したのち急速回頭!飛行している敵機に対し弾幕の挟撃を加えます。学生艦金剛型各艦に支援砲撃要請、座標は呉海洋学校大和型、より左42度距離1200へ主砲を一斉掃射、岸波、玉波の航路にいる敵を散開させます。発射後主砲の再装填を速やかに行うようにも通達」
「了解!岸波、妙風、作戦通達、弾幕を張りつつ距離1200まで・・・」
オペレーターが無線インカムを通じて二隻に作戦指示を伝える。
なぜ通信に武蔵の通信システムを使わないかといえば、これが一番速いからだ。
普通の艦隊戦ならこの方法は愚策だが今回の闘いにおいて情報の即時伝達は重要で、なおかつ相手は人が作った物ではない怪異ともいえる物、通信傍受などの可能性は限りなく低かった。なおかつ予想される展開でもインカムの通信範囲に殆どの艦が入っていることが事前確認で判明していたため武蔵の無線ではなくインカムで直接連絡を取ることになった。
それでも武蔵の無線設備を全く使わないわけではない、扶桑皇国の旗艦大和との連絡には武蔵の通信設備を使っている。これはあらかじめ連絡手段を絞り、情報の混乱を防ぐ理由もあるのだが、一番の理由は統合軍側で使っていたインカムより優れたこちら側のインカムと同様に支給されるはずだったタブレット端末の扱いが扶桑海軍の乗員でいなかったのが一番の理由だ。先ほどの連絡も通信と同時に同様の内容の指示が連絡先に乗船している乗員のタブレット端末に送られているのだ。最初にタブレット端末の扱いを教えたときの操作ミスの連続はまるで高齢の両親にスマホの使い方を教えているような感覚だったらしい
ガラケーと呼ばれるひと昔前の携帯すら使った事がない人にいきなりタブレット端末は無理である。このような事態がもっと前に判明していればもしかしたらこのようなことにはならなかっただろうに・・・
そう言った状況になっているころ、合流地点でウルスラと合流しユニットを交換し終え第6グループに向かっている者がいた。宗谷ましろだ。ましろが第6グループのネウロイを射程に捉えた時にはすでに明乃が応戦しており、放たれるビームのすべてをシールドを張り防いでいた。明乃個人だけなら何ともないがビームが放たれるのは明乃だけではない
明乃の下には多くの艦艇が航行している、ランダムな目標に放たれるビームを防ぐには防御に集中しなければならず攻撃に回れなかった。そこにましろが合流すれば・・・
「艦長!援護します」
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ
「シロちゃん、ありがとう!これで攻撃に回れるよ」
ましろの援護射撃のお陰で攻撃をする時間が出来た明乃は攻撃用のシールドを5枚ほど展開しそれを高速で回転させある程度密集しているネウロイの集団に向かって放った。
それと同時に大型のシールドを移動中のネウロイの前方に展開し一瞬とはいえネウロイの行動を制限する。放ったシールドが目標に命中するまでそれを幾つか繰り返す。もちろんその間に放たれたビームもしっかり防いでだ。途中何機かのネウロイがグループを離れ離脱しようとしたが、そう言ったネウロイはましろが攻撃を集中しすべて破壊していった。
ましろの援護のお陰で要塞本体に攻撃する時間が取れた。
明乃はここからかなり離れた要塞の30メートル上空に4つのシールドを東西南北の四方に展開した。それらも高速で回転し同時に要塞に落ちていき、要塞を切り刻みながら直進していった。四方から迫るシールドにより、要塞上部に十字状の亀裂が入る。要塞型ネウロイが負ったダメージは修復を始めているが、偶然にも突入部隊が突入する予定だった入り口をも切り裂いており突入の好機といえた。先ほどの攻撃でビーム発射口の幾つかは破壊出来た。弾幕も少し弱まっており突入部隊のペリーヌは突入の号令をかけた
「今が好機ですわ、突入部隊全機突入ですわ」
「かしこまりました」
