皆さん!お待たせして申し訳ありません!
書くだけ書いて、投稿するのをすっかり忘れてしまってました………
朝からセミの鳴き声が聞こえて来て、今やすっかり夏ですね………
それでは、本編スタート!
………う~……暑い~~~………
アルヌス駐屯地 派遣部隊本部棟
特機普通科教導隊 事務室
「……なるほど……ありがとう、佐々木二尉。おかげで今後の課題が浮き彫りになったよ」
ACIESのカメラで撮影された映像と合わせてハイセの説明を受けた地行
「いえ、お役に立ててなによりですよ」
「わかっていた事だけど、やはり連射ができないのはネックだね。電源に関しては改良と工夫次第で何とかなるとして、最大の問題は銃身か……」
「ええ、発射時の高熱に耐えられて、尚且つ変形する事のない素材の開発が必要になります。発射の度に銃身を交換していては、材料がいくらあっても足りません。コストがかかり過ぎます」
「新素材の開発か……高熱に変形する事なく耐えられて、尚且つ安く作る事のできる素材となると……仮にできたとしても、それを加工する事自体難しそうだね」
新しく立ちはだかって来た難題に、地行は頭を抱える。
「そういえば、
「ああ、あれか!僕も少し見せてもらったけど、あの鱗一つを取っても現在の材料工学に一石を投じる代物だよ!」
「それほど凄いんですか?」
「ああ!ちょっと見ただけだから正確な硬度はわからないけど、50口径以下の弾丸を全て弾き返した、って話から推測するにタングステン並の硬度があると思う!その上、驚く程軽かったから、SAAの装甲材はもちろんの事、ひょっとしたら、さっきの銃身の問題も何とかなるかも!ちゃんとした研究をしてみないと、まだ確実な事は言えないけど、可能性はあると思う!」
「わ…わかったから、落ち着いて下さい!」
かなり興奮した様子で地行は語った。
「ずいぶん、盛り上がってるな」
ハイセが地行にドン引きしていたところに、日本からの連絡で席を外していたアキラがやって来た。
「あっ、アキラさん!さっきの連絡は、何だったんですか?」
「ああ、銀座事件の時にお前が使っていた「
「え?本当ですか?ひょっとして、地行博士もこの事を……」
「うん、本当は機体と一緒に特地に来る予定だったけど、レールガンの話を聞かされたから、僕だけ先にこっちへ来たんだ」
「そういうことでしたか……正直、助かります。「獄卒·弐式」みたいな一般機も決して悪くはないんですが、反応速度が鈍くて……」
「おいおい、贅沢言わないでくれよ……佐々木二尉が使ってる機体も、リミッターを外してチューンナップしたものなんだから……あれだって、そこらの隊員には扱えない代物だよ?」
地行の言うように、今までハイセが使っていた機体は伊丹や富田、倉田といった3偵の隊員には到底扱いきれない代物である。本人には自覚はないが、ピーキーな機体を好んで使う傾向があるのだ。
「とにかく明日の午後からだから、その時はよろしく」
「わかりました。あ、もういいでしょうか?避難民の様子を見ておきたいので……」
ハイセはそう言って、部屋から出ようとする。
「……ハイセ……」
「?……何ですか、アキラさん?」
そこへ、アキラが呼び止めた。
「……あまり入れ込み過ぎるなよ?」
「……どういう事でしょうか?」
「我々は、ずっと彼らに依り添い続けられる訳じゃない。我々には撤退命令が発令されれば、日本に戻る義務がある」
「……それは……」
「彼らとこれ以上関係を続けるな、とは言わない。だが撤退命令が出てしまえば、彼らを見捨てて日本に戻らざるを得なくなる。その事は、常に頭に入れておけ」
「……わかりました……」
それだけ言って、今度こそハイセは部屋を出ていった。
(やれやれ……
アキラは内心、ため息をつくのであった。
とりあえず、伊丹は当面の問題解決……避難民保護のために、各種手続きに着手した。
とりあえず、
とりあえず、駐屯地麓の森近くにテントを設置して、避難民にはそこで寝泊まりしてもらう。
とりあえず、避難民には
とりあえず、怪我人·病人を医官に診てもらう。
とりあえず、避難民の衣類を手配する。
とりあえず、避難民の老人などに子供たちの面倒を見てもらう様に頼む。
それが終われば、いつまでもテント生活、という訳にもいかないので、とりあえず仮設住宅の建設を手配する。
いつまでも
