皆さん、明けましておめでとうございます!
今年もどうぞよろしくお願い致します!
……年が明けてから3日も経ってるんだケド……
ようやく銀座事件が終結………思った以上に文字数が増えたし結局年内に終わらなかった………
それじゃー!本編行ってみよー!
祝田橋と鍛冶橋のそれぞれで防衛戦を展開していたハイセ達とジューゾー達は、避難民収容完了の知らせを受け皇居正門の二重橋まで後退していた。
他に皇居へ繋がる坂下門と桔梗門には念のためにSAAを含めた近衛の部隊が展開しており、門を閉じた上で皇居への道を封鎖していた。
敵武装集団は陽動のために少数を坂下門前に送り、残りは二重橋に集中していた………。
二重橋の手前に多数の戦力が集中していたが…
………ジリ………ジリ………
………敵集団は遠巻きに盾を構えて突入を躊躇っていた。
「何をしている!さっさと攻めんか!!」
指揮官はヒステリックに叫ぶが、前面の兵士達は二の足を踏む。
今まで自らの腕前にモノを言わせて向かって行った者のことごとくが様々な形で返り討ちに会っているのである。もはや、指揮官の命に従って橋の上にいる数人の重装歩兵……SAAを着装しているハイセ達……に立ち向かえる者は皆無であった。
機転の利く兵士が数人の同志と弓や弩銃を拾い集め、間合いの外から攻撃しようとしたが……
パパパパパパパパパ………
「イギィィィィ!!」
「アガァァァァ!!」
……そのことごとくが矢を放つ前に先手を打たれ、討ち取られていた。
ヒデ達が乗っている82式指揮通信車改が門の内側から敵集団の動きを掴み、臨時にその場の総指揮を執る事になったアキラ………階級はジューゾーの方が上だが、本人が最前線に出る事を望んだ事と後方からの指揮官制を苦手としている事から彼女が総指揮を執る事になった………が各員の
彼女は祝田橋では
『こちら近衛3班!弓兵を排除!我が方に損害無し!送レ!』
『こちらオーガ2、了解。近衛3班はそのまま警戒を続けろ。送レ。』
『こちら近衛3班、了解!』
これで“弓を持つ=即相手に殺される”と言う構図が敵集団の中に出来上がり、ならばと残り少ない魔導師を歩兵の鎧兜………ご丁寧にも相手側への擬装のため死体から剥ぎ取ったモノ………を着せて歩兵の中へ紛れ込ませ、魔法で奇襲させようとしたが……
『
『こちらシックル2。こちらでも確認した。送レ。』
『こちらロッド5!攻撃動作らしき物を確認!排除を頼む!送レ!』
『こちらシックル2、了解。』
ドパァン!!ドパァン!!
ドパァン!ドパァン!ドパァン!!
