ゲートSAA彼の地にて斯く戦えり   作:素面ライダー

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 どーも!こんばんは!

 YouTubeにおいてガンダムブレイカー・バトローグが全話配信された事を(勝手に)記念して、今回は急遽番外編をお送りします!

 続きを期待していた方々は本当に申し訳ありません!

 本編の方は現在イタリカへの出発直前の辺りを執筆していますので、気長にお待ちください!

 それでは!番外編スタートです!
 


番外編 ガンダムブレイカー・バトローグ 全6話 配信終了記念企画

 

 時は遡る………

 

 ハイセたち第3偵察隊がどうにか炎龍を撃退して、避難民を引き連れてアルヌスへ帰還する……そのおよそ2年前……

 

 東京某所 塩見(しおみ)家邸宅

 

 そこは専らリビング兼ガンプラ工作室として使用している和室の入口である。そこで兄に呼び出された塩見 周子(しゅうこ)は怪訝な顔をして立ち尽くしていた。

 

 その目に写ったのは、例えるならサイ○イマンに自爆されたヤ○チャの様な格好で横たわっている自身の兄……塩見 周介(しゅうすけ)その人であった。

 

 周子はその日周介に自宅に呼び出され、あれこれ寄り道を繰り返しながら兄の家に到着してその光景を目撃したのである。

 

 その部屋の片隅には、密閉型で中に入るタイプのやや大きめの筐体(きょうたい)が2つ設置されていた。部屋の中央のローテーブルには、ガンプラの箱とパーツを切り離した後のランナー、そして様々な工具が所狭しと置いてある。

 

 壁のガラス棚には様々なガンプラが飾ってあった。しょっちゅうこの家に転がり込んでいる周子にも、見覚えのないガンプラが複数飾られている。その事実がそれらがつい最近……もしくは今日作られたばかりのものであることを示していた。

 

佐々木(ささき)……これ一体、何があったん?」

 

 周子が部屋の縁側の外……家の庭で作業机を広げ、全長約5m・全幅約3m・全高約0.85mの大型ガンプラ……PGアルビオンを組み立てている青年……佐々木 琲世(はいせ)三等陸尉(つい先日、准陸尉から昇進したばかり)に尋ねる。

 

「ああ……実はね、周子ちゃん……」

 

 ハイセはそう言って、事ここに至るまでの状況を話し始めた……

 


 

 数時間前……

 

「ガンプラ·バトルシミュレーター?」

 

 件の和室でハイセは素っ頓狂な声をあげる。

 

「オウ!俺の悪友(ツレ)が作った試作品だ!」

 

 そう自慢気に語るのは、有無を言わさずハイセを連行して来た周介である。

 

「……で?()()のモニターを手伝ってくれって言うんですか?僕だって忙しいんですケド……」

 

 それがハイセを連れ出した理由であった。

 

 周介の悪友である通称「博士」が同じく通称「社長」の資金援助の下、完成させたのがハイセたちの眼前にある筐体……「ガンプラ·バトルシミュレーター」である。

 

 これは表向きはゲーセン用の新型筐体として作られているが、実際は「博士」が秘密裏に開発·作成したMSが量産化·実戦配備される事を見越して「社長」が製作させた、パイロット育成用シミュレーターなのだ。もっとも、ハイセはその事を知る由も無いのだが……。

 

 余談だが、「社長」とたびたび仕事がかち合っている海運業者(HCLI)の重役……ココ·ヘクマティアルがこの事実を知り、裏で2人の私兵が戦争状態になっていたりする。

 

「まあ、1人で組み立てるには厄介なガンプラ作りも手伝ってほしいってのもあるけどな!心配しなくても、後で周子と貴音(たかね)もここに来る」

 

「……?貴音って……765(なむこ)プロの四条(しじょう) 貴音さんの事ですか?」

 

「ああ、そうだが?……って、ああそうか!お前にはまだ話してなかったな!」

 

 周介は何かを思いついたかのように、1人納得する。

 

「……?一体、どういう事ですか?」

 

「ああ、貴音は俺の妹だ。ガキの頃に養子に出てったから、名字は違うけどな」

 

「へ?」

 

 ハイセは思わず間抜けな声をあげた。

 

「俺らの実家は割と古くから京都にある大きな家でな……まあ、俺らの家はその分家の1つなんだが……そういう家では、子供ができない所に養子を出すことが、割りかしフツーにある。貴音もその1人だ」

 

