最近 朝の通勤時に蝉の声が聞こえて、すっかり夏となった事を実感している今日この頃……
昼間に暑さで頭がクラクラする事もしばしば……仕事中に倒れたりしねえだろうか……ちょっと不安
ま、それはさておき 本編スタートっス
…………あぢぃ~…………
日本標準時 02:06頃
フォルマル伯爵邸 貴賓室
一方、その頃……ハイセたちは現在、特地に生息している人種について質問を重ねていた。
これは個人的な好奇心もあったが、同時に任務の一環でもある。どんな人種が何処に生息して、特地ではどんな扱いを受けているのかというのも重要な情報だからだ。特に深部偵察隊が今まで接触してきた集落では人の往来が少なく、どうしても情報が限られている。
だがイタリカは帝国の穀倉地帯であると同時に周辺国を貫く交易路の
しかし先ほどのカイネとの会話で、フォルマル伯爵家では多種族と独自に交流を持っている事が判明したので、これ幸いと特地に住まう種族とその特徴、生態、特地での扱いや立場を教わっていたのだ。
それらは
「彼らはヒト種に比べ感覚が鋭く身体も頑健で、里から出稼ぎに出る場合は自らを傭兵として売り込んで来る者が殆どです。その事もあって、周辺諸国や辺境の地方領主は帝都周辺に比べ、嫌悪感の大小に違いこそあれ、彼らの戦闘能力自体は高く評価しているのです。その為、雇い主にとっては領民を徴兵する事無く、安価で数を揃えやすい上に、使い潰しても容易に代えの利く彼らは戦力として重宝されています」
「ふむふむ……」
彼女の話によれば、彼らは大半が人里離れた荒地などのヒト種が定住するに向かない場所に独自に集落を築き、傭兵業などの出稼ぎや独自の名産品を行商に売りつけるなどして細々と暮らしている様である。
「中には里での暮らしに飽きて、帝国の価値観を甘く見た挙げ句、都会の華やかな暮らしと仕事を求め帝都へ出向く若者も一定数居ます。ですが大半……いえ、ほぼ全てが悪所ヘと流れ着くか、野盗へ身を落とす事になります」
「なるほど……」
更に、先ほどの彼女との会話で察していたものの、やはりヒト種以外の亜人種は帝国での扱いがよろしくない様であった。
その事もあって、カイネも最初は若干警戒していたものの、ハイセたち2人に悪意が無い事が早々に判ったため、快く質問に応じていた。
「次に六肢族ですが…彼らは蟻を祖にする種族で、その名の通り6本の腕を持つ事が特徴で……」
「うおースゲー!この世界には、リアルアシュ○マンまでいるのか!」
「あ○ゅらまん?」
「ああ、気にしないで下さい」
「は…はあ……」
──もっとも、この様に時々興奮して奇声を上げて驚く伊丹を見ては、カイネが訝しげな目を向けている事もあるのだが……。
「イタミサマ、センダイサマト オナジニオイスル」
ウニョウニョ
アウレアは、興味津々とばかりに伊丹にヘビ髪を近づける。
「ダメ!」
ベチッ!
「シャーッ!」
「ご主人さまに無礼を働いてはいけません!」
だが、即座にモームがはたき落としてそれを咎めた。
アウレアは、途端にシュンとなる。
「メデュサは、その髪から相手の生気を吸い取ります。十分に躾をしておりますが、ご注意を」
「はぁ…」
カイネの注意喚起に伊丹が気の抜けた返事していると──
ガチャッ
「隊長!」
「あ、生きてた」
──マミーナたちの案内でやって来た富田たちが、ドカドカと客室へと入って来る。
「無事だったようねぇ」
「まあ!聖下御自ら?」
その中にロゥリィが居るのを見て、カイネはその側へ行って即座に跪いた。
(……エムロイって、死と断罪の神ぢゃなかったっけ?)
「たーいちょ」
伊丹がその姿を驚き半分、呆れ半分の心境で眺めているところに、倉田が近くに寄ってきていた。
「自分だけズルいっスよー?後ろ弾するっスよー?」
「……後で紹介してやろう」
予想通りの倉田の行動と言動に呆れつつ、伊丹はそう返すのであった。
同時刻
フォルマル伯爵邸 書斎
一方その頃、ピニャは部下2人が昼間にやらかした不始末に対して、文字通りその頭を抱えていた。
無かった事に出来ないか?
捕虜に対するジンドウテキではない扱い
無理
ジエイタイの本隊に報告される前に、逃げたイタミの部下たちを捕らえるか、口を封じる事は可能か?
