海洋航空救援団マーメイドウィッチーズ   作:レーゲン

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遅くなってすいません。3章に分けたの失敗だった5~6章に分ければよかった。
今回明乃が最後の覚醒をします。ドン引きな攻撃します。もしかしたらドン引きしないかもしれませんが


最終決戦最終章

遂にネウロイの巣のコアを発見した501と晴風のウィッチ達

発見当初はコアはむき出しだったためこのままコアを破壊すれば闘いが終わると思われていた。だがそうは簡単に行かなかった。ネウロイの巣の暗雲から無数の壁型ネウロイが現れたと思ったらそれらがむき出しだったコアへ集まり、東洋の伝説に語られる東洋龍の姿に変化したのだ。まさかの姿にそれを見たすべての人物が驚きを隠せないでいた。

全員が驚愕していると東洋龍に変化があった。口と思われる部分が開き、その中で発光現象が確認されたのだ。ネウロイで発光現象が出るとすれば高出力のビームを出す時が挙げられる。正にその通りでそれは明乃に狙いを定めていた。すぐにそれに気づいたバルクホルンが明乃に防御の指示を出す

 

「岬!お前に狙いを定めたぞ!シールドを出来るだけ展開しろ」

 

「!!ハイッ」

 

バルクホルンの指示で明乃はシールドを可能な限り前方へ展開する

展開したその数は実に40枚、明乃がシールドを展開し終えると同時に龍型ネウロイの息吹、もといビームが放たれた。通常のネウロイのビームよりさらに赤黒く禍々しく光るビームは明乃のシールドを一枚辺り数秒で破壊していく、それを見たハルトマンはすぐに自身と同じ固有魔法を持つインゲノールと共に明乃のサポートに入る

 

「インゲノール!あいつの下に回り込むよ、このままじゃ岬のシールドが全部破られる」

 

「了解じゃ」

 

2人はすぐに龍型ネウロイのビームを放つ口の下に回り込んだ。

明乃に攻撃を集中していたためか難なく口の下に回り込むと二人の固有魔法、シュトゥルムを龍型ネウロイの下顎にぶちかました。

二つの暴風が下顎にぶつかったことでネウロイの射線が上へとずれる

12度と僅かなズレだが射線を上空に向けるのには十分だった。

ずらされたビームは遥か空の彼方に飛んで行くがビームの終わりは見えなかった。

ただ一人野間マチコだけは魔眼で強化された視力でその終わりが見えていた

 

「なんだあの威力は、最低でも高度3万以上まで行ってるぞ」

 

「高度3万以上だと!艦長のシールドでいくらか減衰させてもそこまで届くのか」

 

「威力ヤバッ、あんなの海面なんかに撃たれただけで津波で艦隊と都市が壊滅しちゃうでしょ、と言うか艦長のシールド無かったらあたしら当たったら一瞬でお陀仏じゃん」

 

「うぃ」

 

「ひぃぃぃ、あんなの倒さないといけないのぉ」

 

「泣き言を言わないのって言いたいところだけど流石に私も泣き言を言いたくなるわね」

 

「とにかくさっきの攻撃が海面や地上に向けられない様に相手との位置は常に気をつけましょう」

 

「委細承知」

 

「では気を取り直して参りましょうか」

 

「うん、防ぎきるのが難しくても数秒の時間は稼げるから回避の時間は私が何度でも作るよ」

 

晴風の皆が改めて覚悟を決め、龍型へと一斉攻撃を開始した。501も同様に晴風とタイミングを合わせ攻撃を開始する

 

重爆兵装ガルーダの超弾幕、明乃のシールド投げ、万里小路の刀身を極限まで伸ばした交差斬り、それらにウィッチ各自の銃撃が龍型ネウロイの頭部を襲っていく

龍型ネウロイはそれを一切の反撃をせずただそこに居座る

 

3分間の集中攻撃で頭部の表面にダメージが入ったことで破壊された部分が光の粒子となって視界を遮る、敵のダメージを確認するため一時攻撃を停止する

 

「さて、どれくらい破壊出来たかな、頭が吹っ飛んでいりゃいいんだが」

 

「そんな簡単に行く訳がないだろ!」

 

「だよねぇ、やっぱり簡単には倒せないみたいだよ」

 

「ですわね、アレだけ撃ってもう殆ど再生が終わってますわ」

 

「30mmガトリング砲やフリーガーハマーまで撃ったのにもう再生が終わるなんて」

 

「コイツかたーい」

 

「やっぱコアを破壊するしかねぇんじゃないか」

 

「野間さんの魔眼で位置が分かるって言ってもコアをまず露出させないと」

 

「だけどネウロイの再生が早すぎてそれが出来ない・・・」

 

「ミーナ中佐どうしますか」

 

「戦術プランB2に移行するわ、大和型から対ネウロイ用魔導徹甲弾をあいつにぶつけてコアを露出させましょう、聞こえていたわね野間さん、アレの今のコアの位置を教えて頂戴」

 

 

ミーナ中佐からコアの位置を聞かれた野間はすぐに魔眼でコアの位置を確認する

 

「胴体の中間地点から頭部へ向かって10m弱上の位置にコアがある、ちょうど簡易?的な腕らしきものがある所です」

 

「分かったわ、すぐに旗艦大和に連絡して・・・」

 

「大丈夫です。ミーナ中佐、もう伝えておきました!1分以内に砲撃が開始されます」

 

ミーナ中佐が旗艦の扶桑皇国大和型に通信を入れる前にましろがコアの位置と砲撃要請を伝え終えていた。ましろはプランB2と聞いた時点で野間マチコが報告したコアの位置を伝えるため、野間が報告する前にすでに旗艦に通信を入れ野間の報告とほぼ同時にそれを伝えたのだ

 

「助かるわ、各機対ネウロイ用魔導徹甲弾が発射されるまで敵の注意を引き付けるわよ」

 

       『了解!』

 

501と晴風のウィッチ達が龍型ネウロイに攻撃を加え注意を引き付けているころ

海上では大和型5隻が砲撃準備を進めていた。

 

