ゲートSAA彼の地にて斯く戦えり   作:素面ライダー

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 休日の実家にて………

 実家の飼い猫が「撫でて、撫でて~」とすり寄って来るので、お望み通り頭や耳の後ろ、喉を撫でてあげているのだが、捕まえて抱っこしようとしたら………

 ヒョイ!「でも、抱っこは嫌ニャ~」

 ………と逃げてしまいます。

 ………謎だ……実に謎だ………

 本日は2話を同時に投稿します。

 今回は主に青年達による屋敷のガサ入れです。

 それでは、本編スタート!!
 


~眼帯マスクの青年~ (2)

 亜門(あもん)一尉(当時)の報告書より抜粋

 

 大田区のアジトが壊滅した後も活動の衰えない“アオギリの樹”(以下アオギリ)の調査を警察と共同で行っていたある日、東京郊外のとある屋敷の情報が入った。

 

 何でもその屋敷は人が住んでいる様な形跡が無いにも関わらず、人の出入りがあるというのだ。

 

 通報してきたその情報提供者も、最初は業者の人間が下見に来ているだけなのかと考えていたが、何度も人の出入りがあるにも関わらず、人の住む気配が無い事に不気味さを感じ、通報してきたとのことであった。

 


 

 白衣の男と青年が対峙する6時間ほど前

 

 東京杉並区 某図書館付近

 

 そこでは黒髪ロングの高校生と思しき少女が一心不乱に走り回っていた。まるで何かを………もしくは長らく会う事の出来なかった親しい“誰か”を探し回っているかの様に。

 

 その後を同年代と思しきミディアムヘアの少女が慌てて追いかけている。

 

 その様子を、向こうからは西日の影になって見えない角度から青年が見下ろし佇んでいた。

 

 「会わなくていいのか?」

 

 傍らにいる、大柄な青年………アオギリのアジトから行動を共にしている協力者の一人である万丈(ばんじょう) 数壱(かずいち)が気遣わし気に彼に尋ねる。

 

 「………彼女達と僕とは住む世界が違います。」

 

 青年は少々寂しげであったが、迷い無く答える。

 

 「それに彼女達を“こちら側”の事情に巻き込みたくはありません………あまりにも危険過ぎますから。」

 

 彼らは今夜、嘉納が潜伏していると思しき屋敷へと向かう事になる。

 

 青年達の同類………仮に“亜人種”と名付けるが、彼らの中には希にペットとしてヒト種を飼っている者もおり、先日見つけた携帯電話の中に連絡先のあった“マダム A”もその内の一人であった。

 

 青年はその話を“月山(つきやま) (しゅう)”………現在は彼の協力者として行動を共にしている、アオギリのアジトへ“あんていく”のメンバーと共に彼の救出に同行していた青年である………に聞いていた。

 

 更にかつて青年は“マダム A”の飼いビトを目の当たりにしている。

 

 その飼いビトは人間にしては体躯が異常なほど膨れ上がっており、その知能も幼児並みのもので普通の人間には見えず、何らかの人体実験の結果ではないかと嘉納との繋がりを疑っていた。

 

 しかし、当の彼女の行方は(よう)として知れないでいた。そんな時、先日件の情報を見つけたのである。

 

 青年達は先日見つけた携帯電話を用いて“マダム A”に揺さぶりをかけておびき出し、彼女を確保していた。

 

 相手が嘉納に繋がっている事もあり、田口の時とは違い多少手荒に尋問………する前にあっさり情報を吐いた(ゲロした)ので、今夜そこへ戦闘になる事も考慮した上で調査へ向かう事になっていた。

 

 「行きましょう………今夜は忙しくなります。」

 

 青年はそう言って、その場を離れ始めた。

 

 バンジョーもその後を追いかける。

 

 青年の今日一日の行動を見ていて、バンジョーは羨望とも憐憫とも取れない複雑な感情を青年に抱いていた……

 

 『…もう、いいんだバンジョーさん。』

 

 『自分の能力で果たせない使命に、これ以上罪悪感を抱いて苦しまないでください。』

 

 『あなたがリーダーとして感じていた苦悩は僕が引き受けます。全部、僕に任せて。』

 

 『僕がみんなを守るから。もう誰も殺させない。』

 

