ゲートSAA彼の地にて斯く戦えり   作:素面ライダー

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 本日投稿2話目です! 
 
 この話から、アニデレのメインキャラが本格的に本編へ登場し始めます! 
 
 それでは、本編スタート! 
 


門の向こうへ 

 

 翌朝──

 

 日本標準時 07:16頃

 

 アルヌス駐屯地 尉官級幹部用官舎

 

 ヴーーッ!ヴーーッ!

 

「?」

 

 自室で日本に戻る準備をしていた最中に、スマホのバイブレーターコールが響く。早朝からの電話に訝しみながらもハイセは出た。

 

「……もしもし」

 

『おっはよー、佐々木さん!!』

 

 電話口から聞こえた大声で一瞬硬直する。久し振りに聞いた声とテンションの高さから、ハイセは電話の相手に一発で気付いた。

 

「お…おはよ、未央(みお)ちゃん……朝から元気だね」

 

 ハイセの言う通り、相手は346プロ所属のトップアイドルにして、現在大学一年生の本田(ほんだ) 未央であった。

 

『どしたの、佐々木さん?なんか声が死んでない?』

 

「ああ、いや……2日連続で徹夜だったものだから」

 

 実際に2日続けて徹夜していたのは桑原たちなのだが、ハイセはそう言って誤魔化す。自身も2日前の深夜から早朝にかけて、イタリカで盗賊相手に大立ち回りをしていたが、その後はフォルマル邸でぐっすり休んでいる。

 

  昨夜も遅くまで参考人招致に向け対策と準備をしていたが、実はそれほど疲れている訳でもない。

 

『徹夜って……もしかして、なんかイケナイ事してたとか?』

 

「い…イケナイ事って!さすがにそんな事は……」

 

『あはは!もー…冗談だよ、ジョーダン!』

 

 甘い声でからかってくる未央にハイセは赤くなって取り繕った。慌てるハイセを他所に、電話の向こうから未央の笑い声が聞こえてくる。これらのやり取りで、昨日から沈鬱だった気分が少しだけ軽くなった。

 

「それはそうと……特地(こっち)にも電話が繋がる様になった事は、まだそれほど知られていない筈だけど……未央ちゃんは、何処でこの事を知ったの?」

 

『ああ、ちょっと前に川島(かわしま)さんが行きつけの店で呑んでた時に、しゅーこはんから聞いたらしくて、私たちにも教えてくれたんだよ』

 

「………………相変わらず、謎の情報網を持ってるよね、周子ちゃんって」

 

 毎度毎度、どこからか機密情報を持ち込んでくる友人──未央と同じく346プロの所属アイドル塩見(しおみ) 周子の情報網について 初めは気になって頭を抱えていたものの、最近では慣れきってその事は考えない様になっていた(面倒になったとも言う)。

 

『ところで~……未央ちゃんの、元気な声は良かったかな?目覚ましボイスとして、どうかな?』

 

「う~ん……さすがに、声が大き過ぎるかな」

 

『え~~?何か、それ聞いて ショック~~!』

 

「アハハハ……」

 

 電話から未央の残念そうな声が聞こえて、思わず笑いがこみ上げてくる。元気な彼女との こうした会話はいつもの事であった。ここ2~3日 気分が沈みがちだったので、ハイセにとって正直有難い。

 

「ゴメンゴメン。それで…急に朝から電話して、どうしたの?」

 

『ああ、急にゴメンね?朝から電話してきて、驚いたかもしれないけど……』

 

 電話口からの元気な声が途切れて、間が生まれる。表面上の普段の彼女しか知らない者にしてみれば、目を剥いて驚くような態度である。だがハイセは天真爛漫な彼女が決して表には出さない、その脆い内面を知っている。だからこそ不用意に言葉を促さず、彼女から話し出すのをじっと待った。

 

『……ここ最近…佐々木さんと会ってないし、久し振りに声が聞きたかったから』

 

「…………そっか」

 

 未央は先ほどとは打って変わった、落ち着いた口調でハイセに伝えた。そこには、安堵のようなものが感じられる。

 

『私たちって、普段会う事ってないじゃん。去年まではちょくちょく会ってたけど、今年に入ってからはメールかLI○Eぐらいしかしてないし……『銀座事件』が起きてからは、ほとんど連絡出来てないしさー』

 

「うん……僕も会いたい気持ちはあるけど、あれから一気に忙しくなったからね」

 

『その割には、特地へ行く前に(かえで)さんたちと呑みに行ってたみたいだけど』

 

「あ、あれは、たまたま時間が合ったからだし!それに「僕の昇進祝い」って口実で呼び出されて断れると思う?」

 