「突入じゃあぁぁぁ」
ペリーヌの近くにいた万里小路とミーナがペリーヌの言葉に反応すると突入部隊の残りの面子も突入口へ向かっていった。一番近くにいたペリーヌ達が突入すると同時に明乃の攻撃によって出来た亀裂から4つの飛行体が高速で飛び出してきた。要塞型攻略に当たって最も危険かもしれない超高速飛行型ネウロイだ。現れた4機は海上に展開するウィッチに襲い掛かる、各自シールドを展開し初弾は防いだが、超高速飛行型の切り返しのレベルの高さのせいで中々攻撃が当てることが出来なかった。このままではいずれ被弾して墜落する者も出てくるだろう、こういった事態に対処する部隊のメンバーのシャーリーはすぐに同じメンバーの知床鈴に連絡した。
「知床!あたしらの獲物だ。最優先で破壊するぞ!」
「ハイッ、でも報告だとあと1機いるはずですけどまだ出てきていませんよ」
そう、事前の報告では全部で5機いるはずなのである。だが現れたのは4機
まだ1機出撃していないのだ
「それは気にすんな!あれ1機で艦隊に甚大な被害が出てもおかしくないんだ。今はとにかく現れたあの4機を倒すぞ」
「はい分かりました。」
「ルッキーニ聞こえていたよな、ちょっとあたしと付き合え、二人でアレの1機を抑えるぞ」
「ラジャー」
シャーリーはルッキーニを呼び戻し、二人係で超高速飛行型ネウロイを倒すことにした。
現れたのが4機だったため5機目の担当者が開いたのが良かったが、二人で相手をしても確実に倒せる保証はないのだ。初めて遭遇したハンブルグの頃よりは実力も多少上がっているとはいえそれでもあの切り返しは脅威で油断ならない相手だった
一応ハルトマンとバルクホルンが通常ユニットで倒したこともあるが、あの二人は世界レベルのトップエースだ。その二人が連携を前提とした闘いでやっと勝てる相手なのだ
とにかく超高速飛行型ネウロイに対処すべくバルクホルン、ハルトマン、シャーリー、ルッキーニ、知床鈴の5名が動いた。超高速飛行型ネウロイの出現は作戦本部でも確認が取れており本部では緊張感が漂っていた。
「超高速飛行型、5機のうち4機を確認!対処部隊が戦闘を開始」
「対処部隊の飛行経路をマーカーで随時確認、対処部隊のボディカメラの映像を全て私の端末に、突入部隊はどうなっているの!」
宗谷真雪は超高速飛行型ネウロイの出現を聞いてからすぐに動く
超高速飛行型ネウロイと戦闘を繰り広げている部隊の位置を知ることで敵機のおおよその位置を推測できる。超高速飛行型ネウロイの進路がこちらの艦隊に向いた時点で恐らく回避行動をとらないと恐らく回避、いや損傷を軽微には出来ないだろう
真雪は今の段階で最も気になっているのは突入部隊のことだった。超高速飛行型ネウロイの攻撃で突入に影響が出ていないといいのだが・・・
「突入部隊最後の2名が内部に突入!動力炉へ侵攻を開始」
「そう、侵入には成功したのね・・・あとは突入部隊しだいかしら・・・対処部隊の現状は」
「各自高度2000以上で応戦しています。!!待ってください晴風所属、知床鈴がいま1機撃破しました。イェーガー大尉の援護に向かいました。」
「本当!?事前に知床さんが互角に戦えるとは聞いていたけど、あれをもう倒したの」
最大の障害の一つの1機をこの短時間で撃破したこれには真雪達を大きく驚かせた
この短時間で敵機の1機を撃破した知床鈴はシャーリーとルッキーニのもとへ向かう
一番近場でなおかつ最も早く倒すことできるであろうシャーリー達と合流しもう1機を撃破するため急ぐ、知床鈴がシャーリー達を捉えると二人は何とか応戦しているが敵の軌道の複雑さが相まって決定打を与えられていなかった。
「だぁぁぁ、うざってぇー動きしやがるぜ、ルッキーニ!もう一度あたしがアタックするから、あたしに向かって撃って来たら反対から撃って何とか破壊してくれ」
「うん!ってシャーリーまた来た」
「チィィ」