「そ……そういう事ですか……」

 

 ハイセはどうにか納得する。

 

「ま、とにかくだ!お前には対戦型の機能のモニターを手伝ってほしい!こればっかりは1人じゃどーにもならんからな!」

 

「……さっき美人の同居人を見かけましたケド、彼女に手伝ってもらう事は出来ないんですか?」

 

「ああ、詩音(しおん)は執筆の追い込み作業の真っ最中でな。今は全く手を離せないそうだ」

 

 ハイセの言う同居人……双海(ふたみ) 詩音は、半年前に彗星の如くデビューを果たした新進気鋭の売れっ子作家である。ハイセが家の中でその姿を見たとき、内心ではかなり驚いていた。

 

 それは向こうも同じで、自身初めてのサイン会で見かけた印象の残る白髪の青年が居候先に来ていた事に驚いていた。きっと今ごろは若干パニックになって、執筆になかなか手がつかなくなっているであろう。

 

「……事情は分かりましたケド、僕ガンプラなんて持ってませんよ?」

 

「心配要らん!俺のガンプラを貸してやる!まだ組み立ててないヤツばかりだがな!」

 

 そう言って、周介は山となっているガンプラの箱を示す。それらは全て未開封である。

 

「……こういうのって、自分の手で組み立てるから面白いんじゃないですか?」

 

「……まあ、細かい事は気にするな」

 

 周介は明後日の方向を向いてそう(のたま)う。

 

「ちなみに断ったら?」

 

「俺の愛車で、関東全域の弾丸ツアーヘご招待だ」

 

「手伝わせていただきます」

 

 ハイセは即答した。

 

「はぁ、じゃあとりあえず……」

 

 そう言って、ハイセが適当にガンプラの箱に手を出そうとすると……

 

「あー、待った待った!大きめの箱は、その分部品点数も多くて複雑だから……」

 

 ……周介はMGガンダムヘビーアームズ EW(イーゲル装備)を手に取りかけたハイセを止めて……

 

「……こっちにした方がいい。これなら部品点数も少なくて、初心者にはうってつけだ」

 

 ……箱の山の中からHGUC 1/144 ジムⅡを取り出す。

 

「分かりました。それと工具はありますか?あと出来れば組み立てのコツとかが載ってある本があれば見せてほしいのですが……」

 

「ああ、そこの棚にあるホビー雑誌とかがそうだ。工具は持って来るから少し待ってろ」

 

 そう言って、周介は部屋から出ていった。

 

 ハイセは待っている間に月刊ホビー○ャパンやモデルグラ○ィックス、電撃ホビーマ○ジンなどを読み耽る。

 

「オウ、待たせたな……って、うおっ!」

 

 周介が部屋ヘ戻る頃には、ハイセは部屋の雑誌のほぼ全てを読み終えていた。もっとも、複数の雑誌が(ページ)を開いた状態でハイセの周囲に置かれており、その光景に周介はドン引きしていたが……

 


 

 それから1時間も経たない内に、ハイセはガンプラを1体組み上げた。その出来映えは、初心者とは思えない程の見事なものであった。

 

 それはパチ組み(キットに塗装を行わず、そのまま組み立てる事)であるにも関わらず、パーツの継ぎ目やランナーからの切断箇所を丁寧に処理してあり、型板の継ぎ目もヤスリがけしているため一見するとパチ組みには見えない。

 

 このままでも結構な完成度だが、本格的に表面処理と塗装を行えば素組み(キットのパーツに表面処理や塗装などを行い美しく仕上げた上で組み立てる事)でも相当な代物になるであろう事は容易に想像出来た。

 

「ヘ……へえ、なかなか上手いじゃないか」

 

 組み立て途中のHGUC 1/144 ジムⅢ(ユニコーン デザートカラーVer.)を片手に周介は震えた声で言う。

 

 周介のガンプラの仕上がり具合は、ハイセのそれと見比べれば素人目にも月とスッポンなので、完全に負け惜しみである。

 

「俺の方はもう少しかかりそうだから、暇なら他のやつを組み立ててもいいぞ」

 

「分かりました」

 

 そう言って、ハイセは再びガンプラの箱の山を漁り始めた。周介がその陰で、ほくそ笑んでいる事に気付かないまま……

 


 

 結局周介が1体組み上げてる間に、ハイセはHGUC 1/144 ジム·カスタム、ジム·キャノンⅡ、ジム改、ジムクゥエルの4体を組み上げていた。しかも回数を重ねる内に、ハイセのガンプラの出来映えは加速度的に向上していた。