 ……眼前の青年にそんな決意をさせてしまった、己の無力と不甲斐なさを噛み締めながら………。

 


 

 その日の深夜 

 

 東京郊外の森の中に屋敷が建てられている。

 

 青年と月山、バンジョー達はその庭先までたどり着いていた。

 

 「…ここで間違いありませんね?」

 

 「そ…そうよ。ここが嘉納センセのお屋敷…」

 

 青年が確認を取る様にマダムに尋ねる。

 

 その屋敷の庭は荒れ放題になっており、屋敷の外壁には蔦が無数に這い回っている。とても人が住んでいるとは思えないほど生活感を感じさせなかった。

 

 もっとも、犯罪者などが隠れ住むには最適ではあるのだが………。

 

 「ねえ…アタクシもうこれで十分でしょ…?役目を果たしたというか…アタクシがいてもおジャマというか…」

 

 マダムは一秒でも早く帰りたがっているが……

 

 「秘密の香りがするね。」

 

 「中に入りましょう。」

 

 「でっけェ屋敷だな…」

 

 「こんなトコ住んでみたいッスねェ…」

 

 「……ねぇ…聞いてくださる?」

 

 ……青年達はガン無視である。

 

 「…!…開いてる。」

 

 入口のドアノブに手を掛けると鍵が開いている。

 

 「無用心というか…なんつーか…」

 

 「手分けして探しましょう。」

 

 青年達は用心しながら中を探索し始めた。

 


 

 「……ゆ…幽霊でも出て来そうだな…」

 

 「Scary」

 

 (亜人種もお化け怖がるんだ…)

 

 深夜と廃屋の様な雰囲気のせいか、バンジョーは腰が引け気味である。

 

 「バンジョーさんって怖くないものあるんスか?」

 

 「あ…あるっつの…犬とか猫とかよ……」

 

 協力者の一人、ジロがバンジョーをからかうのを尻目に青年は2階を探索し始めた。マダムもそれに追従する。

 

 (……広いな……)

 

 「マダム…」

 

 「は…はい?」

 

 「嘉納先生とは、どこでお話されていたんですか?」

 

 「え…えっと……そんなにお邪魔してないけれど……確か…奥に客間が……」

 

 青年の質問にマダムは自分の記憶を探る様に答える。

 

 それを確かめる様に青年は2階の奥へと向かう。

 


 

 マダムが言う様に2階の奥に客間があったが……

 

 (……生活感無いな…家具もホコリだらけだし…)

 

 ……青年が見た限り、長い間使用された形跡が見当たらなかった。

 

 部屋を見回せば、壁際の本棚が目につく。

 

 嘉納に繋がる手懸りはないか手を伸ばし………そのまま手が止まる。マダムは怪訝そうな顔で青年を見ていた。

 

 青年の脳裏に一人の少女が浮かんだためだ。

 

 「……………」

 

 彼の脳裏に浮かぶのは、最後にその少女に会った日………孤独と不安で押し潰されそうになっていた彼に、彼女がそれを取り払う様に掛けてくれた言葉………

 

 『…………さん!私は何があっても、貴方の事を忘れません!』

 

 決して一人にはさせない……その事を証明するかの様に青年の手を握り、しっかりと目を見据えて言葉を掛けてくれていた。

 

 今の彼女は来年の大学受験に向けて勉強に集中しているはずだが………

 

 (そういえば…彼女は国語苦手だったな……)

 

 そこまで考えた所で青年は頭を振り、少女の事を脳裏から追いやる。

 

 青年が動きを止めたかと思えば、急に頭を振りだしたので……

 

 「ヒッ……!!」

 

 ……今までの事もあり、マダムは怯えてしまう。

 

 (今は彼女の事を考えるな!何のために彼女達から姿を消したんだ!“弱さ”を抱えたままでは何も守れない!)