ネウロイから無数のビーム照射を受け、二人はとっさにシールドを張り防ぐがシールドに集中していたためネウロイに背後を取られてしまった。
「やっべぇ」
ネウロイがシャーリーに向け一斉にビームを放とうとしたとき、左下から無数の弾丸が飛んできて、ネウロイの攻撃を中断させた。知床鈴が何とか間に合ったのだ
「大丈夫ですか、シャーリーさん、ルッキーニちゃん」
「知床か、助かったぜ、それよりお前が担当してたのはどうした?」
「はい、何とか倒しました。それでこっちの助けに来ました」
「リン、すごーい」
「さすが、あいつと同等以上の軌道で飛べるだけあるなぁ、よしとにかく今は3人であいつを倒すぞ、知床!陽動を任せてもいいか」
「はい、大丈夫です。私がなんとか引き付けます。だから二人は何処かで隙を見て攻撃してください」
「ラジャー」
「よし、じゃあ行くぞ」
シャーリーのその言葉と共に3人はネウロイへと向かっていく、最初に知床鈴が敵のビームを全て躱しながら敵機に喰らいつきネウロイのありとあらゆる場所に銃弾を叩き込む
決定打にはならない攻撃だが、被弾の影響でネウロイの動きが僅かずつだが鈍くなる
ある程度攻撃が当たったのを確認すると次はルッキーニが正面から攻撃するがこれはあくまでおとりで本命は真上から降下してくるシャーリーの攻撃だ。
知床鈴の陽動とルッキーニのけん制のお陰でネウロイは現在地から殆ど動かず二人に向け攻撃をし続けていた。そこに真上からシャーリーが急速降下で接近し止めをさす
「これでおわりだぁぁー」
ダダダダダダッ
シャーリーの放った無数の銃弾がネウロイのボディを破壊していき、機首の近くにあったコアを破壊した。コアを破壊されたネウロイは白い粒子となって消え失せる
「よしっ、これで2機!次行くぞ」
「ハイっ」
「オッケー」
シャーリー達が2機目を倒した時、バルクホルン、ハルトマンがそれぞれ相手をしていたネウロイと戦いながらお互いをフォローしながら戦っていた。互いに援護することで被弾して墜落という事にはならないが決定打にはやはりならない、せめて1機だけなら二人係で何とか倒せるのだが・・・
二人がそんなことを思っているとハルトマンがネウロイに真後ろを取られてしまった。
バルクホルンがすぐにフォローしようとしたが距離の関係ですぐには出来そうになかった
ハルトマンもなんとか振り切るか、撃ち落とそうとするが、その両方ともできなかった。
どんな複雑な軌道で飛ぼうと元々自分達より滅茶苦茶な軌道で飛べる奴を振り切ることは出来ず、かといって反転して撃ち落とそうにもすぐに平行に移動していきそのまま後ろを再び取られてしまう、ネウロイがビームを放ったとき、ネウロイの目の前に突如シールドが現れ、シールドが現れる前に放たれたビームを防いだ。ただ防いだだけではなく
発射口からすぐ近くでシールドに防がれたので、ビームの一部が機首に反射しダメージを与えた。こんなことが出来るのは一人しかいない・・・岬明乃だ
「援護します。何とか1機を引き離すのでそのネウロイをお願いします」
二人の通信機から明乃の声が響き、二人はその提案に乗せて貰うことにした。
よく見るとバルクホルンが相手をしていたネウロイが無数のシールドに囲まれたり高速で回転しているシールドに追われていたりしていた。明乃は海上に展開している艦隊部隊の上空でバルクホルン達が相手をしているネウロイの足止めを行っていた。こんなことが出来るのは恐らく明乃だけだろう、だが明乃は野間マチコのように特段視力がいいわけではない
今の位置からでは具体的な大きさが分かりづらくシールドの大きさに若干ズレが生じてしまっている。ネウロイはそのズレで出来た僅かなスペースから抜けだしたりと中々シールドで捕獲が出来なかった。それでもバルクホルン達の元へは行かせないように明乃は必死に足止めをする。明乃が1機を抑えている間にバルクホルンとハルトマンはもう1機を集中的に攻撃する