不可能
「……炎龍すら撃退する連中を、どう捕らえろと言うのだ?奴らは妾を苦しめる為に、ワザとイタミを置いていったのではあるまいな?はぁぁ~~……」
現状を纏める為にそれを羊皮紙へ箇条書きしていたものの、書けば書くほど彼女は絶望的な気分になる。
(ジエイタイに謝罪するのが最善なのかもしれんが、それでは奴らに付け入る隙を与える事になる。あ奴らは自分たちの圧倒的な武力を見せつけ、妾に交渉仲介を求めてきた)
落ち込んでいても状況が変わるわけでもないので、ピニャはとりあえず現状を整理していく。
(あの戦闘力と破壊力を知らぬまま、帝国の外交官僚たちが いつもの様に恫喝して居丈高に振る舞えば、結果は火を見るよりも明らかだ。ジエイタイの力は、まだ妾しか知らない……)
「あ、そうだ!
「忘れていた」と新たな羊皮紙を取り出し、皇帝への報告書を書き始める。
サラサラ……
────その時、妾が目撃したものは……
グググ……
ギリギリギリ……
ベキッ!
だが書き進める内に徐々に筆圧が強くなっていき、とうとう手に持った羽根ペンのペン先をヘシ折ってしまった。
(こんな報告誰が信じる!?妾ですら信じられぬというのに!!)
「はぁぁ~~……」
ピニャは再び頭を抱える。
「イタミが口を噤んでさえいてくれれば……そうだ!」
(ボーゼスとパナシュにイタミを篭絡させてしまえば……奴らへの処罰にもなるし、丁度良い)
彼女は名案とばかりに早速呼び鈴を手に取った。ここで頭を抱えていても悪い方向ばかりに考えが浮かぶため、とにかく行動を起こそうとした、とも言うが……。
チリリン
「お呼びですか?」
「ボーゼスとパナシュを呼んでくれ」
「かしこまりました」
呼び鈴で呼び出した使用人にボーゼスたちを呼びに行かせて、待ってる間に机に目を向けると──
「………………」
ビリビリ……
──作業の合間に無意識に羊皮紙へ書き殴っていたボーゼスたちへの罵詈雑言に気付いて、慌ててピニャはそれを破り捨てるのであった。
日本標準時 02:38頃
フォルマル伯爵邸 貴賓室
ゴシゴシ……
(
パアァァァァア……
(だが、ついに!……ついに!ケモミミ萌えの夢の女性が目の前に!)
この時、倉田はウェットティッシュで顔のドーランを落としながら、内心では歓喜に打ち震えていた。その証拠に、彼の表情は正に「喜色満面」である。
「あー…ペルシアさん、こいつは部下の倉田だ、よろしく」
「じっ…自分はぁっ!倉田
伊丹に紹介され、それをGOサインと取ったのか、倉田は改めて自己紹介を行う。緊張のためなのか、
周囲のある者は苦笑しながら、またある者は呆れた目を向けながらそれを眺めている。
クスッ
「……はい、よろしくですニャ」
「ニャッホウ!」
ペルシアは笑顔でそれに応え、倉田はストレートに喜びを
マミーナとモームは「ほほぉ~う……」と、ニヤニヤしつつそれを眺める。
(おかしなヒト……
倉田がぶつけて来るストレートな好意に、ペルシアは若干戸惑いつつも好感を抱いていた。
「やれやれ……そんな食い気味に自己紹介していても、引かれるだけだよ?」
「佐々木二尉と一緒にしないでくださいよ!俺、二尉みたいに女慣れしてないんスから~!」
「いや、あんな醜態 何度も目の当たりにしてれば、嫌でも慣れるって……」
ハイセは思わず声に出す。
「まあ!ダメですよ、ササキ様?殿方なら女性に対して、キチンと その度量を示さないと」
そこへ唐突に、弟を
「…………通訳した」
ハイセの視線を疑問と捉えたのか、レレイは淡々と答える。どうやら単にその場のハイセの通訳だけでなく、ハイセの
そうこうしている内に、メイドたちがお茶と焼き菓子を用意し始め、更に自衛隊側からも携帯糧食の中から菓子類──意外に思うかもしれないが、軍隊食において甘味も重要なポジションを占める(旧日本海軍の間宮羊羹が良い例である)ため、どの国の携帯糧食にも大抵含まれている──を提供している。
そして倉田たちのやり取りとマミーナの諫言を切っ掛けに、自衛隊(+α)とフォルマル家使用人たちとの歓談が始まった。
ワイワイ……
ざわざわ……
「昨日の戦い、拝見しました!あんな戦い方初めてです、すばらしい身のこなしですね!」
「え、そう?普通だよ?」
マミーナは栗林相手に、盗賊との白兵戦を持ち出して興奮した様子で語りかける。栗林はその称賛に照れながらも、満更でもない様子だ。