「各艦砲撃用意、目標敵龍型ネウロイの腕が生えている胸部に該当する個所」

 

「主砲、左5度仰角更に2度上げ」

 

「敵に大きな動きなし、本艦には目もくれずウィッチに攻撃を行っております」

 

「対ネウロイ用魔導徹甲弾装填完了!」

 

旗艦である扶桑皇国大和型が砲撃準備を終わらせるとその後に海洋学校の大和型も砲撃準備を完了させていった。

 

「照準合わせ完了、対ネウロイ用魔導徹甲弾も装填完了しました!」

 

「目標は空中で、さらに動いとるもんや、砲術員、すぐに対応できるように砲術長の指示を聞き逃すなぁ」

 

「小型タイプの接近にも気を付けて、電測員は反応が出たらすぐに報告」

 

呉女子海洋学校所属、超大型直接教育艦 戦艦大和

 

砲撃準備を完了させた後も気を緩めず副長の能村進愛と艦長の宮里十海は警戒を怠らないように指示を出す

 

横須賀女子海洋学校所属、超大型直接教育艦 戦艦武蔵

この艦にはブルーマーメイドの艦隊指揮官を務めている宗谷真雪も乗船しており彼女も指示を飛ばしていた。砲撃準備自体は武蔵艦長の知名もえかを始めとした武蔵のクルーに任せていた。彼女が今行っていたのは護衛艦隊の陣形の変更だった。大和型の砲撃後に小型タイプのネウロイの襲撃の可能性があったため、大和型の砲撃が着弾する前に陣形の再編を終わらそうと奮戦していた。再編と言っても僅かに前進や後退、砲身の位置を変えておくだけだが時間が極端に短い。砲撃準備、発射、弾着確認の工程で大体2分あるかないかだ

 

 

「護衛学生艦1番、3番,5番,7番艦は20m前進!ブルーマーメイド艦第二艦隊は右舷90度に回頭、第4艦隊は左舷90度に回頭、両脇からの奇襲に備えて、第9艦隊は微速後退で40m後退、ネウロイの攻撃が開始された時点で後退停止、各自対空迎撃、何とか指示は出したけど再編完了までは時間が足りないわね、出来るだけ遠くから来てくれればいいのだけれども・・・」

 

不安が残るが今出来るのはこれくらいだろう、今は支援砲撃の成功を願うばかりだ

 

舞鶴女子海洋学校所属 超大型直接教育艦 戦艦信濃

 

「こっちの砲撃準備はもう終わった?休んでる暇なんかないからね」

 

「こんな状況でさぼる子いませんよ、もう準備は終えています。これからすぐに発射に移るはず・・・」

 

「連絡!右42度距離1200、推定高度80mからネウロイ3体接近!あっ、ブルマーの対空迎撃で撃破は出来ませんでしたが反転して離れて行きました!」

 

「危なかったぁ、撃たれる前に離れてくれて助かったわぁ、見張員警戒を怠らないで、さっきの様にいつ来てもおかしくないからね」

 

    『ヨーソロー』

 

 

佐世保女子海洋学校所属 超大型直接教育艦 戦艦紀伊

 

「副長、砲撃開始まであと何秒残ってる」

 

「長く見積もって、20秒です。ですが各艦準備をすでに終わらせています」

 

「それじゃあ、これがあの子達の助けになることを祈ろうじゃないか」

 

紀伊艦長、千葉沙千帆が自身の艦長帽に手をかけ僅かにずれていた艦長帽を直した

そのすぐ後に砲撃指示が出された。砲撃指示と言っても旗艦大和から指示が来るわけではなく旗艦の砲撃を確認後その後に続いて砲撃をする流れだ

 

各艦旗艦の後に続き砲撃を開始していく。各艦の艦長達の砲撃命令が一斉に放たれる

 

   『撃ちぃぃ方始め!』

 

艦長の号令と共に対ネウロイ用魔導徹甲弾が放たれた。

 

 

旗艦大和の砲撃の後に学生艦の大和型から放たれた砲弾8発が龍型ネウロイに向かっていく、学生艦が放った砲弾が8発なのは交互撃ち方を行ったためだ。扶桑皇国の大和は主砲の一斉射だが学生艦は作戦開始前から交互撃ち方で撃つように指示があったからだ

通常の大型ネウロイが低空で多く接近した場合などは一斉射で撃つようになっていたが今回のような想定外の場合は指示が無い限り交互撃ち方という流れになっていた。

旗艦大和の次弾装填の間をカバーするためだ

 

旗艦大和の一斉射3発、学生艦の左右の砲から撃つ交互撃ち方の8発、計11発の砲弾が龍型ネウロイへ向かっていった。砲撃が始まったことを知ったウィッチ達は射線上から退避し龍型ネウロイに対ネウロイ用魔導徹甲弾を当てさせるはずだった

弾着まであと10秒も無いこの距離で龍型ネウロイに動きがあった。

その巨体に見合わないスピードでコアのある部分を他の部位で守る体勢になったのだ

コアのある胴体部分に胴体より下の部位が来るように前に出したのだ。

その巨体を生かしまるでとぐろを巻くように尻尾に当たる部分を胴体前に動かしたのだ

まさかこの巨体でこんな反応速度があるとは思わず闘いに参戦していたすべての人間が驚愕した

 

 

「なんじゃい、あの反応速度は!あの巨体であんなんアリか」

 

「マジでバケモノだなオイ」

 

ミーナとシャーリーが驚愕した直後放たれていた砲弾11発が龍型ネウロイに命中した

尻尾に防がれたが対ネウロイ用魔導徹甲弾の威力は凄まじく尻尾の部分の大半が消滅していた。だがコアのある胴体部分にはあまりダメージが無かった。それを見たましろはある違和感を覚えた。

 

 

 

(おかしい、いくら尻尾で防いだとしても11発も完全に防げるのか?硬すぎて攻撃が通らなかったと思ったが、最初に放たれた3発は尻尾を最低でも半壊にはしていた。発射位置が違うとしても1発くらいは届いていてもおかしくないはず、それに弾着時の爆風の動きが気になる、なんだったんだあの光の粒子の動きは・・・まるで後ろから風でも当たったかのような・・・)

