遂に開始された横須賀開放作戦オペレーションオープンゲート
作戦は順調に進んでいるように思えた。
だがそれは、予想だにしていなかった敵戦力の登場によって一気に劣勢へと変わろうとしていた。かつてポーツマス海軍基地に甚大な被害を与えた巨人型ネウロイが5体も現れたのだ。1体ですら蒼雷を装着した明乃と万里小路が合流しなかったら倒せなかった可能性があったのに、それが5体である。あの時より皆成長しているとはいえそれでも簡単に倒せるとは思っている者などいない
「あの時のデカブツか!」
「しかも5体もいるよぉ」
「あんなのが一斉に暴れだしたら、全滅どころか、ここら一帯が壊滅ですわ」
「まさかネウロイの罠!それにしてもここまでの戦力を一か所の戦場に投入するなんて」
ミーナ中佐がネウロイがここまでの過剰戦力を巣以外の場所で投入するとは思わず、驚愕する。取りあえずすぐにしなければいけないことを済ます
「作戦本部!こちらミーナ、横須賀市街地にてポーツマスに出現した巨人型ネウロイと同型が5体出現!至急支援砲撃艦隊を後退させてください、護衛艦載機も下がらせて、急いで」
ミーナ中佐が本部に連絡を入れているころ、明乃達も巨人型ネウロイの出現に驚いていた
「ちょっとー、いきなりラスボス並みに強いのが5体も出たんだけどー」
「うぃぃぃ」
「これは・・・予想外ですね・・・」
「一気に来過ぎなんじゃ!バランスを考えろと言いたい気分じゃ」
「野間さん、すぐにあの5体のコアの位置を確認してくれ」
宗谷ましろはすぐに野間マチコにコアの確認をさせた。前と同じ場所にコアがあれば問題無いが、もし全く違う場所だったら一から戦略を練らなければならない
野間はすぐに自身の魔眼でコアを確認する
「・・・全部どうやら関節と頭部合わせて5個で間違いなさそうだ。今の所移動している形跡はないな」
「なら基本戦術は変えなくて良さそうだな、全員聞いてくれ、奴の攻撃は支援砲撃を行っている大和型に重大なダメージを与える物だ。何としても大和型と航空部隊が安全圏へ撤退するまで時間を稼ぐぞ」
『了解』
「相手がどんなのだって私達は絶対に諦めないよ、行こう皆!」
明乃の掛け声とともに巨人型ネウロイとの戦闘が開始される
501部隊も同じく戦闘を開始する。
航空部隊は爆撃を終えた後だったため有効な攻撃手段が無かったので大至急空母へと帰還する。機銃による攻撃は中型ネウロイ以上には効果がほぼないため仕方ない
晴風と501が戦闘を開始しているころ、作戦本部では戦闘開始前にミーナ中佐から送られた通信の意味の確認作業に明け暮れていた。
「横須賀市街地に巨人型のネウロイが出現!?確かそれって晴風がこっちに帰ってくる前に戦ったっていうやつって言う事!」
「映像を私の端末へ」
「特務潜水艦より映像きました。映像回します!」
臨時作戦指令室でオペレーターがホワイトドルフィンの特務潜水艦から送られた映像を宗谷真雪の持っている端末に送る。送られてきた映像を見た真雪は改めて驚愕した。
「こんなに巨大なの!これほどの質量だと歩くだけで公道にダメージが入るわよ、そんなのが5体もいるなんて・・・」
宗谷真雪が戦慄しているとオペレーターから新たな報告が上がる
「敵、巨人型一斉に攻撃を開始、晴風艦長、岬明乃と宮藤芳佳曹長のシールドにより7割以上を防御!」
「!!追加報告、防がれなかったビームが海上沖で一点に集中、これは!ビーム屈折、欧州残存部隊に被弾」
「何ですって!被害状況は」
「巡視艇マルセイユ、轟沈、そのほかに被弾多数、うち二隻は航行不能、退艦準備に入っています」
「アレも屈折させることが出来るのね、大和型各艦に砲撃目標の変更を、攻撃目標は市街地に降り立った中央にいる敵機に集中して砲撃、特務潜水艦に座標を送るよう通達、前線で戦闘中のウィッチにも通達」