それらの「とりあえず」を実現させるために、伊丹は大量の書類と格闘するハメになった。つくづく、ハイセへ仕事を押し付ける事に失敗したのが悔やまれる伊丹である。その様子を見たハイセは、心底安堵していたとか……
書類事務に詳しい仁科に助言を貰いながら、柳田から重箱の隅をつつく様な細かいダメ出しを受けつつ、
「お役所の公務員なら、これ片手間に終わる仕事なんですけどね……」とは仁科の言である。
それに対し伊丹は……
「同じ国家公務員でも、「特別」が付くか付かないかでこれだけ違う。いやー俺、特別国家公務員でよかったよかった……書類はもーイヤ……」
……などと言ったとか、言わなかったとか……
準備にゃ異様に手間取るが、手を付け始めると異様に早いのが自衛隊の仕事である。伊丹の提出した書類が
アルヌスの丘を南に外れる事、約2㎞。そこへ、避難民のための仮設住宅が建設される事となった。
ブロロロロロロロロロ………
早速建設用の資機材一式が、数台のトラックによって麓の森近くに運び込まれる。
ビイィィィィィィィィィィン!
バサバサッ!ズズゥゥゥゥゥン……
ガガガガガガガガガガガガ………
カーン!カーン!カーン!
キュィィィイン!キュィィィイン!
施設課の隊員たちの手により、瞬く間に麓の森が切り開かれ、地面が均されて簡易ながら家が建てられる。
バサッ!バサッ!バサッ!
ビイィィィィィィィイン!
ズンッ!ズンッ!ズンッ!
ゴト……ン……
伐採された木は枝が払われ、適度な大きさの丸太にされた後、パワーローダーで作業現場の片隅に積み上げられて固定される。
レレイは自らの理解を遥かに越えるその光景に、圧倒され通しであった。
「やれやれ……これでようやく、馬車から荷物を降ろせるわい……儂ゃ、もう寝る……」
カトーはそう言って、テントの中に引っ込んで行った。レレイも、その意見には大いに賛同できる。
常識はずれなほど軽快に動く重装歩兵。
馬も牽かずに疾走する鉄の荷車。
炎龍をも撃退する巨大な魔法の杖。
アルヌスの丘に建設された巨大な要塞。
爆音を響かせ空を舞う鉄のトンボ。
人が乗って操る鉄のジャイアントオーガ。
数人の大柄な
巨大なスコップを前に備えて、土木作業員数十人分の大量の土を掻き出す鉄の車。
巨大な鉄板を地面に立てて、あっという間に地面を均して行く鉄の牛。
瞬く間に家を建ててしまう、圧倒的な技術力。
ハッキリ言って、レレイは驚き疲れていた。
知識のない子供たちや老人の方が、素直にそういうものだと受け入れている。
「こんな光景を見のがしたと知ったら、お父さんきっとガッカリするわね……後で教えてあげなきゃ……」
体調の快復したエルフの少女……テュカが、自衛隊から支給されたTシャツとジーンズに身を包み、感心した様子で作業を眺めていた。
実に羨ましい……いろんな意味で。
素直に驚き、感心していて悩まずに済んでいるテュカに、Tシャツとジーンズに包まれる均整のとれた肢体を眺めて、レレイはそう感じた。
自分はなまじ知識があるが故に、理解不能な光景に頭を抱えているというのに……と、理不尽な考えまで浮かぶ。
断じて、自らの体型と見比べて
だが自分は賢者として生きていく事を決めた以上、理解不能な事から目を逸らす事は許されない……と、自らを叱咤し前へ足を踏み出す……
『危ないぞ!下がってろ!』
……がしかし、整地された地面を測量している施設課隊員に、大声で止められてしまった。
確かに作業現場では、種々様々な建設用の機器が動き回っている。巻き込まれればひとたまりもないので、止められた事も理解できる。
中へ入る事は諦め周囲を見回すと、何やら何人かの人間が集まって料理をしている光景が目に入った。
(あれは……移動できる
あんなものがあれば、軍だけでなく
そこでは古田が包丁を振るっている。
(まさか、自分が自衛隊で包丁を振るう事になるとはな……)
彼は一流料亭の元板前で、とある事情により料亭をクビになり自らの店の開店資金を稼ぐため自衛隊に入隊した、という異色の経歴の持ち主である。
「ん………?」
不意に傍らを見ると、レレイが興味深そうに調理の様子と食材を見ていた。
「ああ、もうちょっとでできるからなぁ。待っててくれよぉ」
古田はレレイへ親しげに話しかけた。
「
「ん?」
レレイが大根を指さし聞いている。
「……ああ、大根だよ。大根」
古田が質問を察して、答える。
「
「そう、大根」
シュルシュルシュルシュル……
古田は答えながら、大根を桂剥きにしていく。
(彼らの国の男性は皆、彼の様に料理達者なのだろうか?)
