初出勤以降いろいろあって執筆に手間取りました…
やってるうちに文字数がどんどん増えてってえらい有り様になってるし………
今回は皇居前の戦闘後のあれやらこれやらです……
それでは!本編スタート!!
“銀座事件”当日 16:20頃
東京中央区 銀座上空
皇居前でのハイセ達の戦闘が終わった後も各所で戦闘が続いていた。
主に港区、江東区、台東区の警官隊を中心に文京区、新宿区の応援を受けた中央区、千代田区の警官隊と連携して戦闘区域を完全に封鎖し、警察·自衛隊と共同で武装集団を排除もしくは捕縛して包囲網を徐々に狭めて行った。
その途中、上空から戦闘区域を偵察していた
『ッ!?至急!!至急!!オメガ2よりHQへ!!送レ!!』
『こちらHQ!どうした、何があった!?送レ!』
『こちらオメガ2!!銀座六丁目交差点のド真ん中に門の様な建造物を確認!!そして……し…信じ難いのですが………』
『どうした!?報告は正確に行え!!』
『し…失礼しました!!その門の様な物を武装集団が
『は?…消えていってるって…武装集団がか?』
『は…はい!!間違いありません!!』
オメガ2のその報告を聞いて、HQの通信士が一瞬間抜けな声を上げるのも無理はなかった。あまりにも荒唐無稽な報告内容だからだ。
そこへ横から割って入る声があった。
『ちょっと待て。オメガ2。今すぐその映像をこちらへ送れ。』
『!?誰だ、あんた!?』
『
『り…了解!!』
横から割って入った男………丸手
だが、
同時刻 東京港区
愛宕警察署·敷地内 自衛隊·臨時作戦本部
「な…何だ…これは……?」
「お…俺は夢でも見てるのか?」
「バカな!…カメラかモニターの故障だろう?」
オメガ2から送られて来た映像には、彼らの言う通りの光景が映し出されていた。
「いや……確か最初の銀座からの無線では“正体不明の暴漢の集団が突然現れて…”と、言ってたな。なら一体どこからどうやって?って話だろ?」
その中で丸手はただ一人、冷静に事態を捉え始めていた。彼は、更に続ける。
「もし、この映像の光景が事実だとしたら、原理の方はともかく理由としては、これで説明が付く。」
「……ならば、この…仮に“門”と名付けるとして、これを破壊してしまえば………」
「いや、原理も何も解らねえってのに迂闊に破壊するのは不味い。もし、別の場所に同じ物が現れて、同じ事が起こっちゃ目も当てられねぇ。」
「………」
“門”の破壊を進言した幹部自衛官に丸手は理路整然と理由を説明し待ったを掛ける。
だが敵集団の出現ポイントが確定した以上、そこを放置する理由は無い。
「ただ、ここから敵が出入りしている以上、銀座にあるこの“門”を確保しておく必要がある………現在の現場周辺の制空権はどうなっている?」
「ハッ!確認出来ていた
「よし!一旦、コブラを全機下げて補給させろ!補給後に“門”の周辺の敵を殲滅させる!コブラが来るまでの間、ガンシップを3~4機、該当空域に留まらせて遠距離から銃撃させろ!殲滅する必要は無い!“門”へ入れない様にするだけでいい!敵の射程範囲に入らない様に注意しろ!」
「了解!」
「篠原ァ!黒磐ァ!死んでもいい優秀な奴をそれぞれ10人ほど連れて“門”の確保に向かえ!」
丸手は、このHQに同席している篠原陸将補と黒磐陸将補を“門”の確保に向かう様に命じる。
この二人は本来は
他の実戦力はほぼ出払っており、他にその命令を実行·実現出来る人材がいないため、篠原と黒磐は即座に命令を実行へ移して行った。
同時刻
東京中央区 銀座六丁目交差点付近
「負傷者が先だ!」
「早くアルヌスの陣地まで撤退するんだ!」
「急げ!敵はもう目の前だぞ!!」
「奴隷や戦利品など放っておけ!急げ、急げ!」
その頃、帝国軍はかつて無い壊滅的損害を受けて這々の体で敗走していた。もっとも、その事を口に出そうものなら……
「これは敗走では無い!態勢を整える為の一時後退だ!」
……などとヒステリックに反論するため、口にする者は居なかったものの、周囲の有様は
……ババババババババババババ……
そこへ数機の
その側面にはM2ブローニングやM134ミニガンがドアガンとして懸架されており、既に
「て…鉄の天馬!」
敗走している兵の一人が叫ぶ。
彼らにとって、弓も届かない場所から一方的に破壊を振り撒くそれは、
そして、彼らに慈悲と言うものは全く無い。誰であろうと平等に死と破壊をもたらすのである。
ズドドドドドドド!!
ブウゥゥゥゥーン!!
「ゲベエェェッッ!!」
「アガアァァッッ!!」
「後退!後退しろ!」
「『門』から離れろ!」
「急げ!急げ!」
指揮官は敵が『門』へ向かう兵を優先的に攻撃していたため、慌ててそう命じた………相手を誘導するため、あからさまな形でそう攻撃したので、当たり前だったが………。
やがて、
……バラララララララララララ……
………補給を終えた
そして、先ほどの
ブウゥゥゥゥゥゥーーーゥウン!!
