超高高度にいたネウロイを撃破した翌日、ウィッチ達はその翼を休めていた。
理由はロケットブースターによる普段とはかけ離れた量の魔法力を消費したからだ
元々魔法力が多い、明乃や芳佳は比較的問題無いが、ロケットブースターを使用した面々は体がガタガタだった。501の面子ですら疲労感が見えるのだ
晴風の面子も言うまでも無い
「うがぁー、体重―い、まだ寝たぁい、でもお腹減ったぁ」
「うぃー・・・」
「食事したいのか、寝たいのかどっちなんだ・・・まぁ今日は体を休められるようにミーナ中佐や坂本少佐が手配してくれたからいいが、あんまりだらしない姿は他の学校の生徒には見られるなよ、ただでさえ目立っているんだ。立場も考えて行動してくれ、私はこれからミーナ中佐と一緒にパットン将軍と母さ・・・校長の所へ行ってくる」
「了解!」
「うぃー」
副長の宗谷ましろが疲労で苦しんでいるメイとタマに自身の用事を伝え、晴風を後にした
次の大きな闘い、横須賀奪還作戦についてのミーティングだ。
これが成功すれば、パットン将軍が率いる戦車部隊も戦力に加えられ、最終目標の首都東京の開放作戦の成功率が上がる重要な作戦だ。ありとあらゆる可能性を考慮して作戦を考慮する。一方その頃艦長の明乃は他のメンバーと比べて疲労が少なかったので、外に出て武蔵を始めとした大和型の艦長、副長達にこの間の超高高度へ行った体験を語っていた。
「それでねぇ、メイちゃんと一緒に行くはずだったんだけど、被弾しちゃって失速したせいで私は速度的に追いつけなかったんだよねぇ、固有魔法でタマちゃんを押すことが出来て本当に良かったよぉ」
「そんなことがあったんだ、でも良かったね、目標のネウロイの攻撃ってかなりの威力があるって聞いていたから、ミケちゃんじゃないと耐えられないかと思っていたもの」
「確かにそうね、晴風の砲術長が耐えられる威力で良かったわね、本当に」
「まぁそのおかげで目標の破壊が出来たわけだ」
「それと晴風の水雷長が撮ってきてくれた写真、私らにも回して貰ってくれてありがとうな、こんな絶景は中々見れるようなものじゃないからな、多分もう海洋学校の生徒の殆どが写真のデータ、貰ったんじゃないか」
そう、紀伊の艦長の言う通り、晴風の水雷長、西崎芽依が地上に降りる前に撮った地球の写真は晴風のクラスメイトに渡ったのち、他の艦の生徒達に出回った。
始めて見た地球の広大な海と陸地が地球という巨大な球体にあると確認できる写真に写真を見たすべての生徒が感動したと言う
この間の戦闘についてある程度話し終えると今度は大和型の副長達が、次に始まる闘いの話題に変えてきた。
「次はぁ確か、横須賀の開放作戦だったやなぁ・・・」
「確か報告では市街地の方はもうすでに敵に占領されているんですよね」
「えぇ、港湾施設の近くは比較的、敵の数が少ないようですが、市街地の方は敵が密集して正確な数が把握出来ないようです。ビルの屋上などに3機から5機が常にいて上空にも小型タイプが常に徘徊している状況らしいです」
横須賀の現状を改めて聞くと、やはりきついものがある。自分達の学び舎であり、晴風クラスの皆と出会えた思い出の場所の一つ、横須賀女子海洋学校が敵の支配下にあるのはとても許せるものではない、晴風の皆も横須賀の開放に向けて闘志を燃やしている
「今、シロちゃんがミーナ中佐と一緒に会議に参加しているころだったかな、私はウィッチの戦術とかはそんなに習わなかったからよく分からないからシロちゃんに任せたけど、今どうなっているかな・・・」
「オイ、立場的に戦術知らなきゃいけない立場だろ、いいのかそれで」
「流石に私も同意見だわ・・・」
明乃の発言に明乃は信濃と大和の艦長に呆れられていた。すぐ隣にいた知名もえかは「あはは」とごまかし、紀伊の艦長に至っては「アッハッハッハ」と大笑いだ
紀伊の艦長の大笑いに明乃が居心地悪そうにしていると、ふとこちらにやってくる一人の小柄な少女が見てとれた。アドミナル・グラフ・シュペー 艦長テア・クロイツェルだ
「ここにいたか、私も話の輪に入らせてもらっていいだろうか」
「あっ、テアちゃん! うんいいよ」