 

 “この世の不利益は全て本人の能力不足”

 

 青年がアオギリのアジトで嫌と言うほど思い知らされた真理だ。

 

 どちらを救うか選ぶ事が出来ず彼の眼前で若い母親と幼子が殺された事も、今は彼の元へ身を寄せている少女の母親を助ける事が出来ず眼前で殺された事も、全て自分の力不足だと彼は考えていた。

 

 自身の事情に巻き込んでしまえば、己の力では彼女達を守りきれない。そう判断したからこそ、青年は彼女達から姿を消したのだ。

 

 「………ッ!来てくれ!」

 

 部屋の外からバンジョーが声を掛けてきた。

 

 「1階に階段があったぞ!地下室があるみてェだ…!」

 

 「わかった…行こう。」

 


 

 バンジョーの言う様に1階のフロアに地下室への下り階段へ続く扉があり、青年達は用心しながらその先の探索を行っていた。

 

 「………ずいぶん広い屋敷だ…一人で住むには広すぎる…」

 

 「ッスね。」

 

 「嘉納の野郎、どれだけ貯め込んでたんだろうな…」

 

 屋敷の広さに嘆息しつつ、青年達は地下室を探索する。

 

 「(ほり)の話によるとここは…破格の値段で出品された物件だったらしいよ。」

 

 「?」

 

 月山は“堀 ちえ”………月山の高校時代からの友人で、現在はフリーカメラマンの傍ら情報収集の面で青年に協力している女性である。小中学生にも見える童顔低身長が特徴でフルネームの“ホリチエ”と身内から呼ばれる。………から聞かされた話を青年達に披露する。

 

 「元々は貿易会社を経営する男の持ち家だったらしい。父親の資産を元手に起業し、大きな成功を収めた。男は愛する家族と仲睦まじく暮らしていたそうだ。」

 

 月山は芝居がかった口調で続ける。

 

 「美しい妻に娘達……まさしく幸福の象徴というやつさ。だが、ある日事件が起こった。」

 

 「……月山…お化け話なら、やめてくれよ……」

 

 バンジョーが顔を青くして話を遮ろうとするも……

 

 「non……亜人種(ぼくら)さ……」

 

 ……月山は怪談ではないと話を続けた。

 

 「幸せの香りに誘われたのだろうね…あるいは、目を着けていたのか……僕らの同胞はまず妻を殺して、何を考えたのか内臓を引きずり出した。激昂した男は勇敢にそいつに立ち向かうが……返り討ちにあう。」

 

 その凄惨な内容に、青年達は顔をしかめる。

 

 「憐れなのは、その惨状を目前で見せつけられた娘達…その眼前で惨劇が起こった……結局、その両親の死体は“原型を半分も留めていなかった”そうだ………」

 

 「………非道い話だ………」

 

 「それが本来、亜人種(ぼくら)の持つ凶暴性というものさ……もしくは()()()()()()()()()()()()()()()がそうさせたのかも知れないね。」

 

 青年の言葉に、さも当然の事と言わんばかりに月山は返す。

 

 「………その娘達は、どうなったの?」

 

 「さあね……ひょっとしたら彼女達も、その仇を取るために牙を研いでいるのかも知れないな………」

 

 「……“復讐の螺旋”ですね………」

 

 「C'est() vrai(ブレ)(まさしく)」

 

 月山はフランス語で返した。

 

 「………君が“アオギリの樹”を打ち倒そうとするのは……“螺旋の一部”かい?……それとも“螺旋を破壊する行為”なのかな?」

 

 青年はそれに答えず、奥へと歩を進めた。

 


 

 青年達が進んだ先は行き止まりであった。

 

 「なあ……これで地下は全部見て回ったぞ。どこにも嘉納なんていねえじゃねえか……つゥか、人の気配なんてどこにも………」

 

 「………マダム………」

 

 「…!……うっ…嘘なんて言ってないわよ!実際アタクシ、このお屋敷で嘉納先生にお食事を振舞って頂いて………」

 

 青年はマダムに“圧”を掛けつつ尋ねる。

 

 「……本当ですか?」

 

 「本当よ!」

 

 青年は“圧”を強めて再度尋ねる。

 

 「……本当ですか?」

 

 「ほ…本当………」

 

 マダムは気圧されつつも答えるが……

 

 ドゴオォォッ!!!