『……まあ、ムリだよね』

 

 慌てて弁明したハイセに、未央は気の毒そうな声で答えた。

 

「ところで、ここ最近やってる舞台はどうかな?」

 

 ちなみに未央は3年前からアイドルとしてだけでなく、ソロ活動で舞台女優としても活躍中だったりする。

 

『舞台は、学べる事がたくさんあって面白いよ?だけど、たくさん仕事を掛け持ちしてて疲れるよ~……佐々木さんはどう?』

 

「僕も駐屯地の外と中で、あれこれ仕事を請け負ってるからね……内容は話せないけど。今は避難民キャンプの子供たちが未央ちゃんたちの事を知って、根掘り葉掘り聞いてくる事に悩まされるかな?僕は「友達だ」って言ってるんだけど……」

 

『避難民キャンプって……確か、ドラゴンに襲われて村から逃げ出した人たちの中で、身寄りが無い人たちを自衛隊が保護してるんだっけ?』

 

 数日前の本居(もとい)総理のインタビューは全国ネットで放送され、今やほぼ全国民の知るところとなっていた。

 

「うん、親を亡くした子供がほとんどなんだけど……ずいぶん、ませた子が多くて」

 

『あはは……子供って男女の事となれば興味津々になるからね~、知られるとしつこく食い付いて来るって』

 

 上と下にそれぞれ兄弟がいる未央は、実感のこもった声でそう話す。

 

「そういえば、今日学校あるよね?」

 

『うん!今、着替えてる最中なんだ!』

 

「えっ!?き、着替え中なの!?」

 

『そーそー、時間は有効活用しないとね!あ、何なら今からテレビ通話にする?』

 

「いやいやいや、しなくていいから!」

 

『も~、佐々木さん恥ずかしがり屋だな~……ああそうそう、昨日しまむーとしぶりんに会ったよ!』

 

「え?卯月(うづき)ちゃんと(りん)ちゃんに?」

 

 未央は自分の所属するアイドルユニットである『new(ニュー) generation's(ジェネレーションズ)』のユニットメンバー、島村(しまむら) 卯月と渋谷(しぶや) 凛を話題に上げる。

 

『うん。昨日、2人と久し振りに話してたんだけど……しまむーもしぶりんも、佐々木さんと会えなくて寂しそうにしててさー!しまむーは佐々木さんの話をする時にどこか暗い感じがするし、しぶりんはしぶりんで「今度会ったら絶対ぶっ飛ばす」なんて危ない感じで呟いてたから、そのうち夜道で襲われるんじゃない?』

 

「いや、辻斬りじゃないんだから……」

 

 最近忙しさにかまけて、卯月たちにほとんど連絡を入れてなかった事に今さらながら思い到り、ハイセは未央の言葉に突っ込む。

 

『──それで……おっと、もうこんな時間!』

 

 未央がそう言って話を切ったので時計を確認すると、もう既に8時5分前になっていた。

 

「ほらほら、いつまでも電話してたら遅刻しちゃうよ?」

 

『うん。いくら高校より緩くても、サボリはダメだからね!』

 

 電話の向こうからも、カバンを背負ってバタバタと移動している音が聞こえてくる。どうやら、よほど慌てている様である。

 

「ほら。いくら急いでても、焦って転んでケガでもしたら元も子もないよ?」

 

『あ、うん!それじゃ佐々木さん、次もまた電話しようね!』

 

「うん、また今度ね」

 

『うん、約束だよ?じゃあ!』

 

 未央との電話を終えた後、始業ラッパまで時間が無いためハイセは大急ぎで用意していた荷物をまとめ、教導隊の事務室へ向かう為に自室を出る。

 

 ガチャッ

 

「おおっと!」

 

 部屋を出ると、扉の前に伊丹とレレイが立っていた。

 

「………………」

 

 じーーーー……

 

 何故かレレイは胡乱な目付きでハイセを見つめている──まるで何かを睨み付けているかのように。

 

「レレイちゃん?あ、そうか、通訳の仕事で遅くまで残って、ここに泊まったのか」

 

「………………」

 

 じーーーー……

 

「いや、そのー……レレイちゃん?」

 

「………………」

 

 じーーーー……

 

「えーと……」

 

「………………」

 

 じーーーー……

 

「あのー…伊丹さん、レレイちゃんに何かあったんですか?」

 

「いーや?部屋の中からお前の声で「会いたい」だの、「着替え中」だの、複数の女の名前だのが楽しそうに聞こえただけだぜ?」

 

「ッ!聞こえてたんですか!?」

 

 伊丹がニヤケ顔で答えると、とたんにハイセは赤面して慌て始める。

 