……目敏く魔導師を見つけたヒデの指示で、半井の対物スナイパーライフル………ハイセ達が半井へ貸し与えたモノで相手への心理的示威効果からこちらを選択した………が火を吹き、魔導師達は悲鳴すら上げられずヘッドショットで後ろの歩兵ごと原型を留めないほど頭を吹き飛ばされていった。
『シックル2よりロッド5へ。魔導師5名を排除。送レ。』
『こちらロッド5、了解!シックル2はそのまま狙撃体勢を維持しつつ待機されたし!送レ!』
『こちらシックル2、了解。』
この様にハイセ達は未知の特殊能力者…通称“魔導師”を発見次第、最優先で排除していた。
銀座方面で遅滞行動を取っていたハイセ達とジューゾー達は、突如として周囲の瓦礫が複数浮き上がりものすごい勢いで自分たちにぶつかって来る事があり、それでたまらず後退せざるを得なかった事が何度かあった。
何度目かの後退の時にハイセは遠目にローブ姿の人影を確認出来た。ジューゾー達に連絡を取り、確認してみた所……
『……そう言えば、そんな人影を何度か見かけましたね。直接向かって来ないから放っておきましたけど。』
……ジューゾー達も同じ理由で後退していた事がわかり、ハイセとジューゾーが次に戦闘になった時にローブ姿の相手を真っ先に排除したら例の攻撃が自分達に向かって来なくなったのである。
その事から、ローブ姿の相手………ハイセの提案で仮に“魔導師”と呼ばれる様になった………が例の攻撃を仕掛けていた事を確信し、ジューゾー達とも連携して発見次第に排除する様になったのである。
数が不明で周囲の瓦礫がいつ凶器に変わるのかわからない事が恐怖を煽るが、ハイセは“魔導師”の数はそれほど多くはないと踏んでいた。仮に“魔導師”が敵集団の主力であれば遅滞行動を始めた当初から攻撃を仕掛けていたはずであるし、確認出来た後もその攻撃は散発的だったからだ。
ハイセの仮説を聞いたアキラとジューゾー、そして伊藤三尉と半井三尉は状況からそれに得心したため、優先的に排除する事に承知したのである。
そのため数の少なかった“魔導師”は更に数を減らしていった。その上……
「あーっ!くそっ!もうやってられっか!」
「ああ!全くだ!報酬前払いのはずが戦が終わった後になるばかりか、「
「ホント冗談じゃねぇ!俺は学費と研究費を稼ぎに来ただけだ!帝国軍と共倒れなんてゴメンだぜ!」
……などと生き残りの“魔導師”達が口々に吐き捨てて『門』の方へと逃げ始める。
「馬鹿者、逃げるな!!敵前逃亡は死罪だぞ!!」
「うるせえ!俺達ゃ兵隊じゃねぇ!!」
「後ろで馬の上から偉そうに!
「何だと!下郎めが!!」
この様子からわかる通り、彼らは正規兵ではない。
敵集団の所属国………帝国の
彼らは帝国の
「異世界への出兵は決定事項だ。主な戦闘は兵達がやる。」と言う言葉と防御魔法………賢者を目指す学徒達が最初に教わる基本技能で弓矢や投石ではまず破れない代物………がある上、異世界の住民は戦う気概の無い軟弱者だと言う話、そして何より出兵当日までの衣食住は保証されると言う事から出兵に同行したのである………出兵当日のギリギリまで衣食住の権利を行使した挙げ句、出兵前夜に夜逃げした要領のいい者もいたのだが………。
その日の生活にすら困窮していた彼らにとって衣食住の保証と言うのはこの上ない魅力であり、それほど危険がないと言う話と異世界の珍しい物が見られると言う話から気軽に構えていたのである。
ところがいざ蓋を開けてみれば前払いだったはずの報酬は反故にされるわ、有無を言わさず最前線に放り込まれるわ、未知の魔法相手に防御魔法は役に立たないわ、帝国軍の指揮官に無理難題を押し付けられるわで元々帝国に対する忠誠心が希薄な事もあってとうとう堪忍袋の緒が切れてしまい、逃亡を始めたのである。
『
『こちらオーガ2、了解。近衛2班へ、後退中の敵集団を警戒。攻撃を受ければ発砲を許可する。送レ。』
『こちら近衛2班、了解!』
『こちらロッド3!念のためドローンを飛ばして追跡させる!送レ!』
『こちらオーガ2、了解。追跡·監視の上、敵に動きがあり次第報告。送レ。』
『こちらロッド3、了解!』
こうして帝国軍側に遠距離からの攻撃手段が無くなってしまい、接近戦では敵重装歩兵が持つ片刃の剣や大鎌で盾や鎧ごと一撃で屠られるので踏み込む事が出来ず手詰まりとなり、冒頭の膠着状態に陥ったのである。
「死を恐れるな!何を怖じ気づいている!貴様らそれでも栄えある帝国の兵か!!」
後方で指揮官が何かと声を張り上げるが、そんな言葉だけで兵達が戦意を上げられる訳もなく……
「……うるせえな、オイ。」
「貴族は後ろでふんぞり返ってりゃいいもんだから、気楽でいいぜ……ったく。」
「ケッ!口で言うだけなら誰でも出来らぁ!」
「そこまで言うなら、テメェが前へ出て戦えってんだ!口だけヤロー!」
……前線の歩兵はかえって白けてそんな悪態を吐き、士気がどんどん落ちていった。
「貴様ァ!聞こえていたぞ!!」
そして指揮官が歩兵に詰め寄った頃……
バララララララララ………
「栄えある帝国貴族に対し、何たる無礼!」
死神達の足音が聞こえ始める……
バララララララララ………
「軍法会議に掛けるまでもない!」
その耳慣れない音は次第に大きくなり……
バララララララララ………
「この場で打ち首に……っ!?」
その男がその音に気付いたその時……
バララララララララ………
「な……何だ!あれは!」
無慈悲に死神の鎌は振るわれる……
ブウゥゥーーゥウン!!