「いよいよ、横須賀の開放戦だ。うちのミーナと仲のいい晴風の書記からもなんと言えばいいか、気迫的なものを笑顔の上からでも感じ取れるような気がするくらいだしな」
「そうなんだ、そう言えばテアちゃんはミーちゃんと一緒にお話しとかしなくてもいいの?ユニットの整備の関係とかで、シュペーじゃなくて晴風で待機してもらってるから直接話す機会なんて最近無かったでしょ?」
「大丈夫だ、直接話せずとも携帯で会話もできるし、それに何より先ほどまで話をしていたしな、それで今度は晴風の艦長の様子でも見に行こうとふと思ってこっちに来ただけだ」
「そうだったんだ。じゃあ何話そうかな」
「それならそうだな、横須賀の開放戦で執られるであろう戦術でも聞かせてくれ、私達にはそう簡単に空からの攻撃を組み込んだ戦術は思いつかないからな」
「ゔっ!そっ、それは・・・」
テアのまさかのリクエストに明乃の顔が強張る、そんなにウィッチの戦術に詳しくないと先ほど言ったばかりで、狙って言ってるじゃないかと思うくらいなタイミングでリクエストされた話題に明乃の言葉が詰まる
「はっはっは、早速タイムリーな話題に入ったな」
「残念だったわね、ドイツの艦長、生憎晴風の艦長はウィッチの戦術には詳しくないそうよ」
「どうやら副長が戦術などを把握しているらしいわよ、それで今その副長が横須賀開放作戦の会議に参加中らしいわ」
「あはは・・・ミケちゃんもあんまり分からないようなら、いっそのこと私達で考えてみませんか?新しい発見があるかもしれませんし」
明乃が言葉に詰まったのを見て知名もえかが明乃に助け船をだす。
知名もえかの提案に大和型の艦長達とテアもそれはいいなとその提案を受け入れる
知名もえかに助けられた明乃はお礼の言葉をかける
「ありがとうぉモカちゃーん」
「どういたしまして」
「では早速語るとしよう、やはり重要なのは航空戦力の使い方だろうか・・・」
アドミナル・グラフ・シュペー艦長 テア・クロイツェルが先陣を切って自身の持論を語る
他の大和型の艦長達も各々に戦術について語っていく、明乃達が戦術について語っているとき、ミーナ中佐と一緒に会議に参加していた宗谷ましろも同じく横須賀開放作戦に向けての本格的な作戦会議が始まっていた。
「ホワイトドルフィンの特務潜水艦の報告によると敵の配置は主に市街地に集中していて港湾施設や沿岸部の近くには小型タイプが散発的に巡回しているていどらしいです」
「市街地か・・・5階建て以上の建造物がかなりあるな、これだと艦載機によるピンポイント爆撃は厳しいか・・・」
「めんどくせぇ場所に陣取りやがって、本来ならB-17の大量投入で面制圧をするところだが、こっちにはねぇしな」
宗谷真霜の説明にブラッドレー将軍とパットン将軍が見解を述べる
ネウロイが市街地に陣をとったことによりある問題が浮かんだのだ。
ネウロイが建造物の内部にも侵入し固定砲台のような役割を果たしているのだ
これだと扶桑の艦載機部隊から爆撃が行われてもそれなりの数が残ってしまうのだ
建造物の屋上や最上階の階層なら艦載機から落とされる爆弾でもある程度吹き飛ばせるがそれより下の階層になると建造物が邪魔して決定打を与えられないのだ。あくまで艦載機から投下される爆弾1発での話で、複数回当たればもちろん破壊は出来るが、敵の攻撃も予想される中、複数機が同じポイントに爆弾を投下できるかと言われればかなり厳しい
それに同じポイントだけ攻撃してしまったら、他のポイントにダメージを与えることは出来ない、ネウロイの取った行動はこちらにとってややこしいものだった。
「建造物の内部にもいるとなると、敵の出現地点も予測が難しいわね、出来るだけ彼女達の負担がかからないようにしたいから、敵との戦闘は出来るだけ空中にしたいところだけど」
「かなり厳しいだろそれって、いっそのこと艦砲射撃で市街地の建造物破壊したほうが早いだろそれ」
「冗談は止めなさい・・・って言いたいけどそれしかないかしら・・・」
宗谷真雪の理想的な戦況を聞いた真冬が、それは難しいといい、代案として艦砲射撃による面制圧を提案してきた。本来なら市街地に甚大な被害がでるこの案は却下されるものだが状況を考えるとそうせざるおえないと、真雪は思っていた。