「いやー…内向的で人付き合いの乏しかったお前が、今やフツーに女の機微を察するよーになるとはなー」

 

「……それ、伊丹さんには言われたくないですよ」

 

「うっ……キツいな、ハイセ」

 

「………………」

 

 じーーーー……

 

 伊丹とハイセが冗談と皮肉の応酬をしている間も、レレイは胡乱な視線を注ぎ続けていた。

 

「それで、わざわざ僕をからかいに来た訳じゃないですよね?」

 

「あ…ああ、朝早くから悪いが、栗林たちと一緒にレレイを避難民キャンプに送るついでに、通訳補助をしてくれないか?亜門一佐と檜垣三佐には話を通してる」

 

「え?ヒデはどうしたんですか?」

 

「ああ、あいつは朝イチで柳田に呼び出されてる」

 

 伊丹が言うには、ヒデは起床ラッパからほどなく柳田に呼び出され、理由を聞いても「機密事項」の一点張りで知れずじまいだったらしい。

 

「とゆー訳で、テュカたちへの日本行きの説明の補助を頼むわ。俺は自分の準備があるから、んじゃ!」

 

「あっ!」

 

 ピューーーーッ!

 

 伊丹はそう言うなり、さっさとその場から遁走していった。

 

 後に残ったのは、華麗に仕事を押し付けられ(スルーパスされて)その場に立ち尽くすハイセと、今も彼に胡乱な視線を注ぎ続けているレレイだけであった。

 


   

 日本標準時 09:04頃

 

 アルヌス協同生活組合 本部事務所

 

「『門』の()()()に行くの!?」

 

 朝早くから避難民キャンプ改め「アルヌス協同生活組合」の事務所を訪れ、今日 日本へ移動する事を栗林が伝えるとテュカが驚いて声を上げた。

 

「そう、こっちには「ヒト」以外も住んでるって伝えるためにね。レレイといっしょに」

 

「『門』の向こうって、ニホンの街なのよね。楽しみー」

 

 期待に満ちた声でテュカは はしゃいでいる。

 

 ポリポリポリポリポリ……

 

「ちょっとぉ~、私はぁ~?」

 

 朝からじゃ○りこ(じゃがバター味)をつまんでいたロゥリィが、そう言って話に割り込んで来た。

 

「「「「……………………」」」」

 

 ハイセ、富田、栗林、倉田の4人が揃って絶句し、互いに視線を交わす。

 

「……「どこのコスプレ少女を連れて来た」って言われそうだし……」

 

「亜神と言っても、外見は人間と同じだからねー」

 

 まずは倉田が、次いで栗林が遠回しに翻意を促す。

 

「「奇跡」を見せればいいんでしょぉ~?」

 

「それはダメ!!」

 

「奇跡」を見せようとするロゥリィを、栗林は慌てて止めた。

 

「なんでぇ~?」

 

「イタリカの時のよーなキセキは困るから……」

 

「国会の中だけなら、いいんじゃね?」

 

「いや、下手したら死人が出るだろ?」

 

 不服そうなロゥリィを栗林が宥めている傍ら、富田と倉田が小声で相談する。

 

「ちょっとササキぃ~、こういう時に師匠を手助けしようとは思わないのぉ~?」

 

「いや、それとこれとは話が別だし……」

 

 今度はハイセに擁護を求めるが、彼は煮え切らない態度でお茶を濁している。

 

「あーもう!こんな面白い事に、私ぃを仲間外れにするつもりぃ~?」

 

 とうとう業を煮やしたロゥリィは、威圧的な態度と据わった目で栗林たちに詰め寄った。

 

「「「「……………………」」」」

 

 そのロゥリィの態度に栗林たちは固まり、いち早く我に返った倉田が上官に連絡を取るためスマホを取り出した。

 

「あ、もしもし隊長?ロゥリィが…………え、いいんスか?ハルバードどうするんです?」

 

「来ていいって」

 

「♫」

 

 こうして本人たっての希望により、ロゥリィも(強引に)日本へ同行する事となった。

 


 

 日本標準時 11:07頃

 

 アルヌス駐屯地 中央ドーム前

 

 カッ! ジリジリ……

 

「…………遅い……あちー…………」

 

 そこでは照りつける日差しの中、91式制服の冬服を身に付け、部下たちの到着を待つ伊丹の姿があった。だがその格好はあまりの暑さに上着を脱いで腕まくりをし、ネクタイも若干緩めているという ややルーズなものである。

 

 近くを通りかかった高級幹部が一瞬訝しげな目を向けるも、冬服である事とドームの近くにいる事から事情を察して、同情する視線に変わる。

 

「こっちの人間、時間にルーズなのかな……時計無いし」

 

 ブオン…………キッ!