「ギエェェェェェエッ!!」
『こちらクライト3!
『こちらクライト1、了解!クライト2、3は残った
『『『『了解!』』』』
『クライト1より地上部隊各員へ!これより敵地上戦力を殲滅する!貴官らは一旦、皇居内へ退避されたし!送レ!』
『こちらオーガ2、了解。』
『こちらシックル1、了解です。』
ハイセ達は無線を送って来た援軍………対戦車攻撃ヘリ·AH-1S“コブラ”5機の警告に従って機動隊員や近衛達と共に皇居内へ退避する。その直後……
ブウゥゥゥゥゥーーゥゥウン!!
バシュバシュバシュバシュッ!!
ズドドドドドドオォォォオン!!
……“コブラ”に懸架されている20㎜機関砲とハイドラロケット弾が火を吹き、敵集団を次々と吹き飛ばして行く。敵集団の半数以上があっという間に仲良くミンチになった。残りの者達はいきなりの事態に混乱し、右往左往している。
「今だ!隊長!敵の陣形が崩れた!」
近衛から借りたSAA………近衛仕様の“獄卒·弐式”、通称“橋姫”を着装した伊丹が叫び、その場にいた機動隊の隊長が応える。
「了解!催涙弾用意!」
号令に従って機動隊員達がグレネードを構える。
「……発射ァー!!」
ポポポポポポォォォォオン!!
…シュウゥゥゥゥゥウーー!!
「ッ!!ゲホッゲホッ!!」
「ゴホッ!!何が!!」
瞬く間に強力な刺激成分を含むガスが撒き散らされる。そして……
「検挙ォォォォーッ!!」
……ライオットシールドと
数日後
東京新宿区 ホテルグランドヒル市ヶ谷内
“銀座事件”と呼ばれるハイセ達が繰り広げた激闘から、しばらく後。ここでは、その時に多大な功績を上げた自衛官達が表彰を受けていた。
その中にハイセと伊丹の姿もある。
『三等陸尉!伊丹 耀司!』
「ハイ!!」
と、伊丹は表面上凛々しく答えていた。
顔を上に向け涙を堪えるも目から涙が溢れ出す。
何も知らない周囲の人間は、あまりにも光栄な事に思わず涙が溢れたのだろう、と好意的に受け止めていたのだが……
“銀座事件”当日
東京江東区 東京ビッグサイト前
「中止ィーッ!同人誌即売会は中止です!」
「本イベントを楽しみにしていた皆様方!誠に申し訳ございません!銀座での騒動を受け、今回の同人誌即売会は中止となりました!」
その様な叫び声があちこちで聞こえる中、戦闘の事後処理をハイセ達に押し付けて、大急ぎで駆け付けた伊丹は茫然自失となっていた。眼前にあるのは一枚の張り紙。その内容は……
同人誌即売会中止のお知らせ
本日のイベントを楽しみにしていた皆様方
誠に申し訳ございません
銀座での騒動を受け当委員会で協議の結果
本日から開催予定していた同人誌即売会は
皆様のご安全を考慮し中止させて頂きます
本イベントを楽しみにしていた皆様方に…
……これ以上の文字は伊丹の中に入っていない。
彼にとっては
その後、伊丹はどうやって家まで帰ったのか全く覚えていない。その時の彼はただただ昼間の苦労を思い、徒労感に苛まれていた。
……当の伊丹はと言うとそんな事を頭に浮かべていたのである。
隣にいたハイセは内心「御愁傷様…」と思いつつ、笑いを堪えるのに必死であった。