 

 周介は知らない事だが、ハイセには「書物に書かれてある技術を一度でも読めば、高い精度でそれらを再現できる」といった特殊な能力を持っている。それに加えて実践を重ねていく内に、極短時間でプロモデラー並みの技術を持つに至ったのだが、周介にはその事を知る由も無かった。

 

「よーし!んじゃ、そろそろバトルシミュレーターのモニターを始めるか!」

 

 そう言って周介は立ち上がり、完成したガンプラを持って筐体の方へ歩いていく。

 

 ハイセも最初に作成したジムⅡを持って後に続く。

 

「んじゃ、まずは博士が言うには……」

 

 周介は社長が筐体を持ってきた時の説明を復唱しながら、筐体を立ち上げる。

 

 ヴォンッ!

 

 そして筐体の間に設置された大型モニターに、光が灯った。

 

 ピポッポ♪ピッピポ♪

 

 んでもって、なぜか大昔のゲームである「ワイ○ドガ○マン」のBGMが流れる。どうやら、製作者の趣味の様だ。

 

「まずは、ここにスキャンしたいガンプラを置くと……」

 

 そう言って、周介は筐体の台の上にガンプラを置いた。すると……

 

 ガシュン!ウイィィィン……

 

 ピーーーー………

 

 ……ガンプラが中に送り込まれ、レーザーが照射される。周介は説明を続けた。

 

「……筐体の中の3Dスキャナーに送り込まれて、ガンプラがスキャンされる。スキャニングデータは筐体にも保存されるが、スマホにデータを転送すればガンプラ本体をいちいち持ち込まずに済む。SDカードやスマホにデータが転送出来る家庭用のスキャナーも現在開発中だそうだ」

 

「家庭用スキャナーって……一般に出回っている3Dプリンターの様なものですか?あれだと、購入出来る人間が限られそうですが……」

 

「あれはあくまでも工作機械だからな。その分高く付くが、スキャン専用機ならばそれほど金がかからないから流通しやすいと社長は言っていた」

 

 周介は更に説明を続けた。

 

「ただ注意しなきゃならないのは、保存されるデータはあくまでも“現在の状態のガンプラ”だと言うことだ。つまり改造する度にデータを更新する必要がある。家庭用のスキャナーを開発するのも()()()()()が理由なのかもな」

 

「……まあ改造する度にガンプラを持ってゲーセン通いでは、データ化する意味がありませんしね……」

 

「だな。それに組み立てたガンプラは1体でもそこそこ嵩張るし、壊さずに持ち運ぶとなると結構難しいからな」

 

「それと……見たところ、覗き窓がかなり大きい上に開閉機能も有る様ですが……」

 

「ああ、あれはPGの様にスケールの大きいガンプラとか、デンドロビウムの様にそもそものサイズが大きいガンプラを直接入れるためのものだ。もっとも、サイズがでかい分値段も高いから持っている人間は限られるけどな」

 

 周介は部屋に置かれている一際大きな箱に目を向けつつ答える。

 

「あれは?」

 

「ああ、あれはPGアルビオン。全長約5m、全幅約3m、全高約0.85mの超巨大ガンプラだ」

 

「いや、ガンプラって……どう見ても、人型兵器じゃありませんよね……」

 

「まあ、ガンダム作品に出てくる強襲揚陸艦だからな」

 

「ちなみにいくらしたんですか?」

 

「ああ、それは………」

 

 周介がPGアルビオンを購入した時の値段を答えると、ハイセ呆れた顔になる。

 

「そんなものを買って、よく奥さんと揉めずに済みましたね」

 

「いや、まだ話してない」

 

「ヘ?」

 

 周介が言うには、件のガンプラを黙って購入した上で組み立てた後に事後承諾させるつもりだった、というのだ。

 

「………三船(みふね)さんが聞いた日には、間違いなくカミナリが落ちますよ?」

 

美優(みゆ)のカミナリならば(むし)ろご褒美だ!」

 

 呆れを通り越して表情が抜け落ちたハイセのセリフに、周介は平然と答える。

 

「………で、話が逸れましたけど……」

 

「ああ、そうそう……ガンプラをスキャンした後、パイロット登録を行う。これは最初に個人情報をインプットした後スマホにデータ転送すれば、後は筐体にスマホを通すだけで遊べる様になる。ゲーセンとかでは最初にコインを入れる必要があるがな」