 

 

ましろが違和感を覚えたのは旗艦大和から放たれた砲弾が着弾した時だった。

前に出された尻尾に着弾してその部位の大半を吹き飛ばして光の粒子が舞ったとき光の粒子が上へと流れたのだ。今まで戦ってきたネウロイが消滅するときに見せる光の粒子はネウロイが破壊された地点を中心に広がっていくのが殆どだったが、破壊された尻尾の粒子はなぜか6割以上が上に流れたのだ。もう少し長く見れれば何か分かっただろうが学生艦の砲撃が着弾し視界が遮られてしまったのだ。ましろは野間マチコに再生した尻尾の状態を見て貰うことにした。

 

「野間さん、すまないが砲弾が当たった尻尾を確認してくれないか、何か違和感を感じる」

 

「尻尾にか・・・特に変わった様子はないと思う・・・!アレはなんだ、ぼやけて・・・いや回転している!尻尾全体が高速で回転しているぞ」

 

「高速で回転だと!」

 

まさか、高速で回転させることで弾着時の衝撃を軽減させたとでもいうのか!

拳銃ならまだしも大和型の、それも対ネウロイ用魔導徹甲弾にも有効な防御手段なのか

それにあの巨体で高速で回転しているのに騒音が一切聞こえない静穏性なのに粒子を上へと飛ばす気流が発生するってどんな現象だ!?

 

ましろが龍型ネウロイの能力に驚愕していると龍型ネウロイに新たな動きがあった。

尻尾だけでなく腕もどきが付いている胴体と頭部以外が回転し始め攻撃してきたのだ

巨大な回転する尻尾でミーナ中佐を始めとした501を狙ったネウロイだが明乃の防御が何とか間に合った。だがその攻撃は予想以上に重かった

 

「ぐぅ、何とか防げたけど打撃もかなり強い、回転しているからかな」

 

「明乃ちゃん大丈夫?さっきのシールドかなり出力高く上げたよね」

 

「うん、そうでもしないと防げなかったから、いつものの出力だったら多分5秒くらいで破られていたと思う」

 

「岬さんのシールドでもそれしかもたないなんて・・・私達のシールドじゃ厳しいでしょうね、もう一度支援砲撃を要請して、弾着と同時に私達で一斉攻撃を・・・」

 

「服部少尉の意見も分かるけどその案は却下します。防御力と回避能力の底が見えないこの状況じゃ貴重な砲弾を無駄にしかねないわ」

 

明乃が501を守ったあと龍型ネウロイにも新たな動きがあった。

今度は物理攻撃を止め、ビーム攻撃に切り替えた。

だがその弾幕は洒落にはならなかった。回転している胴体から発射されていっているのだがそのビーム発射口の数が洒落にならなかった。胴体を回るように現れた発射口から放たれるビームは小型種と同レベルの威力だが、一回り一列に発射口が10個もあり、それが100列 計1000個もビーム発射口があったのだ。

回転しながら撃っているため次弾発射までのインターバルがさらに短くなってしまった。

最初のビームを撃ち終えれば回転している胴体についている他の発射口からビームが放たれる、しかも1列ごとにタイミングがズレており途切れる瞬間が無いに等しかった。

すぐに明乃が全員にシールドを張ったが重爆兵装ガルーダがシールドの展開前に被弾してしまった。これ以上の運用は無理と判断しメイはガルーダをパージした。

 

 

「タマ、もう持ちそうに無いパージするよ」

 

「ウィ」

 

メイの判断でガルーダのパージが始まった。分離する前にまずタマの右前方にタマの武装の50mm砲が移動しそれを手にとる、メイも自身の武装を手に取ると同時にガルーダが分離し地上へ落ちて行った。パージ機能は上手く機能し容易に分離に成功した

 

「上手く分離出来て良かったぁ あと少し遅かったら私の武器ごと落ちてたよ」

 

「ゴメン、メイちゃん、タマちゃん!シールド間に合わなかった!」

 

「艦長は謝んなくていいよ、あんなのとっさに判断できないって!」

 

「うぃ~」

 

「本当にゴメン、それよりコレどうしよう?これじゃあ攻撃に移れない」

 

明乃が敵の弾幕の物量に動揺しているとましろから通信が入った

 

「艦長、アレの胴体全体をシールドで囲めますか、出来れば至近距離に」

 

「えっ、出来ると思うけどこの状態じゃ、1回シールドを解かないとあの大きさは厳しいと思う」

 

「分かりました。艦長はシールドを張ったままシールドを動かして全員を艦長のもとへ集めてください!集合したら全員でシールドを展開するのでその後ろでシールドを解いてあいつを囲ってください、至近距離のシールドに反射させて発射口を破壊します」

 

「なるほど、うんわかったよシロちゃん」

 

ましろの作戦を理解した明乃は言われた通りシールドを動かし自身の後ろに501と晴風のウィッチを集めた。集合と同時にバルクホルンの合図で明乃の前方にシールドが集中展開された

 

 

「各機シールド最大展開だ!何としても岬を守れ」

 

   『了解』

 

全員が明乃の前方にシールドを展開すると明乃は一端自分が張ったシールドを解き意識を集中する。あれほど巨大だとすぐには張れない、10秒ほど集中すると明乃はビームを撃ち続ける発射口全体を囲むようにシールドを展開した。至近距離でシールドに反射したビームは胴体へ向かっていき他の発射口を破壊していった。その爆発でシールドで囲った内側は光の粒子で溢れかえった。このチャンスを逃さないようにウィッチ達は攻勢に出ることにした。

 

「チャンスを逃すな一気に叩みこむぞ」

 

 

「各自敵の再生に気を付けて攻撃を開始、何とかコアを露出させて」

 

「りょーかい、何とかやってみるよ」

 

「表面の装甲の殆どにダメージが入ったとはいえすぐに再生しますでしょうがそんなこと言ってられませんわね」

 