 

 などとぼやいていると、一台の高機動車がやって来てドームの前に停車した。

 

 チャッ

 

栗林(クリ)~、富田~、ハイセ~、おせーぞー」

 

「すみません、支度に時間がかかりまして」

 

 待たされた伊丹が文句を言うと、富田が申し訳なさそうに弁明する。やって来た富田たち3人も91式制服を身に付けていた。

 

「何で厚着がいるのぉ?こんなに暑いのに……」

 

 そう言って車から降りたテュカは、タートルネックのセーターを着ていた。日本は現在冬だという説明は受けたが、特地の気候に慣れきった彼女には今一つピンと来ていない様である。

 

「………………」

 

 レレイはいつもの格好に肩掛けカバンを掛けている。

 

「ねぇ~、これ外しちゃダメぇ~?」

 

 ロゥリィもいつもの黒ゴスだが、常に持っているハルバードには厳重に帆布が巻かれていた。

 

「ダメよ!あっちにはいろいろ規則があるの!刃物剥き出しじゃ捕まるわ、置いていってほしいぐらいよ!」

 

「神意の(しるし)を手放せる訳ないでしょお~?」

 

「だったら我慢して!」

 

 栗林は未だにブー垂れるロゥリィをピシャリと一喝した。

 

「おーし、全員揃ったな。そろそろ、行くぞー」

 

 伊丹は、よーやく暑さから解放されると考え、さっさと日本に行くため部下たちを促した。

 

 ロロロ……キッ

 

 と、そこへ一台の公用車──業務車3号が伊丹たちの前に停車した。

 

 ガチャッ

 

「悪い悪い、遅くなった」

 

 訝しむ伊丹たちを他所に、助手席から降りてきたのは制服姿の柳田であった。

 

「「「「?」」」」

 

 伊丹たちは状況が飲み込めず、首を傾げる。

 

 チャッ

 

「どうぞ」

 

 柳田はその事を気にも留めず、後部座席のドアを開けた。

 

「ピニャ・コ・ラーダ殿下とボーゼス・コ・パレスティー侯爵公女閣下のお二人がお忍びで同行される。更に通訳として永近三曹も同行する。よろしくな」

 

 そこから降りてきたのは、帝国の準正装である騎士団の制服を身に付けたピニャとボーゼス、そして伊丹たちと同じく91式制服を身に付けたヒデであった。

 

 ピニャたちの姿を見た途端、伊丹はこれ以上ないほどの苦い顔をしたのだった。

 

「柳田ぁ!聞いてないぞ!」

 

「あん?そうか?市ヶ谷会館と伊豆には連絡済みだ。2泊3日の臨時休暇、楽しんで来いよ」

 

「あのなぁ、このお姫様たちに、俺がどんな目にあわされたと思ってる?」

 

「あぁ?誤解だろ。笑って水に流せよ」

 

 柳田は伊丹の抗議をしれっと聞き流し、いけしゃあしゃあと言い放つ。

 

「イタミ殿、よろしく頼む」

 

「~~~ッ!笑えねぇって」

 

 ピニャが愛想良く伊丹に挨拶しているのに対し、伊丹は苦い表情のままである。

 

「いちいち気にするな、殿下には帝国との仲介をしてもらうしな。その為には、我が国の事も学んでおきたいという要望も当然だろ?」

 

「何で俺らと一緒なんだよ」

 

「しょうがないだろ?通訳できる人材が、まだ少ないんだよ。永近1人じゃ、護衛(ガード)に不安があるしな」

 

 言いつつ、柳田はポケットの中から封筒を取り出した。

 

「狭間陸将からだ。「娘っ子たちの慰労に使え」とさ。それと有馬一佐から、お前たちへの荷物を預かっている。トランクの中だ」

 

 柳田は取り出した封筒を、伊丹に差し出した。中身は1万円札の束(諭吉さんたち)だ。ハイセたちも話を聞いていたヒデの仕分けで、トランクの中から各々荷物を取り出していた。

 

「おいおい、これって……」

 

 富田が渡されたサックスケースを開けてみると、中身はFN Five-seveNとFN P90、及びその予備弾薬だ(弾薬が共通しているので予備マガジンは2本ずつ、後の弾薬は箱詰め)。

 

 ちなみに栗林のバイオリンケースにはH&K USP9のコンパクトモデルとH&K MP-7(ケースに収まるサイズにするため銃本体のマガジンは20発用、予備マガジンは40発用マガジンが5本)及び双方の予備弾薬。

 

