始まりは交換日記   作:アシュリー2400

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第4話

再び月咲視点

夕飯の席は母の部屋で、ウチと母の二人きりだった。

月夜ちゃんからの情報では、普段は家の人間専用の場所で食事をするらしい。

今夜に限って場所が異なるのは、祖母様…もとい、おばあちゃんが旅行でいないからだそうだ。

入れ替わりがバレるリスクを考えると、人が少ないほうが助かる。

ただ、一対一となると、それはそれで却ってリスクが高いと思えた。

 

ところで、以前から聞いていたが祖母はとても厳しい人だという。

日記でも祖母の人物像が書かれていたが、誤魔化しが通じる相手とは思えなかった。

だからこそリスク回避として、会わずに済む日を計画決行日に選んだ。

今日をその日としたのは、今日を逃せば次は当分先になってしまうからだ。

 

部屋には先にウチが到着して、母が後から入ってきて席に着いた。

 

「お待たせ、月夜。食事にしましょ」

「はい、お母様。いただきます」

 

そういうとウチは母の後に続いて食事を始めた。

食事には明槻家のルールがあり、子は親が最初に食事に手を付けるのを待つという。

親がみそ汁を飲んだのを合図に子が食事を始め、同時に食べ終わるようにするそうだ。

自宅では父とお弟子さんが夕飯を終えた後、一人で食べている。

おかげで普段は気にしたことがないペース配分に注意を払い続けることになった。

食事中は会話が一切なく、ただ静かな空間に食事の音が響いていた。

月夜ちゃんによると食事をしていることを意識するためのルールらしい。

自分が今まさに食事をしていると自覚することで、料理をより味わえるのだそう。

月夜ちゃんにも母にも悪いけど、体に力が入って味がちゃんと分からない。

 

「ごちそうさまでした」

「おいしく頂きました」

「今日は私が片づけるからそのまま置いておいて」

「ありがとうございます」

「私はまだやることがあるから、月夜は部屋に戻りなさい」

「畏まりました」

 

母の言葉に甘えて部屋を後すると、月夜ちゃんの部屋へ戻っていった。

 

『食事終わったよ。そっちはどう?』

『こちらも終わりました。一人で食事を摂るのは初めての経験でした』

『ウチも誰かと一緒に晩御飯食べるのは初めてだったよ』

『こちらは今のところ問題ございません。月咲ちゃんは大丈夫でございますか?』

『ウチは大丈夫だよ。食事のルールが気になり過ぎて味が分からなかったくらい』

『それはすみません。今度私が月咲ちゃんのために今夜と同じ献立を用意します』

『嬉しいけど気持ちだけで十分だよ。これからお風呂に入る』

『私もお風呂でございます。どうか、お気をつけて』

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