 

 「ひゃんッ!」

 

 「「ガッ!」」

 

 ……青年は蹴りを壁に叩きつけ、更に“圧”を強めて再度尋ねる。

 

 「……本当ですか?」

 

 「…ほんとう……だもん………」

 

 涙目になりながらもマダムは答える。

 

 (……嘘をついている訳では無さそうだな………)

 

 「……すみません……」

 

 (留守か……それとも勘づかれて……)

 

 「ッ!オ…オイ!これ………!!」

 

 突如、バンジョーが何かに気付いたかの様な声をあげる。

 

 「……!!」

 

 「これは……隠し通路か……?でも、スイッチらしきものはどこにも………」

 

 青年が蹴りを叩きつけた壁の奥に通路が続いていた。月山の言う様にスイッチは見当たらなかったが………更に言えば………

 

 「コイツ…アオギリか?」

 

 バンジョーの言う様に、アオギリの構成員と思しき者が2名……通路の出入口付近でノビていた。

 

 「とにかく、先へ進みましょう。」

 

 「そうだね……とはいえ、わざわざこの様な手の込んだ偽装を施すぐらいだ。表沙汰に出来ない様な物がこの奥にあるのは確実だろうから、用心した方がいいだろうね………」

 

 そう言って、青年達は奥へと進んで行った。

 


 

 「……何だか迷路みたいッスね。」

 

 「ヒナちゃんがいれば、もっとスムーズだったんじゃねえか……」

 

 「俺ら鼻悪いッスもんね。」

 

 バンジョーやイチミ達が言う様に、通路の奥はまるで迷路の様に複雑に入り組んでいた。

 

 「……どんな仕掛けを用意しているかわからない。ヒナミちゃんは出来るだけ危険な目には遭わせたくない。」

 

 青年の言う様に笛口(ふえぐち) 雛実(ひなみ)………現在、青年の元に身を寄せている少女で、母親が殺された当初は“あんていく”のメンバーの一人と同居していたが、青年を慮って今は彼と行動を共にしていた………は、「出来れば平和な場所で普通に生きてほしい」という青年の思いから、今回は置いて来ていた。

 

 寂しげな表情で膨れっ面をしていた彼女を宥めるのに青年はずいぶん苦労していたが………。

 

 「正確な位置はわからないけど……この先に誰かいるのは感じる………」

 

 青年はそう言うと通路の奥を鋭く見据える。

 

 「しかし、上の屋敷とはまた雰囲気が違うな……なんか不気味っつーか………」

 

 バンジョーが所感を述べると、月山が周囲の通路を見渡しながら己の見解を述べた。

 

 「元々は何かの施設なのかもしれないね………壁の年季の入り方が違うよ。」

 

 そう言っていると、彼らは貯水施設の様な場所へ出て来た。

 

 「何か出て来そうで気持ち悪ぃな……」

 

 「ホラー映画なんか観てるから……」

 

 「あれはヒナちゃんが観てえっつーから……」

 

 などとバンジョーとイチミが話していると……

 

 ……ちゃぷ……ちゃぷん………

 

 「ッ!?うわっ!!」

 

 ザバッ!バシャバシャ!!

 

 「…ま……ま………!」

 

 「バンジョーさん!」

 

 「な…何だ!コイツ!!」

 

 水面から以前見たマダムの飼いビトの様な人型が出て来てバンジョーに掴み掛かって来ていた。

 

 「バンジョーさん!後ろに反って!」

 

 ヒュッ!!ズパンッッ!!

 

 青年は手刀で人型の首を撥ねる。

 

 「……!?」

 

 「うおっ…!?」

 

 すると人型の首の切断面から無数の短い触手の様な物が伸びて、切断された頭部を探すかの様に蠢いていた。

 

 「何だこりゃ!?気持ち悪ぃ!!」

 

 (嘉納の実験の……失敗作……?下手すれば僕も“こう”なるかもしれなかった?)