「ハルトマン、奴を怯ませろ!」
「オッケー、トゥルーデ!シュトゥルム!!」
バルクホルンの指示でハルトマンが自身の固有魔法を発動する、一度30メートルほど上昇してから再び降下していきながら体を回転させ固有魔法を発動し巨大な竜巻を引き起こす、その竜巻の強力な暴風にネウロイの機体が激しく揺れ、スピードが僅かに落ちた
その隙を狙いバルクホルンがネウロイの機首を上から殴りつける
バルクホルンの馬鹿力で殴られたネウロイはバランスを崩し、その場で1回転した
二人はその瞬間を狙い攻撃を集中する
「決めるぞ、ハルトマン!!」
「うん!いっけぇぇー」
ネウロイの前後の下から放たれた集中砲火によって3機目の超高速飛行型ネウロイは破壊された。残りは1機、本当はあともう1機いるはずなのだがなぜか姿を現さない
とにかく今は残りの1機だ。対処部隊は残り1機の撃破に向かっていった。
対処部隊が超高速飛行型ネウロイの撃破に動いているころ、要塞内部に突入したメンバーは順調に動力部に向かっていた
「皆さん、このブロックを上がれば動力部ですわ、気を引き締めてください」
「分かりましたわ、ペリーヌさん」
「って完全に待ち伏せされているじゃない!」
「そりゃあ、一番重要な場所じゃ警備は厳しいじゃろ」
動力部があるブロックにたどり着いた突入部隊の前に現れたのは
通路を埋め尽くすネウロイの大群だった。侵入者を排除すべくネウロイは一斉にビームを放つ、それを防ぐべく芳佳が前に出て特大のシールドを張り、その攻撃を防ぐ
「皆、大丈夫!?」
「問題ありませんわ、インゲノールさん、あのネウロイを向こうの隔壁まで吹き飛ばしてください、サーニャさん攻撃準備」
「うん、わかった」
「まかせぃ、シュトゥルム!」
ペリーヌの指示に従いミーナがネウロイに向かってシュトゥルムを放つ、空間が限定されたこの場所で放たれたシュトゥルムはネウロイを全て後ろに見える隔壁にたたきつけた
吹き飛ばされた影響でネウロイはビーム発射口をペリーヌ達に向けることが出来ず攻撃が出来なかった。その隙をついてサーニャがフリーガーハマーで纏めて破壊した。
守備部隊であろうネウロイを破壊したメンバー達はネウロイがたたきつけられた隔壁の破壊に挑む、エイラとペリーヌが機関銃を撃ち込んでいくが凹むどころ傷すらつかない
「やっぱ硬ぇ、サーニャの攻撃で何とかなるかコレ」
「出来るかもしれませんが時間が少しかかりますわね、ここは私が」
ペリーヌがそう言うと隔壁の前まで行き手の平を隔壁に張り付けた。そして・・・
「全くこれをやると髪が大変ですのに、トネール!!」
自身の固有魔法の雷撃を直に隔壁に放った。魔法力の付与された攻撃に弱いネウロイの特性を引き継いだであろう隔壁は至る所に亀裂が入って行ったが完全破壊まではいかなかった。ペリーヌが雷撃を放つのを終えるのを見計らって、今度は黒木が固有魔法を発動し殴り掛かる
「ここまで壊れていれば後は私がぶち壊すわ、ちょっとどいて、はぁぁぁぁ」
黒木の拳が隔壁の中央にぶつかり激しい音の後に、隔壁の亀裂は広がっていきその後、粉々に崩れ去った。
隔壁が崩れると突入部隊は要塞型ネウロイのコアがある動力部へ突入した。
そこには巨大なコアと無数の小型ネウロイが待ち構えていた。ペリーヌ達の侵入と共にネウロイは攻撃を始める。ペリーヌ達はすぐに散り各自で応戦する
「全機ブレイク、各自で応戦しますわよ」
『了解』
散開したメンバーは各自応戦し小型ネウロイを破壊していく。
ある程度破壊するとペリーヌから万里小路にある指示が下った
「万里小路さん、コアの破壊をお願いしますわ、宮藤さんは万里小路さんの護衛を、他は邪魔者を倒しますわよ」
「かしこまりましたわ」
「うん、わかった」
ペリーヌの指示を聞いた二人はコアへと急ぐ、他の面子は二人に攻撃が向かないように小型種の破壊を進める。宮藤のシールドも相まって万里小路の間合いまで近づくことが出来た。万里小路は二本の扶桑刀 海霧と絶空でコア切り裂いた。