「うーむ、大和型5隻の一斉射撃なら、大概の建造物は破壊出来るが、瓦礫で公道などが使用不可になる可能性があるな、今後の地上部隊の投入ということを考えると被害は抑えておきたい所だな・・・」
「将軍、一応501と晴風で部隊を分け上空と地上からの同時進行という手もありますが」
「それだと地上部隊の負担が大きいだろ、固定砲台とかしたネウロイが確認できるだけで15体はいるんだぞ、敵に頭上を取られたままの進行は厳しい」
「ったく、めんどくせぇ所に防衛線を引きやがって・・・そう言えばましろの嬢ちゃんは確か横須賀の出身だったよな、ウィッチのお前さんから見て進撃するのにいいポイントとかわかんねぇか」
「進撃ポイントですか、そうですね・・・」
パットン将軍に話を振られたましろは自分なりに考える
ましろ自身も敵の防衛網を崩すには艦砲射撃をやるしかないと思っていた。
だが今後投入される戦車部隊の事も考えるとある程度公道などは残しておきたい
だがここで戦闘に移動経路の確保という制約をつけると成功率が下がるのは目に見えていた。ましろはどうしたものかと考えていると、ふと見た敵の配置図からあることに気付いた
「ここにあった建物って確か・・・それにこの道は確か・・・うんいけるかもしれない」
「なんかわかったのか嬢ちゃん」
「えぇ、まず敵の配置図を見てください、現在確認されている屋上にいる固定砲台の役割を持ったネウロイがいる場所なんですが、殆どが横須賀でもかなり高い建造物に集中しています。主な場所はココとココとココ、そして最後にココ」
ましろは配置図に4つの○を書き込む、それはネウロイが占拠しているビルやマンションなどだった。
「この場所にある建造物は横須賀でも高い部類に入る建物なんです。まずここを大和型で艦砲射撃、一か所に付き大和型の主砲3発も撃てば最低でも半壊以上にはなるはず、倒壊の影響で中にいるネウロイもある程度破壊出来るはずです。それにこの4か所の近くの道なんですけど、東京とは逆方向へ向かう道なんで瓦礫で道がふさがっても問題はありません」
「なるほど!確かにこの4か所を優先的に砲撃すれば確認できている固定砲台の役割を持つネウロイの殆どを殲滅出来る、残りのネウロイなら艦載機の爆撃でも対処が可能か」
「中々いい作戦じゃねぇか嬢ちゃん」
「ちょっとましろ、なんか簡単に作戦立案したけど、いつの間にそんなスキル見に付けたのよ、おかしくない?私でも色んな事例を見て最良の案を導きだすために数年は勉強したのよ」
「まぁ、ミーナ中佐に戦術や状況対処について色々学んでましたから、後は時々政治工作とか事務仕事とか教わってましたからそれなりには・・・」
「オイ、今、政治工作とか変なのが入らなかったか、おめぇも真霜姉ぇみたいに何のか、あん、どうなんだオイ」
ましろが言った政治工作という言葉に真冬が反応する。遂に母や真霜のように脅迫を覚えたのかと不安を覚えたのだった。
「・・・姉さんの話は適当に無視してください、それでどうでしょうか将軍」
「あっ、てめぇ」
「あぁ、問題無い、現段階ではこれが有効そうだ」
「確かにな、嬢ちゃんの案を基盤に後は本番で逐一変えていけば問題ねぇだろ、大和の艦長やそちらの指揮官もそれで問題無いな」
「無論、異論はありません、となると早速大和型の一斉射を前提とした陣形や突入手順の確認もしなければなりませんな」
「私もそれで大丈夫です。艦隊運用の件ですが、扶桑艦隊、ブルーマーメイド、ホワイトドルフィンで進めても構いませんか」
「あぁそれは任せる、あくまで俺らは陸の将校だからな、艦隊戦は専門外だしな」
「ありがとうございます。ミーナ中佐、ましろと共にウィッチの運用方法を資料に纏めてもらっても良いかしら、一応作戦前までに確認しておきたいのだけれども」
「分かりました。早速作成に掛かります。3時間後にお渡しします。では行きましょうか」
「はい!」
真雪に資料の作成を頼まれたミーナ中佐とましろは早速資料の作成に取り掛かる
他の人達も細かな調整に入る、横須賀開放作戦、オペレーション オープンゲート
この時は誰も予想だにしなかった。再びあの強敵と合いまみえることを・・・
横須賀開放戦1週間で書けるかな・・・長そうなんだよね・・・