バルクホルンとミーナの指示にハルトマンとペリーヌが返事をしたころ

明乃も攻勢に出ようとしていた。明乃は直接コアを狙うため大型のシールド10枚をコアのある胴体へ投げつけた。無論これだけでは防がれたりダメージがコアまで届かないであろうが、これによって敵の狙いが自分に向けば他の皆が何とかすると踏んだのだ

明乃は進んでおとりを引き受けたのだ。

投げつけたシールドは高速で回転しながらコアがある胴体の周りを切り裂いた。

だがそれはコアまで届くことは無く再生を始める。明乃が次の手に移ろうとしたとき龍型ネウロイに新たな動きがあった。簡素的な構造をした左右の腕についていた3本の棒、左右合わせて6本の棒が分離したのだ。6本の棒はビームで攻撃しながら明乃を包囲すると突如眩い光を発したのだ。その眩い光に明乃は一瞬目を瞑ってしまった。

 

 

「うっ!眩しっ」

 

「艦長!避けてください」

 

「えっ・・・」

 

明乃が目を眩ませていた時副長の宗谷ましろの通信が入った。最初どういうことか分からなかったがその訳を理解した。目を瞑ってしまった間に龍型ネウロイが尻尾を明乃に叩きつけようとしたのだ。すでに避けられる距離では無くとっさに体全体を守るため自身の周り6面、立方体になるようにシールドを展開したがすぐに展開したため踏ん張りがきかなかった。尻尾が当たった正面のシールドは砕かれその衝撃で明乃は地上のビル群に吹き飛ばされてしまったのだ。ビルの中に突っこんだ衝撃で明乃は気を失ってしまった。

それを目撃した晴風のウィッチ達は動揺するのであった。

 

「艦長!艦長応答してください、岬さん!」

 

 

「ダメですこっちも繋がりません!早く救助に行かないと」

 

「じゃがコイツを相手にしながら行けるのか、ワシらがおとりになってもすべてのビームは引きつけられんぞ」

 

「だったら私が行く!私のスピードなら撃たれる数も少なくて済むはずだし」

 

「では私達は何としても知床さんをお守りしなければなりませんね」

 

「やるしかないか!」

 

「じゃあ早速・・・って下やばいよアレ」

 

「よりによってここでか」

 

「ちょっとは空気読みなさいよ・・・」

 

「タイミング・・・最・悪!」

 

メイの言葉で状況がさらに悪化したことが判明してしまった。海上の艦隊部隊に無数の小型タイプが攻撃を仕掛けてきたのだ。今は対空迎撃で応戦しているが撃墜率はかなり低いようだった。501もそれに気が付きどう対応するか話し合っていた

 

 

「おい、ミーナあの戦力じゃ全滅しかねないぞ、どうする誰か救援に向かわせるか」

 

「そうしたいけど、救援に向かった人を狙われたら逆に被害が広がるわ、岬さんがいてくれたら何とかなったんだけど」

 

「でもこのままでも全滅しちゃうよ」

 

バルクホルン、ミーナ中佐、ハルトマンがどうするか悩んでいるとミーナ中佐にましろから通信が入った。

 

「ミーナ中佐!宮藤さんを納沙さんと西崎さんに合流させてください」

 

「宮藤さんを!何か考えがあるの?」

 

「納沙さんと西崎さんにここから狙撃して貰います。気休め程度でしょうがやらないよりマシなはずです!宮藤さんには二人の守りをお願いしたいんです」

 

「ここから狙撃ですって!風向きと距離を考えるとリーネさんでも不可能よ、あっ、2人の固有魔法なら・・・」

 

「はい、有効射程を広げる固有魔法と弾道誘導で狙わせます」

 

「分かったわ、宮藤さん話は聞いていたわね、2人の直衛に入って頂戴、知床さんとイェーガー大尉はタイミングを見計らって岬さんのもとへ向かえるように準備しておいて頂戴、他はアレの注意を引き付けるわよ」

 

   『了解』

 

ウィッチ達が新たな行動内容を確認すると再び龍と対峙していく

一方小型ネウロイの大群の襲撃を受けている艦隊部隊はかなり厳しい戦況であった

すでに幾つかの艦がネウロイにやられてしまったのだ

 

 

「ブルーマーメイド艦、新たに3隻撃沈、自走不能5!扶桑艦隊にも被害多数、火災発生の報告12!」

 

「やはりウィッチの援護なしだと圧倒的に不利だわ、真冬の艦はまだ動けるかしら、動けるなら出せる速さで300m進ませて、学生艦は微速後退で大和型の両舷について対空迎撃に集中させて、あとこの武蔵ですでに起こっている被害は」

 

「レーダーの破損、艦内無線の一部が使用不能の報告があります」

 

作戦司令官の宗谷真雪が作戦指示と被害報告を聞いているころ武蔵艦長 知名もえかも臨機応変にことにあたっていた。

 

「副砲、右舷後方へ旋回、攻撃を仕掛けてきたネウロイが通りすぎた所を狙う、砲術長、指示を任せます」

 

「ヨーソロー」

 

「見張員、目視で確認できる範囲でやられている艦が多いのは右舷と左舷どっちか多いか確認できる?」

 

「炎上中の艦と海に沈み始めた艦で数えれば右舷側です!」

 

「ありがとう、引き続き警戒を厳に」

 

「ヨーソロー」

 

武蔵で指示や報告が飛び交う中、武蔵の左舷側についていた時津風と天津風に危機が迫っていた小型ネウロイが狙いを定めたのだ

 

 

天津風

 

「艦長、ネウロイ5体が反転して戻ってきました」

 

「対空、反転してきたやつに集中して、他の艦から対空砲火行われているか分かる?」

 

「うちの他は時津風だけです!他の艦も自分の所で手一杯です」

 

「だぁぁぁ、弾幕が足んない!機銃で応戦してる子に危ないと思ったらすぐ逃げるように徹底しておいて、すぐにでも逃げたいと思っているだろうけど」

 

「分かりました」

 

 

時津風

 

「撃ち落とせなくてもいいから敵を近づけさせないで、敵との今の距離はどれくらい」

 