ハイセのみならず、その場で伊丹の実情を知る者達は皆、笑いを堪えていた。
だが、そうとは知らない表彰を行っていた大臣は、その様子を不思議に思い……
「?伊丹三尉、どうしたのかね?」
……と尋ねたものの……
「いいえ……何でもありません!」
……伊丹は涙声でそう答える他なかった。
こうして、伊丹は三等陸尉から昇進し、
二等陸尉となった……
……なっちゃったのである
兵器解説
・AAM-007IG 獄卒·弐式 皇居警察仕様“橋姫”
皇居警察で採用されている要人護衛用SAA。
本来SAAは自衛隊用の装備として採用されたものだが護衛対象の関係上、皇居警察は万が一の失敗も許されないため、護衛対象を確実に守り抜くため採用を決定した。
特徴としてはカラーリングを皇居警察のものに変更し、装備もそれに準じた物(専用のリボルバーとH&K MP-5等)に変更されている。また、複合装甲を使用した専用の大型シールドも合わせて採用された。
機体コードのIGは近衛兵のImperial Guardを指す。
名前の由来は外敵の侵入を防ぐ橋の守護女神から。
・AAM-007RP 獄卒·弐式 機動隊仕様“夜叉”
機動隊で採用されている暴徒鎮圧用SAA。
テロや犯罪が凶悪化の一途を辿っている事を受け、皇居警察に続き機動隊でもSAAの採用が決定された。
特徴は“橋姫”同様カラーリングを機動隊のものに変更し装備もそれに準じた物を採用、更に…
・現在の技術ではライオットシールドの耐弾性を上げる事が出来ないため機体本体の耐弾性を向上
・犯人が建物内に立て籠っていた事を想定して指先に装着可能なCCDカメラユニットを採用
・建物が崩落していてもスムーズな移動を可能にするウインチユニットを装着可能
…と言う様に“橋姫”とは差別化が図られている。
機体コードのRPは機動隊のRiot Policeを指す。
名前の由来は毘沙門天の従属神から。
・82式指揮通信車改
SAAの自衛隊採用に合わせ、既存の82式指揮通信車に前線での指揮管制のための近代化改修を施した物。
車体に三次元レーダーを設置した上に通信機能も強化、各種観測用ドローンを搭載し端末もスパコン級のスペックを誇る最新型の物に換装した。
こうして前線における情報戦の中核となり得る装備となったが最新鋭の機器を惜しみ無く採用し続けたために調達費用が予定よりも大幅にオーバーしてしまい配備数が予定よりも大幅に下回ってしまった。
数を揃える事が出来ないのは現代兵器として致命的である。
現在はどうにかスペックを落とさずコストパフォーマンスを向上させた指揮通信車両を開発中。
伊丹やハイセ以外も戦闘に参加した者は全員が賞詞を受けています。
銀座事件を切っ掛けにハイセ達の中で昇進したのは、ハイセと伊丹以外ではアキラ、ジューゾー、半兵衛、武臣、伊藤、半井、御影、ミズローです。
次回は銀座事件の後のあれこれから『門』への突入までを予定しています………今まで予定通りに行った試しは無いですケド………。
ご意見、ご感想をお待ちしております。