「烈風二連斬!!」
2本の扶桑刀で切り裂かれたコアは光の粒子となって消え失せる
一方その頃、外で超高速飛行型ネウロイと対峙していたシャーリー達は現れた最後の1機の撃破に成功していた。バルクホルン、ハルトマン、シャーリーが引き付けている間に知床鈴が距離2メートルという至近距離まで近づき至近距離で銃弾を叩き込んで破壊したのだ
知床鈴が撃破に成功すると同時に要塞型ネウロイが突如白く輝きだし崩壊を始めた
徐々にありとあらゆるところが消えていく、突入部隊がコアの破壊に成功したのだ
この事実はすぐに本部に伝えられた。
「突入部隊より入電!敵要塞のコアを破壊とのことです」
『やったぁぁぁぁー』
オペレーターのその言葉を聞いた乗員の殆どが一斉に喜びの歓声を上げた
中には嬉しさのあまり涙を流す者もいた。
それほどこの勝利は大きいのだ
「やってくれたぜ、あの嬢ちゃん達」
「あぁ」
「よくやってくれたわ・・・あの子達」
このような状態は本部だけでなく他の艦艇の艦橋でも似たような状況だった。
その中の一つ、ホワイトドルフィンの部隊が運用する1隻の艦の艦橋ではある男が涙を流していた。この艦の艦長である男だ
「遂に・・・遂に彼奴等に一矢報いたのだ。ありがとう・・・ありがとうウィッチ諸君!これで少しは海に消えた我らが同胞も喜ぶだろう、我々に希望を見せてくれて・・・この戦い我ら人類が必ず勝つ!海に消えた同胞達よどうか我らを見守ってくれ、人類の勝利のその日まで」
各艦隊で喜びの声が上がっているなか、要塞の外で要塞の崩壊を見ていたましろ達はあることが気になっていた。
「気になるな・・・残りの1機はどこに消えたんだ」
「やはり、貴方も気になる?」
「えぇ、事前の確認では超高速飛行型ネウロイは全部で5機のはず、でも戦ったのは4機」
「私達が偵察から帰った後に東京の方の巣に向かったっていう可能性もあるけど1機だけ行くのは考えづらいわね、納沙さん悪いんだけど周囲の反応を確認いてもらえる?」
「分かりました。ちょっと待ってください、すぐに調べます」
ミーナ中佐に頼まれた納沙幸子がすぐに固有魔法であたりのネウロイの反応を調べる
納沙幸子の調査結果が出るまでましろとミーナ中佐は何となくだが消えていく要塞を見つめていた。
すると消えて行った要塞の防壁の中から黒い何かが見えた。戦闘に参加していなかった例の超高速飛行型ネウロイだ。それも後ろの方に何か分からない物が二つ取りつけられていた。ましろがその存在を確認したのと同時に納沙幸子にも反応が感じ取れた。
「ネウロイ1機、反応を確認」
「!!全機すぐにあのネウロイを攻撃、艦隊部隊に向かわせるな」
「ましろがすぐに全体通信で攻撃の指示をだす、シャーリーと知床鈴が最大速度で撃破に向かうがネウロイのまさかの行動に全員が驚いた。ネウロイは首都東京の方へ進路を向けるといきなり物凄いスピードで逃げ出したのだ。それもシャーリーや知床鈴の最高速度より数倍速いスピードで
「うそ、なんであれだけあんなに速いの!」
「まさか後ろに付いていたのってロケットブースター的な物か、全然追いつけねぇー」
ただ猛スピードで逃げるネウロイをこの場にいたすべてのウィッチが何も出来ずに見ていることしかできなかった。
「なんて速さなの、宗谷さん位置は捕捉できる?」
「ダメです。もう探知圏外です」
「そう・・・取りあえずまず帰還しましょう、取りこぼしについては本部の指示を待つとしましょう」
「分かりました」
最後の1機を取りこぼしてしまったがそれ以外は完璧で今回の闘いで重傷者は出ておらず
結果でいえば統合軍、ブルーマーメイド、ホワイトドルフィンの連合軍の完全勝利である
この一矢報いた勝利は闘いに参加したすべての隊員の士気を上げることになったのだった
今回本当に時間が掛かった・・・