「あと300mに迫っています。敵に反転や回避行動は見受けられません!」

 

 

「こりゃ本格的にやばいっすね」

 

「敵、攻撃を開始!」

 

   『!!』

 

ネウロイの攻撃開始の報告を受けて時津風に戦慄が走る

もう駄目かと思われたその時、ネウロイが上空から攻撃を受け破壊されたのだ

ウィッチの援護かと思われたが、ネウロイを破壊したのは扶桑海軍の艦載機であった。

 

 

「ネウロイ5体撃破」

 

「嬢ちゃん達をやらせんな!扶桑海軍の意地を見せろー」

 

「対空砲火が凄すぎるからいつもの高度の半分の高度でネウロイと戦うことになるなんてな・・・迂回して降下したから到着が遅くなっちまったぜ」

 

「新しい敵さんが来やがったぜ、二方向からか」

 

「田崎!俺と左の奴らをやるぞ、他はもう片方だ」

 

艦載機の隊長機を務める米田高義は隣を飛んでいる田崎にハンドサインを送り二手に分かれた。隊長機ともう一機は紀伊の方から向かってくるネウロイに向かっていった。

艦載機によるネウロイの撃墜率はかなり低い、小型ネウロイをようやく倒せるくらいだ

勝ち目が薄いと分かっていても男たちは敵であるネウロイへ向かっていく。

時津風と天津風を救った小隊の他にも艦載機は飛んで各自応戦している

だが戦況は芳しく無く、一機また一機と海へと落ちていく

隊長機と別れた3機ももう片方から来たネウロイを破壊した瞬間、別のネウロイの攻撃を受け翼やエンジン近くに被弾してしまい飛行能力が低下してしまった。このまま海面に着水しようとしたとき、時津風と天津風に再びネウロイが迫っているのが目に見えた。

しかもいつ撃ってもおかしくない状況だった。それを最初に確認した間壁吉成こと、間壁機は満足に飛べない状態で出せる限りの速度で機銃を撃ちながらネウロイへ向かっていった

 

「やらせるかぁぁぁー」

 

   ダッダッダッダッダッダッダ

 

放たれる機銃は小型ネウロイに当たっているが破壊する前にネウロイのビームを撃たれてしまうだろう、もし撃たれたら時津風か天津風の艦橋近くに当たってしまうと感じた間壁は機銃を撃ちながらそのままネウロイに突っこんでいった

 

 

「うぉぉぉぉぉー」

 

    ボォォン

 

一直線に進んだ艦載機はそのままネウロイに激突しネウロイを道連れにし海へと落ちて行くのであった。それは天津風、時津風からも確認出来た。

 

天津風

 

「ちょっと!今一機ネウロイに突っこんだわよ!誰か操縦者が脱出したの見た?」

 

「いえ、私も見えませんでした・・・誰かに海面の確認をさせますか・・・」

 

「分かりきってる事聞かないでよ!あっ・・・ゴメン、パニくった・・・見張員は手が離せないから、悪いけど副長、確認行ってくれる?3分探しても見つからなかったら戻ってきて」

 

「わっ、分かりました」

 

天津風艦長 高橋千華の指示で副長の山辺あゆみが駆け足で墜落した海面の確認に向かう

副長が艦橋を去るのと同時に高橋千華は乗っていた操縦士の事を思い心の底からこみあげた感情をぶちまける

 

「なんでよ、故郷に家族や友人だっているんじゃないの!?こっちで死んだら下手したら亡骸だって戻れなくなるじゃない!!何やってんのよぉぉぉー」

 

時津風

 

「そんな・・・私達を守るために・・・」

 

「艦長、気をしっかり持ってください!艦長、つむぎ!!」

 

 「っ!!」

 

時津風副長の長澤君江のいつもなら使わない名前呼びに

我に返った時津風艦長の榊原つむぎ

すぐに墜落した機体のパイロットの捜索を指示しようとしていた。たとえ生存が絶望的でも指示せずにはいられなかったのだ。その捜索の指示を出そうと思った矢先、新たなネウロイが再び艦橋目掛けて攻撃を仕掛けようとしていた。すぐに後進一杯の指示を出したが絶対に間に合わなかった。するとそこに残っていたもう2機が満身創痍の状態でやってきた。

片方は先行し時津風左舷側上空を機銃照射の邪魔にならない様に翼を90度傾け両翼が縦状になるように機銃台座の内側を飛んだ。そして艦橋の横を通りすぎる寸前で右上と進路をとり機体の腹を攻撃しようとしているネウロイに向けた。時津風を守るため自ら盾になることを選んだのだ

 

「女性を守って空に散る!男として一片の悔いなし!!」

 

     ボォォン

 

ネウロイのビームが直撃し機体は爆散し海へと消える・・・

盾になってくれたおかげでビームの威力がいくらか減衰されて艦首の甲板を数ミリ溶かす程度にすんだ。そのあとに続いて艦載機が機銃を撃ちながらネウロイへ向かっていく

 

 

「こっちを見やがれぇぇぇぇ!」

 

男が乗っている機体は既にボロボロで恐らくもう急旋回などの回避行動はとれないであろう、道連れ前提の特攻である。機銃で攻撃してあと少しで破壊出来ると思ったがネウロイは反撃よりも回避を優先し機銃の射線上から離れてしまった。すでにボロボロの機体では追撃は厳しくネウロイがいた所を通りすぎてしまった。ネウロイに背を見せてしまった機体の生存確率は低い・・・男は最後に、先に逝った戦友達へ向け最後の言葉を一人で語り掛ける・・・俺達の命は無駄ではなかったと

 

「すまねぇ倒しきれなかったわ、だが嬢ちゃん達は守れたぜ!今そっちへいく」

 

操縦士の男がそう嘆くと同時にネウロイからビームが放たれ機体は爆散した

邪魔者を排除したネウロイが再び時津風と天津風を狙おうと向きを変えた瞬間、時津風から放たれた機銃の攻撃が直撃し消え去った。時津風のクルーも身を犠牲にして時を稼いでくれた彼らの行動を無駄にしなかった。ネウロイが艦載機に狙いを定めた瞬間から機銃はネウロイへ照準を合わせていた。本当は撃たれる前に破壊したかったが何とか破壊出来た。