 ハイセのギターケースには《ユキヒラ》とグロック18Cとその予備弾薬がそれぞれに入れてあった。ヒデも既にワルサーPPSを懐に忍ばせている。

 

 それぞれの銃器は各々に合わせたサプレッサーが用意され、既にそれらに取り付けられるよう改造済だ。

 

「何でも、3年前の()()()()で拾ったものらしい。「狭間陸将の許可は取ってある。護衛に役立ててくれ」だそうだ」

 

「りょーかい」

 

 これ以上問答している時間が勿体ないため、伊丹も受け取ったアタッシュケースの中身(CBJ-MSの9㎜パラペラム弾仕様とシグザウエルP320コンパクト及びそれぞれの予備弾薬とサプレッサー)を確認しつつドームの中へ向かう。

 

 ドーム内の『門』の手前は厳重に警備されていた。

 

 奥へ進むと駅の改札の様な電子ゲートが設置されており、監視の人員も常に詰めている。そこでIDカード認証、指紋認証、3D顔認証の3つのセキュリティをパスしてようやく『門』本体にたどり着く。

 

「殿下……」

 

「……うむ」

 

 ピニャとボーゼスは()()を目の前にして、身を震わせた。

 

(この(ゲート)の向こうが……ニホン──)

 


 

 兵器解説

 

・偽装武器ケース

 

 その名の通り楽器ケースに偽装した武器ケース。設計及び製作は月山重工が担当。

 

 事情を知らない現地警察官との無用なトラブルを避けつつ、護衛用の武器を持ち運ぶために用意された。ケース自体もH&K MP5Kコッファーと同じく防弾仕様で、銃撃戦において盾として使用できる。

 

 元ネタは「東京喰種 JACK」で、有馬がクインケをギターケースに隠し持っていたシーンのオマージュ。その関係で富田と栗林の武器ケースも楽器ケースに偽装している。伊丹だけ普通のアタッシュケースなのは、彼が楽器を演奏する所を全くイメージ出来ないため(笑)。

 

 用語解説

 

・月山重工

 

 月山財閥の中核を担う基幹企業の一つ。

 

 起源は戦国末期~江戸時代初期にかけて急成長した大店(おおだな)まで遡る*¹。江戸時代は主に薬物や反物、更に当時珍しいとされた舶来品を取り扱い、明治維新以降には機械工業分野や海外事業にも進出していった歴史がある。

 

 古くから欧州や北米に関連企業が居を構えていた事もあって、戦後から数々の現地銃火器メーカーの下請けをしており、それらを通じて銃砲火器製造の技術とノウハウを蓄積。更に2010~2020年代にかけて防衛事業から撤退する企業が出始めた事をきっかけに、海外で長年蓄積してきた技術を引っ提げて同事業に進出した。

 

 手始めにK松製作所から軽装甲機動車(LAV)の設計図と製造権を買い取って追加生産や修理を請け負い、S友重工に代わってMINIMI軽機関銃等を始めとした各種機関銃のライセンス生産を()()()行う事で徐々に防衛省からの信頼を獲得。ついには国内防衛産業の重要な一角を担う程まで成長し現在に至る。

 

 そんな折に『自衛隊ガンダム計画』が持ち上がった際、開発及び試作を防衛省から各関連企業へ打診された。しかし自衛隊黎明期から防衛事業を請け負っていた古参企業は、そんな前例の無い開発計画に対し懐疑的だった。そんな中、他の企業を押し退けて開発に名乗りを上げた二つの企業の内の一つ*²が月山重工である。

 

 そして試作機の競合の結果、比較的完成度の高かったXAA-03が採用され、防衛省からの制式機開発の依頼を受諾。その後、傘下の子会社である柏崎製作所へSAA開発を委託する事となる。

 

 他の防衛関係の主力製品は、先述した機関銃関連の他には84㎜無反動砲とOM社製艦載砲各種のライセンス生産、及びK松製作所が担当していた装輪装甲車両各種。

 

 

*¹太平の世になり、主君から用済みとされ失業した忍が転身したという説もある。

 

*²もう一つは後述するクロサキ・インダストリー。

 

 

 




 
 もしかしたら、本作で登場している未央の大学生設定に疑問を抱いている方もいるかもしれませんね? 
 本作はアニメ版シンデレラガールズの3年後という設定なので、キャラクターたちもその分、年を重ねているんですよ! 
 
 ちなみに、ハイセと未央の電話のシーンは、「東京喰種:re Cinderella」での彼らの会話を参考にさせてもらいました。(非常に残念な事に、現在は削除されてしまって、もう見れませんが……) 
 
 次回は1/18の00:00に投稿予定です。 
 
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