レレイはその作業を驚いた顔で見て、そんな感想を抱いた。
そして今の段階では、これ以上詳しく彼らの事を知る事は不可能に近いと考える。
彼らがコダ村に来た時から今までのやり取りで、彼らはこちらへ積極的に話しかけ、コミュニケーションを取って言葉を覚えようとしている事は理解できた。
だが、彼らがこちらの言葉を覚えるのを待っていては遅すぎる。彼らへの理解を深めるにはこちらが彼らの言葉を覚える方が早いと悟り、彼らの言葉を覚える事を決意した。
こうして、レレイはその生まれ持った聡明さによって、猛烈な勢いで日本語を習得していく事となる……若干の誤解と共に……。
「はーーーい!皆さんの住民登録するから、集まってくださーい!」
仮設住宅の建設が終わり施設課隊員が機材共々引き上げた後、伊丹たちは記録準備を終えて栗林の呼びかけで避難民たちを集合させた。
そして、一人ずつ名前を聞き顔写真を撮る。
『儂は導師号を持つコダ村の賢者、カトー·エル·アルテスタン』
『私はその弟子、レレイ·ラ·レレーナ』
『私はコアンの森ホドリュー·レイ·マルソーの娘、テュカ·ルナ·マルソー』
『エムロイの使徒、ロウリィ·マーキュリー』
といった具合に、改めて全員に自己紹介をしてもらった。
「避難民の内約は老人が3人、中年の男女が3人、子供が19人で合計25人。で?子供のうち、3人が
伊丹が記録を採った避難民の表を見ながら尋ねた。
「はい、レレイちゃんは15歳なので大人なんだそうです」
レレイがハンドサインの様に手を動かす横で、黒川がそう答え「片手で69まで数えられるそうです」と付け加える。
「テュカは165歳」
レレイが僅か半日で覚えた日本語で、たどたどしいながらも答える。
「本当にエルフだねぇ……」
レレイが僅かな間で会話ができるほどまでに日本語を習得した事に内心驚愕しつつ、伊丹が返す。
「……で?あと1人は?」
「あの神官少女だそうです」
黒川が年少の子供たちの遊び相手をしているロウリィに、視線を向けて答える。
「え?どう見ても15歳以上に見えないけど?」
「子供、違う。年上の年上の年上のもっと年上」
伊丹の疑問にレレイが答えた。
「じゃあ、何歳なのか聞いてきてくれる?」
プルプルプルプルプルプル………
「……怖くて聞けない……」
レレイは伊丹の頼みを、真っ青にした顔を左右に振って断る。
(
レレイの様な少女が、そんな顔をするほどなのか?……と伊丹は疑問を抱くのだった。
「じゃあ、仕方ないな……」
伊丹は「困ったときのハイセ頼み」と言わんばかりに、ハイセに視線を向けるが……
「僕は嫌ですよ!女性に
……ハイセは友人の中に年上の女性が多く、その経験上女性に年齢を尋ねる事の恐ろしさを骨身に染みて理解しているので、断固として拒否する。
(そう言えば
ハイセの脳裏には、ボブカットで左目に泣きぼくろがあるオッドアイの長身女性が、笑顔のまま無言で圧力をかけている光景が浮かんだ。
結局、件の少女については「年齢不詳」という形に落ち着いたのであった。
その日の夜……
「さて……彼らには何から何まで世話になった」
カトーが住む事になった部屋に、避難民の中で比較的年長の者たちが集まっていた。
年少の子供たちは皆、既に寝静まっている。
「水や食料を分けてもらい、怪我人や病人を看てもらったのみならず、こんな立派な家まで建ててもらって……感謝してもしきれん」