照準を合わせる時間は数秒だったが、弾幕を張って近づけさせない様にしていた射撃とは異なりたった数秒の照準を合わせる時間が取れた射撃は見事ネウロイを破壊したのであった。だが素直には喜べなかった。なにせ自分達を守るため3人も犠牲になったのだから

 

 

時津風艦長 榊原つむぎは目に大粒の涙を浮かべ、自らの艦長帽を胸に抱きしめ感謝の言葉を散って行った戦士達に捧げた

 

 

「わっ、私・・・私達絶対に勝ちます・・・守ってくれてありがとう・・・ぐすっ、ございます!この戦いが終わったら報告に、ぐすっ、来ます!どうか見守ってください」

 

榊原つむぎは胸に抱きしめていた艦長帽を再び頭に掛け直し3機が落ちて行った方向へ敬礼を捧げた。非常時であるため短い敬礼だったが、その時にはすでに涙はふき取られ覚悟を決めた表情になっていた。

 

時津風と天津風は名も知らない3人の操縦士により危機を脱したが他の艦は未だ危険な状態だ 2隻は散って行った名も知らない戦士達に恥じない様に士気を高め奮戦していった。

 

 

その頃龍型ネウロイに叩きつけられ気を失った明乃はというと、一人暗い何もない所に立っていた。暗くて何も見えないというわけではなく、周りや自分の足元にも何かある気配が無いのだ。最初は死んでしまったかとも思ったがそういう感じでは無かった。あたりを見渡して何歩か歩くと目の前にいくつもの光る球体が現れそれが集まって行き人型へと姿を変えたのだ。それはとても綺麗な白を基調としたローブのような衣装を纏う人だった。

頭はフードらしきもので包まれており全体的な特徴は分からなかったがその人物の表情を見て明乃は驚いた。何故なら・・・

 

「えっ、私と同じ顔?」

 

そう、明乃とよく似た顔つきだったのだ。

正確に言えば背丈が明乃より高くまるで明乃が成長したような姿だった。

明乃が驚いているとその人物が明乃に語り掛けてきた

 

 

「私の魔法を受け継いだ後継者、貴方はあの強大な敵にどう立ち向かいますか」

 

「えっ、どうって?」

 

明乃は質問の答えがすぐには浮かばなかった。確かに規格外な力を持つ明乃や万里小路、ネウロイとの闘いに慣れているトップエース集団の501と共に戦っても決定打は与えられなかった。勝つ方法は無いのかも知れない。だが明乃は諦めはしなかった。

 

 

「うーん、まだ分からないけどきっとシロちゃんやミーナ中佐が倒す作戦考えてくれると思うから私はそれが思いつくまで皆を守りたいかな、私はシロちゃんみたいに優秀っていうわけじゃないし」

 

「ふふっ、不思議な子ね・・・私の力は一騎無双ともいえる力なのに自分は優秀じゃないなんて、力にうぬぼれているわけでは無さそうね、合格よ貴方の枷を外してあげる。それと貴方に私の闘い方の仕方を教えてあげる。目が覚めたら不思議と頭に浮かんでくるはずだからそれを参考にして闘いなさい」

 

「えっ、あ、ありがとうございます。やっぱりあなたって私と同じ固有魔法を持っていたっていうアトラティスの王女さま?なんですか」

 

明乃は彼女が言った私の力という言葉で古の時代にあったと言われているアトラティスの王女が目の前の女性なのではないかと思い素直に聞いてみた。

すると彼女はフードの部分をめくりその素顔を現した。

顔は明乃と瓜二つで髪は美しい金髪、そして明乃とは違い髪を纏めておらず綺麗なストレートヘアーである。明乃と瓜二つの顔立ちだが何処か落ち着いた表情で明乃より大人びている雰囲気だ

 

「貴方の予想どうりよ、今の貴方達と同じように仲間と共に戦い、皆を守り切れなかった不甲斐ない王女・・・気が遠くなる年月を得て再び現れてくれた私の後継者、貴方は私のような過ちを犯してはダメよ、早く行ってあげなさい仲間が貴方の帰りを待ってるわ、そう言えば言い忘れたわ、魔法力の消費には気をつけなさい」

 

「えっ、それってどういうことですか」

 

「私が事前に仕掛けた枷を外したせいで出力は上がるんだけど魔法力の消費がその分増えるの、連続で大量に消費すると気が付きにくいから気を付けてね、あと帰り方だけどここから出る!と思えば意識が戻るからね」

 

「分かりました!色々とありがとうございました。行ってきます!」

 

明乃は自身の固有魔法の前任者だったアトラティスの王女様と別れこの不思議な空間を去った。目が覚めると壁が崩れ落ちたビルの中にいた。幸い自身のユニット蒼雷に目立った損傷は無かった。明乃が再び魔法力を流して飛ぼうと思ったらいつもと違う事に気付いた。

これがあの王女様が言っていたことなのだろう。明乃は空で今なお戦う仲間達のもとへ飛び立つ

 

一方空で戦っていたウィッチ達は中々敵の注意を引き付けられず知床鈴やシャーリーを明乃の元へ送れずにいた。ウィッチ達全員に焦りが見え始めた時、明乃が吹き飛ばされたビルから強烈な光が溢れ出した。それは明乃が初めて魔法力を発動させたあの時とは比べものにならないくらいの眩い光であった。

 

何事かと思い全員がそこを見ると、そのビルから一筋の光が上空へ放たれた。蒼雷を纏った明乃が最大スピードで上昇しその後に魔力光が残滓として残ったために起きた現象であった。明乃の帰還に全員が喜んだ

 

「艦長、無事だったんですね」

 

「おんどりゃあ無事じゃったか」

 

「艦長お帰りぃー」

 

「うぃ~」

 

「艦長~無事でよかったよぉ~」

 

「御無事で何よりですわ」

 

「信じてたぞ艦長」

 

「全く来るのが遅いのよ」

 