バシュ!バシュ!バシュ!バシュ!バシュ!バシュ!
シュパァッ!シュパァッ!シュパァッ! シュパァッ!
ドガガガガガガガガアァァァァッッ!!
ズドドドドドドドオォォォォォオン!!
その場に居た者のほとんどがミンチになるか地面のシミと化した。
運良く生き残った者も、
同時刻
東京中央区 銀座三丁目松屋通り付近
「後続はついて来ているか?」
「ダメだ!悪所の様な路地で散り散りに!」
「クソッ!俺たちだけか!?」
「『門』を奪われる前に我々も撤退するぞ!」
ここでは、皇居前の戦闘時の混乱で本隊からはぐれた騎兵が三人『門』へと向かって馬を走らせている所であった。帝国史上、類を見ない程の大敗北を喫しているため、その表情には全く余裕が無い。
「前方より騎兵3!接近!」
「放水用ー意!!」
そして、進行方向にある路地の出口でこちらへ向けた奇妙な筒を備えた鉄の荷車………機動隊の放水車と共に機動隊員が待ち構えていた。
ブシャァァァァァァアーーッ!!
「ぶわっ!」
「おわっ!」
「わあっ!」
放水車のノズルから騎兵三人に水がぶち撒けられる。
殺傷力は無いが、量と圧力によってはただの水であっても十分な制圧力がある。騎兵三人は放水の水圧でたまらずに落馬した。
そして、落馬した三人にライオットシールドや特殊警棒、警杖を構えて機動隊員がジリジリと距離を詰める。
「腰抜けの蛮族共め!正々堂々と剣を持って戦う者は………」
騎兵の一人が銀座で自分たちがやった事を完全に棚に上げて勝手な事を喚き立てるが………
ドシャァァァァァァアーーッ!!
「のわっ!」
………お前の理屈など知ったことかと言わんばかりに放水車から更に水をぶち撒けられた。
パシュッ!
更に機動隊員の一人が騎兵達にネットシューターを撃ち込み、動きを封じた上で他の隊員達がライオットシールドで押さえ付けて手錠を掛ける。
「三名確保ォォー!!」
「気を付けろ!ナイフも持っている!」
こうして、騎兵の三人は犯罪者として警察にあえなく逮捕された。
そして、護送車へと連行している最中に……
「触るな!下賎な蛮族ごときが!!」
……反抗的な態度を改めない騎兵の一人を……
ガッ!ドシャッ!
……足を掛けて蹴倒した上……
ガスガスガスガス!!ドカドカドカドカドカ!!
ゴスゴスゴスゴス!!ゲシゲシゲシゲシゲシ!!
……拳で、警棒で、安全靴で、シールドで袋叩きにしていた。
「将軍ッ!!」
「ヘルム殿ォ!!」
たまらず止めに入ろうとした他の二人も……
ガッ!ドシャッ!
ガスガスガスガス!!ドカドカドカドカドカ!!
ゴスゴスゴスゴス!!ゲシゲシゲシゲシゲシ!!
……最初の一人と同じ目に会わされる。
三人を袋叩きにしている機動隊員達に“容赦”の二文字は全く無い。それでいて彼らは実に巧みであった。
機動隊員は自衛隊員以上に実戦経験豊富な上に、暴徒鎮圧のプロフェッショナルかつスペシャリストである。
彼らはどこをどう殴れば、致命傷を負わせる事なく効果的に相手を痛めつけられるか、経験上熟知しているのである。
実はこれはハイセの発案であった。
彼は戦闘中に前面でしぶしぶ戦う歩兵と後方で命令を下す気位の高い騎兵がいることに気付いていて、もし騎兵が生き残って逮捕されたとしても、大人しく連行されるとはとても思えなかったのである。
かといって言葉の通じない者を相手に、まともな方法ではどう考えても自分の立場を解らせる事は出来ないであろう事は容易に想像が付く。
そこで、こういった荒事に対して経験豊富な機動隊員に「体で自分の立場を解らせる」と言う役目を一任したのである。
実はその前に皇居前で実験的にハイセ自身がそれを行おうとしたが、適当に帝国の騎兵を一人捕まえて無言無表情で往復ビンタを(しかもSAAを着装したまま拳で)やり続けていたら、当の帝国兵のみならず周囲の味方の一部までドン引きしてしまい、さすがに自分では力加減を間違えて殺しかねない事に気付き、機動隊員に一任する事になったのだ………(本当はビミョーに違うが)。
後に“実験台”にされた帝国兵曰く………
「ああ……あの時の事は、未だにハッキリと覚えている………あの時、私を打擲していたあの男は……ううっ……いかん!あの時の事を思い出すとまた震えが………」
………大量に冷や汗を掻きながら、そう答えていたとか、いなかったとか………。
こうして機動隊員に徹底的に痛めつけられた三人は、未だ反抗的な目をしていたものの、抵抗しても殴られるだけだと悟り、とりあえずは大人しくなった。
だが彼らにとっての屈辱的な仕打ちは、それだけに留まらなかった。
「中へ入れ!!」
「!!」
彼らが連れ込まれた護送車の中に居たのは人間ではなく……
「ご…ゴブリンと同じ檻だと!?」
……先に捕獲されていたゴブリンであった。
「ふ…ふざけるな!子爵たる私をゴブリンと同じ檻などに!」
「いいから、さっさと座れ!!」
ガスッ!!