 

 ハイセに促されて、周介は続きを説明し始めた。

 


 

 バシュゥゥゥゥゥゥウ……

 

 筐体のカバーが開き、中からコクピットを模したと思しき座席がせり出してくる。

 

 ガンダム知識のある者がそのコクピットを一見すれば、UC0096年に採用されているアナハイム製のコクピットを連想させるだろう。

 

 トリガーの付いた2本のレバーに2枚のフットペダル。1本の太いアームに支えられたバケットシートに左右のタッチパネル。シート向かって正面には、機体の状態を映すための小型モニター兼タッチパネル。これにノーマルスーツを身に付けてシートベルトを締めてコクピットに着けば、ガンダムマニアにとっては感涙モノであろう。

 

「~~~~~~~~ッ!」

 

 現に周介はそれらを見て、感動に(むせ)び泣いていた。

 

「……塩見さん?」

 

「……ハッ!」

 

 ハイセの声で周介は我に返り「ゴホンッ!」と咳払いする。そして誤魔化す様に、操作に関する説明を始めた。

 

「次に機体操作だが、実はある程度の動きが予め組み込まれていて、それらを自由に組み合わせて動かす様になっている」

 

「レバーを動かせばこう動く、ペダルを踏み込めばこんな風に移動する、と言った具合だ」と周介は説明する。

 

「勿論、設定を変更して全てマニュアルで動かす事も出来るが素人にはオススメできない。レバーやペダルがどう連動するかは勿論、動作プログラムも1から自分で組み上げる必要があるからな」

 

 そして周介は基本的な動作をハイセにレクチャーした。

 

「説明は以上だが、何か質問はあるか?」

 

「いえ、後は実際に操作しながら覚えます」

 

「そうか……まあ「習うより慣れろ」だ。それじゃあ、模擬戦を始めるか?」

 

 そう言って周介がコクピットに着いてる間に……

 

 ガシュン!ウイィィィン……

 

 ピーーーー………

 

 ……ハイセは手に持っていたジムⅡをセットして筐体にスキャンさせる。

 

 ヴォンッ!

 

 ピッ!ピピッ!ピッ!……

 

 そして自身のパイロット登録を行い、準備は整った。

 

 シュシュシュシュ……

 

 バシュゥゥゥン……

 

 ヴォンッ!

 

 シートベルトを締めて、コクピットシートに座り、シミュレーターの中に入った後、眼前に広がる3D映像にハイセは驚嘆する。

 

 まるで本当に18mもの大きさの人型兵器のパイロットになったかの様に錯覚したためだ。

 

 ヴウゥゥ…………ゥン

 

 そしてハイセの前に、3D映像のMSが出現した。

 

 それは先ほど周介が組み上げたガンプラ……ジムⅢ(ユニコーン デザートカラーVer.)であった。

 

 ピピッ!

 

『よお、無事にアクセス出来たな』

 

 相手の機体のすぐ近くに小さくウインドウが現れ、コクピットシートに収まる周介が映し出された。

 

 これも今までのガンダム作品を意識した細かくもニクい演出なのだが、ハイセはその事を知る由も無い。

 

『それじゃあ、CPUのチュートリアルが終わった後に俺との模擬戦だ。俺と戦う前にコケるなよ?』

 

 周介がそう言った後、ハイセ(のジムⅡ)の前に並列に巨大なパイロンが並べられる。

 

『ソレデハ、機体ノ移動ニ関シテ説明シマス』

 

 こうして、チュートリアルが始まった。

 


 

 ドガッ!ドゴッ!ゲシッ!

 

「で?その後、どないなったん?」

 

 実の兄に容赦なく死体(?)蹴りを浴びせながら、周子がハイセに尋ねる。

 

「チュートリアルが終わった後、塩見さんと模擬戦をやったんだけど……」

 

 ハイセが言うには、模擬戦の戦績は周介の全戦全敗だったという。さすがにそれはあり得ないだろう、と周子が筐体に残っていた記録を調べると……

 

「嘘やろ?」

 

 ……ハイセの言う通りの記録が残っていた。

 

 更に映像記録も残っていたので、リプレイしてみると……

 

「うわぁ~……えげつな。兄ちゃん、ええように振り回されて一方的にやられとるやん。しかも、格下の機体相手に」

 

 ……周子の言う通りの映像が流れる。

 