 

 青年はそれを見て、自身の陥っていた可能性のひとつに戦慄していた。

 


 

 「……嘉納の野郎、ここで一体何をやってやがるんだ……?さっきの化け物といい、この迷路みてぇな地下施設といい……」

 

 バンジョーがそうぼやく中、通路の先へ進んで行くと……

 

 「……!」

 

 ……広大な空間に出て来た。更に……

 

 「………やっぱり来た………」

 

 ……それぞれ白と黒の外套を纏った二人の少女と数人のアオギリの構成員が待ち受けていた。

 

 先頭にいる二人の少女には見覚えがある。

 

 マダムを確保する際、彼女の護衛を務めていた少女達である………もっとも、多勢に無勢で形勢不利と見るや早々にマダムを切り捨てたのだが………。

 

 「……やっぱ、()()の事を話したんだね?オバサン……」

 

 「あ…アナタ方がアタクシを見捨てるからでしょ?」

 

 少女達の言葉にマダムが反論するが……

 

 「まあ……消すからいいけど……」

 

 ……少女達はその言葉をさして気にせず身構える。

 

 「……君達の相手をしている暇は……無い!」

 

 青年はそう言うと少女達の頭上を飛び越え、その背後にある扉を破壊し……

 

 「そちらは任せます。」

 

 ……そう言って、扉の奥の通路を進んで行った。

 

 「ッ!?待……!」

 

 ヒュンッ!カッ!

 

 「任されたよ。」

 

 月山が素早く懐からスローイングナイフを取り出して投擲し、少女達を牽制する。

 

 屋敷を探索している時から両腕に専用の手甲………月山の実家がSAAの開発に出資しており、その見返りとして研究成果の一部を関連のグループ会社が受け取っている。それを用いて月山グループが月山のために独自開発したものだ………を身に付けており、既に臨戦態勢である。

 

 ジャキンッ!!

 

 そして右腕の手甲のギミックを作動させ、ジャマハダルの様に剣を展開させる。

 

 「「邪魔するな、キザ野郎。」」

 


 

 おまけ

 

 地下通路の端で椅子に座りながら、雑誌を読んでいる男がいた。その男の羽織っている外套には背中に所属組織のエンブレムが描かれている。

 

 そのエンブレムは根を含めた樹木の全体像………“アオギリの樹”のエンブレムで、その男はその構成員である。

 

 もっともこのような辺鄙な所で雑用をやっているあたり、階級としては最下層の末端………つまりは下っ端の様であるが………。

 

 そこへ同じ外套を羽織った男が近づいて来た。その男は何を言われたのか、なんとも言えない渋い顔をしていた。

 

 「あ~悪ぃ、外へ出るから開けてくれ。」

 

 「おいおい……一体何があった?」

 

 雑誌を読んでいた男が椅子から立ち上がり尋ねる。

 

 「いやな?『ラボでタバコは吸うな!どうしても吸いたけりゃ外行って吸ってこい!』って言われてな……」

 

 「あ~そりゃ災難だったな……」

 

 男は同情する様に言った。

 

 「だろ?煙が空気を悪くするだの、ニコチンが被験体に悪影響になるだのネチネチネチネチと………」

 

 「ああ…最近協力する様になった、あのヒト種の医者とか言う奴だろ?新入りのクセにタタラさんに重用されてるからって、何かとうるせぇんだよな………」

 

 上役が居ないのを良いことに、下っ端二人はここぞとばかりに好き勝手に愚痴を吐く。

 

 「まったくだぜ……新入りは新入りらしくもちっと謙虚になりやがれってんだ!………と言う訳で、一本くれねぇか?」

 

 「何が“と言う訳で”だ……ッたく…もらいタバコする奴は貧乏するぜ………ん?」

 

 懐を漁っていた男が、何かに気づいた様に動きを止める。

 

 「どうした?」

 

 「いや、外から話し声が……」

 

 と言って、二人が“扉”に顔を向けたその時……

 

 ドゴオォォッ!!!

 

 チーーーン!!

 

 「「ガッ!!」」

 

 突如“扉”が吹き飛んで、その比較的大きな破片が運悪く二人の“大事なところ”を直撃していた。

 

 「……本当ですか?」

 

 「…ほんとう……だもん………」

 

 「「………………………」」

 

 下手人はその事に一切気付くこと無く、二人は股間を押さえつつ白目を剥いて気絶していた。

 




 
 冒頭のシーンは瀬本さん先生の作品「東京喰種 CINDERELLA GIRLS」より引用しています。

 今後もちょくちょく、そのキャラクターを登場させていく予定です。

 瀬本さん先生!

 先生の作品の設定の引用をご許可頂き、本当にありがとうございます!

 この場を借りて、お礼を言わせて頂きます!

 本当にありがとうございました!

 次回は翌日の深夜0時に投稿予定です。

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