伊丹たちについて来た避難民たちは、最悪自分たちは着の身着のまま宿無しの生活を強いられた挙げ句、奴隷に売られるのではないかと危惧していたが、実際にはこれ以上ないほど優遇されていた。
下手をすれば、コダ村にいた時よりも遥かに豊かで満たされた生活を送っているのである。
「世話になってばかりでいる訳にもいかんから、せめて生活費だけでも自分たちで何とかしたいが……」
カトーが避難民を集めた理由はそれであった。
世話になった者たちに、せめて自分たちで何かできないかと話し合うためである。
「じゃが残っているのが、老人と怪我人に子供ばかりではのう……」
「……丘の兵隊に身売りするしかないのかも」
テュカが顔を赤くしながらそう言った。彼女を筆頭に、10代半ばの少女たちが揃って赤くなる。
「彼らに仕事がないか、聞いてみては?」
レレイはそう提案する。
「……そうじゃな。それに、砦の周りに結構な数の翼竜の死体が転がっておる」
カトーもここ数日を無為に過ごしていた訳ではなく、駐屯地の周辺をそれとなく観察していた。
「竜の鱗は貴重じゃ。死体のいくつかをこちらに譲ってもらう様に何とか交渉しよう」
こうして、当面の行動方針が決まった。
翌日……
カトーはレレイと連れ立って、自衛隊に翼竜の死体の引き取りの交渉に来たのであるが、相手側の返答は意外なものであった。
「何と!好きに取っていいとな、レレイ?」
「そう言ってる」
交渉が難航すると予測していたカトーにとって、この返答は意外過ぎるものだった。
彼の内心を表現するならば「え?いいの?本当にいいの?こんな貰っちゃって本当にいいの?」といったところである。
『いいんじゃない?どーせ射撃訓練の的にしてるだけだし。自活に役立つなら、幾らでも持って行っちゃって』
言うなれば、宝石の山を前に「好きなだけつかみ取りしていい」と言っている様なものなのである。戸惑うのは当然と言えた。
カトーは相手側の返答に唖然としつつ、自活のための元手をあっさり手に入れたのであった。
カトーたちは翼竜の死体を引き取る事に了承を得る事ができたので、その日の内に鱗や爪、牙といった換金できるものを剥ぎ取るための準備にかかった。
といっても素手で簡単かつ気軽にできる作業ではないので、自衛隊に道具や防護服を借りたり、翼竜の死体を仮設住宅より少し離れた広い場所へ移動させて貰ったりしたが、剥ぎ取りの作業自体は避難民の手で行う。
そしてこの日から当分の間、避難民たちの日課に翼竜の鱗、爪、牙の剥ぎ取りと洗浄、選別の仕事が加わったのである。
本作では「東京喰種:re Cinderella」の時間軸を採用しているので、時期的にはアニメ「アイドルマスターシンデレラガールズ」の3年後という設定です。
そのためハイセは友人にデレマスのアイドルが多数いるものの、その分(+3歳)加齢しています。
つまりハイセの脳裏に浮かんだ「あの人」はいうに及ばず、他のお姉さまがたも………
ピンポーーン
おや?こんな時間に誰だろう?
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ウワッ!ナニヲスル!ヤメローーー!
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プツッ!
ザーーーーーーー………