「扶桑皇国戦艦大和より通達、我、単艦にて横須賀へ進軍、支援砲撃と後退を進めよ、とのことです」
「まさかおとりになる気なの!この状況ならまだそんなことしなくても十分なはずよ!」
真雪が困惑しているとパットン将軍とブラッドレー将軍は扶桑の意図に気付いた
「扶桑の奴らアレを使う気か」
「あぁ、対ネウロイ用46㎝魔導徹甲弾、アレなら巨人型でも有効打になり得る」
2人の将軍が言った扶桑の狙い、それは扶桑の大和に積まれた46㎝魔導徹甲弾を敵に撃ち込むことだった。それを聞いて真雪は意図は理解出来たが、それを踏まえても分からないことがある
「砲撃ならここからでも撃てるはずなのに・・・」
「忘れてるんじゃねぇか、アレの射程が通常弾より短いってこと」
「!!」
「アレは今までに作られた魔導徹甲弾より長くもつとはいえ、それでも射程は短くなっている。最低でも目視で大体の大きさを把握できる位置まで近づかんと使い物にならない代物だ。何とか有効射程まで無事に済めばいいのだが・・・」
「そう言えばそんなことが資料に書かれていたのを忘れていたわ・・・となると扶桑の大和にはなるべく攻撃を向かわせないようにしないと、全艦に通達、進路を西に変更、大和型は砲撃を継続しながら移動、ブルーマーメイドから損害を受けた欧州部隊の救助と収容に3隻向かわせて」
「了解しました。」
作戦本部が支援砲撃と扶桑皇国の大和型への攻撃をさせないため奔走しているとき
明乃達は苦しい戦況のなか必死に応戦していた。
「来るぞ、ハルトマン」
「分かってる!」
「リーネさん、納沙さん、右腕の関節に集中攻撃行きますわよ!」
「うん!」
「分かりました。」
「宗谷さん、他の敵の様子は」
「今の所艦隊に攻撃しそうな奴はいないです。艦長が何とか2体抑えてくれているので何とかなっていますがこのままじゃジリ貧です」
そう、巨人型ネウロイを各自散開し各々に対処して注意を引いていた彼女達だが
それが出来ているのは岬明乃が一人で2体も相手しているからだ。
最初に戦ったあの時とは違い、最初から蒼雷の力をフルに使える状態ならあの時以上に戦える。それでも敵のビーム攻撃を防ぐため多くのシールドを張っているため、中々攻撃に移れない、明乃は攻撃に転じることが出来る機会を窺っていた
「うーん、弾幕が多いなぁ、何とか攻撃に移れれば敵にダメージ与えられそうなんだけど」
実の所、明乃は巨人型ネウロイに効きそうな攻撃手段が頭に浮かんでいた。
だが敵の濃密な弾幕に防戦一方だった。
明乃がどうしようか悩んでいると、ふと偶然工事中だった建物へ降りていく黒木が目に入る、明乃は黒木が何をしようとしてるのか分からなかったが、これが明乃が攻勢に転ずる絶好のチャンスになるきっかけになるのであった。
「一か八かやってみるしかないわね!お願いだからちゃんともってよねっ!」
そう言って黒木は建築現場に放置されていた一本の鉄骨を持ち、自身の固有魔法の力を最大まで上げその鉄骨を持ったまま上昇した。流石にタマのように鉄骨の重さを変えられるわけではないので上昇スピードはかなり遅い、巨人型ネウロイの一体がそんな黒木に目をつけ左手の5本の指からビームを撃とうとしていた。それに気づいた服部静夏がすぐにその5本の指に弾幕を浴びせ再生が終わるまでビームの発射を遅らせる
「やらせない!こっちだネウロイ!」
「助かったわ!服部さん、これでぶっ刺せる!」
そう言って黒木は持っていた鉄骨を巨人型ネウロイの右足の関節部に思いっきり投げた
放たれた鉄骨は勢いよく回転しながら右足の関節部に突き刺さった。コアの一つがある所だが、まだ浅かった。
当然黒木もそれは最初から分かっていた。重要だったのは鉄骨が刺さること