 しかも続けての映像では「機体が悪かったのだ」と判断したのか、ハイセの組み立てたジムⅡでプレイしていた。しかもご丁寧にもハイセには自分が使っていたジムⅢを使わせた上で。

 

 意気揚々とプレイを続行した周介だったが、結果は惨敗に終わった。

 

 その後も(ハイセ作の)ジム·カスタム、ジムキャノンⅡ、ジム改、ジムクゥエルと機体を入れ替えて対戦したものの、結果は同じであった。

 

「あ~あ~あ~……さっきの映像が機体を入れ替えて再現されとるだけやん」

 

 ……とは周子の弁である。

 

 その後「ガンダムタイプを使えば今度こそ!」と意気込んで、周介はHG 1/144 ヘビーガンダム(ロールアウトカラー)を組み立て始めた。

 

 その間に手の空いたハイセも、HG 1/144 局地型ガンダム(北米戦仕様)、ガンダムFSD、ジム·ガードカスタム、ジム·スナイパーカスタム、ジム·キャノン(空間突撃仕様)を組み上げていた。

 

 周介は「リベンジだ!」と言わんばかりにハイセに挑むも、結果は察しの通りである。

 

 その上「博士」はご丁寧にも限りなく本物に近いG生成アームをシミュレーターに採用して組み込んでいたので、シミュレーターで振り回されていた周介は心身共にボロボロになり冒頭の状況へと繋がるのである。

 

 ハイセがPGアルビオンを組み立てていたのは、ガンプラを組み立てている合間に「周子と貴音が来たら、これの組立を手伝ってほしい」と聞かされていたためだったそうだ。サイズがサイズなため、完成度は全体の3割程度だったが……。

 

 その後、話を聞き終えた周子は自分のガンプラを積みプラから引っ張り出して組み立て、兄同様にハイセに挑んで来た。

 

 周子がHG 1/144 高機動型ザク“サイコ·ザク”(サンダーボルト Ver.)を組み立てている合間に、ハイセも一度アルビオンの組み立ての手を止め、HG 1/144 量産型ザク+ビッグガン(サンダーボルトVer.)、プロトタイプグフ(戦術実証機)、ドム試作実験機、ザク·ハーフキャノン、ザク·キャノン テストタイプを組み上げ、量産型ザクで周子を返り討ちにしていた。

 


 

 周介も周子も知る由も無い事であったが、ゲームでの模擬戦とはいえ2人がハイセに全く歯が立たないのは至極当然である。

 

 なぜならハイセは超人的な白兵戦技能を必須とするSAAの装着者(クラダー)で、且つ自衛隊内部でトップクラスの実力を持つエースクラダーだからだ。

 

 SAAクラダーには白兵戦技能のみならず、状況に合わせてSAAの機体制御プログラムを組み換える情報技術も必要とされる……つまり、MSパイロットと同様の技術が必要となる、その道のプロである。

 

 いくらゲームでの自信を身に付けていても、所詮はアマチュアである周介たちが戦闘のプロであるハイセに敵う道理は無く、いいように返り討ちにされるのがオチであったのだ。

 

 そして周子も兄共々、件の和室でヤ○チャと化していたところをやって来た貴音とたまたま一緒に帰って来ていた美優に発見されて、ちょっとした騒ぎとなった。

 

 また組み立て途中のPGアルビオンもその時美優に発見され、ハイセの予想通り周介たちにカミナリが落とされる事となったのである。

 


 

「ところで兄ちゃん、今日1日で積みプラはどれだけ消化できたん?」

 

「ああ、部屋を占有していた積みプラが3分の1って所だ。PGアルビオンを開けることができたのが大きかったな」

 

「なるほど……それやったら適当に理由を付けて何度か佐々木を呼び出せば、あの部屋も片付くな」

 

「そうだな……美優の機嫌を損ねないためにも、あいつには大いに働いて貰おう」

 




 
 作中に登場したPGアルビオンですが、実在のガンプラではなく「ガンダムブレイカーモバイル」のストーリーに登場した架空のガンプラです。

 実在するのなら是非実物を拝見して、出来れば直接触って遊んでみたいものです……MSデッキにガンプラを置いて整備中のシーンを再現したり、カタパルトに乗せて発進シークエンスの演技したり……。

 まあ、私はガンプラを持っていませんが……作る時間も置き場所もありませんし……。だから「ガンダムブレイカーモバイル」をやっているわけですが。

 ご意見、ご感想をお待ちしております。
 

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