ツンツン
「メデュサは、その習性から虐待されて ほとんど居なくなった。私も初めて見る」
「へー」
レレイはアウレアのヘビ髪を興味津々につつきながら平坦な声で解説し、仁科は感心した声を上げて それに聞き入る。レレイをよく知る人間が見れば、その冷静な声と表情とは裏腹に 大いに興奮している声に気付いていたであろう。
モシャモシャ……
「古田ちゃん、何 真剣に味見してんの?」
「こっちの食い物、初めてっスから」
古田は用意された焼き菓子を頬張りながら、真剣な様子でメモを取っている。その様子に、仁科は呆れて声をかけていた。
「伸び縮みする生地なんて、この世にあったんですね!初めて見ました!エルフの技ですか!?」
「違う違う、貰い物。異世界の物よ、体の線が出ちゃって──────」
モームはテュカの着ているTシャツを見て、興奮した声を上げる。テュカは照れながらも、着ているTシャツとジーンズの事をモームに説明していた。
「此度、聖下にご拝謁賜った事は──」
「あー、うん……」
カイネはロゥリィと話せる事が余程嬉しかった様で、普段の厳格さを全く感じさせないほど興奮して話しかけていた。普段であれば現在のメイドたちの様子を見ると厳しく注意しているものだが、それに気付かないほど興奮しているのか全く咎める事が無い。
もっとも、当のロゥリィは というと──
(あー…また取られた。お菓子食べたい~、無くなる~)
──とまあ こんな具合に、用意された焼き菓子をどんどん持っていかれる事に、気を揉んでいた。
「……和んじまったな。とゆー訳で、状況は話した通りだ」
室内の様子を見ながら、伊丹は富田に状況を説明していた。
「なら、無理に脱出する必要は無さそうですね」
「夜が明けたら、曹長たち呼んで普通に出ますか」
富田の隣で お茶を飲んでいた勝本も、そう結論付けた。
「そうだな。仁科、
「了解」
伊丹はそう言って、仁科に連絡を取らせる。
「隊長、記念写真撮るっス!みんな集まって!」
そこへ倉田がデジカメ片手に宣言して、室内の人間を集合させた。彼がセルフタイマーと三脚代わりの背嚢を用意している傍ら、歓談していた者たちが三々五々集まって来る。
ジー………カシャッ!
一方、その頃──
コツコツコツコツコツ……
フォルマル伯爵邸の廊下に、貴賓室へと向かう人影がひとつ。
それは、金髪縦ロールの年若い女性──ボーゼスであった。その表情は、自分が敵兵より圧倒的上位である事を信じて疑わなかった昼間とは違い、今や暗く沈んでいる。
彼女は昼間に大手柄を上げて意気揚々とイタリカへ凱旋したつもりだった。だが実際にはそれは帝国の衰退に繋がりかねない大失態だったのだ(それどころか下手をすれば帝国が滅亡するとピニャは恐れている)。現在 彼女はその事を知り、正に天国から地獄へと突き落とされた気分なのである。
彼女はその失態を挽回すべく、ピニャから
だが彼女はその都度自らを叱咤して、貴賓室へと歩を進めるのであった。
兵器解説
・金棒型試作武装《ドウジマ ver.2》
イタリカ攻防戦で亜門が使用していた金棒型試作武装。過去に亜門が《眼帯》と呼ばれたテロリストに破壊された武器を修復したもの。
心棒をより強度の高いものに差し換えられた上、殴打部分の周囲にも心棒が追加され、以前より強度が向上した。ただし重量も相応に増しており、本武装の性質上破壊力が増した訳だが、同時に扱い辛さも増している
ちなみに本武装には殴打部分が回転する機能はもちろん、ランスやハルバードに変形する機能など無い。
次回は7月30日の0:00に投稿予定です
引き続きアンケートを募集してますので、投票の方をよろしくお願いします(詳しい内容は前回と前々回のあとがきを参照)
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本作の自衛官の制服はどれ?
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16式制服(紫紺系カラー)
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16式制服改(緑色カラー)
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91式制服(原作のやつ)