黒木はすぐに刺さった鉄骨の元へ行き、その鉄骨に両手を合わせて握り拳を作って勢いよく叩きつける、黒木の身体強化と身体硬化の固有魔法で強化された拳は刺さっていた鉄骨をさらに奥へと突き刺した
ズゥゥゥゥゥン
根本まで刺さった鉄骨は5つあるコアの一つを貫き右脚を構成するコアを破壊した
いきなりコアが破壊されたため巨人型ネウロイの一体がバランスを崩して明乃が相手をしていた巨人型ネウロイの一体と接触した。巨人型ネウロイは倒れる前に自身を浮かせ、体勢を整えるが、その間接触していた明乃が相手をしていた巨人型ネウロイの攻撃が止まった
このチャンスを逃さないために、明乃は攻勢に出ることを戦場にいるすべてのウィッチに伝えた。
「皆、私も攻撃に出る、街に被害が出ない様になるべく上空で戦って」
「明乃さんが攻勢に出れるのね、皆聞いての通りよ、各機戦闘高度を注意しながら戦闘を継続、ケリをつけるわよ」
『了解』
明乃が攻勢に出ることを知ったミーナ中佐の掛け声と共に一気に攻勢へと転じた
先陣を切るのは勿論岬明乃だ。
まず最初に巨大なシールド2枚を高速で回転させ、明乃お得意のカッター戦法で巨人型ネウロイ2体の両腕のコアがある所を同時に削る、流石に明乃のカッター攻撃だけではコアまでは届かないが、コアまでの距離はかなり縮んだ。そこを他のウィッチが攻撃を加えていく、まず最初にバルクホルンが持ってきていたパンツァーファウスト二つを明乃の攻撃で削れたコアのある関節部に撃ち込む、爆発によりコアが少し見えた。10センチにも満たない小さな亀裂だが、そこを野間の二丁撃ちで同時に攻撃し巨人型ネウロイの1体の両腕を破壊した。
「やれぇ、野間!」
「はぁぁぁぁ」
2人の攻撃で巨人型ネウロイ1体は残り両足と胴体、頭部だけになった。
両腕を失った巨人型は今度は蹴りを加えようと腰を回転させるが
脚を上げた瞬間、明乃が巨大なシールドを展開しそれを浮いた脚の裏に思いっきりぶつけバランスを崩させた。バランスを崩した巨人型ネウロイはもう1体とぶつかり、攻撃をしようとしていたネウロイの攻撃をもろに受けてしまった。残っていた頭部が完全に破壊され残っていた脚部のコアがむき出しになった。
そこをすかさずハルトマンとミーナが撃ち抜いた
「こいつでぇぇぇ」
「まず1体撃破じゃぁ」
2人の攻撃で巨人型ネウロイの1体が破壊された。残り4体
先ほどネウロイとぶつかったもう片方のネウロイは明乃が止めをさそうとしていた。
5枚のシールドを一気にコアのある場所へ撃ち込んだあと、明乃は何百ともいえる小さなシールドをほぼ隙間なく展開し筒状にした。それでまず頭部を貫いた後、明乃は両手両足に高速で回転するシールドを展開しコアのある関節部を切り刻んでいった。
「何回も削ればいずれコアも破壊出来るんだから!」
右手、左手、右脚、左足という順で関節部を攻撃していく、1か所につき4~5回切り刻めばコアは破壊でき、明乃はそれを攻撃が来る前に終わらせ次の関節部を同じように破壊していく、明乃はこの戦法で単機で巨人型ネウロイを討ち取って見せた
残り3機
バルクホルン達が破壊したネウロイと同時に切り刻まれていたネウロイは明乃がネウロイと戦闘中にミーナ中佐、ましろを中心としたメンバーで戦っていた。
「行くよ!タマ、フルバースト!」
「う~いっ!」
重爆兵装ガルーダを装備したメイとタマがロケット弾と50mm砲、30mmガトリング砲を両腕のコアがある場所に撃ち込む、無数の弾幕によってコアは完全にむき出しになりそこにエイラ、サーニャ、リーネ、ココが止めの一撃を放っていく
「良し!もらい」
「行って!」
「ココちゃん一緒に」
「ハイ!撃ち抜きます
左腕はエイラとサーニャが、右腕はリーネとココが破壊した。
残った脚部、左足の部分はましろが武器を扶桑刀に持ち替え、魔法力をこめ関節部をぐるりと1週切り裂く、その亀裂にむけ美波とミーナ中佐が攻撃を加える、コアが見えるとそこをましろが何回も切り裂きコアをむき出しにする。そこを3人で攻撃してコアを破壊した