「目立った怪我はないようだな」

 

「艦長、おかえりなさい」

 

「ありがとう、シロちゃん、皆!皆ちょっとアレから離れていてくれる?試したいことがあるんだ。あとシロちゃん大和型に魔導徹甲弾の支援砲撃頼んでおいて貰っていいかな、もしかしたら動きを止められるかも知れないから」

 

「!!分かりました。すぐ手配しておきます」

 

明乃がましろに支援砲撃の要請を頼むと早速準備に取り掛かる。全員が離れられるように巨大なシールドで退路の安全を確保すると意識を集中する。不思議な空間であった王女の言っていた枷を外したという意味を明乃は飛び立つ前に感じ取っていた。魔法力がさらに上がっていたのだ。それに加え出力も今まで以上に出ている。明乃は地上にあるビル群の1階部分の高さでシールドを広域展開した。半径40メートルのシールドはビルの鉄骨等を貫通し展開された。晴風のウィッチ達はどうしてあんなところにシールドを展開したか分からなかったが、次の明乃の行動を見て度肝を抜いた。

 

「せぇぇーの!」

 

明乃は大きく手を振りかぶるとビル群の1階部分に展開されたシールドが浮上しビル群ごと持ち上げた。龍型ネウロイと同等の高さまで上げると今度はそれを投石機の容量で投げたのだった。

 

 

      『ビル投げたぁぁぁ』

 

流石の晴風の面子でもこれには驚いた。この光景を見た全員が驚いていると龍型ネウロイはビルに向かってビームを放ちビルを破壊していく、直撃コースから外れたビルは明乃が再び巨大シールドを展開しシールドで押して無理やりぶつけた。コアがある胴体部分にぶつかったビルは今もなおネウロイのビーム攻撃を受け破壊されていく、だが明乃はビルの破片が下に落ちないように胴体全体をシールドで覆った。

 

ビルが破壊されて小さくなるにつれシールドを狭めていく、ビルの崩壊と共に粉塵は舞いその粉塵が粉塵爆発を引き起こす、ビーム攻撃によって溶けた鉄骨はビーム発射口に飛び散り僅かな時間ビームを発射できなくした。それがいくらか繰り返されるとビームの攻撃頻度が減った。その瞬間を逃さなかった。ましろの合図で支援砲撃が再開された

 

「艦長!支援砲撃開始されます」

 

「分かった!」

 

ましろの合図で胴体部分のシールドを解除した。残って落ちた残骸はそのまま落とさずシールドで叩いて特大の飛礫として他の部位に打ち付けた。

明乃のシールド解除と共に大和型5隻から対ネウロイ用魔導徹甲弾が一斉射された。

3連装砲×5の15発が龍型ネウロイに向かっていく

当然前のように尻尾で守りに入るが今度は明乃がそれを許さなかった。

尻尾の進路にシールドを展開し動きを妨害する。ネウロイもそれを突破しようと回転エネルギーを加えるがシールドは砕けなかった。シールドの出力が上がっているからだ

放たれた対ネウロイ用魔導徹甲弾は全弾正確に目標を捉え命中した。

 

      ドドドドドーン

 

着弾と同時に爆音が鳴り響く、46㎝砲弾15発の弾着音はそれは凄まじいものであった

爆炎が晴れるとそこには胴体と頭部が吹き飛んだ龍型ネウロイが佇んでいた。だがおかしかった。コアがあった部分が吹き飛んでいるのにネウロイが消えないのだ。原因を考えていると野間から通信が入った。

 

「艦長、副長!奴のコアが移動している尻尾の方へ下がっているぞ」

 

「えっ、うそ」

 

「コアを移動させたのか、全員追撃するぞ!」

 

  『了解』

 

龍型は深手を負った。叩くなら今しかない そう思った矢先海上で戦闘を繰り広げていた小型ネウロイが一斉にウィッチ達のもとへ向かった。

巣のコアの危機に攻撃優先度を変えたのであろう、下から次々ビームを撃ってくるネウロイもどうかしなければならない状態になった。その時向かってきたネウロイの幾つかが破壊されていった。魔法力を込めた銃弾によるものだ。501のウィッチ達の攻撃だった。

 

 

「ここは私達が引き受けるわ、貴方達は親玉を討ち取ってきなさい」

 

「お前らの世界だ!お前達で守って見せろ」

 

「トゥルーデの事は気にしなくてもいいよ、なるべくあいつ等早く倒してそっちに向かうから」

 

「明乃、鈴!どっちが早く倒すか競争しよー」

 

「負けたらデコピンの罰ゲームな」

 

「こんな状況で呑気だなぁ」

 

「うん、でも気が少しは楽になるんじゃないかな」

 

「貴方達の務めしっかりとこなしてきなさい」

 

「皆、また後で一緒にお茶飲もうね」

 

「よい戦果を期待します!」

 

「皆、頑張ってね、大丈夫!きっと勝てるはずだもん!倒したらそっちに迎えに行くね」

 

501のメンバーの激励を聞いた明乃達はそれに答えた。

 

「ハイ、皆行こう!マーメイドウィッチーズ!」

 

「第501統合戦闘航空団ストライクウィッチーズ!

 

     『GO』

 

その掛け声と共にウィッチ達はそれぞれの敵へ向かっていった

コアが移動している龍型ネウロイに先陣を切ったのは万里小路であった。

 

「先陣行かせてもらいますわ!キルティーさんお力をお借りしますわ、同調!」

 

万里小路は最大スピードで接近しながら意識を集中する。自身に宿っているキルティーと意識を同調させ自身の剣技の能力を上げる

 

「我流万里小路流 交差絶刀真一文字!」

 

二つの扶桑刀で真一文字に切り裂いてネウロイを通りすぎたが残念だがコアは破壊出来なかった。切り裂かれ分断された胴体はその状態で万里小路を攻撃する。万里小路はそれを単機で相手にすると申しでた。残った他はコアを目掛けて追撃する

 

次は納沙幸子、知床鈴、鏑木美波、西崎芽依、立石志摩が攻撃に加わった。

 