反射的に抗議して再び殴られる。
これも、獣と同じ扱いを受ければ嫌でも自分の立場を理解するであろう、といったハイセの発案である。
そしてハイセの目論見通り、その一部始終を見ていた周囲の帝国兵は今まで自分を守っていた帝国貴族と言う肩書きがここでは何の役にも立たない事を思い知らされ、無為な抵抗をする事無く大人しく連行されていった。
この日、一日の戦闘でおよそ六千人の逮捕者とその十倍におよぶ武装集団側の死亡者、そして数千人におよぶ民間人の犠牲者が出たのであった。
そして、その日に逮捕された者達は瀬戸内海の無人島を急遽整備した仮設の留置場へと移されて行った。
翌日
東京中央区 銀座六丁目交差点
昨日武装集団を殲滅し、先行して『門』を確保していた篠原達と本隊が合流して先刻まで『門』の周囲を取り囲んで警戒していた。
しかし『門』の確保から12時間以上経ってなお、武装集団が再び現れる気配が無く警戒だけを続けていても埒が明かないので、戦車を主力とした機甲部隊を『門』の前へ待機させ、有線式自走型ドローンを『門』の中へ偵察に向かわせる事となった。
こちら側からでは『門』の向こうの様子を確認出来ず、生身の隊員を斥候に出すのは危険過ぎるためだ。
そして、ドローンから送られて来た映像には……
同時刻 東京港区
愛宕警察署·敷地内 自衛隊·臨時作戦本部
「………ずいぶん舐められたものだな………。」
……小柄な異形の人形生物………通称“ゴブリン”が中心となって陣地を構築していた光景が映っていた。その映像を見ていた丸手が不機嫌な声で呟く。
「………昨日、あれだけ叩きのめされたにも関わらず、まだ勝てる気でいやがんのか?」
モニターに映るその光景に丸手は不機嫌さを通り越して半ば呆れた様子でそう述べた。
「こちらHQ!!
『こちら阿藤!感度良好!』
丸手は機甲部隊の指揮官である阿藤
「こちらHQ!!この映像は見てるな!?送レ!!」
『こちら阿藤!ええ……舐められたものですね………送レ!』
前線部隊の指揮官である阿藤も、車内モニターでこの映像を見ており、無線の声には抑えきれない憤りが滲み出ていた。
そこに映っている敵の陣地は、どう見ても防衛のためではなく再進攻に備えたものであった。つまり戦力を整えてしまえば今度こそ勝てると、相手が高を括っている何よりの証明である。
今度は前線部隊全てに無線を繋ぎ、命令を伝えた。
「こちらHQ!!これから
丸手は一旦言葉を切る。
「奴らの馬鹿げた誇大妄想もろとも何もかも徹底的に叩き潰せ!!送レ!!」
『『『『『『了解!』』』』』』
命令を受けた阿藤は、即座にそれを実行へと移すため部下達に無線を飛ばす。
「201機甲部隊!各員状況知らせ!」
『
『
『
『
『
「よし!201全車!前進よーい!!」
そして、阿藤はこれから起こる戦闘に覚悟を決める。
「前進!!」
『前へ!!』
その後、ドーザーを装備した10式戦車を先頭に押し立てて、阿藤率いる201機甲部隊は帝国軍が築いた陣地を作業に当たっていたゴブリンもろとも押し潰し、それぞれ装備した火器を用いて周囲の陣地を徹底的に破壊しつくした。
これにより、帝国軍はアルヌスの丘から後退せざるを得なくなったのである。
兵器解説
・
ジューゾーの使用しているメインウエポン。
元は最新素材を使用したSAA用試作武器の大鎌(ver.1)で、ジューゾーがそれを見て大いに気に入り、他に使いこなせるクラダーがいなかったので事実上ジューゾーの専用武器となった、と言う経緯がある。その時にジューゾー自身がこれに命名している。
後に鎌の刃を折り畳んで槍の穂先が出てくるギミックを追加し(ver.2)、更に鎌の刃先部分を高周波ブレードに換装したものが現在の姿である。
イメージ及び元ネタは、「ちるらん~
ちなみに8話目でハイセが帝国軍をまとめて一刀両断にしたシーンは、同じく「ちるらん」の登場人物の中村 半次郎が使う変則示現流をイメージしています。
そのうち、歳さんの「
最近はコロナが爆発的に広がってメチャクチャ窮屈ですねぇ………ホントにあれやっちゃダメこれやっちゃダメって………
これで少しでも閉塞感がマシに………なってくれればいいなぁ………
次回こそは門の突入まで書いていきたい!
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