「今よ、宗谷さん!」
「千載一遇・・・」
「集中攻撃!」
右足を破壊したのはルッキーニと知床を抱えたシャーリーだった。
2人を両脇に抱え、知床の加速空間とルッキーニの多重障壁を合わせた突撃でネウロイの装甲ごと貫いた。
「行くぜ、合体コンビネーション、ジェットアタァァク」
「アタァァク!」
「アタックゥゥゥ」
最後に残った頭部は再び黒木が鉄骨を突き刺し破壊しようとしたが目に当たる部分から攻撃が放たれ、殴れなかった。だがそれでも鉄骨はまだ浅いけれど刺さっている
そこにペリーヌがやってきて自身の固有魔法を放つ
「よく思いつきましたわ、トネール!」
「鉄骨、便利だわぁ」
残り2機
万里小路は出発前に貰った持ち手拡張用のアタッチメントを取り出していた。
両端が折り畳み式になっていたところを展開しその部分に自身の得物
絶空 海霧 を装着する。アタッチメントの両端に二つの得物が付けられたことにより
万里小路の得意な獲物 薙刀に近い長さになった。両端に刃があるのでどちらかというと
ジャベリンに近いが・・・
自身の得意分野に持ち込んだ万里小路は単機で巨人型ネウロイに挑んだ
「参ります。万里小路流薙刀術 千秋無冬」
万里小路は1回切り裂くごとに体ごと回転させ、それと同時に得物を振り回す
優雅に舞ながら敵を切り裂くのをやめないその光景は破壊されていくネウロイの装甲が
秋に舞い落ちる枯れ葉の如くだった。敵は何とか万里小路を撃破しようとビームを撃ち続けるが、その殆どが切り裂かれるか、回避されてしまっていた
装甲が薄くなったところで固有魔法の魔力刀身形成で刃を拡張しコアを切り裂いていく
万里小路は敵に何もさせず単機で巨人型ネウロイを討ち取って見せた
明乃以外で唯一単独撃破に成功したウィッチとなった。
残り1体
最後の1体は服部静夏と宮藤芳佳が注意を引いていた。本来はミーナ中佐も陽動に入るはずだったが服部静夏が宮藤との陽動を志願、他の巨人型の撃破を優先し倒し次第来てくれればいいと言い切ったのだ。戦力の集中は理にかなっていたのでそれを承諾し今まで二人で陽動を行っていた。ただ注意を引いていただけでなく、作戦本部と密に連絡をとり最後の巨人型の座標を伝えていたのだ。支援砲撃のために・・・
服部静夏の報告により伝えられた座標に大和型4隻の支援砲撃が撃ち込まれていく
倒しきれなくても46㎝砲の衝撃は巨人型ネウロイの動きを止めた。
他の巨人型を倒したメンバーが最後のネウロイに集結、攻撃を加えていく
明乃と万里小路で脚のコアを切り裂き両腕と頭部がある上半身部分を宙に浮かす
すると服部静夏から全体にある内容が伝えられた。
「全員ネウロイの正面から離れてください!艦砲射撃来ます!」
服部静夏の言葉の直後3発の砲弾がネウロイを貫いた。
3発の内2つの砲弾が両腕のコアを破壊した。
扶桑皇国の戦艦大和から放たれた対ネウロイ用46㎝魔導徹甲弾だった。
「全弾命中!うち2発が敵コアを破壊」
『おぉぉぉぉー』
弾着報告を聞いた大和艦橋は歓声が上がった。
大和艦長はそんな状況でも冷静で次の指示を出す
「浮かれるのは後にしろ、まだ闘いは続いている、再装填用意」
「再装填!用意」
頭部だけになったネウロイは遂に撤退の選択肢をとった
明乃達は当然見逃すわけなく明乃と芳佳が破壊に向かった。
「行こう!明乃ちゃん」
「うん、一緒に」
明乃と芳佳は正面にシールドを展開しそのまま左右から交差するように巨人型ネウロイの頭部を貫いた。二人が飛ぶのをやめ空中で静止したときにはすべての巨人型ネウロイが撃破された。
こうして横須賀は開放された。絶望的な状況からの逆転勝利である。
やっぱり万里小路には薙刀の戦法を取らせないとね