「美波さん、分離した内部にありったけ叩きこみましょう!あそこは回転してませんし」

 

「回転は表面だけか、了解した」

 

    ダンッ ダンッ    ダダダダダダッ

 

回転してない内側に銃撃を加えられネウロイにダメージが入る、それをただ見てる訳ではなくビームで反撃するが知床鈴の異常とも言える変則飛行で避けられた直後ビーム発射口をやられた。知床鈴はすかさずメイとタマに追撃を頼む

 

「メイちゃん、タマちゃん、お願い!」

 

「よっしゃぁ全弾発射ぁぁ」

 

残ったフリーガーハマー全弾をネウロイに発射しダメージを与える。無論修復が開始されるがそこをタマの50mm砲を至近距離でぶっ放した

 

 

「ヒーハー ドーン」

よく分からないが発射の合図らしい

至近距離で放たれた50mm砲は5メートル近く貫通したが僅かにコアに届かなかった

ネウロイは再び分離し納沙幸子達を襲った。万里小路と同じように分離体は彼女らに任せ他は追撃へ赴く、今度はましろ、黒木、野間、ミーナが攻撃を開始した。

 

「ワシがシュトゥルムで一瞬動きを止める!後は何とかしてくれ」

 

「分かったわ」

 

「了解した」

 

「ミーナさん、それなら側面か正面からやってくれ、風を利用されるかも知れない」

 

「了解じゃ、行くぞシュトゥルム!」

 

ミーナの固有魔法 シュトゥルムがネウロイの側面から放たれた。強烈な暴風がネウロイの動きを数秒止める!その瞬間にコアへ攻撃を仕掛ける

 

「野間さんコアは今どこにある!」

 

「尻尾の最後尾へ向かうために今曲がろうとしている」

 

「じゃあ曲がる前の所ね、私が行くわ」

 

コアの場所を聞いた黒木は両手に魔法力を集め拳を硬化させる

それを思いっきりコアが通る場所に叩きつける、強烈な拳でダメージが入ったところで機銃を撃ちこんでいくとネウロイはまたもや分離しましろ達を襲った。

 

「ここで分離か」

 

「野間さん小型は私がやる!コア本体をやってくれ」

 

「了解した」

 

ましろの指示で野間は小型に分離したネウロイには目もくれずコアを狙うがコアが露出したところですぐに最後尾に逃れてしまった。そのまま追撃しようと思ったが再び分離したと思ったら今度はどういう原理か自爆した

 

「ちょっ、ここで自爆する!?」

 

「くそ、逃げられた。しかも身軽になったからなのかスピードが速い!私らのスピードじゃ追いつけないぞ」

 

    「大丈夫!私が行くから」

 

ましろ達が取り残したコアを明乃が単機で追っていく、現状あのスピードについていけるのが明乃、知床、シャーリーくらいで一番近い明乃がネウロイを追っていく

その進行方向は地上で艦隊部隊に被害がでる可能性があったがそこでましろはあることに気付き連絡を入れた。そこは・・・

 

「晴風、まだ機関は無事か、無事なんだな、なら隊列を離れて指定したポイントへ向かってくれコアを持ったネウロイがそこへ来る」

 

ましろの指示で晴風は最大船速で指定のポイントへ舵をとった

 

一方明乃はネウロイの攻撃をよけながら必死に追っていた。

シールドを張らないのはスピードが落ちるからと言う理由もあるが残りの魔法力が少ないという理由が一番の理由だった。

 

「何処かで攻撃のチャンス無いかな、防御用の魔法力を回してもあと1回くらいしか攻撃出来ないだろうし、飛行用の魔法力まで使うわけにはいかないし、うーん」

 

明乃が悩んでいると海上で一隻の艦がネウロイの進路上に向かってきていた。そう晴風だ

 

「タイミングドンピシャぞな」

 

「主砲砲撃用意、発射後最大船速のまま急速離脱」

 

「対ネウロイ用徹甲弾装填完了!右12度仰角2度修正、撃てぇ」

 

古庄教官が代理で艦長を務めてくれている晴風がコアを持つネウロイへ艦砲射撃を行う

放たれた砲弾は最大船速時の砲撃に関わらず見事命中し亀裂を与えた。すぐに急速離脱になり晴風は進路を変える。かなりの無茶で機関室も大変な状態に陥っていた

 

「何があっても絶対に止めんなぁクロちゃん達の帰ってくる家はマロン達が守るんでぃ」

 

「当然」

 

「今回ばかりは無茶するわよ」

 

「これで終わりにしてくれないと困るけどねぇ」

 

「ふにゃあーまたパイプ破損したぁ」

 

機関室が大変になりながらも晴風は面舵一杯で進路を変える

その僅かな時間で晴風に搭載されていた多連装ロケット砲がネウロイへ向かって放たれた

 

「全弾発射いくよぉ」

 

「お願いだから当たってねー」

 

    バシュ バシュ バシュ バシュ バシュ

 

放たれたロケット砲弾は再生途中だった亀裂に命中しコアを小さく露出することに成功しさらにネウロイの動きを数秒止めることに成功した。その瞬間を明乃は逃さなかった。

露出したコアへ回りこみ、コアに自身のシールドを纏わせた拳を叩きこんだ。なんで黒木のような殴る手段を選んだかというと露出した部分が拳1個分しかなかったからだ。

拳がコアに触れると明乃は最後の力で纏わせたシールドを目の前に押し出した。

押し出されたシールドはコアを貫通し見事コアの破壊に成功した。

それと同時に戦場にいた小型ネウロイは消滅し空も晴れていき元の青い空が広がって行った。この瞬間東京はネウロイから完全開放された。

明乃は魔法力の消費が原因の疲労で飛ぶのが辛くなり晴風に着陸してそのまま仰向けに垂れた。

 

 

「綺麗な空・・・やっと終わったんだ・・・よかったぁぁぁ」

 

    ウワァァァァァァ

 

そんな明乃の言葉と同時に戦場全体から勝利の歓声が上がったのであった。

 

 




後は別れの話とその後のエピソード幾つか書いたら一段落かなぁ

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